渡辺志保とDJ YANATAKE ZORN武道館公演を振り返る

渡辺志保とDJ YANATAKE ZORN武道館公演を振り返る INSIDE OUT

渡辺志保とDJ YANATAKEさんが2021年1月25日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でZORNさんの武道館公演『My Life at 日本武道館』を振り返っていました。

(DJ YANATAKE)いやー、もうオープニングはなるべく時間を取って、昨日のZORNくんの話をしましょうよ。

(渡辺志保)機能ね、ZORNさんの武道館公演『My Life at 日本武道館』が開催されまして。結構、こういうご時世ですから私もぎりぎりまで「やるのかな? どうなのかな?」っていう風に思っていたところもあったんですけれども、昨日無事に開催されまして。本当に、本当に食らいましたよね、ヤナタケさん!

(DJ YANATAKE)僕はこんなにヒップホップのライブを見て泣いたことないぐらい……志保にバレないようにハンカチを持っていたんですけども。

(渡辺志保)でも何度も落涙を禁じ得ない、ホロリと来る場面が何度もありましたよね。

(DJ YANATAKE)まず、どうですか? 志保さんの感想としては?

(渡辺志保)やっぱりね、ヒップホップって生き様だなってって思いました。ここ数年、BAD HOP、般若さん。そのちょっと前はAK-69さんとか。やっぱりAKさんも最初に武道館をやられた時はインディペンデントでいらっしゃいましたから。今はユニバーサルだけど。やっぱりそのインディペンデントなラッパーが自分の生き様を見せつけるかのように、あの武道館のステージに自力で立って。しかもZORNさんは昨日、自分でも仰っていたけど。

スポンサーもなしで。本当にインディペンデントで、セルフメイドであの武道館のステージに上がって、あれだけ熱いタイトなライブをかましたっていうこと自体、本当にもうなんて言うの? SHINGO☆西成さんがステージ上で言っていたけども。もう新小岩の日にしたいっていうぐらい。もう記念碑を建てたいって思うぐらい、めちゃめちゃ偉業だと思うし、尊い……それは本当に他のラッパーの方も含めてですけど。本当に尊いことだなっていう風に思いましたね。

インディペンデントでセルフメイドな武道館公演

(DJ YANATAKE)そうですね。僕の感想としてはですね、そもそも一昨年。2019年の終わりから『Rep』っていう曲が出たじゃないですか。

(渡辺志保)MACCHOさんとやっている。

(DJ YANATAKE)で、曲がすごいかっこよかったから、もうそれだけで特にいろんなことを言うのは野暮なのかもしれないけど。でも、なんであえて今、地元のことをレップするみたいな、ヒップホップのめちゃくちゃベーシックなことを……言ってみたら、今までも同じトピックで曲を何回も書いているのよね。

だけど、ここで今、『Rep』かと思って。でも、曲のかっこよさにやられちゃっていたんで、全然よかったんですけども。そもそもでも、『Life Story』とか……まあ『Life Story』みたいなことこそがZORNの真骨頂なわけで。でも、それをなんであえて、またこのタイミングですごいヒップホップのベーシックなトピックをやるんだろう?っていう風に思ってたんですけど。

それでアルバムがサプライズ的に出て。『新小岩』っていうタイトルで。『新小岩』っていうのも地元のことで。でも、これって結果、その『Rep』を出した時からもう武道館でどういうことを目的にやるのか?っていうのが1個、全部セットで絵が描けてたっていうか。そういう感じがしましたね。

(渡辺志保)そういう感じ、しますよね。だからすごくやっぱり『新小岩』も原点回帰的なアルバムだなという風にも思ったし。ヤナさんがおっしゃる通り、すごいド直球じゃないですか。本当に。で、なんとなくライブが始まる前も『新小岩』の1曲目のイントロンのところからきっと始まるのかなとか思っていて。で、そのものズバリであの新小岩を大フィーチャーして武道館の幕が開けて。すごい「うおおおーっ!」みたいな。めちゃめちゃそこで興奮してしまったし。後ろの、バックのLEDのスクリーンみたいなのもすごい見応えがあったし。

(DJ YANATAKE)あれ、最初何もステージにセットらしいセットがなくて。ターンテーブルセットだけがポツンと、しかも足が見える状態で置いてあって。普通はだいたい、なんか名前とか書いてあるバナーみたいなのがあったりとか。でも、あれは結果、あのLEDを生かすためだったんだよね。

(渡辺志保)ねえ。そうそう。ZORNさんが立ってるステージの足元もすごい凝った映像が映写されていて。すごい考え抜かれていて。

(DJ YANATAKE)最初に俺らさ、「なにもセットのない、シンプルなステージなのかな?」なんて言っていたんだけども。「申し訳ございませんでした!」っていう感じだよね(笑)。

(渡辺志保)本当に申し訳ございませんでしたっていう。「あえてワンマイク、ワンDJでやりたいっていうことなんですかね?」みたいなそういう話とかをしていましたけども。

(DJ YANATAKE)それで、ついさっき、ZORNのファンクラブっていうのができて。先行でボーナス映像が見れますみたいなのがあったので私、ファンクラブに入ってみたんですよ。そしたら武道館の……まあ、これから入る人もいっぱいいると思うので、あんまり言いませんけども。だから、そのステージづくりのがちょっと映るですけど。「本当にすいません!」っていうぐらい、めちゃくちゃ大変そうな……(笑)。

(渡辺志保)すごい! 私もこの生放送が終わったらすぐ入ります(笑)。そうなんだ。

(DJ YANATAKE)でも、要するに何で泣いちゃうかって、もちろんその家族への思いとか、地元愛とかさ。そういうのもあるんだけど。やっぱり俺らが一番……やっぱり「本当にベーシックなヒップポップをちゃんとこのステージでやるんだ!」みたいな気合いっていうか。そういうものを1個1個全部、本当に思い出させてくれたっていうか。ヒップホップの好きだったものとか。わかんないけども。「いや、こういうものに最初にやられたんだよな」みたいなのを丁寧にやってくれた感じなんだよね。

(渡辺志保)本当、そうですよね。で、もう次から次へと豪華ゲストの方も登場してきて。

(DJ YANATAKE)もうフェス以上に豪華だったでしょう?

(渡辺志保)ヤバかったですよね。ここ1年ぐらい、やっぱりコロナのせいでライブ自体がなかなかないわけじゃないですか。で、AKLOくんのライブとかもやっぱりYouTube上で楽しむって感じだったから。なんか「あっ、動いてる! 生身のAKLOだ!」みたいな。「生身の漢さんだ!」みたいな感じがあって。すごいもう興奮しちゃいました。

(DJ YANATAKE)もう前売りが売れたからさ。みんな手に入らないぐらい完売してたから。客演の人を発表する必要はなかったっていうのもあると思うんだけど。それはまず1個だけども、でも本当にさ、直前まで誰かがコロナになっちゃうとかも正直、わからない時代じゃない?

(渡辺志保)本当ですよね。

誰1人欠けずにゲストが全員登場

(DJ YANATAKE)だから、発表できなかったっていうのもひょっとしたらあるのかもなって思ったけども。でも、全員が出たわけ。本当、アベンジャーズみたいにどんどんと出てきて。すごかったのよ。

(渡辺志保)「うおっ! ANARCHY! うおーっ! MACCHO!」みたいな。

(DJ YANATAKE)そうそう。誰かが本当にたとえばコロナになっちゃったとかで。それで1人来れなくてもそれはしょうがないことだけども。そうなっちゃうとでも、このミラクルっていうのはちょっと……「ああ、あの人はなんで来なかったんだろう?」なんてひょっとしたら思っていたかもしれないけども。でも、全員が来たっていうのもこれ、奇跡になったひとつの要因だと思うし。

(渡辺志保)本当にそう思いますね。もうZORNさんが超超名パンチラインの「洗濯物を干すのもヒップホップ」って仰ってるわけですけど。なんかもうそれってすごいその日本のポップシーンというか、ヒップホップ畑において、めちゃめちゃ意義深いことだなって改めて思いましたね。

やっぱり、あのリリックに……というか、ZORNさんの全部リリックに勇気をもらったりとか、元気をもらったりとか、なんか嫌なことがあってもこれを聞けば明日も頑張れるみたいな。洗濯物を干すのもめんどいけど。でも、頑張れるっていう人が本当にもう何万人もいるんだろうなって感じだし。私もやっぱり去年、子供が生まれて。ZORNさんのリリックの中にも「いないないばあ ワンワン」っていうNHKのEテレにオマージュをささげたリリックもありますけども。

ぶっちゃけ、家で子供と『いないいないばあっ!』を見て、洗濯物を干していて……「全然こんなの、ヒップホップじゃねえじゃん、私!」って思うことがやっぱり何度も何度もあるわけですけど。でも、「いや、大丈夫。ZORNがいる!」みたいな。なんか、そういう気持ちになっちゃったな、やっぱり。

(DJ YANATAKE)うん。なんか志保と帰りに言っていたのがね、なんか「ヒップホップのライブ見て『家族とか仲間に感謝しようね』みたいに思って帰るライブってすごいな」っていう話で。

(渡辺志保)ないですよね。だって私とヤナさん、昨日一緒に武道館に行ったわけですけど。お互い、家ではパートナーが子供の世話とか全部してくれてるわけじゃないですか。我々がZORNさんで涙してる時に。だから、そういうのも感謝しなきゃな、みたいなね。

(DJ YANATAKE)そんなことを言いながら帰ってきましたし。で、まあ『Letter』っていう曲が……。

(渡辺志保)娘さんに捧げた曲。

(DJ YANATAKE)で、その次が『My Love』っていう奥さんに捧げた歌だったり。もうかなり号泣ポイントなんですけども。「初めて会った日 3歳と1歳」だったのが今は13歳と10歳だったかな? で、メッセージで娘さんにさ、「お前らがいつか、彼氏を連れてくるかもしれなえけど。俺より韻が踏めたら認めやるよ」みたいな(笑)。

(渡辺志保)「いねえよ!」みたいなね(笑)。

(DJ YANATAKE)それはなかなかいないだろうなっていうね(笑)。でも、すごい愛情表現だよね。

(渡辺志保)本当にそうですよ。あのAKさんとの『If I Die』からの『Letter』から『My Love』……泣けた!っていう感じですね。

(DJ YANATAKE)で、一番最後にさ、『All My Homies』っていう曲を途中で止めて。「ちょっとやりたかったことがあるんだ」みたいな感じでさ、「仲間たちをステージに上げていいか?」って。それで武道館のステージからの景色を仲間に見せるんだけどさ。それがちょっとやそっとの人数じゃないんだよね。予想以上の……もうブワーッと出てきて(笑)。

(渡辺志保)そう。50人ぐらいいらっしゃったのかな? で、皆さんさ、黒い上下の服をそれぞれにお召しになっていて。

(DJ YANATAKE)たぶん『All My Homies』パーカーを着ていたんだよね。

(渡辺志保)で、もうカニエがBRIT Awardsでやった『All Day』のパフォーマンスのごとく。ご自分のお子さんを肩車してステージに出てこられた方とかもいらっしゃって。なんかそういう姿を見ると本当にね、また……もう思い出すだけで泣けてきちゃう。


(DJ YANATAKE)実の弟さんもいて。

(渡辺志保)そうそう。弟さんもいらっしゃってね。

(DJ YANATAKE)で、NORIKIYOくんのインスタのストーリーで見たんですけど。今日、ゲストの。武道館の裏にさ、ハマーのリムジンが何台か停まっていて。たぶんあれで仲間たちを連れてきたんだよね?

(渡辺志保)ねえ! すごいことですよ!

(DJ YANATAKE)だからマジであんだけ客演の豪華な人たちをみんな呼んじゃって。KREVAからAK-69からILL-BOSSTINO、SHINGO☆西成から般若、AKLO……みんな呼んじゃって。で、仲間にリムジンを用意して……もうたぶん本当、儲かっていないぐらいなんだろうけども。でも、それ以上に仲間にあの景色を見せたかったとか。本当にフッドスターなんだな、みたいなところも泣けるポイントだったし。

(渡辺志保)本当に泣けましたね。

(DJ YANATAKE)それでみんなでワーッてやっている時にサラッと重大発表をするんだよね。

(渡辺志保)そうなんだよね。一言だけ重大発表されていて。

一言だけ重大発表

(DJ YANATAKE)「次は横浜アリーナやるぞ」って。もうそれ以上、あとは触れないんだよね。

(渡辺志保)どこをどう取っても粋な熱いライブでしたね。

(DJ YANATAKE)構成も含めて完璧でしたし。

(渡辺志保)そう。なんか本当にムダがなくて。1曲1曲を入魂っていう感じで。MCでしゃべっていらっしゃる内容とかも全て、ムダがなかった。

(DJ YANATAKE)長いMCでちょっと我に返っちゃう時とか、ライブを見ている時にはあるんですけど。そういうのも一切なかったからね。

(渡辺志保)なかった。出てきた時から本当に……しかも皆さんさ、やっぱりこういう時だからさ、最初は座ってすごい静かにZORNさんを迎えたですよね。武道館の全観客が。で、私もさ、「これって立っていいのかな?」とか「声、出しちゃいけないんだよな。きっと」って思って。じっと座って。最初、皆さんが。

(DJ YANATAKE)そうそう。最初、1曲目で様子を見て。

(渡辺志保)『新小岩』の時。皆さん、座って静かにZORNさんを迎え入れたわけですけど。ZORNさんが「立てーっ!」って言った瞬間にもうブワーッと。でも、ちゃんと当たり前だけど席の間も空いてたりもねしましたし。皆さんがマスクをちゃんと着用して見てたっていうところも言っておかねばならないところですけども。

(DJ YANATAKE)都とか国のガイドラインに則ってやっていたし。「消毒も両手にしてください」とかね。「チケットを切るのも自分でやってください」って言われたもんね。

(渡辺志保)そうそう。「半券はここに入れてください」とか。お手洗いの出口のところも消毒用のマットが敷いてあって。足の靴の消毒もちゃんとして。

(DJ YANATAKE)できる限りのことをちゃんとやっていましたね。

(渡辺志保)そうそう。そういうところひとつを取っても、うん。唯一無二の体験だったなって。

(DJ YANATAKE)あれだけのメンバーが出てきて、タイトな構成で、それでノーミスだったDJ TATSUKIを褒めたいと思いますね。俺だったらポン出し……「ポン出し」って音をCDJとかで出すだけのことを言いますけども。それだけでも、タイミングとか、あれだけのメンバーが出てきたらめちゃくちゃ緊張すると思うんだよね。

(渡辺志保)いや、そうですよ。だって、当たり前だけど。たとえばAKさんの時のDJ RYOWさんとか、般若さんの時のDJ FUMIRATCHさんとかもそうだけども。BAD HOPの時のDJ CHARIとかもそうだけど。やっぱり、アーティスト本よりも先に舞台に出て、彼らのワンアクションで全てが始まるわけじゃないですか。めっちゃすごいことですよね。

(DJ YANATAKE)いや、すごかった。だから本当にいろんな偶然、奇跡。そして積み重ねた練習ももちろんですけども。だからもう本当にね、大げさじゃなくて自分のヒップホップ人生の中で昨日、行けたことは本当に大きな1日だったなという風に思いますね。

(渡辺志保)本当に。2021年もいろんなことがすでに起こっていますけども。すごく、ひとつ希望を感じる出来事ではありましたね。確実に。

(DJ YANATAKE)それでちょっとTwitterとかインスタで言っちゃったんですけど。帰りにね、我々はMummy-D氏に会ってね。たまたまね。

(渡辺志保)それもなんかすごい偶然でしたよね。本当に。

(DJ YANATAKE)この間、WREPの番組の方でも勝手にZORN特集っていうのをMummy-D氏とZEEBRAくんでやっていたんだけども。それで当日、Mummy-Dが来ていて、会って。「俺、6回泣いちゃったよ」とかって言っていて(笑)。

(渡辺志保)おっしゃってましたね(笑)。

(DJ YANATAKE)「今まで見たライブで一番だね」って言って帰っていきましたね。

(渡辺志保)だってKING OF STAGEのRHYMESTERさんがおっしゃるぐらいなんだから。うん。そうなんですよ。

(DJ YANATAKE)その余韻に浸って今日、朝起きてインスタを見たら……インスタ、見たでしょう? 朝8時ぐらいにさ、作業着を着て。マルボロメンソールとエメラルドマウンテン。「エメマンとマルボロメンソール」ですよ。

(渡辺志保)もう本当に……等身大でしかないっていうか。

(DJ YANATAKE)さっきも言った『Life Story』の中で「武道館の翌朝も俺は作業着」って歌っているんですけども。まさにそのままで。なんだろうね、あれは。

(渡辺志保)いや、かっこよすぎますよね。

「武道館の翌朝も俺は作業着」

(DJ YANATAKE)今日、会う人、会う人、みんなその話ですよ。

(渡辺志保)もう本当にいい夜でしたね。

(DJ YANATAKE)ヒップホップが好きで本当によかったなって思えたな。

(渡辺志保)いやー、素晴らしかった。今後のZORNさんのムーブもめちゃめちゃ気になるっていう感じですね。

(DJ YANATAKE)なので、実際にその場にいらっしゃったゲストの方もこの後にいらっしゃるので。少しその話も聞きつつ。後ほど、ゲストを迎えましょうね。

(渡辺志保)伺いたいと思いますね。

<書き起こしおわり>

NORIKIYO ZORN武道館公演を振り返る
NORIKIYOさんが2021年1月25日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で自身も出演したZORNさんの武道館公演『My Life at 日本武道館』を振り返っていました。
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