朝井リョウ DJ松永と一緒に人間ドックに行った話

朝井リョウと宇多丸 DJ松永の成長を語る 高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと

朝井リョウさんが2021年1月17日放送のニッポン放送『高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと』の中でDJ松永と一緒に人生初の人間ドックに行った話をしていました。

(朝井リョウ)いや、だからジムに通って高橋さん的な流れで言うと、私は年末年始、人生初の人間ドックに……。

(高橋みなみ)言ってたよね。そうだそうだ。じゃあその話、後ほど行きましょう!

(中略)

(朝井リョウ)はい。人間ドックに行って、なんかいろんなことを思ったの(笑)。

(高橋みなみ)人間ドックってそういう場所でしたっけ?

(朝井リョウ)そう。いろんなことを思って。なんかまあ、ちょっとピックアップして言うと、やっぱり人生初胃カメラをやったんですね。

(高橋みなみ)えっ? 胃カメラって口から入れる?

(朝井リョウ)そう。口から入れるタイプの胃カメラ。人生初めてやりまして。まず私、その直前に桐野夏生さんの『日没』っていう小説を読んでいて。その小説がすごく怖い小説で。ある作家が「清く正しいものを書かないとダメだ」っていう施設に収容されて。でも、その小説家は「小説はそんなものじゃない」って反抗するの。するんだけど、どんどん人心掌握されていって。最終的に……みたいな小説があるんですけれども。そこでまず書かれてたのが、その人を服従させる第一歩目みたいな感じで、まず「名前を奪う」っていう。まあ『千と千尋の神隠し』もそうだったじゃん。

(高橋みなみ)そうね。

(朝井リョウ)それでまず、番号で呼ばれるようになり。これはもしかしたら刑務所とかにも通じるかもしれないですけど。その番号に呼ばれる。人間ドックっていうのも番号で呼ばれるんですよね。バッジを着けてさ。「○番の方」って呼ばれて。で、しかも検査着でその下は裸なわけじゃないですか。だからなんかすごい検査着で番号って、本当に……「髪の毛、これから剃られるんじゃないか?」みたいな。なんか、「今、自分はものすごい記号化されているな」っていう状態になってさ。人生初の胃カメラで。その説明をされた時に「人によっては麻酔をつかいます」っていう。

(高橋みなみ)えっ? どこに?

(朝井リョウ)なんかほぼ、気づかないうちに胃カメラが終わっているように……。

(高橋みなみ)全身麻酔っていうこと?

(朝井リョウ)なんか安定剤みたいなのがあるらしくて。

(高橋みなみ)へー! まあ、そうか。ちょっと「ウエッ!」ってなりそうだしね。

(朝井リョウ)そうそう。特に若い人は腹圧が強いから「ウエッ!」ってなりやすいんですって。それがあるから「今、結構半々の割合で安定剤を使いますけど、どうですか?」って言われて。私は変に、「でもいつか、胃カメラの描写するかも」と思って。意味がわかんない。

(高橋みなみ)ああ、そういうことね。

(朝井リョウ)「いりません」って言って、安定剤なしで挑んだんですよ。

(高橋みなみ)うん。どう?

(朝井リョウ)で、結局、だからいろんなさ、人によってさ、「本当に気持ち悪すぎる」とかさ。いろんな……ちょっと検索すると怖い話ばっかり出てくるからでも検索しないようにして行ったんですけど。本当さ、なんていうの? まず病院に行ってさ、しかも胃カメラみたいに寝転んで。背中撫でられた状態でどんどんこう、カメラが入っていって。で、本当に内臓を食道から胃、小腸、大腸と移動するのが分かるぐらい異物が体の中を動き回ってるなっていう。たしかに気持ち悪いし「うっ……」ってなるんだけども。

胃カメラ検査を受けながら考えたこと

(朝井リョウ)本当にああいう時ってさ、なんか精神が赤ちゃんみたいになっちゃうんだよね。加えて、完全に異物が中に入った状態でさ。中を見られながら。それで「これを今、思いっきり引き抜かれたりとかしたら、もう終わりなんだ」とか。胃カメラをやっている時に「これを一気にビンッ!ってやるか、それとも誰かを売るか?」って天秤にかけられた時、たぶん私は魂を売るような人間なんだ……って思ったらすごい悲しかったの。胃カメラ中に。「なんか自分ってたぶんちょっとでも拷問とかをされたら、すぐに情報を吐いてしまうんだろうな」って思って。すっごい……「そんな人間だよ!」って。

(高橋みなみ)でも結果、その安定剤をやらなかったことでさ、そういう感情の自分と出会えたっていうことでしょう?

(朝井リョウ)そう。出会えた。「自分は拷問をされたらすぐに吐く」っていう気持ちになったし。終わった後にその映像を共に見ながら「本当にきれいなんで。3年ぐらい受けなくていいです」って言われて。

(高橋みなみ)そんなに健康体?

(朝井リョウ)言われましたね。やっぱりさ、なんか人間ドックって受ける場合さ、あれを書くのよ。問診票みたいなのを書くの。「喫煙:しません。飲酒:しません。通勤時間:ありません。睡眠時間:自分でコントロールしているから結構寝てる」って。

(高橋みなみ)健康(笑)。

(朝井リョウ)これ、もう絶対健康なの。問診票を書きながら「もう、こいつ絶対健康じゃん。なんで人間ドック、受けるの?」っていう。

(高橋みなみ)でもその通り、ちゃんと体は健康だったっていうことでしょう?

(朝井リョウ)そう。中身は健康だったんですけども。まあでも、誰と行ったかというと……という話をCMの後にしたいと思います。

(高橋みなみ)なんとなく、想像がつくんだよなー。どうせあの人でしょう?

(朝井リョウ)誰と行ったのかな?

(高橋みなみ)あの人でしょう? あの人しかいないもんね。

(朝井リョウ)ああ、でも本当に拷問、されたくないなー。

(中略)

(高橋みなみ)で、誰と行ったの?

(朝井リョウ)ねえ。私がその、「この苦痛から逃れられるのだったら何でもします」というダサい自分と向き合ってた時間。同じようにダサい思いをしていた方がいらっしゃいます。DJ松永さんです。

(高橋みなみ)でしょうね。

(朝井リョウ)私は本当にこの番組、ラジオは終了しますということをお話ししましたけれども。1日、DJ松永さんと人間ドック共にして「ああ、そりゃあ『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』は続くよな」って……あ、わかんないよ。これから4月以降、続くかどうかは知らないけど。「それはこれまでも続けてきたし、きっとこれからも続くわ」と思ったという話なんですけども。

(高橋みなみ)ほう。

(朝井リョウ)何て言うのかな? 元々、「本当に人から愛される才能がある人だな」とは思ってました。どの番組にいても「松永さん、かわいい」であったりとか。松永さん、どんどんファンを増やしていらっしゃいますので。作家の西加奈子さんと3人でよく会っていた時も……今、西さんは移住されていて、全然3人では会えないんですけども。前に3人で会っていた時も、もうね、何回言われたか、分からない。それでオードリー若林さんと4人でもよく会っていたんだけども。「私は若林くんとDJ松永くんのことは本当に応援したいと思う。いつ会っても、2人のことを本当に応援したいと思うけど、あんたのことは1回も応援したいと思ったこと、あらへんのよ」って。

(高橋みなみ)なんでや!(笑)。

(朝井リョウ)私、この話を10回ぐらいされていて。でも、なんかすごくわかる。「私って応援されにくいな」っていう自覚は正直、あります。

(高橋みなみ)どうして、どうして?

(朝井リョウ)それはすごくわかるんですけども。で、一緒にいると本当に「応援される星の人だな」っていうことはすごく思うんですけど。なんていうの? そのひとつの要素として、やっぱり素直なんですよね。なんか「やっぱり結局、素直な人って愛されるな」って最近、すごく思うの。

(高橋みなみ)まあ、でもかわいいよね。

素直な人は愛される

(朝井リョウ)でしょう? それでよくDJ松永は「ひねくれている」っていう風に言われることもありますが、私は「DJ松永だけが異常に素直すぎて、それがひねくれているように見えるのではないか?」と思ってるんですよ。「世界の方が素直じゃないんだ」という風に思っていて。で、その「素直」をすごくね、その半日の間に体感したんだけど。まずは前日の19時以降、物を食べられないじゃないですか。

で、次の日に血を抜くわけだから、前日の私はちょっとヘルシーなものを食べようと思ったの。その次の日の数値ができるだけの方に出た方がいいのかな、とか。なんかしおりみたいなのを見ても、「脂っこいものとかはできればやめてください」みたいなものがあったので。「わかりました」と思って前日の夜は結構考えて食べてて。で、19時を過ぎた段階で「ああ、これからも次の日の正午ぐらいまで物を食べられないんだ」と思って。

それでLINEしていて。「食べれない時間になっちゃったね」みたいな話をして。それで、割と質素な物を食べた後だから、「ちょっとひもじいわ」みたいな話をしたら「こちらは生クリーム山盛りのクレープを食べたので、次の日の正午までは何も食べなくても全然、気持ち的には大丈夫です」みたいな(笑)。

(高橋みなみ)かわいい(笑)。

(朝井リョウ)そんな連絡が来て。なんか、自分がアホみたいだなと思ったの。その次の日の結果が少しでも良くなるように……食べたいものを食べればいいじゃん!っていう風にその時の自分に思ったし。それでなんか行った病院がね、ちょっと分かりにくいところにあって。私は事前に調べて。「人間ドックを受ける場所は出てる住所の隣のビルです」みたいなのが出てきたから。「じゃあ、間違えないようにしよう」と思って。それを調べていったんだけども、やっぱりDJ松永はちゃんと間違えたの。

(高橋みなみ)なんでだよ!(笑)。

(朝井リョウ)でも、その時になんか、間違えた方がさ、話になるじゃん? 話になるし、西さんみたいに人の世話を焼くのが好きな人が言いたいじゃん。「いやいや、こっちだよ」って。それで、ちゃんと間違えて来たんですよ。で、本当に私はそういうことを思いながらね、人間ドックを受けてて。それでなんで一緒に行ったかっていうと、「やっぱり割と時間がかかる。でも友達と行くと待ち時間もおしゃべりができて楽しいよ」っていうのを聞いて。「たしかに」と思って。で、一緒に受付をして、2人で検査着に着替えて。隣の個室で検尿をして。

(高橋みなみ)それも?(笑)。

(朝井リョウ)そうです。隣の個室で検尿をして。それで……ぜひ、DJ松永の絵を書くのが好きな人は、これから話すこの状況のイラストになっているDJ松永が見たいので、書いて「#ヨブンのこと」のハッシュタグをつけてください。回収しに行きますから。で、1人ずつ番号を呼ばれて……まあ、連番だからさ。連続して呼ばれて行ったんですけども。一番はじめに結構まとめて……採血して、胸のなんかスキャンみたいなのを撮って。ゼリーみたいなのを塗られて、あちこちを揉まれて……みたいなこととか。結構4個、5個、バーッとやったの。で、そこから待合室に戻ってきたら、DJ松永がいなくて。そこからもうずっと、なかなか会わなかったの。

(高橋みなみ)ああ、ずれちゃったんだね。

(朝井リョウ)そう。「せっかく一緒に来たのに。それで連番なのに、なかなか会わないな」と思って。で、結構いろんなことを終えたら、また待合室で再会することができたんですよ。それで「せっかく一緒に来たのに、結局バラバラになっちゃった」と思ったら、DJ松永から「なにをした?」って言われて。「ええと、これとこれとこれと……」って言って。「採血した?」って言われて。「ああ、した、した。採血した?」って言って。そしたら「うん。採血した後に、気を失って倒れたんだよね」って言われて(笑)。

(高橋みなみ)マジで?

(朝井リョウ)うん。採血後、彼は気を失って倒れていたんですね。

(高橋みなみ)だからずれたんだ(笑)。

(朝井リョウ)そう。でもさ、それを聞いた時に「素直だな!」と思って。だって血を抜かれて倒れるって、なかなかなくない?

(高橋みなみ)でも、たまにいらっしゃるっていうのは聞いたことありますけど。あ、その絵が見たいの?

「このDJ松永の絵を書いてほしい」(朝井リョウ)

(朝井リョウ)そう。書きたくならない? まずDJ松永が検査着を着ている。で、血を抜かれて倒れて。採血の後に倒れてしまった。その後も、胃カメラの時に彼は安定剤をちゃんと使っていて。それも素直じゃない? 怖いから安定剤を使うっていうのも素直じゃない? で、安定体を使った後だから、私は見えたんですけど。その胃カメラの部屋から出てきて、回復室と呼ばれるところに背中をさすられながら連れていかれるところを私は見たんですけども。

その安定剤が抜けるまで、ちょっと時間がかかるから。それを打った人は30分ぐらい横になるんだけど。なんか私は世界一のDJがペラッペラの検査着を着て。で、背中をさすられながら「回復室」って書かれてるところに入っていったのがすごくよかったの。で、これは自分だけが独り占めしていてはいけないなと思ったの。この素敵な映像を(笑)。

(高橋みなみ)素敵な映像か?(笑)。

(朝井リョウ)やっぱり世界一のDJがさ、猫背をさすられながらちょっと青白い顔で回復室に入れられていくのって、ちょっと面白いじゃない? これは皆さんに書いていただきたいなとか思って。そう。それでなんかいろんな場面を見て、やっぱり「素直である」っていうことがラジオが続くこともそうだし。人から愛されるということの本当に最大の条件なんだなっていうのはすごく私は感じました。

(高橋みなみ)でも病院って本当にいろんなものが丸裸になるね。

(朝井リョウ)いや、本当よ。本当に思いました。で、その「気を失った」って言われた時に驚きすぎてさ。「えっ!」っつって。「いや、気を失ったことなんて、人生でないよ?」って言ったら、「いや、本当だよね。俺も2回目」って言われて。「2回目なの!?」って思って。「すごいな」って思った。

(高橋みなみ)すごい。なんだろう? いいね。人柄がにじみ出ている。

(朝井リョウ)なんかいい思い出というか。本当に素直であるということが何よりも大事なんだなっていうことを学びました。で、まあ、ねえ。このラジオでいろいろと私のスープを飲んだりとか、サバ缶を食べたりとかしているっていろいろと言ってきましたけども、体脂肪、体重……最高記録でした。

(高橋みなみ)太ってたんかい……太ってたんかい!(笑)。

<書き起こしおわり>

DJ松永 人間ドックの採血で気を失った話
DJ松永さんが2021年1月19日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の中ではじめての人間ドック体験についてトーク。採血で気を失って倒れた話などをしていました。

投稿されたDJ松永の絵

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