武田砂鉄さんが2020年3月6日放送のTBSラジオ『ACTION』の中で新型コロナウィルスの影響で仕事の機会を失うフリーランスの人々への補償について話していました。
(武田砂鉄)まあでももう番組が始まって1年ですよ。僕なんか去年、いつぐらいに記者会見をやったんだっけな?って振り返ってみたら、まあ3月19日とか20日とか、そのあたりだったんですよ。で、なんでその時期になったのか? やたらとこの番組の発表をするのが遅かったじゃないかって思われた方もいらっしゃるかもしれないですけど。あれ、冷静に考えたらたぶん僕のせいだと思うんですよね。
(幸坂理加)えっ?
(武田砂鉄)あれ、2週間ぐらい僕、台湾に旅行に行ってたんですよ。たぶんその18日までとか。だから2週間、なんとなくこの5人の並び。そして幸坂さんを含めたら、合わせるのが大変なのってあの前半のミュージシャンとか脚本家の方たちで、後半の木・金の人は合わせられるだろうっていうタイプだと思うんですけど。実は僕が2週間、台湾に行ってたがあまりに3月の半ば、後半に差し掛かる時期になったんじゃないかな?っていうことに今、気づきました。
(幸坂理加)あら。
(武田砂鉄)で、毎年台湾に行ってるんですよ。割と妻が好きなもんで、2週間ぐらい行ってるので。実は先週の金曜日終わりで行って、今日シレッと帰ってこようと思って台湾旅行に行くつもりだったんですけど……まあ例のそのコロナウィルスで。まあ中止、「絶対に来るな」ということにはなってないんですけども今、行くと公共の場への出入りがちょっと禁止されてたりとか。外出時はかならずマスクをしたりとか、朝晩の検温とか。どこへ行ったかのチェックっていうのも台湾政府は日本人に求めてるってことで。まあなんか台湾の方たち、本当にいい人たちが多いので。であるからこそ、あんまり今は行きづらいなっていう風に思って。また機会を改めようと思ったんですけどね。
(幸坂理加)はい。
『ACTION』パーソナリティーは全員フリーランス
(武田砂鉄)でも今週、頭から『ACTION』を聞いてると、曜日ごとのパーソナリティー5人プラスそして幸坂さん。全員やっぱりフリーランスなんで。そのね、フリーランスの痛みというか。クドカンさんはやっぱり演劇っていうのはね、その場でできなくなったらばそのキャストを集めることができないから、それはなかなか悔しい、苦しいっておっしゃっていたし。
(幸坂理加)舞台は大変みたいですね。
(武田砂鉄)尾崎世界観さんはライブが一部延期になったり。あとこれからのライブがどうなるかも分からないっていうことで、すごく悔しい思いされてましたけど。
(武田砂鉄)まあ僕もね、規模は小さいですけども何本かトークイベントとか、そういうシンポジウムみたいなものの予定があって。5月にね、そういう地方でやるなんていうイベントもどうなるかな?っていう状況に今、あるんですけども。そうするとやっぱり大きなそういうライブイベントとかとはまたちょっと違うけれど。でも確実に本来、自分が得られるはずだったお金っていうのが得られなくなってるわけだけど。でもフリーランスって本当に誰も補償をしてくれないので。それをどこに訴えるでもないという状況に今、なっているわけですけども。
(幸坂理加)ねえ。
学校の一斉休校の影響
(武田砂鉄)まあ本当に今週頭からね、その小中高の学校の一斉休校が始まりましたけれども。本当にさまざまな働き方をしてる人たちがいる中で、それがどこまでフォローができてるのかな?っていうのは本当に疑問に思うし。それで本当にパニックになってしまうてる様子っていうのも、ちょこちょこいろんなところで報じられてはいますけれども。先週ね、安倍さんが土曜日でしたか。会見を開いて。「働きながら子育てをしてる人たちに対していろんな補助します」という。
どういう風におっしゃったかというと、「私が決断した以上、私の責任においてさまざまな活動に万全の対策を取る決意だ。2700億円を超える今年度予備費を活用して第二弾となる緊急対策を今後10日程度のうちに速やかに取りまとめます」という。「10日程度か……」と。まああの会見の2日後から、実際に子育てをされている方はもう学校の休校が始まるわけだけども、具体的な対策は10日後になるという。
それでその後、助成金のプランなんかが出てきて。これは「働いてる方。正社員、非正規社員、あるいはパートさんに対して最大で1日に8330円を上限に助成をする」っていう。だけども、そこにフリーランス……我々はですね、対象外になるという。これまで、いろんないわゆる「働き方改革」だけではなく、「多様な働き方を認めよう」っていうことで。いわゆるフリーランスをどうやって社会に増やしていくか?っていうようなこともいろいろとおっしゃっていたとも思うんですけども。
(幸坂理加)はい。
これまでフリーランス活用を謳ってきた
フリーランス環境整備も… 未来投資会議 https://t.co/YEUAf6wiVR #日テレNEWS24 #ntv
— 日テレNEWS (@news24ntv) December 19, 2019
フリーランス働きやすく 「サポカー」限定免許も創設―新成長戦略 https://t.co/T5tTp3Xaqn
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) December 19, 2019
安倍晋三首相は4日の衆院予算委員会で、飲食宅配代行サービスの配達員など企業・団体に属さず働くフリーランスの権利保護について「多様で柔軟な働き方を後押しする政府としても取り組んでいくべき課題だ」と強調しました。
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) February 4, 2020
(武田砂鉄)そのフリーランスというものに対してはどうなるのか?っていうと、現状では政府系金融機関による低利融資。「補償ではなくて融資をします」っていうことになっているんですね。これ、3日の予算委員会で共産党の小池さんが安倍さんに「サラリーマンの親には全額助成をする。その一方でフリーランスや個人事業主には貸付をするというのはおかしくないですか?」っていう風に聞いたらですね、安倍さんは「事業主に対しては経営が成り立つように資金繰り等について支援をしていく。被用者については企業等に有給休暇等を取ることを促すとともに小中小規模事業者の皆さんについてもそこの被用者の給与の減少を給付という形を含めて対応していきたい」という風におっしゃっていてですね。これ、フリーランスに対する答えではないんですね。
(幸坂理加)そうですね。
フリーランスへは給付ではなく融資
(武田砂鉄)それで小池さんは「あの、フリーランスっていうものがあまりよく分かってないんじゃないですか?」っていうなことをちょっと皮肉ったんですけれども。たしかにその時に小池さんは「たとえば劇作家であるとか劇団員とか、音楽家とか。そういう方々がコンサートとかが中止になってしまっているんですよ」ということをおっしゃって会話を続けていたんですけども。
なんかはその、僕たちが今、こういう事態になって街に出てみると想像だけど「なんか大変な思いをしてるんだろうな」とか「こういう人たちはきっと大変だうな」とか。「年配の人たちは外に出にくくなってるんだろうな」っていう風にいろいろと頭で想像したりするわけですけど。なんか政治家の皆さんはあんまり日頃、街に出ていろんな人とあまり話をしてないじゃないかな?っていう風にどうしても思ってしまう場面が国会中継とかを見ているとあるんですよね。
たとえばその、僕が朝ゴミ捨てに出かけるだけでも仕事に向かう人がいたり、幼稚園のバスを待ってる人がいたり、保育園にお子さんを乗せて自転車を走らせる人がいたり。あるいは夜勤明けなのか、マンションに戻ってくる人がいたり。あるいは散歩してるお爺ちゃん、お婆ちゃんがいたりとかっていうような、「こういう暮らしのバリエーションがたくさんあるぞ」っていうのは割と一瞬で頭に入ってくるですけれども。
(幸坂理加)そうですね。
様々な暮らしのバリエーション
(武田砂鉄)なんか今回のその一斉休校はどうやら安倍さんはあまり専門家に意見を聞かず、ご自分とご自分の周りで決められたようなんですけれども。なんかその頭の中にはですね、「お父さんが会社で働いて、お母さんが家にいて、近くにお爺ちゃん、お婆ちゃんがいる」っていうような、そのいわゆる頭の中にある「理想の家族像」みたいなものばかりが存在してるんじゃないかな?っていう気がするんですよね。
それで問題発言として話題になりましたけれども。自民党の松川るい議員が「高齢者は歩かない」っていうヤシを飛ばして問題になりましたけれども。街を歩いていればですね、高齢者が歩いてるってことは普通、わかると思うんですけれども。なんかそういう、ちょっとこうとんちんかんな言葉が出てくるっていうのは「この人たち、もしかしたらあんまり世の中を知らないじゃないかな?」というか。
「街でどういうことが起きてるのか、あまり知らないんじゃないかな?」と思って。今回のこのコロナウィルスっていうのはたしかに未知の部分がありますけれども。それはたしかにそうなんですけれども。でも、「いろんな働き方をしてる人がいるぞ」っていうのはこれは未知ではなくて確実に知っていたはずなんですよね。だから本当にそれは僕もフリーランスなんで。周りにその子育てしているフリーランスの方たちもいっぱいいて。すごく困ってる様子がこれはもう直に伝わってくるので。本当にその「いろんな働き方があるんだぞ」っていうことをもっと念頭に置いていただいていろんなことを考えてほしいなっていう風に思いましたですね。
<書き起こしおわり>