荻上チキ 日大アメフト部危険タックル問題 監督・コーチ緊急会見を語る

荻上チキ 日大アメフト部危険タックル問題 監督・コーチ緊急会見を語る 荻上チキSession22

荻上チキさんがTBSラジオ『荻上チキSession-22』の中で日大アメフト部の危険タックル問題、内田元監督・井上コーチらによる緊急会見についてトーク。会見を見た感想や全体的な総括を話していました。

(荻上チキ)アメフトの問題についていくつか短めに言いますけども。先ほど、まだ会見をやっていました。というか、(番組の)放送が始まるまで会見が終わらなかったんですけども。その会見は2時間しか見ていないんですが、それ以上やっていたようなんですけども。でも、2時間見た上での簡単な感想というか全体の総括をするとですね、こんなにまとまりのない会見ははじめてですね。こんなに多くの人が注目をしながら、これだけしっかりと整理されていない会見ははじめてです。驚きました。

かつてないほど整理されていない会見

最初、冒頭に監督とコーチが謝罪をしたんですけど、そこで「すいませんでした」みたいなことを言って、「じゃあ、あとは記者から質問を受け付けます」みたいな形になって、「えっ?」って驚いたんですよ。一連の経緯を少なくとも最低限整理して、それをたとえば時系列的に説明をしていって、そしてその声明文などを配布して……っていうね、そうしたようなことっていうのが、会見で何かを説明する時には行われる。これは別にお作法とかそういったことではなく、少なくとも事実認識をしっかりと確認した上で記者の人に共有するということであれば、そういったことがされると思うんですが。

今回、即座に質問に行ってその質問にも右往左往しながら、狼狽しながら答えていて。しっかりとした的を射た言葉というのが出てこないんですよ。芯を食った質問に対するアンサーが出てこないんですね。で、結局どうもフワフワフワフワした言葉を使いながら遠回しに言っているのは「たしかに厳しい言葉は言ったが『ケガをさせろ』という指示ではなかった。しかし、それを相手が誤解したとすればそれは本当に責任を感じる」というような趣旨の発言をしていたわけですね。これは「責任」という言葉を使いながら、事実上具体的な加害責任を学生に押し付けるというような格好になるわけです。

で、「こうした厳しい言葉を使った背景は?」っていうと、「闘争心とか向上心とか前向きさ、気持ちを前に向けろ」など、そうした意図で言ったんだということで、具体的なプレーの指示ではなくて精神論ばかりが全面に出てきていて。「大丈夫か、この指導者は?」って思わされるような状況でした。コーチがそういった様子だったんですけど、監督がしばしば繰り返していたのが、「前の学年まではよくやってくれていた。言わなくてもルールを守るだとかいろいろなことをわかっていたが、そうした伝統がいまの3年生や2年生に伝わっていなかった。そこは自分の見込みが甘かった」っていうようなことを言っているわけですおよ。これ、どういうことだと思います?

(南部広美)いや……。

(荻上チキ)どういうことかというと、僕の捉え方としては要は「2、3年生にちゃんと伝わっていなかった。自分の見込み不足だ」と自分のせいにしながらも2、3年生をバカにしているっていうことですよ。単純に言うと。で、「そうした2、3年生だからコーチの指示を間違えて捉えてそうした行動に出たことに私は驚いた」というような格好のことを監督が言っていたわけですよね。だから会見での全面的な主張というのはどれだけ時間をたっぷり取っていたとしても「自分たちは指示はしていないんだけども、責任は取りますよ。でも、指示はしていません」っていうようなことをただただ、どんな質問にも言い続けるというような、そんな時間でした。

荻上チキが聞きたかった質問

で、そういうようなあまりにも整理されていない中で、僕がいればとても聞きたかった質問なんですけども。「これからぜひ、第三者を含めたヒアリングを各選手たちに。個別にしっかりと聞き取りをして事実確定をすることを大学やチームとしてやるんですか?」っていうことだとか。「どうして『謝罪をしたい』という選手の意向をブロックしてしまったのか?」とか。そうしたことをもっと踏み込んで聞きたかったのですが。僕が聞いた最初の2時間の会見ではそうした質問はしっかりと出てこなかった、答えられなかったのでまず残念。

そして何より言いたいのは、今日司会をしていた人。日大の関係者なんでしょうか? わからないんですけども。とにかくその仕切りがひどかったんですね。とにかく質問をブロックしようとしたり、あるいは対応がまずかったり高圧的だったり。そして、記者たちが「そういったことだと日大のブランドに傷がつきますよ」って言ったら「傷つきません!」っていう風に言っていて。「傷つくわ!」って思ったんですけど。そういうようなボロボロの対応だったので、大学としても今回の会見でいったいどこをゴールにしたかったのか?っていうのがさっぱりわからなかった。

要は一応「雁首並べて謝った」っていう画は作ったけど、具体的な納得できる説明というのが何もされていなかったので、ある意味歴史に残る会見だったなと思います。だから何もわからなかったという意味ではこれからの論点、整理されはしないんですけども。

(南部広美)この回答書を日大は出すんですよね?

(荻上チキ)出すということになっているんですが、期待できなさそうなので。もっとしっかりと日大の教授陣とかで抗議の声を上げている人はいるんですよ。「うちの大学、ちゃんとしてくれ!」と。そうした声を内部からも上げながらしっかりとやっていかないとこれはもっと大きな問題……大学の信頼などにも関わってくる問題なので、真面目にやってくださいとしか言えないですね。

<書き起こしおわり>

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