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町山智浩『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』を語る

町山智浩『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』を語る たまむすび
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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』を紹介していました。

(赤江珠緒)(リスナーへのクリスマスプレゼントを)ありがとうございます、町山さん。

(町山智浩)いえいえ、もうクリスマスなんで。はい。心はサンタさんみたいな優しい気持ちになってたんですけども……ちょっとあの訳がありましてですね、ダークサイドに堕ちました。

(赤江珠緒)堕ちたんかい!

(町山智浩)今、ものすごい悲しみと憎しみのどん底にいるんですけども。というのはね、僕が25年前に創刊した映画雑誌で映画秘宝という雑誌があるんですよ。

(赤江珠緒)はい!

(町山智浩)日本で一番売れている映画雑誌だったんですね。部数的に。その休刊が決まりまして。突然。

(赤江珠緒)そうですってね。ええ。

(町山智浩)はい。25年やってきてそれに全てを捧げたんですけども。まあ、それは会社の事情なんで。それを出していた出版社が親会社吸収されて、まあ休刊になっちゃうという形なんですね。ただね、もう何もかもこの雑誌、映画秘宝のためにやってきた男なので。25年間。25年間というと、いわゆる四半世紀ですよね。だからね、もう今そういういろんな暗い気持ちになってるんですが。その暗い暗黒の気持ちをぶつけてクリスマスなのに、もうドロドロの暗黒ヘヴィメタル映画をご紹介します(笑)。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(町山智浩)はい。そういうことでね、今日紹介する映画はフィンランドの映画で『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』というタイトルの映画です。これね、北欧ってメタルミュージックの何て言うか今、中心地になってるんですよ。これ、あまり知られてないんですけど北欧といえば、最近だと『アナ雪』みたいなね。あと、サンタさんの本拠地があるとか、ムーミンがいるとかね。そういうのんびり系じゃないですか。サンタ、ムーミン、アナ雪って。

(赤江珠緒)それはそうですね。

(町山智浩)でも、すっごいドロドロのメタルがもう大量にあるところなんですよ。人口に対するメタルバンドの数が世界最大らしいんです。

(赤江珠緒)フフフ、そうなんですか?

(町山智浩)やることがないんだっていうことがよく分かりますけども(笑)。でね、この映画はフィンランドのど田舎のど田舎に住んでる25歳のトゥロという男の子が主人公です。彼はメタルバンドを幼馴染みの友達と組んでいるんですね。で、それがね、どういう音楽かというと終末・シンフォニック・トナカイミンチ・アンチキリスト・戦争推進メタルというジャンルなんですよ。

(赤江珠緒)おおう、過激。はい(笑)。

終末・シンフォニック・トナカイミンチ・アンチキリスト・戦争推進メタル

(町山智浩)これがね、すごく説明しないといけないんですが。まず「終末」っていうのはその「世界の終わり」とかを歌うんですね。メタルはそういう歌が多いんです。で、「シンフォニック」っていうのは「交響楽みたいにスケールがデカい」という。で、「トナカイミンチ」っていうのは、このギタリストの人がトナカイをミンチする工場で働いてるからです(笑)。

(赤江珠緒)ああ、実際に? そうなんだ。

(町山智浩)実際に。あのね、トナカイは北欧の人たちの一種、牛肉みたいなもんなんですよ。

(赤江珠緒)食材なんですね。

(町山智浩)そうです。僕、スウェーデンに行ったんですけども、トナカイを毎日食べさせられました。はい。トナカイとサーモンばっかり食べてますね。あの地域だから。なので、この間の『アナと雪の女王2』、あれはサーミ人というあの北欧の北の方に住んでいる先住民の人たちの話なんですね。今回は。あ、見ました?

(赤江珠緒)まだ2は見ていないですね。

(町山智浩)ああ、見てないですか。『アナと雪の女王2』はノルウェーが舞台なんですけども、今まであまり語られなかった、ちょっとアジア系のDNAが入っているサーミ人という原住民の人たちがいるんですよ。その人たちの話になってるんですよ。今回の『アナと雪の女王2』は。で、彼らのねやってることがトナカイの遊牧なんですよ。で、『アナ雪2』って最後にみんな、その遊牧されているトナカイが楽しくグルグル回ってニコニコしてるっていう終わり方をするんですけども。なんで遊牧をしているのかっていうと、食うためですからね。

(赤江珠緒)まあ、そういうことか。

(町山智浩)だから楽しくニコニコじゃねだろ?っていうことなんですけども(笑)。食ってるんじゃねえかって思うんですけども。で、まあトナカイの食肉解体業をしてる人がギタリストのバンドなんですよ。でね、「アンチキリスト」っていうのでこのバンドの音楽に入っているのは、前も『ミッドサマー』の時に話したんですけども。

町山智浩『ミッドサマー』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でアメリカで大ヒットしたアリ・アスター監督のホラー映画『ミッドサマー』を紹介していました。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)あれはスウェーデンの話でしたけども。北欧ってすごく、キリスト教になるのが一番ヨーロッパで遅れた地域なんですよ。で、それまではマーベルコミックスに出てくるマイティ・ソー。雷様がいますけども。あとはワーグナーの曲に出てくるような北欧神話という非常に戦争の神々の伝説を信じていた地域なんですね。

(赤江珠緒)そうですえん。別の神々がいましたもんね。北欧はね。

(町山智浩)そう。キリストの前。だから「金槌を持って地面を叩くと雷が起きる」とかそういうことを信じていた人たちなんですよ。で、北欧のメタルの人たちにはキリスト教に対して戦うっていう人たちがいるんですよ。「我々の伝統はキリスト教じゃないんだ。キリスト教徒によってま軍事的に制圧されたんだ」と思っているんですよ。実際にそうだったんですよ。北方十字軍っていうのはそのキリスト教を信じない人たちを軍隊で攻め滅ぼしていったことがあったんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)だから、そのキリストの支配に対して戦うんだっていうメタルの人たちがいて。その人たちのうちで最も過激なのは「ブラックメタル」と言われていて。実際にキリスト教の教会に放火をして焼いちゃうんですよ(笑)。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)それ、音楽なのか?って思うんですけども。そうやっているうちに殺し合いになっちゃたりとかするのがブラックメタルという、メタルの中でも一番過激で地獄に行っちゃった人たちも北欧にいるんですよね。あとは「戦争推進メタル」とも言っているんですけども。彼らは。それはやっぱりバイキングの子孫だから。

(赤江珠緒)ああーっ! 「奪え、奪え!」みたいな?

(町山智浩)ムーミンやサンタみたいなイメージで思っている人も多いですけども、もともとはバイキングとして斧とかを振り回して他国に攻め入って略奪をしていた人たちの子孫なんで。バイキングなんで。そういうだから、北欧のキリスト教以前の伝統を取り戻そう的なところが北欧メタルの根底にあるんですよ。結構。で、そういうものを推進するバンドだぞ!って言ってるんですけども、そのトゥロくんがやっているバンドの問題のひとつはですね、まずバンド名がまだ決まっていない。

(赤江珠緒)ええっ?

(山里亮太)大問題ですよ(笑)。

バンドの抱えている問題

(町山智浩)バンド名が決まっていない。あと、オリジナル曲がまだない(笑)。これ、ギタリストがね、オリジナリティがなくて。何を弾いても何かの真似なんですよ。で、もうひとつの問題は人前で演奏したことがない。

(赤江珠緒)ええっ? もう全然メタルじゃない(笑)。

(町山智浩)もう、ただやっているだけなんですよ。で、なぜ演奏をしたことがないか?っていうとこのトゥロくんという人はどメタルなんですけども、ものすごく気が弱いんですよ。気が弱くて、人前に出ると緊張してゲロを吐いちゃうっていう人なんですよ。

(赤江珠緒)いやいや……(笑)。

(町山智浩)だから、まだライブをしたことがないんですよ。ところが何かの間違いで、そのノルウェーで行われる北欧メタル最大のフェスに行くことになっちゃうんですよ。彼らが。ロクにライブもしたこともないのに。そういう映画がこの『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』っていう映画なんですね。

(赤江珠緒)へー。面白そうだな。

(町山智浩)あ、コメディですよ。もちろんね和rあ。で、とにかく彼らがね、もう「地獄が!」「戦争が!」「死だ!」「殺す!」とか歌っているんですけど、まあ気が弱くてお父さんお母さん思いの優しい田舎のお兄ちゃんたちなんですよ(笑)。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(山里亮太)無理して言ってるな(笑)。

(町山智浩)無理して言ってるんですよ(笑)。だからこれを見ると、メタルっていうのは元々そういうものに憧れている優しい、心優しき少年たちなんだなっていうことがよく分かるんですけども。でも、もう一生に一度のチャンス。その最大のフェスにに行けるかもしれないという。でも、金も何もないわけですよ。金もなければ曲もないんですけども。

(赤江珠緒)もう、どうするの? どこから始めたらいいのよ(笑)。

(町山智浩)ねえ。で、「俺たち、ダメなんじゃないか?」と思っていると、このトゥロくんの大好きな、幼なじみで初恋の女の子がいます。その女の子にまたスケベなオヤジが言い寄ってきてるわけですよ。で、「ここで何とかいいところ見せて、彼女のの心をゲットしなきゃ!」と思って、もう命がけで何とかフェスに出ようとするんですよね。ところがね、またひとつ問題はこのバンドのメンバーが……バンド映画ってすごく面白いのは、バンドのメンバーって大抵、役割があるんですよ。

(山里亮太)はいはい。

バンド映画あるある

(町山智浩)たとえば、ボーカルが気が弱いっていうのは滅多に無いんですけども。たとえばドラムの人は大抵食いしん坊なんですね。なぜか知らないけど、バンド映画っていうとドラムは食いしん坊です。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(町山智浩)なんでかはわからない。これね、ゴレンジャーとかの戦隊物だと黄色の人がよくやらされる役割ですね(笑)。で、あまりにもいつも食っていて太っていて、時々死んだりする。心臓が止まったりするっていう、そういう人がドラムなんですよ。これはね、実際にもそういう人がいっぱいいるんですよ。メタルに限らないんですけども。ザ・フーとかレッド・ツェッペリンとかのドラムはみんなそういう人たちで、時々死んだりする人たちですけども。

(赤江珠緒)ずっと座ってられるから?(笑)。

(町山智浩)わからないですけども(笑)。まあ、食いすぎで飲みすぎなんでしょうけどね。で、あとベース。ベースの人は大抵静かなんです。

(赤江珠緒)ああー、そんなイメージある。うん。

(町山智浩)ザ・フーっていうバンドがあるんですけども。まあ、メタルじゃないですが。そのバンドはステージを徹底的に破壊するバンドなんですよ。ギタリストの人はギターを破壊するし、ドラムの人はドラムを破壊して。ボーカルもマイクとかブン投げて。もうアンプまでぶっ壊すという。演奏中に完全にステージが廃墟と化すんですよ。ところが、ベースの人は、ジョン・エントウィッスルっていう人ですけども。何もかもが破壊される間、ずっとリズムを刻み続けていて。そのステージが完全に廃虚になったところで1人、立ち尽くしてベースを弾いているんですよ。ずっと。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(町山智浩)それがベーシスト。一番物静かで一番物知り。だからこの『ヘヴィ・トリップ』のバンドの彼もそうなんですけど、でもペーストが実は一番どうかしてる人なんですよ。大抵。本当はおかしい人。クイーンのジョン・ディーコンとかもそうですけど、本当は一番変な人がベースなの。でも変人すぎて分からないっていう。静かな人に見えるっていう。そういうね、バンド物のツボを突いているんですよ。で、彼らがフェスに行かなきゃならないのに、ある理由でドラムが行けなくなったので。

じゃあ、ドラムをどうしようかと。で、この主人公のトゥロという人は非常に優しい人なんで、体の不自由な人たちの介護施設で働いてるんですよ。おじいちゃん、おばちゃんとかがいるね。ただ田舎なので、その介護施設がなんというか、精神にバグが出たりエラーが出たような人もそこの介護施設に入ってるんですよ。で、最も凶悪で非常に暴力的で危険な人もそこで監禁されてるんですね。ところが、その人に襲われそうになった時に偶然、自分のいつも聞いているデスメタルを聞かせたら、正気になりまして。

(赤江珠緒)ええっ?(笑)。

(町山智浩)で、そのデスメタルのスイッチを切ったらまた「ウオーッ!」と暴れだして。またデスメタルをかけたら正気になって。「これはすごい!」っていうことでその人が正気になって。ダブルバスドラのリズムを正確に刻む人だったんで、その人を精神病院から脱走をさせて一緒にフェスに向かいます。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(町山智浩)ところがですね、彼の好きな彼女のお父さんが地元の駐在さんなんですよ。で、髪の毛が長くてね、デスメタルで「殺すぞ!」とか歌ってる人だから「そんなやつのところうちの娘は嫁にやれない!」っていうので、フェスに行くのを妨害しようとするんですね。そのお父さんが。そこで大変な事態になって、フィンランドの国境警備隊が彼らのことを異常な風体をしたテロリスト軍団だと思い込んで、完全武装で迎え撃とうとするという。そういうめちゃくちゃな話ですよ(笑)。

(赤江珠緒)めちゃくちゃになってくる(笑)。

(町山智浩)しかもそこにですね、バイキングも絡んでくるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?(笑)。

(町山智浩)それから、アラブのテロリストも絡んで来ます。バイキングって言っても食べ放題の方じゃないですからね。海賊の方です。というね、何が何だか分からない映画なんですけど。まあ『ブルース・ブラザーズ』に匹敵する最高の映画でした。というと、赤江さんは『ブルース・ブラザーズ』を「なにもない映画でしたね」って言ってましたけども(笑)。

(赤江珠緒)フフフ、ストーリーを説明する時にね(笑)。

(町山智浩)俺たちには最高の映画なの、もう! 本当にもう……(笑)。ということで、僕はメタルは全然聞かないんですけども、この人たちのキャラがね、ほとんど他人とは思えないんで最高でしたね。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)これ、『映画秘宝トリップ』と言っても全然遜色はないと思います(笑)。同じようなものでした。

(赤江珠緒)フフフ、こういうようなメンバーが集められていたと。へー。

(町山智浩)こういうメンバーばかりでした。街の中で「あいつら、なにをやってるんだ? バカだな、本当にいつまでたっても、いい歳をこいて……」って言われてる人たちでした。はい。

(赤江珠緒)ああ、そうか。その中で、町山さんはベースでしょう?

(町山智浩)ああ、その中ではベースだったかな? わからないですけども。僕はたぶん気の弱いボーカルですね(笑)。ということでね、『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』。クリスマスにばっちりというか、クリスマスの後に公開のお正月映画ですけども。

(赤江珠緒)はい。2019年12月27日よりシネマート新宿ほかで公開となります。

『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』予告編

(町山智浩)ということで、年越しはヘドバンで!っていうことで。

(赤江珠緒)まさに年忘れにガンと来そうですね、これはね。

(町山智浩)はい、最高でした!

(赤江珠緒)わかりました。町山さん、ありがとうございました!

(町山智浩)どもでした!

<書き起こしおわり>

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