宮藤官九郎『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』を語る

宮藤官九郎『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』を語る ACTION

宮藤官九郎さんが2020年8月24日放送のTBSラジオ『ACTION』の中で映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』を紹介していました。

(宮藤官九郎)今日のフリートーク、もう1個。あのですね、映画を見たんですよ。で、今日はプロジェクトで映画、やらないみたいだから僕、映画の話をどうしてもしたいので。していいですか?

(幸坂理加)どうぞ!

(宮藤官九郎)『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』っていう映画を昨日、見たんですよ。幸坂さんって女子じゃないですか。

(幸坂理加)はい。

(宮藤官九郎)同性に好かれるタイプですか? それとも、異性に好かれるタイプですか?

(幸坂理加)難しいな。同性に好かれるタイプでありたい。

(宮藤官九郎)同性に好かれるタイプでありたい? 「ありたい」……(笑)。じゃあ、よくわかんないですね。もしかしたら異性に好かれてるかもしれないですね。

(幸坂理加)そうですね(笑)。

(宮藤官九郎)毎週、週5で異性に会っていますもんね(笑)。最近、異性としか会ってないでしょう?

(幸坂理加)フフフ(笑)。

(宮藤官九郎)いやいや、何が言いたいかっていうと、同性同士のノリっていうのが僕はすごい好きで。たぶん自分の作品……たとえば『木更津キャッツアイ』とか書いてだいたいファンの方とか好きな方の女性の方から「男じゃないからあの世界には入れないけど、男子に生まれ変わってあの世界に入りたい!」みたいなことをよく言われることが多くて。で、たとえば『あまちゃん』とかは逆に僕、それを女子でやったらどうなるだろう?って。それが自分にできるのかな?っていう挑戦でアキちゃん、ユイちゃんのやり取りとかを書いていたりするんですね。

(幸坂理加)ああ、そうだったんですね!

(宮藤官九郎)で、なんか女子のノリっていうところに男の人が急に入ったら、なんかそこも急によそよそしくなったりする感じとか、面白かったりするんですけど。僕、今まであんまりそういうの、感じたことなかったんですけども、この『ブックスマート』っていう映画ではじめて、「この女の子たちのノリに、女の子に生まれ変わって入りたい」って思うぐらい面白くて。

(幸坂理加)へー!

「女の子に生まれ変わってこの世界に入りたい」

(宮藤官九郎)で、これはどういう映画かっていうと、アメリカの女子高生2人なんですけども。エイミーとモリーという2人で、モリーの方は生徒会長なんですよ。で、ずっと勉強だけ頑張ってきた2人で、自分の志望校にやっと入れて。明日が卒業式っていう時にみんなに「進路、どうなった?」って聞いたら、そのへんのチャラいやつらとか、学校で普通に自由に遊んでいたようなやつらも同じ大学に入っていたりとかして。

「なんで? 私、勉強ばっかり頑張ったのに、他の子たちはちゃんと青春をしながら自分の志望校に入っているんじゃん。ズルい!」って。それで「私たちの青春はダサくないんだ! 私たちはそんな冴えないやつじゃないことを今夜中にアピールする!」ってなって、その卒業式の前日のパーティーに乗り込もう!っていうことになって。その友達2人で……でもまず、そもそも呼ばれていないからパーティーがどこで開催されているかも知らないんですよ。そっからなんですよ。

(幸坂理加)へー!(笑)。

(宮藤官九郎)「どうすれば……誰に聞けばいいんだ?」ってなって、調べて。間違ったところに行ったりして。とにかく、その2人がいかに自分たち、思い出を作れなかったけれどもなんとか自分たちがイケてる2人なんだっていうことをみんなにアピールしたいというところから始まるんだけども。この2人の最初の登場シーンで「おはよう!」って車で迎えに行って来るだけのシーンなんだけども。もうそのシーンを見ただけで「この2人、絶対に面白い!」ってわかるの。

(幸坂理加)ええっ、どうして?

(宮藤官九郎)そのやり取り……なんでか?っていうと、2人にしかわからない暗黙の約束事で会話するんですけども。もう昨日見たばかりで全く覚えてないんですけど。だけど……。

(幸坂理加)ええっ? 昨日見たばかりなら覚えていてくださいよ!

(宮藤官九郎)違うの。だけど、覚えてないっていうことはすごいわけ。『木更津キャッツアイ』の中でもぶっさんとうっちーのやり取りとかって、「じゃあ、どうだったの?」っつったら絶対に覚えてないぐらいで。ただ、それは2人だけが面白いからキャッキャ言いながらやっているみたいなことが……しかもこれ、アメリカの映画だから全く頭に入ってこないんだけども。でも「うわっ、でもこの2人って絶対に面白い2人だ!」って。そのシーンだけでわかるっていうのは素晴らしい演出だと思うんですよね。

(幸坂理加)おおーっ! あ、もう時間ということです。

(宮藤官九郎)「俺は女子になってこの世界に入りたい!」って、たぶん生まれて初めて思ったな。という映画なので。それでたぶんこの先、町山さんとか宇多丸さんがやるから。正しい話はそっちで聞いてください(笑)。

(幸坂理加)はい(笑)。

(宮藤官九郎)でも本当、この映画、おすすめです。というわけで5時半まで生放送です!

『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』予告編

<書き起こしおわり>

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