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町山智浩 ジャン=ポール・ベルモンドを追悼する

町山智浩 ジャン=ポール・ベルモンドを追悼する たまむすび
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町山智浩さんが2021年9月7日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で亡くなったジャン=ポール・ベルモンドさんを追悼していました。

(町山智浩)そしてもう一方、お亡くなりになった人がいまして。それはジャン=ポール・ベルモンドさんというフランスの俳優さんなんですね。で、この人はこの間、千葉真一さんが亡くなったじゃないですか。その千葉真一さんが憧れてた人がジャン=ポール・ベルモンドなんですよ。

(赤江珠緒)へー!

町山智浩 千葉真一を追悼する
町山智浩さんが2021年8月24日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で亡くなった千葉真一さんを追悼。直接千葉さんにインタビューした際の話や、千葉さんから影響を受けたクエンティン・タランティーノの話などを紹介していました。

(町山智浩)で、どういう人かと言うと、ヘリコプターからぶら下がったり、ビルをよじ登ったりしている人なんですよ。

(山里亮太)どういう人なんですか?(笑)。

(町山智浩)要するに、スタントマンを使わないスターなんですよ。で、スタントマンを使わないスターの歴史みたいなものが昔からあるんですけども。千葉真一さんの前にはジャン=ポール・ベルモンドがいて、千葉真一さんの後にジャッキー・チェンが来るっていう順番なんですよね。で、このジャン=ポール・ベルモンドさんの究極の映画というのは『リオの男』という映画なんですが。これね、リオ・デ・ジャネイロにフランスから行って……宝探しみたいな話なんですけども。とにかくバイク、自動車、飛行機、ボート、ありとあらゆる乗り物にベルモンドさんがぶら下がります! もうとにかく全部、スタントなしで命がけで撮っているんですよ。

(赤江珠緒)で、また当時だから完全にCGでもなくね。

(町山智浩)これ、ものすごい低予算で。すごく少ないスタッフで撮っているんで、本当にカメラマンとベルモンドさんがいるだけなんです。もう何の安全策も取っていないんです。すさまじいです。

(赤江珠緒)ええっ、そんな撮り方?

(町山智浩)そんな撮り方なんですよ。この人はその当時、ハリウッドでやっぱりスタントマンを使わないって言ってたスティーブ・マックイーンという俳優さんがいて。彼と、そのフランスとアメリカで争う形になって。スティーブ・マックイーンがカーアクションをやるとベルモンドもカーアクションをやって。ベルモンドが『恐怖に襲われた街』っていう映画でパリの地下鉄の屋根の上に乗って、その屋根の上を歩きながら時々、トンネルに突っ込んでいく時にバッと伏せたりするっていう命がけのアクションをやると、スティーブ・マックイーンがすぐにその後、『ハンター』っていう映画でシカゴの地下鉄で全く同じことをやるという。

そのノースタントバトルがアメリカとフランスで繰り広げられたという人なんですね。で、アクションスターとしてはもう本当にジャッキー・チェンにすごく影響を与えていて。ベルモンドがやったアクションのいくつか……たとえば、走っていくバスに外側からぶら下がってバスからバスに飛び移っていくとか、そういうのは『ポリス・ストーリー』っていう映画でジャッキー・チェンがそのままオマージュを捧げていたり。『プロジェクトA2』のクライマックスで来る、香港独特のビルの建築現場に足場として竹が組んであるっていう状態、あるじゃないですか。その竹の足場でものすごいアクションをするっていうのはベルモンドさんが『カトマンズの男』という映画でやったアクションの再現なんですよ。

ジャッキー・チェンに多大な影響を与える

(町山智浩)だからジャッキー・チェンはものすごくジャン=ポール・ベルモンドに影響を受けてます。しかもジャン=ポール・ベルモンドは文芸映画の方でも革命を起こした人で。タイトルだけは誰でも知ってると思うんですが、ジャン・リュック・ゴダール監督のヌーヴェルヴァーグの最初の革命的な作品と言われている『勝手にしやがれ』の主演なんですよ。だからベルモンドがいなければ、その後のヌーヴェルヴァーグとか、ヌーヴェルヴァーグに影響された日本のいろんな青春映画も、アメリカのニューシネマも存在しなかったんですね。で、ベルモンドがいなければ千葉真一さんもジャッキー・チェンも、今のような形ではなかった。そのぐらいの革命家だったんですけども。まあ、この人は日本のいろんなものに影響を与えていて。

一番、ベルモンドが影響を与えたのは、少年ジャンプの漫画で『コブラ』ってありましたね? アニメは『スペースコブラ』ですけども。あのモデルがジャン=ポール・ベルモンドなんですよ。

(町山智浩)顔もそっくりなんですが、キャラクターが非常に近いんですよ。コブラってなんかものすごい命がけのことをして、ギリギリのところで助かっても軽口を叩くじゃないですか。「ちょっと閻魔様の顔を見ちまったな」みたいなことを言うじゃないですか。あれはジャン=ポール・ベルモンドがそういう人なんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)ものすごい命がけのアクションをやるんですけど、全然大変そうじゃないんですよ。ベルモンドは。

(赤江珠緒)じゃあ、飄々とした感じで?

命がけのアクションをしても飄々としている

(町山智浩)だから、ほとんどコメディなんですよ。大抵の映画が。でも、本当に命がけなんですけども。「いやー、大変だったな」みたいな感じなんですよ。だから、テレビで放送する時は声は山田康雄さんだったんですよ。ルパン三世です。ルパン三世のキャラクターも非常にジャン=ポール・ベルモンドのキャラクター……つまり、ものすごい大変な時になってギャグを言っているっていうイメージに影響を受けていて。まあ、とにかくそれぐらい、ありとあらゆるものに影響を与えた人がジャン=ポール・ベルモンドっていう人なんで。この人の映画で『リオの男』はぜひ見ていただきたいなと思いますね。高所恐怖症の人はかなりきつい映画です、これは。はい。もう全編がそういうシーンなんで。

(赤江珠緒)ありとあらゆるものにぶら下がっているポスターが(笑)。

(町山智浩)ちょっと高いところに弱い人は本当に気持ち悪くなっちゃう映画なんですけどもね。ぜひご覧ください。

<書き起こしおわり>

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