岡部信彦と荻上チキ 新型コロナ専門家会議・議事録未作成を語る

岡部信彦と荻上チキ 新型コロナ専門家会議・議事録未作成を語る 荻上チキSession22

専門家会議メンバーで川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦さんが2020年5月25日放送のTBSラジオ『荻上チキSession-22』に出演。新型コロナウイルス対策を検討してきた政府専門家会議が会議の議事録が作成されていない件について、荻上チキさんと話していました。

(荻上チキ)最後に仕組み的なものを一点。専門家会議の方の議事録がしっかりと取られてないという報道がありまして。それに対して政府側は「匿名だとしても議事録の要旨を出しているからそれで十分だ」という趣旨のことを述べている。それからの「実名で会議録を残さないのは自由闊達な議論を妨げてしまう可能性があるからだ」というような、そうした説明をしているんですが。岡部さんはこの議事録が存在するか否かということについてどうお感じになってますか?

(岡部信彦)これは最初、この委員会ができた時に「議事録を作るんですか?」っていう、それは僕らの発言にも関わりますから。そういう説明を僕らが求めた時に、この仕組みを作るのは国の方ですから。「国の方は議事録は概要を作ってそれを発表します」というような説明だったんですね。まあ、これはその仕組は向こうが作っているのであれですけども。「じゃあ、議事録に対して我々はどう考えるのか?」ということであれば、その専門家会議のメンバーとしては「別に我々の名前を出してもいいですよ」っていうような、それがメンバーの考えですね。

(荻上チキ)なるほど。

メンバーとしては議事録を作成して構わないと考える

(岡部信彦)それはむしろ「こういう意見があった」「こういう意見がありました」っていうだけじゃなくて、その中には専門家会議の中でも議論を戦わせているわけだから。そうすると、それに対して厚み、幅のある意見が……「いや、そうじゃない」「いや、真ん中だ」「左側だ」っていうようなものがありながら、最終的に決めていくわけですよね。だからその時に、私も申し上げましたけれども。「自分が言ってることは自分で責任を取らざるを得ないんだから、それは名前が出てもしょうがないですよね」っていうのが委員としての考えです。ただ、その仕組みというのはこの会議として「名前は出さないで概要を出します」ということだったんですね。

(荻上チキ)ええ。だからこれは今回のような議論というのは「差分」が必要で。「誰がどういった意見を言って、最終的にどうまとまったのか?」という専門家会議の意見の変遷と、それからそこでまとまった専門家会議と判断と政府の判断にどんな違いが出るのか?っていうことを見比べることが検証の上では必要だと思うんですが。

(岡部信彦)はい。

(荻上チキ)岡部さん、専門家会議のメンバーとして、どうでしょう? 「議事録を残した方がいい」という風に政府に言う機会はないんでしょうか?

(岡部信彦)我々はそういうことに対しては「いいですよ」と言っているわけですよ。ただ、その仕組みがそうなっているので今のところは「概要」ということでの発表になっていると思うんですけどね。ただ、その後の議事録では「誰が言った」というような議事録の確認は求められていますね。

(荻上チキ)ああ、求められているんですね? ちょっとここで国会の仕組みなど含めて澤田さん。

(澤田大樹)はい。澤田と申します。よろしくお願いいたします。

(岡部信彦)はい。よろしくお願いいたします。

(澤田大樹)今日、尾身先生が会見の中で中間評価の必要性について質問を受けて。「専門家会議としては出したい」というような趣旨の発言をされてました。その後、西村大臣と一緒にやった会見の中でもそのお話が出てまして。その点について岡部先生はいかがお考えですか?

中間評価の必要性

(岡部信彦)2009年のパンデミックが起きた時も、それに対する反省会ではないですけども。総括会議というのをやってるんですよね。この場合も専門家会議の検証するのか、政府のやり方の検証するのか、そこはいろいろやり方があると思うんですけれども。いずれにせよ、検証を……僕らの立場からすれば、検証を受けざるを得ないですよね。まあ、それが良いか悪いかっていうのは別にしても、これは日本の歴史の中でも大きな出来事だと思うので。そういう事実と、こういうことがありましたというのは、これは我々が自分自身でやる部分もあるかもしれないけれども。むしろ第三者の方から残すという。そのためには(※聞き取れず)が必要だということになると思うんですけど。

(荻上チキ)なるほど。そうした中でたとえば「今は最中なのだから終わった後で検証だよ。今も検証してる場合じゃないよ」という意見も中には出てくるんですけど、それはいかがでしょうか?

(岡部信彦)真っ最中の場合は検証どころじゃなくて。本当に走りながらやっているわけですから。ただ、もしこれがもうちょっと落ち着いたら、それは検証しなきゃいけないと思うし。それから、落ち着いていないのに検証のために僕らが駆り出されて、もう1回そこで時間を使うというのはとてももったいないから。それはできないと思うんですよね。

(荻上チキ)なるほど。「状況に応じて」ということになるわけですね。

(岡部信彦)はい。でも検証は絶対に必要だと思います。

<書き起こしおわり>

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