(関和亮)そうですね。でも『Family Song』とかは本当にもう、やることが源くんの頭の中にあって。「これをやりたい!」って言ってくれて。「じゃあ、それをやろう!」って。割と本当に最初の打ち合わせで決めて。その代わり、準備する時間とかカット割りとかをすごく練って……っていうのをすごい覚えてます。
(星野源)ああ、たしかに。あれですよね。小道具とかも全部、作ったりとかしてましたもんね。お茶碗とかもね。
(関和亮)あれ、だから同業者に見せると「いやー、これ、狂ってるね。これ、作ったの?」みたいなね。
(星野源)すごいですよね(笑)。
(関和亮)全部、作っていて。あのお庭も作っているし。
(星野源)そうだ。縁側みたいなのもね。だから、美術さんも含めてすごいですよね。
(関和亮)いや、こだわりがすごい爆発したような気がしますね。
こだわりが爆発した『Family Song』
(星野源)だからこそかもしれませんけども。年間で最も優秀なミュージックビデオを表彰する『MTV VMAJ 2017』でMVの頂点。最優秀ビデオ賞を受賞という。すごいですね。ありがたいですね。
(関和亮)ありがとうございます。
(星野源)で、またすごいのが翌年ですよ。『アイデア』(笑)。
(関和亮)『アイデア』ね(笑)。
(星野源)あれは本当に僕がすいませんっていう感じなんですけども。
(関和亮)ええっ? いやー、でもすごく……そうですね。こっちは逆に「こうしよう!」っていうまでにすごく時間をかけてあそこに行き着いたんですよね。「ああでもない、こうでもない」って。
(星野源)自分がその『アイデア』っていう曲に込めた思いが結構強かったっていうのもあって。「もっといいのがあるんじゃないか?」っていうので、「よし、じゃあこれで行きましょう」っていうところまでにすごい時間がかかって。本当に撮影の直前に「これだ!」ってなったんですよね。で、全部ワンカットでワンカメで……っていうようなアイデアも最初はあったんですけども。ちょうど、チャイルディッシュ・ガンビーノの『This Is America』があった頃で。なんかちょっと似てしまうかもねってなって。
(星野源)そこで最終的に「ううう……」ってうなって出たアイデアがワンカットなんだけども。ワンカット物ってミュージックビデオでもいっぱいあるじゃないですか。いろんな作品で。ワンカット物なんだけども、ワンカメじゃなくて多カメで。いろんなところにカメラがあって、俺が1人で動いて、俺自身がカット割りをしていくっていう。で、同時にカメラで録画してっていう。それで行こうってなってからのスピードたるや、すごかったですね。いや、あれは……ありがとうございます(笑)。あれ、すごいビデオだと思いますよ。改めて。
(関和亮)いいですよね。すごくいいと思いました。たまに僕も見直すんですよ。やっぱり、自分のやったこととか作ったものを見直して。やっぱり『アイデア』は見ますもんね。
(星野源)そうですか。あれはちょっと異様な……なんていうか。でも、たしかにあれも早いかもしれないですね。
(関和亮)撮影はね。
(星野源)結構早かったかもしれないですね。
(関和亮)もうバーッと全部決めちゃったから。
(星野源)カメラが71台(笑)。
(関和亮)あれはセッティングしてる時とか、機材がみんな集まってる時とか壮観で。
(星野源)あれはすごかったですね。
(関和亮)すごい広い場所を借りて。
(星野源)いろんなところにカメラを置いて、セットを作って。そのセット図とかもたしかユニちゃんが書いてくれましたよね。たしかに。そうだった。で、あとは三浦大知くんが撮影をしてくれたりとか。
(関和亮)だから、ああいうところのアイデアとかって、たぶん僕は出ないですよね。あれは。でも、「三浦くんにやってもらおう」って。
(星野源)あれは僕が出したんでしたっけ? そうか。多カメでやろうっていう。
(関和亮)で、「三浦さんにやってもらおう。なんなら、出てもらおう」ぐらいに言って。「ええっ? いいの?」みたいに言ったら、二つ返事で。「OKですよ」って。
(星野源)そうそうそう。だから振付家としている大知くんを映すカメラもあるんですよね。モニターを見てチェックしているっていう。そうだ、そうだ。
『アイデア』の振付家・三浦大知
(関和亮)あれはなかなか僕らは出ない提案だと思います。
(星野源)でも、やっぱりそれを全部束ねる関さんがすごいんだと思います。でも、束ねてすごいのに、本番とかの休憩時間にセグウェイに乗って「わーい!」とかってやっている関さんがなんかアンバランスでヤバいんですよ(笑)。
(関和亮)周りはね、なんか「大丈夫かな?」みたいなね(笑)。
(星野源)「大変だ!」みたいになっているんだけども。「わーっ! これ、すごいスピード出るね!」なんて(笑)。
(関和亮)「1回、やってみないとね!」みたいな感じで(笑)。だから、呑気なんですかね。どうなんだろうな?
(星野源)それが癒やされるし。現場の楽しさが全然違いますよね。
(関和亮)だからピリピリしすぎちゃっても、現場ってなかなかうまくいかないんですよね。やっぱりなんか、言っても楽しいものを作ってるから。やっぱそういう気持ちでいくっていうのは大事なんじゃないかなとは毎回、思ってますけどね。
(星野源)素晴らしいです。あとは『ドラえもん』という。ELEVENPLAYのダンスを中心に。
(関和亮)『ドラえもん』も決まるのはめちゃくちゃ早かったですね。もう会って、ユニちゃんがコンテを書きながら。「ああ、これこれこれ。いいね、いいね!」っつって。「あとは、じゃあ」って。
(星野源)そうでしたね(笑)。なんか……でも、いろんなアーティストの方のビデオを撮るじゃないですか。どういう風に考えるんですか? その映像のアイデアって。
(関和亮)そうですね。でもやっぱり基本、オーダーメードなんで。この曲にはこういう……って。
(星野源)曲ありきではありますもんね。
(関和亮)そうですね。曲のテーマと、そこで何を取るのか……タイトルを取るのか、その曲の雰囲気を取るのか、歌詞を取るのかでまた作り方が違うんですけども。
(星野源)ああ、なるほど。そうですよね。たしかに。作品によって、歌ってる人だったり、アーティストのビジュアルをメインに出したいっていう人と、歌詞をメインに出したいという人と、音をメインに出したい人、全部違いますもんね。
(関和亮)そうなんですよ。作りたいものとか、目指すのが毎回違うんで。もうその都度、オーダーメードでやっていって。あとはもう本当ひたすら、アイデアをとにかく出して。どれが合うかなとか、どれがこのアーティストのそれまでのこととは違うことをやっているかなとか。そういうことも考えながら。
(星野源)たしかに。ディスコグラフィー的なところでも、今までも作品があったりするわけですもんね。ミュージックビデオがあって。その中で、じゃあ自分だったらどういう風にっていう。
(関和亮)そうですね。自分に依頼が来たってことは、こういうことを期待されているんじゃないかな、とか。そういうことも考えながら。ただアイデアを出しても、なかなかうまくいかなかったりとかするので。そういう意味では毎回、大変なんですけれども。でもなんか、よく本当に「今まで使っていないアイデアでやってみてください」とかって言われるんですけど。でも、なんかハメてみると合わなかったりするんですよね。「この曲には合わないな」とか。だから結局、その曲に対してどういう風に作るかっていうのをやっぱり1から考えないといけなくて。ひたすら「ううう……」って言ってますね。
(星野源)それは基本的におうちで考えるんですか? 家とか。
(関和亮)そうですね。家が多いですね。最近は特に。なんか、場所を変えたりとかやってみるんですけども。やっぱりその時だけで(笑)。
(星野源)自宅に戻るっていう(笑)。ありがとうございます。
<書き起こしおわり>