星野源『不思議』のノイズと歌詞を語る

星野源『不思議』を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2021年5月4日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で新曲『不思議』に対するリスナーからの質問に回答。曲の最後に登場するノイズや歌詞について話していました。

(星野源)私、星野源の新曲『不思議』がリリースされて1週間が経ちまして。感想などなど、今週もたくさん届いております。本当にありがとうございます。激烈な反応をいただきまして、ありがとうございます。北海道の方。「『不思議』、朝起きてから日中、夜寝るまで何度聞いてもまた聞きたくなり、もしCDなら擦り切れるんじゃないかっていうぐらいリピートして聞いてます。ところで、イヤホンで聞くとラストで左右にゆらゆらと揺れるノイズがあって、これがまた波のようで気持ち浮遊感とか余韻を醸し出しているのかなと思いました。『Pop Virus』の時は『今の日本の空気感としてノイズを入れた』と話していましたが、今回はどのようなものとして入れたでしょうか? ぜひ教えていただけたら嬉しいです」。

そうなんですよね。気づいていただけて嬉しいでございます。ええと、「歩き出す♪」で最後、キーボードが最後のコードを鳴らすところで「シュワーッ」というノイズが左右でトレモロの感じでフワフワするんですけども。これ、シンセのノイズなんです。使っているシンセのノイズで。そのシンセはその場所では鳴っていないんですよ。で、そのことにミックスの時に気付いて。「ああ、ノイズ鳴っていますね。このノイズって、鳴らしているエレピの音じゃないですよね?」って話をして。「じゃあ、1回切りましょうか」ってなって。

で、そのだいたいレコーディングをする時にシンセだったり……まあ、アナログシンセを使っていたりするとノイズが鳴ったりするので。実は鍵盤を押していないところはミュートするっていうのがだいたいなんですよね。こう、余計なノイズみたいなものはない方がいいので。で、なしにして、「もう1回、ミックスで取りましょう。2ミックスにしましょう」みたいな時に聞きながら「なんか物足りないな」って思って。で、「やっぱり足してください。やっぱり有りでいいです」っていう感じで結局戻して。

で、なんかすごくこのノイズっていうものがこの曲の雰囲気みたいなものをすごく司っている感じがして。自分が想像していた音像っていうものにこのノイズっていうものが結構必要だったんだっていう感じがありまして。で、そのノイズをずっと聞きながら録音の作業をしていたんで。ミックスの時にすごく、それぞれの音っていうのをより高精度を高めて音を作っていく中で、さらにノイズが目立ってきて。その時に気付いたって感じだったんですけど。

ノイズが曲の雰囲気を司っている

(星野源)で、たぶん普通だと消しちゃうんだと思うんだけど、「これはあった方がいいな」と思って残しました。なので、このノイズはとても意図的で。で、2番のAメロのところでちょっと様子が変わるんですけど。そこは実は楽器自体、全部変えていて。なので、そこは違うなと思ったので、ノイズに関してはそこはないんですけど。なので、そこでは違う楽器のノイズが入っているんですけど。なので、そういう感じで場面によってノイズっていうものを出したり、引っ込めたりっていうのもしておりました。気付いてくれて嬉しいです。

三重県の方。「『不思議』、リリースされた日から毎日、何度も聞いています。聞き始めは音やメロディーや歌声に心を奪われていっていたのですが、少し時間がたった今は歌詞に心を奪われています。質問なのですが、『理由もない恋がそこにあるまま』『他人だけにあるもの』『孤独の側にある 勇気に足るもの』と歌詞の中でずっと『ある』を使っていたのに、最後だけ『孤独の側にいる 愛に足る想い』と『いる』を使ったのにはなにかこだわりがあるのでしょうか? 『いる』は生き物に使うことが多いと思うのですが、『愛』を『生き物(成長したり変わっていくもの)』と捉えているからでしょうか? それとも感覚的にそういう歌詞になったのでしょうか? よければ教えてください」という。

ああ、ここも気付いてくれてありがとうポイントですね(笑)。そうですね。歌詞を書いていくうちに、そのね、書いてくれているけども。「孤独の側にある 勇気に足るもの」っていう歌詞がその前に来るんですけど。「孤独の側にある」って……この曲の中で歌っている不思議なもの。愛に足るもの。「愛」と一般的には言うけど、個人的に愛よりももっといいんじゃないかと思っている。でも、それに名前がないっていう、なんかそういうものなんですけど。

で、そのものが、この曲の中で登場人物っていうか、その中で。こう、「もの」から「人」に変わっていく感じっていうんですかね? 自分の中に思いみたいなもの。自分の胸の中にっていうか、自分の中に生まれて持つようになって。それが自分の側にあるような感じ。それをずっと持っているような形になって。それが、なんとなく人の形になって、自分の側にいてくれるようになるっていう。なんか、そういう変化っていうんですかね。

そういうイメージです。そういうイメージで歌詞を書きました。なので、思いっていうもの。なんかそれがもの然として、たとえば丸だったようなものが人の形になっていくような、そういうイメージですね。で、その前に「僕らはいつも居た」っていう歌詞があると思うんですけど。その「いた」は漢字の「居た」にしてるんですけど。それはもう人間だってことが確実にわかっているので「居た」という風にしているんですけども。

その「孤独の側にいる」の方は人間とは限らないものという感じにしようと思って。その、感情だったり、感覚だったり。それこそ、名前のない何か。だけど、そばにいてくれる人かもしれないっていう、そういう人と概念の間みたいな、そういう……でも、人寄りみたいな。そういう感じのイメージで書きました。なので「いる」はひらがなでございます。はい。そんな感じですね。

こういうところに気づいてくれて嬉しいですね。「漢字にするか? いや、いや漢字にすると……うーん。ひらがなだな。ちょっとその前にある『居る』とは違うな」とかずっとやっているんで(笑)。歌詞を書く時に。嬉しいです。

「居る」と「いる」

続いて。「『不思議』、好きすぎてずっと聞いています。『幼い頃の記憶 今夜食べたいもの 何もかもが違う なのになぜ側に居たいの 他人だけにあるもの』。この部分は本当にそうだなと思います。違うからこそ好きになる。違うからこそ一緒にいたい。この歌で、なんでこんなにも価値観の違う旦那さんにひかれて結婚したのか、謎が解けた気がします。『他人だけにあるもの』。この言葉の力はすごいですね。価値観の違いってマイナスに捉えがちですが、それを『他人だけにあるもの』と捉えたら、それは新たな発見にも繋がって、自分にとってもプラスなことになるかも……と思いました」。ありがとうございます。

そうですね。先週もちょっと話したかもしれないですけど。やっぱり他人だということを意識すると、よいことが増えるというか。素敵だなって思うことが増えるような感じがするんですよね。そうですね。だからその、やっぱり「ああ、ここはすごい気が合う」とか「同じ趣味!」とかって、すごい大事だし、嬉しいじゃない? でもそれって、「同じこと」が一番なんじゃなくて、「違うのに同じだからすごい」のであって。その「違う」っていうのをすっ飛ばして「同じ」っていうのが第一段階に来ちゃうと、「同じじゃないこと」の方が気になってくるので。

それよりも「違うのだ。でも、こんなに同じですごくない?」っていう、なんかそういうところにキュンとしたりするっていう。なんか、そういう……自分にとってそのキュンとするポイントみたいなのは。で、違うからこそ、素敵だなって思ったり、自分にはないっていうところにグッと来たりとか。で、その中で「こんなに違う人生を歩んできたのに、ここは一緒なんだね。面白いね」っていうところでキュンとしたりとか。なんかそういう気持ち。自分にとって、愛とか恋とかラブみたいなものはこういうことですという気持ちで書いたのがこの『不思議』という曲です。それでは、ここで聞いていただきましょう。星野源の新曲です。『不思議』。

星野源『不思議』

<書き起こしおわり>

星野源『不思議』を語る
星野源さんが2021年4月27日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で新曲『不思議』についてトーク。リスナーからの質問に回答しながら楽曲制作や作詞、レコーディング、アートワークなどについて話していました。
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