長瀬智也と宮藤官九郎『俺の家の話』を語る

星野源「お風呂でおしっこ」問題と『俺の家の話』を語る 宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど

長瀬智也さんが2021年1月29日放送のTBSラジオ『宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど』に出演。宮藤官九郎さんとドラマ『俺の家の話』について話していました。

(宮藤官九郎)宮藤官九郎です。今日は俳優の愚痴を聞いていきます。自己紹介でお願いします。

(長瀬智也)N瀬T也です。

(宮藤官九郎)フフフ(笑)。「ティーモヤ」って……甘いお菓子みたいですね。

(長瀬智也)若干言いにくいですけどね。今回、お招きありがとうございます。ご無沙汰しています。

(宮藤官九郎)N瀬さんは現在42歳。これまで、池袋でいろんなトラブルを解決するお兄さんの役。

(長瀬智也)プライベートみたいになっちゃってますね(笑)。

(宮藤官九郎)じゃなくて、役ね(笑)。

(長瀬智也)役を演じてきたっていう。

(宮藤官九郎)そして落語家になりたいのに口下手すぎるヤクザ。赤鬼。うぬぼれている刑事など、さまざまな役を演じてきました。赤鬼はね、もうちょっとあとだったら『鬼滅』のブームに乗っかったのに。

(長瀬智也)たしかにそうだ。

(宮藤官九郎)「もうちょっと」っつーか、だいぶだけども(笑)。

(長瀬智也)いや、『鬼滅』が乗っかったかもしれないですよね。逆にね。

(宮藤官九郎)『鬼滅』が乗っかってきてびっくりしましたけども(笑)。早すぎた赤鬼。

(長瀬智也)しかし、ヘビメタからお能ってびっくりしましたよね。

(宮藤官九郎)ああ、今回ね。前回がヘビメタで今回はお能とプロレスっていう。現在放送中のドラマ『Oれの家の話』では……「オーレの」っていうとなんだかルパン3世みたいだな(笑)。

(長瀬智也)そこは『俺の家の話』でいいんじゃないか?っていう(笑)。

(宮藤官九郎)『俺の家の話』では能をやっている父の跡を継ぐことになっちゃったプロレスラーの役を演じています。プロレスは昔から好きだったんですか?

(長瀬智也)やっぱり僕ら世代……たぶん僕ぐらいがギリギリなのかな? 子供の頃、ゴールデンでプロレスをやっていた世代なんで。やっぱり見てたし。それで今回、この『俺の家の話』でプロレスの監修についてくれてるDDTのレスラーがいるんですけど。その彼もやっぱり昔から友達で。彼がずっと格闘技、プロレスが好きで。よく文化祭とかで体育館に机を並べてリング作って。僕、その時に新日のレスラーでスティングっていうのがいたんですけども。スティングが大好きで。スティングのフェイスペイントをしてやっていたんですよ。

(宮藤官九郎)えっ、学園祭で? すげえ(笑)。

学園祭でスティングのフェイスペイント

(長瀬智也)学園祭で。まあ、でも僕は本気で格闘技をやろうなんて思ってなかったですけど。そういうのもあって。なんとなくその知識というか、自分なりのプロレスみたいなものがあったんで。これもやっぱりアメリカやメキシコの文化だったりもするので。どこかそういう表現とかで面白いというか……ちょっとヘビメタに近いニュアンスがあるじゃないですか。

(宮藤官九郎)そうですね。衣装とかコスチュームとか髪型とか……まあ、入場する時の音楽も8割ぐらいヘビメタですもんね。

(長瀬智也)だからそういう共通点もあったりとかして。自分ではやろうとは思わないですけど、こういう機会をいただいたんで。自分なりのレスラーができたらいいなと思ってやらせてもらいましたけどね。

(宮藤官九郎)そうだ。1話がもう流れた後だから言っていいんですけど。僕の世代だとやっぱりブルーザー・ブロディなんですよ。ハンセン、ブロディなんですよ。で、猪木と戦っていたっていう。それで僕、台本に最初「ブルーザー寿一」っていう名前でデビューするっていう設定だったんですけども。で、それをリングアナが間違って「ブリザード寿」って言っちゃったからブリザード寿になったっていう。でも、ブロディっていうのは世代的にもう死んじゃっていた?

(長瀬智也)そう。僕は世代的にはその後でしたね。見てたのは。もちろん、存在は知っていたし。やっぱりレッド・ツェッペリンの曲とか。『移民の歌』とかもすごい印象に残っていて。

(宮藤官九郎)『移民の歌』って俺、ブロディのテーマ曲だと思っていたから。ツェッペリンよりも先に。「なんだろう、これ?」って思っていたから。

(長瀬智也)僕は逆にツェッペリンから行ったんで。

(宮藤官九郎)へー。なるほどね。

(宮藤官九郎)もうプロレスに関して言うならコスチューム、すごい早い段階から細かく決められてましたよね。長瀬くんが。

(長瀬智也)そうなんですよね。

(宮藤官九郎)めちゃめちゃ長いメールが……写真とね(笑)。「早いな。もうできてるんだ」みたいな。

(長瀬智也)そこの像が……「自分がプロレスラーになるってどんなんだろうな?」っていうのを漠然と想像するだけじゃなかなかイメージができなくて。で、ちょっと身近にもそういうコアな人たちもいたんで。

(宮藤官九郎)ああ、相談に乗ってもらった?

(長瀬智也)そうですね。で、自分の体作りも含めて「どうしたらいいかな?」みたいなことはずっと考えてたんですよね。

(宮藤官九郎)6月でしたっけ? リモートした時はまだ前の長瀬くんだったんだけど、コスチュームが送られてくるたびに現在の長瀬くんの写真が送られてくるんで。どんどんデカくなっていて。ねえ。

(長瀬智也)そうですね(笑)。

(宮藤官九郎)どんどんデカくなって、どんどんコスチュームはかっこよくなってきて。「どんどんプロレスラーになってるな」と思って。その体、どうやって作ったんですか?

(長瀬智也)もう、いろんな人に聞かれるんですけど。もうね、食べるしかないですよ。

(宮藤官九郎)えっ? 相撲と同じ発想ですか?(笑)。

とにかく食べて体をデカくする

(長瀬智也)なんですけど、何が難しいかというと、トレーニングして痩せてちゃう中で太らなきゃいけないから。で、ちょっと時間もなかったから。もう本当に週に6とかでトレーニングやって。その分……やっぱりプロレス練習なんてやると1回で2キロぐらいは減ったりするんですよね。

(宮藤官九郎)えっ、レッスンで?

(長瀬智也)そう。練習とかで。だからその分、食べなきゃいけない。だから逆に言うと運動しないとそこまで食べれないから。運動して食べて、運動して食べて……っていうのを単純に繰り返していくっていうことで。

(宮藤官九郎)思ったよりも原始的だな。

(長瀬智也)そうなんですよ。そういう太るサプリとか、そういうのがあればいいなと思ったんですけど。まあ、ちょっと時間もなかったので。

(宮藤官九郎)なるほど。何を食ったんですか?

(長瀬智也)いや、もう肉ですよ。

(宮藤官九郎)肉?

(長瀬智也)肉と、あと消化酵素っつって。なかなか消化が追いつかないんで。その消化を……無理やり消化させる酵素を飲むんですよね。

(宮藤官九郎)申し訳ない……(笑)。

(長瀬智也)1日、だから6食とか。朝、昼、昼、晩、晩みたいな感じで。

(宮藤官九郎)皆川猿時くんとかそうだけどなー(笑)。

(長瀬智也)フフフ、だからうらやましいっすよ。秋山くんもそうですけども。ねえ。天然であの体なわけじゃないですか。もううらやましくて。だから僕もがんばって体重を上げたけども。これでもレスラーの中では小さい方ですからね。

(宮藤官九郎)へー!

(長瀬智也)まあ、そこに重心を置くっていうよりも、やっぱりそのプロレスに対するハートみたいなもので説得力が出たりとかしたらいいなっていう。あとはその身近なところに現役のレスラーがいたりとか。そういう人たちを見たりもして感じることもあったんで。そういう中で……とにかくもう「ウワーッ!」ってどうなるのか?っていうのは僕も試したことなかったんで。筋肉で筋張った体を作りたいわけじゃなくて。その上にさらに脂肪を乗っけたいっていう。だから肉よりも炭水化物、糖質取らなきゃいけない。だから、ご飯も無理やり大盛りにしたりとか。そのご飯とご飯の間に卵かけご飯を食べたりとか。

(宮藤官九郎)ご飯とご飯の間に?(笑)。

(長瀬智也)そうそう(笑)。とにかく、炭水化物を取らないと。

(宮藤官九郎)味を変えないとね(笑)。

(長瀬智也)そうしないとあの丸い感じの体にはならなくて。あとはトレーナーとかと話をして。あんまり肩とかがボコって出ちゃうと総合格闘家みたいになっちゃうから。肩にはあんまり筋肉をつけないで、胸筋とか腹筋とかで厚みを出す。体本体を分厚くするような作業をずっとやってきたっていう。全く俺、フィットネスとかに興味なかったんですけど、めっちゃ詳しくなっちゃいました(笑)。

(宮藤官九郎)ああ、今回で?

(長瀬智也)でも本当にいい経験させていただきました。

(宮藤官九郎)だって僕、台本に正直バックドロップとかブレンバスターとか書いても、「これは絶対に吹き替えの人がやることになるんだろうな」と思ってたんですよ。

(長瀬智也)ああ、そうだったんだ! そうすればよかった! 言ってくださいよ!

(宮藤官九郎)フフフ、全然もうやられていて。「うわっ、本当にかけられてるよ」って思って(笑)。というか、あるいは長瀬くんでもできるというか、長瀬くんにやっても支障がない技に変更してくれるのかな?って。現場で気を遣って、忖度してプロレスのシーンを作るのかなと思って。それで現場を見に行ったらいきなりバックドロップから始まっていて。「うわっ、大丈夫かな?」って思っていたんですけども。だからすごい迫力でしたよ。1話のプロレスシーンは。

(長瀬智也)そう。だからやってみて思ったけど。プロレスラーの方たちはあれ、怪我をしないために鍛えているんだなって。それをやっていて思いましたね。脂肪がちゃんとクッションになって。だから、驚いたのはね、ロープに振られるだけで痛いっていう。

(宮藤官九郎)うんうん。そうらしいね。

(長瀬智也)うん。傍から見てると楽しそうじゃないですか。ビョンビョンビョンビョン。

(宮藤官九郎)楽しそうだけども。でも、普通にやったら返ってこないらしいですね。やられても。返ってくるのに時間がちょっとかかるって。

(長瀬智也)ロープってあれ、ゴムの中身はワイヤーですからね。単純にゴムでビヨーンって跳ね返る感じ……トランポリンみたいな風に皆さん、たぶん思ってると思うんですけども。意外に……あのゴムの中はワイヤーがぐるぐる巻かれてるような素材でできていて。まず、それで驚きましたね。だから本当にプロレスの概念が全く変わったっていうか。本当にレスラーのすごみを感じたので。僕的にはこの寿一を通して、そのレスラーのすごさみたいなところがが伝わったらいいなと思いますね。

(宮藤官九郎)今日、放送の第2話の見どころとしては、リキラリアットを受けてますよね。リキラリアットを受けるって……まさか本当にやるとは思ってなかったんですよ。さすがにそれは。そしたら、送られてきた動画を見たら本当にリキラリアットされてましたよね。

(長瀬智也)そうなんです。

長州力のリキラリアットを本当に受ける

(宮藤官九郎)で、リキラリアットってやる時に相手の選手の名前を叫ぶのがリキラリアットらしいんですよ。「猪木!」とか「ホーガン!」とかって言うところまで込みでリキラリアットらしいんで。だから「コトブキーッ!」って言われて。

(長瀬智也)ああ、そういうことなんだ!

(宮藤官九郎)そういうことみたいですよ。ちゃんと、相手に対するリスペクトなのか。

(長瀬智也)なるほど! でもあそこは本当に僕はもう貴重な経験っていうか。言ってみたら、猪木さんのビンタよりもレアなんじゃないかって。だって町中で「ラリアットをしてください」って言って、路上じゃできないじゃないですか。

(宮藤官九郎)できない、できない(笑)。

(長瀬智也)そう。だから監督もね、いろいろ気を利かしてくれて。「カット、割る?」みたいな話になったんですけど。「いや、これはちょっと……何なら俺はこのために練習してきたんじゃないか」という話を持ちかけて。

(宮藤官九郎)「だから割らずにやってくれ」と。

(長瀬智也)1発本番で。で、長州さんもね、いろんなアイディアをいただいて。なんかあそこはまた……ちょっといろんな意味できっかけになるシーンじゃないですか。だから、ああいうことが歴史に刻まれることは僕にとってもすごい嬉しいことだったんで。もうあそこにいた現役レスラーの方たちは軒並み、「いいなあ! いいなあ!」って。もうみんな言ってましたよ(笑)。

(宮藤官九郎)リキラリアットを受けられて?(笑)。

(長瀬智也)そう。だってもう今、プロレスをやっていないわけですから。

(宮藤官九郎)レジェンドだから。逆に言うとドラマじゃないとやってくれないのか。

(長瀬智也)そうなんですよ。だからちょっと半分は寿一でしたけども。半分はN瀬T也になっていたところは否めないっすよね。うん。

<書き起こしおわり>

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