磯山晶と宮藤官九郎 TBSドラマプロデューサーの仕事を語る

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磯山晶さんが2021年8月6日放送のTBSラジオ『宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど』に出演。宮藤官九郎さんとTBSドラマプロデューサーの仕事について話していました。

(宮藤官九郎)宮藤官九郎です。今日はえドラマプロデューサーの愚痴を聞きます。自己紹介をお願いします。

(磯山晶)I山です。よろしくお願いします。

(宮藤官九郎)I山さんはTBSのさまざまなドラマを担当していますが。さっきも話してたんですけど、いまだにテレビドラマでプロデューサー役の人っていうとポロシャツの襟を立ててたりとか、肩にセーターをかけていて……とかっていうイメージがあるから。実はそうじゃないという話から入ろうと思ったんですけど。もっと地味な仕事ですよね?

(磯山晶)そうですね。

(宮藤官九郎)最初、テレビドラマを作る時って……僕の立場から言うと、たとえば磯山さんから「こういう企画やりましょう」とか「やってください」って言われて。それに僕が応える形で始まるじゃないですか。っていうのが基本ですよね?

(磯山晶)はい。

(宮藤官九郎)だから前に雑誌の編集者を呼んだ回があるんですけども。その時に編集者の仕事っていうのは「誰に何を書かせるか」ということと、「締め切りを守るように催促したりする」っていう。割とそれに近いですよね?

(磯山晶)そうですね。テレビドラマというのはTBSの場合は1週間に3つあって。火曜ドラマと金曜ドラマと日曜劇場。で、1年間に4本クールあって。だから来年の7月クールの火曜は何にして、金曜は何にして、日曜は何にしようっていうことを編成部っていうところが決めるですけど。

(宮藤官九郎)うんうんうん。

1クール3枠×4クールの枠を埋めていく

(磯山晶)その時に、それぞれのプロデューサーがだいたい「キャストは○○さんで、たとえば医療物を考えてるんだけど、来年の7月ぐらいでどうですか?」っていう。その編成とプロデューサーそれぞれが持っているその絵札っていうか。ぼんやりとした企画を1年のその3つの番組×4クールっていう中にはめていくのが最初の作業ですね。

(宮藤官九郎)それは編成の方がやる?

(磯山晶)編成と、そのそれぞれプロデューサー。そういう絵札を持ってる人たちとの折衝で。「だったらこれは1月クールに遅らせて。ちょっとここ、金曜も日曜もお医者さんになっちゃうから……」とか。いろんな事情を調整して。でも、主にプロデューサーの方は「キャストが誰で、どういうテーマのストーリーをやるか」っていうのをぼんやりと自分の中で持っていて。脚本家さんとか、いろんな人とお話してをして何となく形作っていくのを会社と相談して時期を決めるっていう感じですね。

(宮藤官九郎)プロデューサーは。はー! ものすごく分かりやすい説明でしたね。ありがとうございます!

(磯山晶)ああ、そうですか? いやいやいや(笑)。

(宮藤官九郎)でも、そこにいたこともありますよね。磯山さん。

(磯山晶)編成でね。

(宮藤官九郎)その時はじゃあ、そのポジションをやっていたんですか?

(磯山晶)そうです。

(宮藤官九郎)「火曜はこれをやって。こればかりだとバランスが悪くなるからこれを……」とか。

(磯山晶)とか、「火曜日のラインナップが10月だけ決まってない」とか。だいたい1年先ぐらいまで、なんとなく……1年に主役の女優さんが4人、必要ですから。

(宮藤官九郎)ああ、そういう考え方、したことないっすね!

(磯山晶)もう、「○○さんの次は△△さんで……」みたいな。

(宮藤官九郎)1年間で、そうか。主演女優が火曜日に4人必要だっていうことだ。

(磯山晶)はい。

(宮藤官九郎)日曜日には暑苦しい男が4人必要だっていうことですね?(笑)。

(磯山晶)暑苦しいかどうかは別だけど、そういうことです(笑)。ひょんなことから同居したりする人とか……(笑)。

(宮藤官九郎)アハハハハハハハハッ! ひょんなことから同居する枠と……あと、金曜日はどういう?

(磯山晶)金曜日のテーマは「愛、絆、命」なんで。

(宮藤官九郎)ええっ! それ、はじめて聞いた。

TBS金曜ドラマのテーマ「愛、絆、命」

(磯山晶)「愛、絆、命」です。だから医療の『Iンハンド』みたいな、ちょっとしたあれでもいいし。『Oれの家の話』みたいな……。

(宮藤官九郎)『俺の家の話』みたいな。あ、もう1回、言ってもらっていいですか?

(磯山晶)「愛、絆、命」。

(宮藤官九郎)へー! なんか自然に「愛、絆、命」に導いてもらってるっていうことですね。

(磯山晶)そうですね。

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(宮藤官九郎)なんだー! 一番最初に言ってくれればいいのに(笑)。できてから言われても……ああ、そうですか。でも、いつの間にか、気がついたらそうなっていますね。

(磯山晶)そうですね。なんとなく、今までやってきたものもそういうものが多いから。そういう……まあ火曜日はラブストーリーで、日曜日は王道な感じ。だから金曜日は実は何でもありなんですけども。できればこう、ヒューマンな方がいいなっていうことで。

(宮藤官九郎)ああ、そうですか。お金のことも……「予算をもらって」って書いてますけど。局から?

(磯山晶)局から、だから編成部が「今度の1月企画の金曜日はだいたい1時間をこれぐらいで作ってください」みたいのを折衝して。

(宮藤官九郎)毎回、やるんですか?

(磯山晶)毎回やります。

(宮藤官九郎)番組によって、それはすごい違ったりもするんですか?

(磯山晶)すごく……まあ、ちょっとは違いますね。だからたとえば「出演者が多いんです」とか「地方ロケが多いんです」とか。いろんな理由で多めに……とか。逆に編成の方が「もう、お金がないので。これでやれないんだったら、やらなくて結構」みたいな。そういうのもあります。

(宮藤官九郎)ええっ? でもそれって、そうなるとそこが空くじゃないですか。それは、別の手札を持っている人が「それでできます」とか?

(磯山晶)とか、制作会社さんに「これでできるなら、やってくれ」みたいな。

(宮藤官九郎)ああ、他に? 「愛、絆、命」が入っていればいいんですもんね? その3つが。

(磯山晶)そうですね(笑)。

(宮藤官九郎)へー! これはすごい。これからシナリオライターになる人、聞いてたら「愛、絆、命が金曜日だ」って思いますね。

(磯山晶)そうですね(笑)。そう。間違いないですね。

(宮藤官九郎)そんな甘いもんじゃねえよっていう(笑)。

<書き起こしおわり>

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