RIP SLYME RYO-Z 幻の未発表音源『失楽園ベイベー』を語る

RIP SLYME RYO-Z 幻の未発表音源『失楽園ベイベー』を語る INSIDE OUT

RIP SLYMEのRYO-Zさんがblock.fm『INSIDE OUT』にゲスト出演。大ヒット曲『楽園ベイベー』の未発表バージョン、『失楽園ベイベー』を紹介しつつ、『楽園ベイベー』の製作秘話などを話していました。

(DJ YANATAKE)じゃあですね、ちょっとずっと予告している曲に行ってみたいと思うんですけど。さっきね、RYO-Zくんに「2曲とか3曲とかかけたい曲を用意してくれれば……」なんて連絡をさせていただいて、今日打ち合わせにバンって入ってきて頂いたら、「今日はこれ、持ってきたんですよ」っていう曲が「ええっ?」みたいな曲だったんですよ。これは?

(RYO-Z)これはもう、RIP SLYMEといううちのグループが、それが世間一般でキャッチアップされた曲が『楽園ベイベー』っていう曲で。

RIP SLYME『楽園ベイベー』

(DJ YANATAKE)大好き、大好き!

(RYO-Z)この『楽園ベイベー』っていう曲、当時ね、覚えているのはこのblock.fmのスタジオにいちばん最初に来た時はまだblock.fmはもちろんやっていない。m-floのTakuちゃんのスタジオが下にあって。で、VERBALとTERIYAKI BOYZのメンバーで『楽園ベイベー』のバージョンを作らない? みたいなことで。で、『Paradise Baby』っていうのを作ったりしたんですけど。

m-flo loves 日之内エミ and TERIYAKI BOYZ『Paradise Baby』

(DJ YANATAKE)『Paradise Baby』。

(RYO-Z)それもなかなかの音源なんですが、それよりもっと……『楽園ベイベー』に対してのめちゃくちゃレアな音源として、『楽園ベイベー』ってもともとは『サマージャム’95』的なことをやりたかったんです。

(DJ YANATAKE)ん? なんか、メロウな?

(RYO-Z)メロウな方向に落とし込みたくて。で、フミヤと一緒にいろいろ話していたら、あの当時、インディーズの頃。それこそ『Talkin’ Cheap』の頃ぐらいにやれなかったフォー・トップスのネタ(『All My Love』)を使ってやろうよって言って。で、メーカーもマネジメントも「いい! もうガンガンサンプリングしていいから、やってくれ!」みたいなことで。で、16小節サンプリングしたんですよ。そしたら、許可が下りないっていう残念な結果になっちゃいまして(笑)。

(DJ YANATAKE)まあサンプリングは向こうのね……。

(RYO-Z)そう。フォー・トップス側からもう全然ふっかけられちゃて。もう無理で。「これはリリースしても何もできない」っていうことになっちゃって。結局3日間ぐらいでフミヤがあのボサノバ的なムードに作り直したのがいまの『楽園ベイベー』。みなさんが知っている『楽園ベイベー』。で、そのいわゆるいちばん最初の『楽園ベイベー』。僕らが最初に作っていた『楽園ベイベー』は歌詞も全然変わらないんだけど。歌っている内容も変わらないんだけど、失われた『楽園ベイベー』ということで、『失楽園ベイベー』っていうのがあるんで(笑)。

(DJ YANATAKE)(笑)

(RYO-Z)で、これライブとかでは僕らやるんだけど、ライブでやってもすげー滑るんですよ。なぜなら、あのキャッチーな『楽園ベイベー』をみんな知っているから。メロウにやっても別に盛り上がらないっていう(笑)。すごい残念だけど、でもレアな音源っていうか。これが本当の『楽園ベイベー』だよっていう、失われた『楽園ベイベー』っていうのを今日は持ち込んできたので。

(DJ YANATAKE)マジか! これ、かけて大丈夫なんすか?

(RYO-Z)大丈夫。別にいわゆるフォー・トップスのマッシュアップみたいなことですから。

(DJ YANATAKE)うわー、これは本当に……俺、『楽園ベイベー』がマジで大好きで。だってアナログは普通に10インチで買い、12インチはプロモで持っているし。いまでもDJで『STUDIO APARTMENT Remix』を、俺のDJを聞いたことがある人ならわかると思うけど、すっごいかけるんですよ。

(RYO-Z)『STUDIO APARTMENT Remix』、またかけやすいんすよね。

(DJ YANATAKE)ギターのね、カッティングがね。

(RYO-Z)真似事やっている時は、ちょっとやらせてもらいましたね。あれね。

(DJ YANATAKE)っていうぐらいすごい本当に好きで。つい最近も、ダイノジさんのイベントに出させてもらった時に普通にかけたりしています。僕もそんな大好きな『楽園ベイベー』なんですけど、そのアンリリースバージョンを、俺もまだ聞いてないんだよね(笑)。

(RYO-Z)おおっ、じゃあぜひここで。初見で、ぜひ。

(DJ YANATAKE)というわけで、いまファンが騒いでいる? よし! みんな今日聞いてよかったね! というわけで、アンリリースドバージョンですね。RIP SLYME『楽園ベイベー』のアンリリースドバージョン、『失楽園ベイベー』。

RIP SLYME『失楽園ベイベー』

(DJ YANATAKE)すっげー! ただいま聞いていただいておりますのはRIP SLYMEで『失楽園ベイベー』でした。

(中略)

(DJ YANATAKE)誰もがさ、知っているクラシックソングなわけだし、それにこんなアンリリースドバージョンがあるなんて!っていうね。

(RYO-Z)そうなんですよ。本当はね、これでリリースしようと思ってたんですよ。僕らは(笑)。

(DJ YANATAKE)だって、ぶっちゃけDJとかでかける時とかも、もう上げに行く。盛り上げに行くために使う曲だから、こっちのイメージはマジでなかったけど。

(RYO-Z)そうなんですよね。フミヤと話した時に、でも「フォー・トップスのやつ、やりたい」みたいなことを言ったんですよ。そしたら、「じゃあフォー・トップスをがっつりやりますか?」って言って。「じゃあ、これだったら夏っぽい曲だよね。『サマージャム』みたいな曲のアプローチになるよね」みたいに話したのは覚えています。

(DJ YANATAKE)うわー、そうなんだ。それででもこれ、結果(サンプリングの)クリアランスは取れなくて、3日間でフミヤが作り出して。その3日間というのが製作時間で短いと思うんですけども。よくぞ……。

(RYO-Z)いや、もうヒゲの伸び方、半端じゃなかったですよ、あいつ。むちゃくちゃヒゲのびてましたね。スタジオにバッて入っていたら、僕らの第六のメンバーでとっつぁんっていうギターとかベースとかを弾いてくれるミュージシャンがいるんですけど。とっつぁんとフミヤはもうヒゲだらけになっていて(笑)。もう、大丈夫? みたいな感じでね。

(DJ YANATAKE)でもよくぞやったよねっていう感じだし。まあ結果論だしね。

(RYO-Z)そうですね。

(DJ YANATAKE)だって、いまこれを聞いてもバッチリだと思うけど……これがクリアランスを通っちゃっていたら、ちょっとその後んおRIP SLYME、変わっていたかも。

(RYO-Z)違うと思うんですよ。だから、そこが運命的なところだとは思うんですけどね。これでどんな具合にキャッチアップされたのか、わかんないですからね。

(DJ YANATAKE)たしかにね。うわー、そうなんだ。

(RYO-Z)俺はこの曲も好きなんですよ。『失楽園ベイベー』をもちろん好きな上で思うけど、いまの『楽園ベイベー』がなかったらRIP SLYMEはないと思うから。そう考えると、すごくこの曲の存在は面白いなと思うんですよね。

(DJ YANATAKE)ねえ。この1曲にそんなドラマがあったんだな!っていうことですね。いやいや、本当に今日は貴重な音源をありがとうございました。

(RYO-Z)いえいえ、とんでもないです。

(DJ YANATAKE)「もう普通にリリースしてほしい」とかも言われてますよ。

(RYO-Z)(笑)

(DJ YANATAKE)いまからならアリなんじゃないですか? もうちょっと、アコースティックバージョンとかね。

(RYO-Z)ねえ。そうですね。弾き直したりとかね。わかんない。どういう感じにやれるのか、わかんないけど。

(DJ YANATAKE)でも、いまのやつなんて、これから『真夏のWOW』でもいいけど、いちばん最後にDJがこれをかけたら結構ハマるんじゃないかな? みたいな。

(RYO-Z)だって、俺も本当に思うけど、スチャダラパーの『サマージャム’95』ってボビー・ハッチャーソンをぼっちりやっているわけじゃないですか。それで東芝でリリースできるんだから、なんで俺らできなかったんだ? という感じでもあるし。

(DJ YANATAKE)まあ、やっぱりサンプリングはサンプリングされた人の意見が完全に強いから。嫌な人は嫌だし。あと、やっぱり日本もCDが売れていたから。だからふっかけもあったと思う。

(RYO-Z)絶対にそれ。それがデカかったし。で、いまスチャダラパーが2020バージョンの『サマージャム2020』をリリースしていますからね。『楽園ベイベー』の新しいバージョンもね、ありかもわからないですね。

(DJ YANATAKE)たしかに。そうだ。『サマージャム2020』っていうのも出ましたもんね。

(RYO-Z)そうそうそう。あれも良かったですからね。

(DJ YANATAKE)かなり「音源化が待たれる」とかいま(ツイートが)来ていますよ。

(RYO-Z)まあぜひね。本当に上手くやれればと思いますけど。まあちょっと、とりあえず失われた『楽園ベイベー』ということで『失楽園ベイベー』を聞いていただきました。

<書き起こしおわり>

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