TBSラジオ・澤田記者 森喜朗・女性差別発言謝罪会見での質問を語る

TBSラジオ・澤田記者 森喜朗・女性差別発言謝罪会見での質問を語る 荻上チキSession22

TBSラジオの澤田大樹記者が2021年2月4日放送のTBSラジオ『荻上チキSession』の中で「女性がいると時間がかかる」と女性発言をした森喜朗氏の謝罪会見での自身の質問について、荻上チキさんと話していました。

(南部広美)まずはこちらのニュースからです。「女性がいると時間がかかる」。森喜郎会長が女性をめぐる発言を釈明・撤回。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長がJOC(日本オリンピック委員会)の評議会で「女性理事を選ぶというのは陸連・文科省がうるさく言うんです。女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などと発言した問題で森会長は先ほど会見を開き、発言を撤回しました。

森会長は冒頭、「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だった。深く反省したい」と述べたうえで、辞任は否定。その後、記者質問に移ると「聞こえづらい」との理由で記者にマスクを外させ、さらに「会長職が適任なのか」を問われると、記者に逆質問するなど次第に不快感をあらわにし、会見はわずか20分ほどで終わりました。

(荻上チキ)それでは先ほど、会長の森喜朗氏の会見について取材したTBSラジオの澤田大樹記者につなぎます。澤田さん、こんにちは。

(澤田大樹)こんにちは。よろしくお願いします。

(荻上チキ)さて、今日の森会長の会見。そこに至るスケジュールを簡単にお願いします。

(澤田大樹)昨日、発言があって。午前中の段階で毎日新聞だったと思いますけれども。辞任をほのめかすような発言に毎日新聞の取材に対してしているというのがあって。ちょっとざわつくう話が報道の中であって。そうしたら、昼前ぐらいですかね。「午後2時から会見をする」というような話が報じられまして。それで会見場に行ったということですね。

(荻上チキ)なるほど。今回、会見の仕切りや条件というのはどうだったんですか?

(澤田大樹)「1社1人」という制限がついたことと、あと「現場に入れなかった場合はWEBで質問ができます」というようなルールで行われたということですね。で、現場に行ってみたら、「会見」と聞いてたんですけども、「囲み取材」という風になっていまして。椅子とかがなかったんですね。で、椅子がない時点で「ああ、これは早く終わらせたいんだな」っていうことがよくわかって。「早く質問しなきゃな」と思いながら囲み取材に臨んだということですね。

(荻上チキ)囲み取材だと、すたこらすたこらと去ることができますもんね。会見の主体が。

(澤田大樹)そうですね。で、森さんはご高齢ということで、座ってやらないということは早く終わらせたいんだろうなという風に伝わってきますよね。

(荻上チキ)会場の雰囲気や集まっている記者の状態はどうだったんですか?

(澤田大樹)そうですね。東京オリンピックを取材している記者たち……都庁関係の記者がたぶん多いと思うんですけれど。それと、それ以外の私のような都庁の記者クラブには入ってないフリーの人とか、そういう人たちがいたという感じで。ものすごく数がいたかというと、そうでもなくて。海外メディアもちょこちょこいたという感じでした。

(荻上チキ)なるほど。入ってきた森会長の雰囲気・態度はいかがですか?

(澤田大樹)雰囲気はあのままというか。いつも通りの森さんという感じで。ゆっくり入ってこられて。手元の紙を見ながら発言されたということですね。

(荻上チキ)なるほど。それでは森会長の冒頭発言をお聞きください。

森会長の冒頭発言

<会見音源スタート>

(森喜朗)昨日のJOC評議会での発言につきましては、オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったと、このように認識をいたしております。そのために、まず深く反省をしております。そして、発言をいたしました件につきましては、撤回をしたい。それから不愉快な思いをされた皆様にはお詫びを申し上げたい。以上であります。

あの、オリンピック・パラリンピックにおきましても、男女平等が明確に謳われております。アスリートも運営スタッフも多くの女性が活躍しておりまして、大変感謝をいたしています。まあ私は、私どもの審議会のことを申し上げたわけじゃないことは皆さんもご承知だと思いますので。まあ、この組織委員会についてはまず非常に円満に、うまく行ってるっていうことも注釈でも、あの挨拶の中で申し上げたことも聞いておられたと思います。

<会見音源おわり>

(荻上チキ)はい。森喜朗会長の冒頭発言を聞いていただきましたけれども。この部分が澤田さん、原稿を読みながら謝罪をしていたということですか?

(澤田大樹)完全に手元の原稿を読んでしゃべってますね。

(荻上チキ)なるほど。その後、記者とのやり取りということですけれども。その雰囲気はまず、どうだったんですか?

(澤田大樹)冒頭、幹事社から質問があって。すいません。社名は忘れちゃったんですけども。その後、たぶん都庁クラブの記者と思われる……顔見知りの記者が多かったようですけれども。挨拶をするような仕草もありましたけれども。その後があって。そこからフリーというか、都庁記者クラブ外の記者からの質問が立て続けに4問ぐらいあったということですね。

(荻上チキ)なるほど。今回の幹事社は日テレということでした。その中で澤田さんも質問できたということで。まずはその音声をお聞きください。

澤田大樹記者 質問音源

<会見音源スタート>

(澤田大樹)TBSラジオの澤田と申します。いくつか伺わせてください。

(森喜朗)「いくつか」じゃなくてひとつにしてください。

(澤田大樹)冒頭、「誤解を招く表現」とか、あとは「不適切だった」ということは発言があったんですが。どこがどう、不適切だと会長としてはお考えなんでしょうか?

(森喜朗)はい、ええ、男女の区別をするような発言をしたということですね。

(澤田大樹)それは「オリンピック精神に反する」という話もされてましたけれども。そういった方が組織委員会の会長をされることは適任なんでしょうか?

(森喜朗)さあ? あなたはどうどう思いますか?

(澤田大樹)私は適任じゃないと思うのですが。

(森喜朗)それじゃあ、そういう風に承っておきます。

(澤田大樹)それで、あと先ほど「会長としての発言ではないので責任が問われない」というような趣旨のことも……。

(森喜朗)「責任が問われない」とは言っていませんよ。場所をわきまえてちゃんと話したつもりです。はい。

(澤田大樹)「組織としての場じゃないから、あの発言はよかった」ということなんですか?

(森喜朗)いや、そういうことじゃありませんよ。だから「組織委員会はとてもよかった」って私は言ってるんですよ。ちゃんとみんな全部、全部見てから質問してください。昨日の。

(澤田大樹)あと「わきまえる」という表現を使われてましたけれども、「『女性は発言を控える立場だ』という認識だ」ということですか?

(森喜朗)そういうことでもありません。

(澤田大樹)じゃあなぜ、ああいう発言になったんですか?

(森喜朗)場所だとか時間だとかテーマだとか、そういうものにやっぱり合わせて話していくということが大事なんじゃないですか? そうしないと会議は前に進まないんじゃないですか?

(澤田大樹)それは「女性」と限る必要はあったんですか?

(森喜朗)だから「私も含めて」って言ったじゃないですか。

(澤田大樹)あと、その前段の段階で「私が端を言います」という風にも仰ってましたけども……。

(森喜朗)そういう話はもう……。

(司会)すいません。冒頭、発言の内容に関しては明示的に会長から説明があったという風に……。

(森喜朗)面白おかしくしたいから聞いてるんだろ? ねえ。

(澤田大樹)いや、なにを問題と思っているのかを聞きたいから、聞いているのです。

(森喜朗)だからさっきから話している通りです。

(司会)はい。じゃあこちらの方。最後の質問とさせていただきます。

(質問者)今回の発言で皆さん、怒ってるですね。

(森喜朗)そう?

(質問者)五輪を運営するトップの方がこういう女性を尊重しない、そういった発言をしていることに怒っています。「森さんの五輪を見たくない」という声もネットだったりで上がってます。そういう声をどういう風に受け止めますか?

(森喜朗)いや、もうだから謙虚に受け止めております。だから、撤回をさせていただきますと言っているんです。

(質問者)はい。すいません。発言に関してはもう既に冒頭、会長から申し上げた通りとなります。ええと、以上でえ記者会見の方を終了とさせていただきます。ありがとうございました。

(森喜朗)はい、どうも。


<会見音源終了>

(荻上チキ)というわけで、会見の最後の部分に当たるやり取りを聞いていただきました。まず澤田記者のやり取りでしたけれども、質問の意図とその答えについて、どうお感じになりましたか?

(澤田大樹)まあ質問についてはですね、実はチキさんと一緒に事前に「こういうことを聞いていこう」というような打ち合わせをしていったところもあって。私自身が聞きたかったことも当然あってっていう感じで聞きました。で、冒頭のところで「不適切だった」っていうことは言うんだけれども、「何が不適切だったか」っていうのはこの会見の中では一切、言わなかったんですね。

「何が不適切だったか」を一切言わない

(澤田大樹)だから「なにを問題視して今回、発言を撤回して謝っているのか?」っていうのがまるでわからなかった。で、どこが問題だったのかを聞きたかったというのがあって、それを聞いたんですけども、まあ、ちゃんと答えていないということですね。で、「冒頭に言いました」っていう風に司会の人がいうんだけれども。でも、それを言っていないからこっちは聞いているわけで。

(荻上チキ)あれ、司会は誰ですか?

(澤田大樹)司会はたぶん組織委員会のメンバーじゃないですかね? ちょっと確認をしなかったんですが。

(荻上チキ)なんかイエスマンばかりだなという雰囲気が出てしまいますよね。

(澤田大樹)で、だからその話をしたということですね。

(荻上チキ)なるほど。他のやり取りの中で印象的な場面。あるいは、その森会長が色をなして逆質問をするような場面もありましたけども。その対応を見ていていかがでしたか?

(澤田大樹)基本的には謝る気はなくて。謝らさせられている場であるということなんだなという風に感じました。で、私のやり取りの前に「昨日は組織委員会の会長として行った場ではないんだ。JOCの名誉委員として挨拶をしているんだから」みたいなことを仰っていて。「だから組織委員会の会長としての責任は問われないのだ」という趣旨と受け取れる発言をしていたんですね。でも、そんな無茶苦茶な話はあるか?っていう風に途中で思ったところもあって。そこを重ねてさっき聞いていたということですね。

(荻上チキ)そうですね。まあ、会見を開く側は「1人1問」という風にしたいということですけれども。それは記者たちにとってはルールでもマナーでもないということなので。むしろ「質問をする」ということが重要だと思いますが。今回、結局は「辞任しない」ということで。今回の謝罪会見になるもので終わりにしたい、幕引きを図りたいということですか?

(澤田大樹)まあ、そういうつもりだと思いますが。ただ、実際たぶんこの後も国会……今、予算委員会をやってますけれども。この後、野党側からその発言についての追求が行われると思います。で、やはりあの発言自体が持つ意味をなかなか……国会の政治家、あるいは官邸でもいいんですけれども。なかなかわかっていないんじゃないかな、というような発言がこの間、聞こえてきていて。「あの発言では辞める必要はない」というような趣旨の話を言う幹部もいるんですね。ただ、やはりこれは非常に大事な問題だなと思っていて。ここは厳しく見ていきたいなという風に思います。

(荻上チキ)そうですね。加藤官房長官も「政府としてはコメントを差し控える」という反応だったので。「差し控える」ということはそれは「黙認・追従」してしまうという、そういうような意識がまだ政府の中には……ちょっと危機意識がないですね。

(澤田大樹)国内に対してもそうですし、海外に対してもかなり誤ったメッセージが送られ続けることになるなという風に思います。

(荻上チキ)なるほど。今後、どうでしょう? 組織委員会の中の方から、たとえば更迭論であるとか、そうしたようなもの求める動きというのは、どうでしょうか?

(澤田大樹)私自身がなかなか組織委員会を日頃、取材してないというところがあって。そこについてはちょっと継続的に見ていこうと思います。

(荻上チキ)でも国会の方では既に野党を中心に更迭論が出てますよね。

(澤田大樹)そうですね。先ほど、枝野さんが「もう首を変えた方がいい」ということを総理に迫っていましたね。

(荻上チキ)なるほど。わかりました。澤田さん、ありがとうございました。

(澤田大樹)はい。失礼しました。

(南部広美)ありがとうございました。

(荻上チキ)TBSラジオ国会担当、澤田大樹記者でした。4時台冒頭にはジェンダー問題について詳しいジャーナリストの治部れんげさんにこの話の根本的な問題について伺いたいと思います。

治部れんげと荻上チキ 森喜朗・女性差別発言の問題点を語る
治部れんげさんが2021年2月4日放送のTBSラジオ『荻上チキSession』の中で「女性がいると時間がかかる」と女性発言をした森喜朗氏についてトーク。その発言の問題点を話していました。

(荻上チキ)あと、こういった記者会見の場。今回、「会見」と呼べるかどうかというのは別として。会見を開く側というのはなるべくダメージなく乗り切りたい。その時に、司会なるものを立てて冒頭で「1人1問でお願いします」とか「1社1人でお願いします」という風に制限しようとするんですね。

そうしたような動きに対して「1人1問と言ってるだろ!」って記者に対して乗っかって批判する人がいるんだけども、これは間違いですからね。そういった誤ったルールとかガイドラインみたいなものがあるかのようにふるまってしまうと、結果として様々な知る権利を制約するということに繋がってしまう。そうしたことも含めて、今回はその性差別の問題でしたけれども。記者会見・メディア対応というものが日本がいかに、どういったところで間違っているのかということも浮き彫りにしてしまう場面でした。引き続き取り上げます。

<書き起こしおわり>

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