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武田砂鉄 森喜朗・女性差別発言を語る

武田砂鉄 森喜朗・女性差別発言を語る アシタノカレッジ
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武田砂鉄さんが2021年2月5日放送のTBSラジオ『アシタノカレッジ』の中で森喜朗氏のJOC臨時評議員会での女性差別発言について話していました。

(武田砂鉄)今週は森喜朗さんの会見を取材したTBSラジオ澤田大樹記者が大きな話題になりまして。ラジオネーム「ヒデ」さん。「武田さん、澤田さん。こんばんは。今週、一躍時の人となったのは我らが澤田記者でした。TBSラジオリスナーは歓喜の渦となった一方で、『俺の大樹が世間に知られてしまう!』と地団駄を踏んでいた砂鉄さんの姿が目に浮かぶようです。澤部ファンが大挙、押しかけているであろうこの放送。今晩がプレミアムフライデーでないことが心残りですが、そこはいつも通りのわきまえないトークで今週を締めくくってください」というメールが来ておりますね。

森喜朗さんの「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。誰かが手を挙げるとみんなが発言したがる」という話が出まして。一昨日、昨日、今日とずっと話題になっておりますけれども。昨日、その謝罪会見風のものを開きまして。森さんがペーパーを読んだ後に記者からの質問に答えたんですけれども。この番組でおなじみのTBSラジオ澤田記者が森さんに向かっていった。澤田さんが「『オリンピック精神に反する』という話もされてましたけれども、そういった方が組織委員会の会長をされることは適任なんでしょうか?」と言ったら森さんが「さあ? あなたはどう思いますか?」という風に聞いて。それに対して澤田さんは「私は適任じゃないと思う」という風に答えまして、僕はしびれましたね。

TBSは今年は『半沢直樹』じゃなくて『澤田大樹』でドラマを作るべきだという風に思いましたけれども。澤田さんはこの後、11時半からのコーナーで登場しますので。そこで詳しい経緯をお聞きしたいと思いますけれども。本当に倍返しではなくてですね、1倍返し。そのまま返す。「わきまえない」というだけで言葉っていうのはこれだけ力を持つんだなという風に痛感いたしました。

昨年、この番組で紹介したんですけれども。キャロライン・クリアド=ペレスさんの『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』という本がありまして。この本は公共トイレだとかオフィスの温度だとか交通機関、医療、災害現場などがいかに男性に向けて作られているかという事実を探求した本で。僕も帯コメントを書きまして。そこに「男のために設計された社会で『男も大変』とか言っちゃう傲慢さを知る」という風に書いたですが。

『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』

この本の中に、「口を塞がれる女性議員たち」という見出しがありまして。こんなことが書いてあります。「政府における女性の影響力が限定的なのは、男性中心にネットワークから排除されているからだ。男性たちが秘密のネットワークを形成し、女性たちを締め出した非公式な場所で本格的な話し合いを行なっている場合は、女性たちが正式な会談に出席したところで大した意味はない」という。まあ今週、ありましたけれども。「夜は出歩くな」と言っても政治生命をかけて密室で談合する政治家っていうのは男性ばかりでしたね。

こんなことも書いてあります。「2015年のある研究では『女性の方が話を遮られることが多い』という結論を下している。その研究によって男性が女性の話を遮る方が2倍も多いことが分かっている。女性政治家に対する性差別、暴力、ハラスメントに関するグローバル調査において、欧州議会のある議員はこう語っている。『議会で女性が大声で発言すると、まるで子供に対するように人差し指に唇をあててシーッと注意されるんです。でも男性が大声で発言したって、そんなことは絶対されません』。

別の女性議員はこう述べている。『とにかくしょっちゅう聞かれるんです。君が言おうとしていることは本当に重要なのかな? できれば発言を控えてもらえないかな?』って。今、本当に必要なのは『男性は女性よりも相手の話を遮る』という事実を認識し、女性が同じことをすれば不利な立場に置かれることを考慮した上で、政治環境や労働環境を整備することだ」という。

「森さんの発言は周囲がそれを許容した」というのはまさにここに書かれてることそのものだなという風に思いました。菅首相は森会長の発言について「詳細は承知していない」という風に言いながらも渋々、「あってはならない」っていうに発言をしたんですけれども。このあまりに遅れに遅れたジェンダー観っていうのは森会長に突出したものではなく、政治の世界に通底してるものだと思うんですね。

2015年、官房長官だった菅さんはある芸能人の結婚発表を受けて「この結婚を機にママさんたちが一緒に子供を産みたいという形で国家に貢献してくれればいいな」という風に発言して問題視されました。2003年に森元首相が「子供を1人も作らない女性が自由を謳歌し、楽しんで年とって税金で面倒みなさいというのはおかしい」と発言して問題視されましたけれども。2018年に「この頃、子供を産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」という風に発言して問題視されたのが二階幹事長ですね。

2019年には麻生太郎財務大臣がこれも「子供を産まなかった方が問題なんだから」と言って。その前の年には財務省事務次官のセクハラ事件について、セクハラを受けた女性記者へ「そんな発言されて嫌なら、その場から去って帰ればいいだろう。財務省担当はみんな男にすればいい」っていう問題発言をしました。なので、森さんだけじゃなくて、日本の真ん中にいる総理、副総理、幹事長。こうやって国を動かす真ん中の人たちがまこれだけカビの生えたっていうか、男性優先主義が平然と残っている。それを放置してきた。

今回の森さんの発言をツイートすると「一部だけを切り取るな」っていう毎度のツイートがやってきまして。「一部を切る取るな」と言われて全文読んでみるともっとひどいっていうことが多いんですが。今回の全文も、もちろんそうでしたね。

森喜朗発言・全文

「女性がやると理事会は時間がかかる」って述べた後の森さんの話っていうのを全部読むと、これがとても長くて。40分も話した。問題とされた発言の後で森さんが何と言ってるか? 「女性がいると理事会は時間がかかる」と言った後でなんと言っているのか、読んでみると「長くなって恐縮です」って言っているんですね。「山下さんが、私に最初にあいさつしろと。こう言うもんですから。私は長くなるよ、と」って……直前で言ってることを自分で「長くなって恐縮です」って言っていて、ずっこけちゃうんですが。

全文を読んでみると危うい発言というのがいくつも転がっておりまして。2つだけ取り上げますけれども。「特にこの山下会長は(JOC前会長の)竹田さんから20年ぶりくらいに会長が変わった。これは珍しい。それは竹田さんという大変な崇高なお立場の方でいました。立派な方なので自分で何か意思をおっしゃることはなかった。しかし、周辺が相当気を付けないと、評価されない面がたくさんあったと思う。いろんな不祥事もありました。お金の面で解決したことは1つもなかった」っていう。この「お金の面で解決したことは1つもなかった」っていうのは2019年に竹田元会長が五輪招致が決まる前後に約2億3000万の賄賂に関わった疑いが問われて辞めたという、これを指してるわけですけれども。

竹田さんは「自分は関係ない。解決した話だ」っていう風に言っていたんですけれども、これを森さんがあろうことか「お金の面で解決したことはひとつもなかった」と言った。これは皮肉を込めて言えば、森さんの好プレーだったなって思いますけども。

もうひとつ、こんなことを言いました。開催まで1年を記念した国立競技場のイベントで昨年、池江璃花子さんが登場されたイベントがありましたけども。これについて森さんがですね、「それを去年の1年前のイベントでご覧になったと思いますが、池江(瑠花子)さんを使って、国立競技場で1人で手を挙げて、トーチを持ってましたよ。大きな広告を全国の新聞に出しました。あの心境なんです。1人でも私は、やります。こんなに体力なくても私はオリンピックを目指します、という感じ。それを国民に見てもらった。だから日本中の国民の皆さんも、あの広告を見て『あ、五輪やるんだな」。そういう思いを皆さんが持っていただいたと思っています』という。

皆さんもご存知の通り、池江璃花子さんは白血病を発症されたことを公表して。闘病をして、その後に徐々に競技に戻ってきて。2024年のパリオリンピックを目指すということを仰ってるんですが。そういう選手の方に対して「選手を使う」とか「広告に出した」とかですね。ましてや「こんなに体力なくてもオリンピックを目指します」という言い方をしたっていうのは……かつて、森さんが浅田真央選手について「あの子、大事な時には必ず転ぶ」って言って問題視をされたことがありましたけども。いまだに選手という存在に対してこういうものの言い方をするんだと。

やっぱりこの理事会に対してだけじゃなくて、アスリートに対する眼差しもジェンダー意識が欠けてるなっていう風に思うんですね。これ、2013年に出た本で読売新聞の運動部が『女性アスリートは何を乗り越えてきたのか』っていう本がありまして。

この中でサッカー女子日本代表の監督を務めた佐々木則夫さんとバレーボール女子日本代表の監督を務めた眞鍋政義さんの対談というのが掲載されてるんですけども。この眞鍋さんが女性チームを率いる上で感じた苦労のひとつとして、「メディアが特に実力じゃなくて容姿で優劣をつけようとする」という慣習を挙げているんですね。眞鍋さんがこういう風に言ってるんです。「苦労はありました。某テレビ局は視聴率を上げるために容姿で来るんです。竹下とか木村沙織とかをメインにするならいいですけど、あまり試合に出ない選手をポスターの真ん中にしたり。『それはやめてくれ・それをするとチームが変になるから』と」っていう。

まあ、こうやった問題視するのは大切なんですけれども。その後で、2人の対談の中で佐々木監督が「女性はおしゃべり。女性は依存性が強い。女性は非常に細かい」と言って。眞鍋監督は「女性は妬みや嫉妬があると言われている」という風に、こうやって女性という性をくくって話をしてるんですよね。「オリンピックが政治に絡めとられてる」っていうのは疑いのない事実だと思うんですけれども。政治家も指導者もですね、女性っていう存在をいかに雑に処理してるかっていうのがこういうところからも見えてくると思うんですね。

今回、森さんの発言が問題視されて、「森さんはもう会長の座にふさわしくない」という議論があちこちで起きていて。僕ももちろんそう思いますけれども、IOCとかJOCが「もう済んだ」って言っても「いや、辞めるべきだ」という風に言い続けると思うんですが。それだけじゃなくて、このジェンダー意識の欠落っていうのが当人だけじゃなく、政治の世界とか、そしてこの社会全体に染み込んでるってことを問題視しなくちゃいけないし。

日本社会全体に染み込んでいるジェンダー意識の欠落

同時にこのコロナ禍の中で、夏にまだまだオリンピックを強行しようとしてるっていう問題点を改めて問わなくちゃいけないと思うんですね。昨日、この澤田大樹記者のファイトを動画で見ていましたら、ちょうどある新聞社から連絡が来て。「森さんの会見についてどう思いますか? コメントをください」って来たんですけど。「ああ、またこれ、自分たちで言えないことを誰かに言わせるやつだ」と思って断っちゃったんですけど。

「こういう問題くらい、そちらで書いてくださいよ」って思ったんですが。今日の新聞を開くと「女性を蔑視したと受け取れる発言」と書いている新聞もありまして。「『受け取れる』じゃなくて『女性蔑視発言だ』となんで書けないのか?」って思うんですが。「森さんっていつもそうだよね。まったく、もう」っていうことじゃなくて、自分の意見を持って厳しく追求してくれよと、澤田大樹記者に触発されながら思いました。

すいません。話が長くなりましたけれども。これは男だからでも、女だからでもなく、僕個人として話が長くなっただけでございます。

<書き起こしおわり>

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