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町山智浩『ロード・オブ・カオス』を語る

町山智浩『ロード・オブ・カオス』を語る たまむすび
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町山智浩さんが2021年3月30日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『ロード・オブ・カオス』を紹介していました。

(赤江珠緒)お元気そうで。

(町山智浩)今週、コロナのワクチン、打てます。

(赤江珠緒)ああ、今週? いよいよ町山さんも?

(山里亮太)早い!

(町山智浩)打てます。もう、そういう歳の人なんです。「50歳以上」っていうことでね。それでもね、カリフォルニアは他の州よりも遅い方なんです。

(山里亮太)それでも遅いんだ。

(町山智浩)はい。人口が多いからですね。4000万人いるのかな? ただ、他の人口が少ない州はもうね、16歳以上の人たちがみんな受けはじめていますね。

(赤江珠緒)へー! 順調に進んでいますね。

(町山智浩)すごい進んでいますよ。だから4月いっぱいでだいたい16歳以上のアメリカ人は全員、ワクチンを2回、打てるのかな? だからだいたい、7月の独立記念日までにもう集団免疫ですか。それができる方向で。それで子供に打つのための治験も進んでいますね。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですね。うんうん。

(町山智浩)子供から感染をしちゃうので。あと、やっぱりほら、最近わかってきたんですけども。無症状でも血管とかに変形ができたりするという後遺症があることがわかってきたんで。だから無症状でも怖いんで。だからとにかく全部、完全に壊滅させるしかないんで。それと、やっぱり誰かが感染をしている状態だと、そこから変異株が発生しますから。そうするとまた、ワクチンが効かないのが出てくると困るしね。だからもう徹底的に、ものすごいスピードでやってますね。アメリカは。

(赤江珠緒)そうですか。

(町山智浩)これはやっぱり時間との勝負で。長く感染者が多い状態が続くと、それだけ変化株が出てくる可能性が高くなるので。だから日本の方も頑張っていただきたいなと。

(赤江珠緒)始まる気配、日本はまだないですもんね。

(山里亮太)全然そういう話、ないですもんね。

(町山智浩)ということで、今日はですね、もうすでに日本では公開中なんですけども。先週の金曜日から公開しているんですが。僕、本当に日本での公開状況が分かってない大ボケおじさんになっちゃってるんで、紹介し忘れていたんですが。『ロード・オブ・カオス』という映画について紹介します。これは実際にあった事件で。1990年代にノルウェーでブラックメタルという、なんていうのかな? ヘビーメタルの強烈なやつ……っていう風に言うとファンが怒りますが。それをやっていたバンドの人たちが教会に放火したり、殺し合って大変な騒ぎになっちゃったことがあったんですよ。

(赤江珠緒)えっ、そんな過激にな?

(町山智浩)最終的には殺人事件にまで発展して。バンドのリーダーが全身23ヶ所を刺されて死ぬという事態にまで発展したんですが。一体、そのバンドの中で何があったのかというのをドラマとして、俳優さんたちが演じた映画がこの『ロード・オブ・カオス』という映画で。これがですね、すさまじい内容なんで18歳未満は見れないんですが。でも、すごくいい映画なんですよ。

(赤江珠緒)えっ、本当?

(町山智浩)その話をさせてください。で、これね、実在したノルウェーのバンドのメイヘムというバンドの音楽をちょっと聞いていただきたいんですが。音楽、どうぞ。

(町山智浩)イントロ、長いです、ごめんなさい(笑)。このね、ブラックメタルっていうのは今みたいに始まりは遅いんですけど。途中からね、ものすごくスピードが速くなるんですよ。で、ドラマがものすごい連打になって。バスドラ連打で。ギターの方もトレモロっていう、テケテケテケテケ……って指を痙攣させるように弾いて、ものすごく速くなるんですが。

(赤江珠緒)じゃあ相当激しいんですね。

ブラックメタルとは……

(町山智浩)はい。速くなるまでに何分もかかるので。途中で速くなります。すいません。で、ブラックメタルというのは、元々ヘビーメタルっていうのがあるじゃないですか。ヘビーメタルの後に、スラッシュメタルとかデスメタルっていうのが流行ったんですね。それはヘビーメタル中でももっとスピードが速くて、ドラムをドドドドドドッ!って叩きながら。で、あとデスメタルってのはデス声っていうボーカルで。「ヴェェェェ、ヴェェェェ!」っていう、何を言っているのかわからないような声を出すんですけれども。それらを聞いていても、まだ過激さが足りない。まだ絶望が足りないと思った人たちがやり始めたのはブラックメタルなんですよ。

(山里亮太)ああ、そのさらに向こう側。デスの向こう側?

(町山智浩)そう。デスの向こう側なんですね。で、破壊とか殺人とか悪魔崇拝とか、そういったことを歌って。で、もうドロドロに、まあ絶望的な歌なんですね。それがブラックメタルなんですが。要するに、どんどん絶望に向かっていくわけだから、終わりがないわけですよ。それで大変なことになっていったっていう話なんですね。で、すごく面白いのは、これが出てきたのが北欧なんですよ。スウェーデンとかノルウェーとか。いわゆる北欧のイメージって、まあムーミンですよね。

(赤江珠緒)そうですね。うん。

(山里亮太)おおらかなね、優しい……。

(町山智浩)そう。あと、『アナ雪』ね。

(赤江珠緒)家具がおしゃれなイメージね。

(町山智浩)のんびりした感じじゃないですか。緑が多くて。で、トナカイとかいて。社会的には福祉国家で。福祉が手厚くて貧困層があまりいない。貧しい人も大金持ちもいなくて。あとはH&Mとかね、IKEAとか、そういうイメージですけども。なんで、そんなところからこんな地獄のような音楽が出てきたかっていうと、やっぱり退屈だったみたいですね。

(赤江珠緒)はー! ふんふん。

(町山智浩)みんな、だから健全で。みんな民主主義的で。なんというか、リベラルでね。だから、それに対する反発としてものすごくそれとは逆の方向の、悪魔を崇拝したり、ナチスドイツ、ヒットラーを崇拝したり。そういう逆方向の音楽とか文化が出てきちゃったんですね。で、そのブラックメタルのバンドを始めたのが、この主人公となるユーロニモスという人なんですけど。で、まあすごい過激なことを言って。「何もかも、燃やしてやれ!」とかね言ってたんですけど。で、それをやっていたら、スウェーデンから「俺もやる!」って入ってきたのが……この人、バンド名っていうかミュージシャン名ってあるじゃないですか。それがなんと「デッド」っていうんですよ。

(赤江珠緒)デッド。うん。

(町山智浩)「死んでいる」っていう意味ですね。「すいません。俺、『死んでる』です!」っつって入ってきたんですね。「すいません。僕、死んでいます!」って。で、彼がリードボーカルをやるんですけど、彼は本気で死に取りつかれていて。子供の頃にね、いじめでね、実際に死ぬ寸前まで行ったんですよ。それがトラウマになって、死に取りつかれてるのがこのデッドくんだったんですね。ただ彼は、歌を歌いながらナイフで腕を切り刻んだりして。ものすごいショッキングなんで、もうカリスマ的人気になっていったんですけども、それをやってるうちに本当にショットガン、猟銃で頭を吹き飛ばして死んじゃったんですよ。

(赤江珠緒)えっ、自分で?

(町山智浩)自分で。で、そこからがこのバンド、メイヘムの伝説になっていくんですね。というのは、そのユーロニモスというリーダーが、その死んだ親友であるデッドくんの死体の、その頭を吹き飛ばした写真を撮って、それをレコードジャケットにしちゃうんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)そう。まあひどい……その死というものを利用しちゃったんですね。で、カリスマ的な人気が出てきて。彼がレコード店の経営もはじめて。それで頑張っていくんですけど。そこにもう1人、そのユーロニモスの言っている過激な思想に感化されたクリスチャンという青年がすげえど田舎から来るんですよ。で、クリスチャンっていう名前ですけども、反キリスト。アンチ・キリストなんですね。でね、これはちょっと複雑なんですけど。北欧って、前にも話したと思うんですけども。一番、ヨーロッパでキリスト教になるのが遅れた地域なんですよ。

ヨーロッパがどんどん、少しずつキリスト教になっていったんですけども。でも北欧の方はすごく遅れて。最終的には……元々、『アベンジャーズ』に出てくる雷の神様、ソーっているじゃないですか。ああいうのを北欧の人たちは信じていたんですね。あとはヴァルキリー(ワルキューレ)とかね。ああいう、北欧神話を信じていたので、なかなかキリスト教は入らなかったんですよ。それでどうしたかっていうと、キリスト教の王様がキリスト教を信じないスウェーデン人たちを虐殺したんですよ。北欧十字軍っていうのがあって。それはキリスト教の王国軍がキリスト教を信じないで、昔からの北欧神話を信じている人たちを虐殺するという事件があったんですよね。

(赤江珠緒)うーん……。

(町山智浩)「キリスト教を信じろ!」っていうことで。だから、それに対する反発みたいなものはこのブラックメタルの根底にあるんですね。「俺たち、無理やりキリスト教徒にされちゃったよ」みたいなところがあって。だから彼らは「キリスト教教会なんて焼いてやれ!」とか言ってるんですね。だからそのクリスチャンくんが……「クリスチャン」って「キリスト教徒」っていう意味ですけども。クリスチャンくん、それに感化されて本当に教会に火をつけ始めちゃったんですよ。で、その教会がまた問題だったのは、ノルウェーで最も古くて有名な歴史的建造物である教会を焼いちゃったんですよ。

(赤江珠緒)ええっ? じゃあ、もう日本で言ったら法隆寺とかに火をつけるような?

(町山智浩)そうそう。法隆寺とか清水寺みたいなのを焼いちゃったんですよ。金閣寺みたいなのを焼いちゃったっていう……まあ、あれは焼いちゃった人、いましたけども。

(赤江珠緒)そうでしたね。

(町山智浩)それで大問題になっちゃったんですね。でも、バレなかったんですよ。なかなかバレないうちに次々と教会を連続放火していくんですよ。終いには時限爆弾まで仕掛けたりするんですけども。それで大変なことになっていって。彼らがその一種のサークルを作って。ブラックサークルという反キリスト教のサークルを作って。だんだん、「誰が一番過激なことをするのか?」っていう競争になっていくんですよ。

(赤江珠緒)ああ、歯止めが利かなくなってきちゃった?

「誰が一番過激なことをするのか?」

(町山智浩)そう。それで、最終的には殺し合いになってしまったっていう話なんですね。

(赤江珠緒)なんかちょっとデジャヴ感、ありますね。日本赤軍とかね。なんかそんな感じですね。内部でね。

(町山智浩)そう。というのはね、これ、この彼らは元々、いい子たちなんです。真面目な子たちなんですよ。

(山里亮太)悪魔崇拝とか言っているけども?

(町山智浩)そうそう。だからこのユーロニモスがブラックメタルのレコード店をオープンする時も、パパからお金を借りてオープンするんですよね。

(赤江珠緒)ああ、ユーロニモスくんのパパは、じゃあ割と……?

(町山智浩)ええとこなんですよ。

(山里亮太)ああ、ええとこの子っていうやつだ。

(町山智浩)ええしのボンボンなんですよ。で、彼ら、レコードを作る時のお金もクリスチャンくんが出すんですよ。お金をクリスチャンくんのお母さんから借りて出すんですよ。で、それもね、モメた原因で。「ママのお金を使ってレコードを作ったのに、返さねえのかよ!」ってなっていくんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)2人とも、なんていうか、親の家に住んでいたりとかね、いろいろして(笑)。まあ、結構ボンボンなんですよ。歳も若いんですけど。このクリスチャンくんはこの頃、まだ19なんですよ。で、どちらかというと、真面目な方なんですよ。それがだんだん、過激な思想に取りつかれていくっていう怖さを描いていて。でね、これ監督のヨナス・アカーランドっていう人はスウェーデンの人なんですけど。この人自身もブラックメタルをやっていた人なんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)だから外部から見て……「やっぱり彼ら、いいところお坊ちゃんが無理して悪くなろとして。変なことになっちゃったな」っていうのをバカにして見てるんじゃなくて。この監督は「俺もそうだった」っていうことで作ってるんですよ。本人もそれをやっていたから。だからすごく共感を持って描いてるんで、僕はね、すごく感動したんですよね。ある意味。

(赤江珠緒)この皮肉な心理というかね。そういう心理状況というのをね、理解できる感じなんだ。

(町山智浩)そうなんですけど。これ、すさまじい内容じゃないですか。話を聞いてると。血みどろで。実際に画面も血みどろなんですけど。でもね、不思議とほのぼのした映画なんですよ。ほのぼのしたものが中にあって。これ、前に僕が『たまむすび』で紹介した『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』っていう映画。覚えてますかね?

(赤江珠緒)うんうん!

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(町山智浩)あれはね、舞台がフィンランドなのかな? スウェーデン、ノルウェー、フィンランドっていうのが北欧ですからね。で、フィンランドのメタル……デスメタル、ブラックメタルみたいなのをやっている彼らが全然売れなくてっていう話だったんですけども。あれでおかしかったのは主人公たちが「オヴェェェェーッ!」とか言っているのに普段は本当に心優しい好青年だったんですよ。気が弱くてね。で、気が弱いからこそ、そういう顔を白く塗って、ものすごいトゲのついた服を着ないと自分を解放できないっていう風にしてあの映画では描かれていたんですね。

それで幼なじみの彼女だけが「彼は本当はいい人なんだ」っていうのを知っているという、いい話でしたけどね。『ヘヴィ・トリップ』って。で、あの中で一番おかしかったのは、お金がないから車も買えなくて。主人公が自転車に乗っているんですよね。デスメタルで自転車に乗ってるって、合わないじゃないですか(笑)。

(赤江珠緒)たしかにね。地に足はついているけども。

(町山智浩)そう。で、この映画『ロード・オブ・カオス』でもそういうシーンがあって。そのデッドくんが死んじゃった時に、それをリーダーが写真に撮って利用しようとしたから。それで頭に来て、ベースの子が抜けちゃうっていうシーンがあるんですよ。で、ベースの子はネクロブッチャーっていう名前でベースを弾いているんですけど。ネクロブッチャーっていうのは「死体解体屋」っていうすごい名前なんですよ。この人のバンドの中での名前は。それなのに、「俺たちの親友じゃねえか! 友達が死んだのを利用するなんて許せねえ!」とか言って。ネクロブッチャー、すげえいいやつなんですよ。

(赤江珠緒)ネクロブッチャーが。へー!

(町山智浩)で、「俺はこのバンド、抜ける!」って言って。それでネクロブッチャー、自転車で去っていくんですよ。

(赤江珠緒)なるほど(笑)。なんかちょっと、起きている事象と合わないところがいっぱいありますね。

(町山智浩)そう。そこは笑っちゃうんですよ。でも、それはね、監督が本当にそういう人だから。わかってやっているんですよ。で、みんなでコンサートが終わった後にね、血だらけのコンサートをやって。それで打ち上げをやるんですよ。それをやりながら「俺たち、最高だよ! すげえぜ! もう世の中をめちゃくちゃにしてやるんだ! 革命だ!」とか言ってるんですけど。そうするとすぐに、そのお店の人が「あっ、レバニラ定食、お待ち!」みたいな感じで。だからその打ち上げ、定食屋でやってるんですよ(笑)。

「地球を破壊してやるぜ!」とか言ってると「はい、定食、お待ち!」って定食が来るっていう、そのタイミングのよさ(笑)。もうね、全編そういう感じで。もうおかしいんですよ。笑っちゃうんですよ。それでまた、このユーロニモスがリーダーとして過激なことばっかり言っていて。で、「教会に火をつけちゃった」っていうのを聞いた時に「すげえ! やったな!」って言うんですよ。だけど、そのクリスチャンがいなくなったら「ヤベえ、大変なことになっちゃったよ……」って言うんですよ。「本気にしちゃったよ。どうしよう……」って(笑)。そういうところもすっごい身につまされる感じなんですよ。

(山里亮太)「身につまされる」(笑)。

すごく身につまされる

(町山智浩)身につまされる感じで。僕もね、映画秘宝っていう雑誌を作ってね、バカなことをやりましたよ。

(山里亮太)フハハハハハハハハッ! ちょこちょことね、伝説は我々も聞いてましたけども(笑)。

(町山智浩)殴り込みをしたりね。で、「やってやるぜ!」とか「映画雑誌に革命を起こしてやるぜ!」とか言っているうちに、ひっこみがつかなくなるんですね。こういうことはみんな、あると思います。お笑いをやっている人もあるじゃないですか。ねえ。「過激なことをやってやるぜ!」とか言っているうちに「ここまでやっていいのかな?」っていうところを相方が勝手にやってしまった時とかね。

(山里亮太)そうですね。「これを超えなきゃいけないのか」っていうドキドキね。「今から俺、すげえワルになるんだな」みたいな。

(町山智浩)そうそう。ねえ。すげえ困る時ってあるじゃないですか。「行っちゃった!」みたいな。そういう困った感がすごいあって。これ、あらゆる人たちが若い頃はみんな、「俺たちの時代を築くんだ!」とか言ってる時にやりがちな感じ。

(赤江珠緒)ちょっとその恥ずかしさみたいなのも全編にあるんですね。

(町山智浩)そう。だから見ていて恥ずかしくてしょうがなかったですけどね。もうね、本当に身をよじりながら見ていましたね。「うわあーっ!」みたいな。でも、みんなバンドをやったりね、それこそなんかを若い頃に仲間で始めた時ってこのノリがあるんですよね。

(赤江珠緒)まあ、そうですね。いわゆる若気の至りみたいなのは多かれ少なかれ、みんなありますもんね。

(町山智浩)あるんですよ。それでまたみんな、真面目だから。本当にふざけたやつはあんまり過激なことはしないんですよね。僕、日本のパンクバンドなんかも……僕は元々パンクロックの雑誌、宝島をやっていたんでよく取材してたんですけど。真面目な人ほどメチャクチャやるんですよ。

(山里亮太)たしかにな。一生懸命に破天荒をやるみたいなね。

(町山智浩)そうそう。真面目に不真面目をやろうとしちゃうんですよ。だからスターリンっていうバンドがあって。その頃、遠藤ミチロウさんっていう人がやっていて。豚の臓物を客席に投げつけたりしてたんですけど。でも、遠藤ミチロウさんは本当に真面目な真面目な人なんですよ。インテリの。

(山里亮太)そうか。買いに行く姿とかを考えたら、なかなかね……(笑)。

(赤江珠緒)本当ですよね。「量はこのぐらいかな?」みたいなね(笑)。

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(町山智浩)本当に礼儀正しくてね、朴訥な人なんですけども。そういう人ほど危ないというかですね。だから、一生懸命なんですよ。いい成績を取る感じで悪いことをするんですよ。でも、それはひとつ怖いのは、さっき連合赤軍の話をされていましたけども。彼らはみんな、偏差値の高いお坊ちゃんなんですよね。

(赤江珠緒)なんかそうだったみたいですね。

(町山智浩)そう。で、そうやっているうちに大変なテロリストになっちゃったんですけども。でも、オウムもそうだったじゃないですか。みんな学歴がよくてね。それで前に紹介した映画で『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』っていう映画があったんですが。あれは1960年代の終わりにカルト集団がハリウッドのシャロン・テートっていう女優さんを惨殺したという実際にあった事件があるんですね。チャールズ・マンソン一味っていう、カルト集団だったんですけど。それでチャールズ・マンソン自身はただの嘘つきのホラ吹きだったんですけど。その部下、彼の信者になった人たちはみんな真面目なお坊ちゃんばっかりなんですよ。まあ、オウムもそうですけども、真面目なお坊ちゃんたちがホラ吹きに騙されるっていうパターンなんですね。で、テロリストになっちゃうっていう。

(赤江珠緒)ああ、そうだ。構図としては本当に一緒だ。

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(町山智浩)そう。で、このメイヘムの主人公のユーロニモスはホラは吹くんだけどもすぐに「いや、言い過ぎた、言い過ぎた」とかって悩んだりしてるっていうところがあれなんですけど(笑)。だから最近、アメリカで大変なことになってるのは、トランプ信者の人たちが大変な……テロというか、国家反逆罪というか。議会に乱入しちゃったじゃないですか。で、あの人たち、少しずつインタビューとかが出てきているんだけど、みんな真面目な人なんですよ。

あれはだから、チャールズ・マンソンにあたるホラ吹きがトランプ大統領……大統領だったという、もうとんでもない事件ですけども。言ったら本当にやっちゃったっていうね。すごいことになってますけどね。だからね、思ったのはやっぱり真面目に一生懸命やろうとすることもほどほどにしておいた方がいいなと思いましたね。本当に不真面目なやつは悪いことも不真面目だから。あんまりそれも真剣にしないっていうことがよくわかるんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そういうことか!

(町山智浩)そう。そういうことも込みでね、この映画はね、いろいろと青春映画として切なく悲しい。でも、おかしくて。でも、残酷で。背筋が凍るような映画ですね。実話ですけども。

(赤江珠緒)実話なんですもんね。これが……。

(町山智浩)で、常にユーモアがずっとあるところもなんか、いい感じなんですよ。だからね、まあ残酷シーンだけ目をつぶれば非常にいい映画なので。ぜひご覧ください。

(赤江珠緒)今日、ご紹介いただいたのは『ロード・オブ・カオス』。シネマート新宿ほかですでに公開中でございます。そうなんだ。なんかね……。

(山里亮太)自分の中にもあるかもしれないね。

(赤江珠緒)本当ですね。

(町山智浩)懐かしかったです。はい。

(赤江珠緒)町山さん、ありがとうございました!

(町山智浩)どもでした!

『ロード・オブ・カオス』予告編

<書き起こしおわり>

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