星野源と荻上チキ「世の中をよくするためにできること」を語る

荻上チキ 好きな味噌汁の具を語る 星野源のオールナイトニッポン

荻上チキさんが2021年9月21日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』にゲスト出演。星野源さんと選挙権の行使以外にも1人1人が世の中をよくするためにできることについて話していました。

(星野源)続いて。こういう質問、僕もしたかったですね。栃木県の方。「世の中が少しでもよくなったらいいなと思うんですが、選挙権を行使しても私の1票では無力だなと感じます。ボランティア活動などはしていますが、私たちが世の中をより変えていくためにできることはどんなことでしょうか。教えてください」。63歳の方。

(荻上チキ)ボランティアをされてるんですね。この方はね。あの、よく「選挙に行っても何も変わらないよ」っておっしゃる方がいると思うんですけど。あの、選挙に行くだけじゃ何も変わらないとは思うんですよ。選挙で変えられるのは、議員さんだけです。「どの議員さんを選ぶのか?」というのを決めるのが選挙で。でも選挙とはそれ以上のことは期待してはいけないんですね。

ただ、それ以上のことをしたいならば、それ以上のいろんな選択肢があることを知るのがいいと思うんですよ。よく、教科書で三権分立の絵とかがあって。立法、司法、行政があって。それの真ん中に国民があって。で、国民は議会に対して投票ができます。司法に対しては弾劾裁判ができますとか。あとは行政に対してはこれが出来ます、みたいな矢印があるんですけど。あれ、少なすぎるんですよ。書かれていることが。

教科書に書いてあることは少なすぎる

(荻上チキ)本当はもっといっぱい、できることがあるのに、まるで投票しかできることがないかのように書いているから。いやいや、もっと陳情とか、署名活動とか、デモとか、メディアを使ってアピールするとか……それこそ、友達とか仲間と集まって集会をやったり、意見交換をするのも立派な政治参加なので。そういったのようなものの蓄積で世の中は変わっていくので。たぶん「世の中を変えられた」という手応えを感じられてないような状況で、「変えられないんだ」っていう無力感を覚えている状況だと、選挙とかもすごくテンションが下がるイベントになってしまうと思うんですけど。

でも、「たしかに変えられる」っていう事実を歴史から学んだり、なにかのアクションにちょっとでも参加して感じられるとまた変わってくるんじゃないかなと思いますね。この方はボランティアをされているので、たぶん他の方よりもそういった社会参画を一生懸命されてる方だと思うので。なんか、その中で手応えをひとつずつ見つけられるといいなと思いますよね。

(星野源)うんうん。なんか、手応えと、あとやれることがいろいろあるんだという事実を知っていくということがとても大事ですよね。ありがとうございます。あと、その中でチキさんがやられてる活動だったりとか、チキラボでやられてることとか。この間も記者会見をやられていましたけども。あれはどんな内容でしたっけ?

(荻上チキ)いろいろと今までやってきてるんですけど。たとえばストーカー規制法の改正というのが今年の6月に行なわれたんですね。でも、それが行われるまで、たとえば勝手にGPSを付けるのって違法ではなかったんです。あとは、意外かもしれないけど手紙をしつこく送りつけるのも今までは違法だと明言されてなかったんです。メールとかは対象にされてたんですけど、そういう法律の穴っていうのはたくさんあるので。その法律の穴を何とかしたいというようなことを被害に遭われた内澤旬子さんという作家の方。

この方がストーカー被害に遭われて相談を受けたので、「じゃあ一緒に調査してロビイングしましょうか」って言って、そのストーカー被害に遭われた方々がどんな被害に遭っているのかという実態を調べ、そのデータを持って国会議員の方々のところに行って。「こんな法改正が必要なんですけど、やってください」っていう風にお願いをしに行って。で、それを国会で議論してもらって、法改正が行われた。で、その都度都度、記者会見などを開いて報道してもらって。「こんな法律の問題があるんだ」ということを世の中に知ってもらう。だから知ってもらいつつ、議員に働きかけつつ、調査をして事実を調べつつ、という。そうした活動を私は今、やっていますね。

(星野源)それがチキラボという名前でやられていて。で、そのいろんな活動がある中で、あれですよね。クラウドファンディングで寄付ができたりとか。今もやられているんでしたっけ?

(荻上チキ)今はそのラボという団体として寄付は受け付けています。あとはその都度その都度、プロジェクトを立ち上げたりするので、それに賛同してくださった方に寄付をいただくという形ですかね。

(星野源)実際、調査も本当にいろんな人が動いたりとか、実際予算がかかるものだったりもするので。だから僕もこっそり寄付させてもらっています。

(荻上チキ)そうなんですよね。ありがとうございます。

(星野源)こっそりじゃないんだけどね(笑)。偽名で……なんとなく友達に送るって、友達にお金を渡しているような感じがしてちょっと気まずくて。「違う名前にしよう」って思って違う名前にして。

(荻上チキ)めっちゃわかります。でも最近、いいことをしたら威張ろうって思っています。

(星野源)ああ、なるほど!

「いいことをしたら、威張ろう」

(荻上チキ)「ちょっと恥ずかしいから」ってやっていくと、寄付している先輩とか、寄付をしている著名人とかが見えにくくなっているので。「売名だ」って言われようがなんだろうが、「いや、君もやった方がいいよ。このぐらいで『売名だ』って言うんだったら、それは簡単に名前が売れるっていうことだから。倍の額、寄付したらどう?」って。そういう風に広げていった方がいいんじゃないかな? ポジティブだと思いますけどね。

(星野源)うんうん。そういう風に寄付するっていうこともなにかに参加することのひとつだったりするし。それが、何かが変わるきっかけに、よい世の中になるきっかけになるかもしれないし。

(荻上チキ)被災地に行って支援ができなくても、たとえば支援をしているNPOに募金をするとか。入管難民法の問題とか、海外の……たとえばミャンマーとかの問題についても、自分はすぐになにかできなくても、そこに対してなにかをしている人を支えるというのは大事な一歩ですよね。

(星野源)なにかをしている人に関して調べるということ。それがその問題そのものを調べることにつながったりもしますし。

(荻上チキ)まったくです。

(星野源)じゃあ、これから威張ろうっていうか、堂々と名前のところに「星野源だ!」って書こうと思います(笑)。「星野源です!」って(笑)。

(荻上チキ)「どや!」って(笑)。

(星野源)それを見たら笑ってください(笑)。

(荻上チキ)はい(笑)。

<書き起こしおわり>

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