渡辺志保 Kash Doll『STACKED』を語る

渡辺志保 Kash Doll『STACKED』を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でキャッシュ・ドールのアルバム『STACKED』についてトーク。『Paid Bitches』を紹介していました。

(渡辺志保)というわけで、今日のオープニングチューンをここでお届けしたいと思います。いろんなフィメールラッパーがカーディ・Bのブレイクをきっかけに……彼女が牽引してるって訳じゃないんですけど、間違いなくカーディ・Bはその起爆剤の重要人物だったと思います。というわけでここ2、3年のフィメールラッパーシーン、すごく芳醇な畑になってるんですけども。

今日、紹介したのはキャッシュ・ドールちゃんのデビューアルバム『STACKED』がこの間の金曜日に発表されました。なのでキャッシュ・ドールの曲をかけたいなと思います。で、ここ数年の女性ラッパーあるあるでドール系MC……キューバン・ドールとか。エイジアン・ドールはエイジアン・ダ・ブラットに改名したけども。キューバン・ドール、エイジアン・ドールがいて、このキャッシュ・ドールもいて、ドリーム・ドールもいて。それで日本にはケミー・ドールがいるっていう。

(DJ YANATAKE)たしかにいますね(笑)。

(渡辺志保)それでピッチフォークだったかニューヨーク・タイムズだったか、ちょっと真面目な音楽記事でそういうのを「ドールハウス・シーン」とかって呼んでいて。

(DJ YANATAKE)ああ、そうなんだ。ヤバい!

(渡辺志保)まあ、一般的に呼ばれていることだとは思わないけども、そのライターさんがドールハウス・シーンのトップに君臨するのがこのキャッシュ・ドールだっていう風に書いていて。「なるほど、上手い」とか思った。

(DJ YANATAKE)ドール界のトップですね。

(渡辺志保)で、私もやっぱりドールハウス・シーンを結構ひとまとめにしていたところがあるし、ちょっと区別がつかねえなって思う時もぶっちゃけあったんですけども。で、今回、このキャッシュ・ドールのアルバムがリリースされるにあたって、やっぱり彼女がすごいいっぱいプロモーションのインタビューとかをメディアで答えていて。それを改めて聞いたり呼んだりすると、すごい苦労人なのね。キャッシュ・ドールちゃんと20代後半でデトロイト出身なんですけど。だから『Ready Set』っていうリードシングルで同郷の先輩であるビッグ・ショーンを呼んでるわけなんだけど。

(渡辺志保)デトロイトで6人兄弟のお姉ちゃんなんですって。で、自分たちの兄弟とお母さんを養うためにカレッジ、大学を中退してストリップグラムで働いてたという。

(DJ YANATAKE)おおう……ちょっと予想外の話がぶっ込まれている(笑)。

(渡辺志保)それで、その前、高校生時代にもピザ屋とかいろんな所でバイトして。それで大学に入ったんだけど、「なんか私のパッションは学生生活にはないわ」っていうことでもともと得意だったダンスを生かしてストリップクラブに転向して。そこから彼女のハスラー人生が始まるわけなんですけど。で、今回の『STACKED』っていうのがデビューアルバムなんだが、その前にもいわゆるストリートアルバムみたいなミックステープはたくさん出してる。

なんだけど、インタビューで「ローカルシットに巻き込まれた」って言ってて。昔、結んだ契約がなかなか破棄したいけど破棄できなかったと。それは地元のしがらみがあって破棄できなくて。で、その昔に結んだ契約を破棄するためにめちゃめちゃ巨額なお金を払ってやっと今回、ファーストアルバムがユニバーサルから出せることになりましたっていうのをインタビューで語っていて。なんかそういうバックグラウンドを聞いちゃうと、すごい気持ちが入っちゃうっていうか。

だから「いままで2年間ぐらい、その契約の問題で悩んでいた時は毎朝起きるたびに『ああ、もうダメかも。私、無理、無理……』っていうネガティブな気分になっていたけど、ここ数ヶ月、ここ1年ぐらいはもう本当に晴れやかな気分で『やるぞ!』っていう前向きな気持ちでアーティスト活動してるんです」っていうのをいろんなインタビューでしゃべっていて。で、「なるほど」と思ったわけでございます。というわけで、今日の1曲目はそのキャッシュ・ドールのデビューアルバム『STACKED』とから『Paid Bitches』を聞いてください。

Kash Doll『Paid Bitches』

(渡辺志保)はい。キャッシュ・ドールで『Paid Bitches』でした。

(DJ YANATAKE)でも、これ難しいビートだな。すごいなー。

(渡辺志保)そう。だからビートがすごい硬派なんですよね。このアルバム。

(DJ YANATAKE)これにラップを乗せられるの、かっこいいな!

(渡辺志保)そう。それで彼女がブレイクした『Ice Me Out』とかもそうだし。

(渡辺志保)『Ready Set』はビッグ・ショーンがうまくフックを乗せている感じがありますけども。ビート選びもすっごい秀逸だなと思いましたので。ぜひぜひみなさんにも聞いてほしいなと思います。

<書き起こしおわり>

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