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相澤冬樹 週刊文春「財務省・近畿財務局職員手記」記事を語る

相澤冬樹 週刊文春「財務省・近畿財務局職員手記」記事を語る 荻上チキSession22
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相澤冬樹さんが2020年3月18日放送のTBSラジオ『荻上チキSession-22』に電話出演。自身が手がけ、週刊文春に掲載された財務省・近畿財務局職員の手記の記事について荻上チキさんに話していました。

(南部広美)では、今夜はこちらのニュースからです。「森友問題で自殺した近畿財務局職員の妻、国などを提訴。学校法人森友学園への国有地売却問題をめぐり自殺した近畿財務局の職員の妻が今日、改ざんの指示があったことなどが記された職員の手記を公表した上で、国と佐川宣寿元国税庁長官に対して損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしました。妻は『職員が当時、財務省の理財局長だった佐川氏の指示で決裁文書から安倍総理大臣の妻、昭恵夫人らの関与を示す部分の削除など、改ざんを強制され、自殺に追い込まれた』と主張。国と佐川氏にあわせておよそ1億1000万円の損害賠償を求めています。

こうした中、立憲民主、国民民主、共産、社民の野党四党は手記の内容が明るみとなったことを受け、会談。検証チームの発足を決定しました。一方、菅官房長官は衆議院内閣委員会で『文書改ざん等の一連の問題は財務省で一昨年6月に調査結果を公表し、関与した職員には厳正な処分が行われた』と主張。また財務省幹部も『新たな事実が見つかっていない』として再調査を否定しました」。

(荻上チキ)総理もぶら下がりの会見の時に「徹底調査をして事実を明らかにした」というような趣旨のことを言ってたんですが。あれで「徹底した調査」だとするならば、今の政府には調査能力がないんじゃないかな?っていう気がします。さて、この近畿財務局職員の遺族が手記を公表。国を提訴というニュースで3月26日発売分の週刊文春でその手記の全文をスクープという、こちらの記事を執筆した元NHKで現大阪日日新聞記者の相澤冬樹さんにお電話でお話をうかがいます。相澤さん、こんばんは。

(相澤冬樹)こんばんは。よろしくお願いします。

(南部広美)お願いいたします。

(荻上チキ)まずそもそも、相澤さんはどういった経緯でこの森友学園問題の取材に関わられているでしょうか?

森友学園問題取材のきっかけ

(相澤冬樹)はい。3年前にこの森友問題が発覚した時に、私はNHKの大阪放送局で記者をしておりまして。裁判所の中で取材をする司法担当記者だったんですね。で、この森友問題の発覚っていうのは実は土地取引、国有地の取引の金額がここだけ公表がなかったということで。

(荻上チキ)黒塗りだったという?

(相澤冬樹)「黒塗り」というか、もう一切公表されなかった。それに対して「おかしい」ということで、地元豊中市の市会議員が裁判を起こしたのがきっかけだったんですね。

(荻上チキ)ああ、元々の、一番最初の経緯ですね。

(相澤冬樹)で、私はその裁判所の記者クラブでその記者会見を見て、「ああ、こういう問題があるのか。たしかにここだけ土地の値段が公表されないというのはおかしいな?」とは思ってたんですけどもね。その中でこの土地に建つ小学校の名誉校長が安倍昭恵さんだっていう風に名前が出てきたんで、「えっ? 首相夫人が名誉校長をやっている小学校の土地がそこだけ金額は明らかにならないのは何かがおかしいぞ?」っていう風に、まあ普通の人だったら思うと思うんですけども。それでそこから取材を始めたというわけです。

(荻上チキ)なるほど。その後、NHKを退局されていますよね? さまざまな森友学園問題というものの報道の点で難しい点もあったということですか?

(相澤冬樹)その森友の取材をずっとやってましたけども。まあ何度かその核心に迫る情報も世に問うたのですが、結局私は記者を外されるということになりましたので、記者を外されるのであれば私の方がNHKから外れて行こうと思ったということです。

(荻上チキ)それ以降もこうして森友学園問題の取材などを続けていらっしゃるわけですけれども。今回の記事を書くに至った発端を教えてください。

(相澤冬樹)はい。私がNHKを辞めたのが2年前の8月ですけれども。その年の11月にこの自殺をした近畿財務局の職員の方の奥さん、妻がメールで連絡をくれまして。「お会いしたい」という話だったんです。で、まあ「取材が前提ではない」ということはおっしゃっていて。「私はマスコミと職場が怖い」という風にもおっしゃっていて。「職場」っていうのは近畿財務局のことですね。で、「これはたぶんすぐには大きな取材にはならないだろう」という風に思いながらお会いしに行ったんですけど。

そしたら実際にはもういきなり、その今日、公表された手記。それを見せていただいて。「これ、見たいですよ?」「ものすごく見たいです」っていうことで見たんですけども。そうしたら、今回皆さんが目にしているような事実が綴られていたので。「これは大変なことが書かれているな」と。ただ、その段階ではこれを公表するということについては「これは公表はしません。一切、出さないでほしい」ということで。「書かれたら私は死にます」とまで言われたので。私はその時の目を見ていて「この方は本当にそうなったら死ぬんだろうな」と思ったので、その段階では出せなかったということです。

(荻上チキ)はい。今回、記事に書くことができるようになったのはどうしてなのでしょうか?

(相澤冬樹)それから1年4ヶ月が経つ中で、奥さんの気持ちがだんだん変わっていったという。大きいのはやっぱりその近畿財務局とか財務省との距離感ですね。最初はやっぱり夫の職場だし、彼女自身も知り合いがいるんで。やっぱりすごく親近感があったんですよ。で、「この手記を表に出せば近畿財務局の人たちが迷惑をするだろう」と思って、それを世に出すのはためらったっていうことがあるんですよね。

職員が手記を残した意味

ただ一方で、「夫がこれを書き残したということは、明らかにこれは世に出したかったんだろう。『本当の真相はこうなんだよ』っていうことを彼は出した買ったんだろう。だからこれを出した方がいいんじゃないか?」っていう気持ちもあってですね。出したい気持ちと出したくない気持ちで揺れていたという。で、それがずっと時間が経つ中で、彼女の中で「結局、夫は何で死ななきゃいけなかったのか? その真相を知りたい」と。知りたいから財務局の人に話を聞こうとしてもなかなか会ってくれなくなってきたんですよ。

そして佐川さんには2回、手紙を送って。「お会いして話を聞きたい」と伝えたけど、結局来てくれない。来てくれないどころか、一切返事もないという状態なので。これはもう、「自分は結局財務省、財務局から切り捨てられたんだな」って気持ちが出てきて。それで「本当のことを知るには裁判を起こすしかないんだな。だったらこの夫が書き残した手記は貴重な証拠になるし、皆さんにも見てもらおう」ということで公表をしたということです。

(荻上チキ)なるほど。財務省の職員から、たとえば「麻生大臣が『墓参りをしたい』という風に言ってるが……」という問い合わせがあり、「来てほしい」と言ったにも関わらず、一方的にそれを「マスコミ対応が大変だから断る」ということで切られたという話など、いろいろ不信感が募るようなエピソードも書かれていましたよね。

(相澤冬樹)はい、そうですね。

(荻上チキ)今回、その手記の中身なんですけれども、手記の中身で重要だと思う点、いかがでしょうか?

手記の中で重要なポイント

(相澤冬樹)まずひとつは「改ざんについて、全て理財局長だった佐川さんの指示だ」と明言をしているところですね。そういう風にきちんと明言しているものはこれまで出ていてないです。それから、財務省の調査報告書っていうのは基本的に名前が出てこないんですよ。誰がどう舌っていうのは。この手記は全部、実名が出ています。その実名で「ああ、この人がこんな風に関与したのか」ってわかることがいろいろあるわけですよ。たとえば当時、理財局の総務課長だった中村稔さんが現場が一転して「改ざんなんかできない」って言ってきたのに対して電話で「やれ」と押し返しているわけですよね。

そういう風なことがわかる。だから基本的にその時、誰が何をやったのか?っていうことがわかる。たとえばその近畿財務局長だった美並さんは結局、本省から「改ざんをしろ」と言われた時、「私が全責任を負う」という風に言って改ざんをやらせているんですよね。ところが結局、彼はじゃあどういう風に責任を取ったんだろうか?っていと、今は彼、東京国税局長をやっています。だから、出世をしているんですよね。これで本当に責任を取ったことになるのか?っていうことですけども。でも、いずれにせよ大事なことはこれは中で実際に何が起きていたのか?っていうことをはじめて明らかにしたということに意義があると思います。

(荻上チキ)そうですね。まあ文書改ざんの経緯、あるいは野党や会計検査院などに対して情報を出すことに非常に消極的であった様子というのも書かれていますよね?

(相澤冬樹)はい、そうですね。

(荻上チキ)こういったことが書かれているということは、今日の国会でもやり取りがあったんですけども。財務省やそれからの与党側、そして政府側は「今回の手記には新しい情報はないよ。今まで出していた財務省の報告書と一緒だよ」というような趣旨のことを言っていたんですが。その答弁についてはどうお感じになりましたか?

(相澤冬樹)「あからさまにはっきりと矛盾するところがない」というのはたしかにそうだと思運ですよ。だけど細部が書かれていますから。その細部が見えてくると、より具体的に一体、誰が何をやったのか?っていうのがわかってきますよね。そこがまず大きな違いだというのが一点、あります。それと何よりも遺族が……「改ざん」という不正行為によって命を落とした職員の遺族がね、「あの調査報告書では納得できない」と言ってるわけですよ。

「あの調査報告書では納得できない」

納得ができたら裁判を起こす必要はないですからね。納得できないという。職員の説明というものもちゃんとしてくれない。遺族が「これは納得ができない」という風に言って裁判を起こしたことに対して今日、いきなり提訴をしたその日に「再調査はしない」と言っていますよね? それはね、もうほとんど遺族の訴えを踏みにじる行為だと思うんですよ。遺族のが「どうしても知りたい」と言っているのに、それに対して「調べません」と答えてるわけですからね。「あの調査報告書で十分でしょう?」って彼らは言いたいわけで。

(荻上チキ)「もうやりたくありません」ということですよね。

(相澤冬樹)でも、「調査報告書でもう十分でしょう?」っていうことをたとえば普通の国民に対して言うのとですね、当事者である遺族に対して言うのは意味が違いますよね? 遺族が「これではわからない。これでは足りないから、ちゃんと調べてください」と言ってるのに「調べません」って言うのは……というか、彼女はそういう風に踏みにじられるようなことをいっぱい味わって、それで裁判を起こしているわけです。裁判を起こして、それでまたいきなりその日に踏みにじられているわけですね。果たしてこの状況を見て、普通の国民の皆さんがどういう風に思うのだろうか? それでいいのか?っていうことだと思います。

(荻上チキ)手記の内容、それからルポの内容で気になった点、他のところでひとつ。手記の方でまず「パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです」と書かれています。それから、ルポの方で今回の職員のパートナーの方。その方の目の前で財務省職員の方が「彼を殺したのは朝日新聞だ」っていう風にメディアのせいにしたという。でも、そのパートナーの方は「殺したのは財務省でしょう?」とちょっと冷ややかに見ていたという、そういったような発言があり、このあたりがちょっと気になったんですが。まず、一点目。パワハラの問題が今回、その手記によって告発されたっていう事案にもなると思うので。やはり労働環境問題としてまた別の調査が必要な事案だなという風にも思ったんですが。このあたりはいかがでしょうか?

(相澤冬樹)まあ、そういう見方ももちろんできると思いますけども。ただ、基本的に「遺族がどういう風に考えてるか?」っていう視点で言うと……もちろんパワハラということがこういう不正行為を生んだという側面もあると思いますから、そこは調べた方がいいでしょうけども。いずれにせよ、そのパワハラも含めて彼女としては全体的に真相の解明をきちんとしてほしいという風に思っているということですね。

(荻上チキ)はい。「財務省に殺された」という風に感じていらっしゃるということですよね?

(相澤冬樹)はい。

(荻上チキ)今日、遺族側が会見を行ないましたが、その訴えの内容というのはいかがでしょうか?

「裁判の目的は真相を解明すること」

(相澤冬樹)やっぱり象徴的なのはですね、訴状の冒頭で「この裁判の目的は真相を解明することだ」っていう風に言ってることです。つまり、一応前の今の裁判というものはお金を請求する格好にしないと裁判を起こすことができないので損害賠償請求になってますけども。現実にはお金がほしいわけじゃないわけですよ。真相を知りたい。だからそのためにまず損害賠償を求めて、その損害賠償の責任があるのか、ないのかを争う過程で真相を究明していきたい。「本当は何があったのか?」ということを解明していきたいというのが大きな狙いだということを明記しているのが大きいと思います。

(荻上チキ)なるほど。そうした裁判の行方と、それから野党も検証チームを再度発足させましたけども。国会追求の動き、いろんな動きがありますが、相澤さん注目の今後の動きはいかがでしょうか?

(相澤冬樹)私はですね、今日の記者会見で弁護士さんが手記に出ている実名で書かれている人……佐川さんをはじめ、それらの人を全員、証人申請するっていう風に言ったんですよ。佐川もそうだし、美並さん、中村さん、その他いろんな人の名前が出ていますけども全員、証人申請をする。で、そうするとこれは裁判所がまずそれを認めるかどうか?っていうのがひとつのポイントですし。

次にあの認めたとして、じゃあ本人が出てくるのかどうか。次に出てきたとして、何をしゃべるのか。結局、真相究明につなげたいわけですから。これが僕は今、ものすごく大事だと思っています。中でもやっぱり佐川さんについては遺族の方は今日の提訴にあたってのコメントを弁護士さんが代読されていましたけども。「佐川さん、本当のことを言ってください。お願いします」っていう風に言ってるわけですよ。彼にこれに応えるという気持ちが少しでもわいてくれないかなということを思っております。

(荻上チキ)はい。総理もよく「説明責任」という言葉を使ったりしているわけですけれども。現状でそれが行政として果たされているとは到底、言えない状況だということなので。そのあたりでしっかりとした反応を期待するということになるわけですか?

(相澤冬樹)はい。

(荻上チキ)わかりました。相澤さん、ありがとうございました。

(相澤冬樹)はい。ありがとうございました。

(荻上チキ)大阪日日新聞の記者で今回、近畿財務局職員の遺族が手記を公表。国を提訴したというニュースを週刊文春でスクープをした記者の相澤冬樹さんにお電話でお話をうかがいました。

<書き起こしおわり>

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