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武田砂鉄 菅首相記者会見の「次の日程」を検証する

武田砂鉄 菅首相記者会見の「次の日程」を検証するアシタノカレッジ
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武田砂鉄さんが2021年1月15日放送のTBSラジオ『アシタノカレッジ』の中で2021年に入ってから3回行われた菅首相の記者会見についてトーク。まだ質問を求める記者がいるにも関わらず「次の日程がございますので」と会見を打ち切る中、その「次の日程」を検証していました。

(武田砂鉄)で、話は変わりまして。今日のお題は人が「次の予定、次の日程があります」と言った場合、どれくらいから「予定・日程」になるのかという、壮大な話ですね。だいたいオチが分かってる人もいると思いますけれども。どんな世界にもですね、「忙しい人」とは別に「やたらと忙しぶる人」っていうのがいまして。喫茶店なんかに行くと「いやー、もう最近、忙しくて!」って熱弁してる人っていますよね。その様子を見ながら「今、この時間に別のことができるんじゃないでしょうか?」っていう風に僕は意地悪なことを思うんですけれども。

まあ「忙しい」っていう基準は統一で設けられているわけでもないので。それぞれの中でお忙しいって思ってるんだったら、少しでも体を休める方法を探してほしいなと僕なんかは思うんですけれども。自分で主張するだけならまだいいんですけれども。この「俺の方が忙しい」みたいな主張をされるとですね、「お前の『忙しい』の主張に付き合ってる余裕なんてないほど、こっちは忙しいんだ!」っていう風に返したくなるんですけれども。これもまあなかなか不毛な議論でして。

僕の中の仮説で、このやたらと「忙しい」って主張してくる人は学生時代に試験の日になると「全然勉強やってねえ。朝までゲームやっちゃったけど……」って言いながら、そこそこ点取るやつっていうのがいましたけども。そういう人だったんじゃないかなという読みがありまして。これ、別に何のデータにも基づかない思い込みなんですけれども。そちらが今、置かれてる状況を力強く言われても、それを検証することはできないし、検証しようとも思わないんで。「とにかく忙しくて」って言われると、「こっちに時間を使わずに、どうぞ休んでください!」って思うんですけれども。

もうひとつ、ずっと曖昧な使われ方をしてるなと思ってきたのが「ちょっとこの後、予定があって……」っていう。その「予定」ってどれくらいからが予定なんだろうか?っていうことでして。これは「この後、別件が……」とか「この後の日程が……」っていうのも同じだと思うんですが。会社員時代に僕、上司から飲み会をしょっちゅう「ああ、ちょっとこの後、予定があって」っていう風に断ってたんですけれども。

その予定が実際にどんな予定だったかっていうと、家に帰ってテレビを見るとか。レンタルビデオを今日中に返さなくちゃいけないとか。終電に乗って帰るのが嫌だとか。そもそも夜の時間、一緒にいたくないとか、そういうひどい理由だったんですけれども。この「ちょっと予定があります」っていうのは意外と有効活用できまして。「えっ、どんな予定なの?」っていうのはあんまり聞かれないんですよね。

僕の少し上の先輩が上司からの飲みの誘いに「今日、見たいドラマがあります」っていう風に具体的に答えて断ったことがあったんですけれども。その上司はですね、もうずっとそのことを根に持っておりました。逆に言うと、「予定がありますので」っていう曖昧な言い訳っていうのは結構使える。言い訳としては結構古典的なんだけれども、その効力は失っていない。

で、もうお気づきの通り、自分が気になっているのはこのところ、菅さんの会見の場で耳にする「次の日程があります」っていうフレーズなですね。年始から立て続けに3回ほど、菅さんの会見を見ておりまして。「3回」っていうのが1月4日の年頭会見。7日の一都三県に緊急事態宣言を発出する会見。この間、13日。その緊急事態宣言を10都府県に拡大する会見。その3回とも、司会進行役の内閣広報官の方が「次の日程がございますので」と言って会見を打ち切ったんですね。

で、それぞれの会見の文字起こしを首相官邸のホームページで確認してみると、いずれもですね、「大変恐縮でございますが、次の日程がございますので会見の方はこちらで結ばさせていただきます」という風に言ってるんですね。

「次の日程がございますので……」と会見を打ち切る

(武田砂鉄)まあ、大変恐縮しながら次の日程を匂わせて会見を結ぶという流れなんですね。僕自身が「ちょっとこの後、予定があって……」とさんざん嘘をついてきた実感がありますので。この「次の日程」の連呼を聞いて、「これはどうも怪しいな? いつも自分がやってるやつだ」と思いまして。しかも、この記者の皆さんがまだ手を挙げている状況の中で会見を打ち切っているんで。本当に今回のこの緊急事態宣言によって「お店を畳もうか」って考える方もいらっしゃるかもしれないし。もしかしたら会社でクビを切るとか、そういうことが横行するかもしれない。

つまり、本当に「自分がこれからどうなるか分からない」と多くの人が心配している会見で、まだ質問をしたがっている記者がたくさんいるのに「次の日程があるから」ということで切り上げる。その日程がどれだけ大切な日程なのか、やっぱり気になってきますよね。

で、それぞれの首相動静っていうのを3日分、調べてきたんですけども。4日の会見後はどうだったかというと、午前11時から11時30分まで記者会見をした後、35分から50分まで藤井健志官房副長官補、和泉洋人首相補佐官、吉田学新型コロナウイルス感染症対策推進室長、厚生労働省の樽見英樹事務次官、福島靖正医務技監と打ち合わせをして、その後に午後5時7分に西村康稔経済再生担当相と会うまで予定がなかった。

7日の会見はどうだったか? 午後6時から6時53分まで記者会見。55分から7時19までさっき挙げた同じメンツで打ち合わせをした。その後、予定なし。議員宿舎に帰る。13日の会見後はどうだったか? 7時1分から7時41分まで記者会見。42分から57分までさっき挙げた同じメンツでまた打ち合わせをした。その後、議員宿舎に帰る。その後の予定はなかった。

(武田砂鉄)この「いつものメンツとの打ち合わせ」っていうのがそれぞれ会見終了から5分後、2分後、1分後に始まっているんで。会見場のすぐそばの会議室なんかでやっていたんだと思うんですけれども。これ、皆さんどうですかね? この「次の日程」にこの「いつものメンツの打ち合わせ」っていうのが入るのかどうか? これ、僕基準では次の日程というのに入らないじゃないかなと思うんですけれども。

いつものメンツでの打ち合わせは「次の日程」か?

となると、これは3回とも「次の日程なんていうものはなかった」ということになると思うんですよね。試しに、私のこの毎週金曜日の動静を首相動静風に書き起こしてみると……午後8時半、TBSラジオ入る。10時から11時54分まで生放送。11時55分から12時10分、TBSラジオ澤田大樹記者とアフタートーク。12時11分から12時25分、プロデューサー、ディレクター、作家らと打ち合わせ。12時30分、TBSを出る。これが金曜日の武田動静ですけども。

この12時11分から12時25分の打ち合わせって「次の日程」に入るかといえば、入らないと思うんですよね。要するに、本番の反省会的な役回りというんでしょうかね。補足打ち合わせの役割だと思うんですけれども。で、やっぱりこれが次の日程じゃないと考えると、やはりこの総理が言う「次の日程」っていうのは3回とも入ってこないんじゃないかなという風に思うんですよね。

で、「この次の日程があるから止める」と言った会見を調べてみたら次の日程がなかったって僕、これは結構なかなかすごいことじゃないかなと思うんですよね。これだけ全国民が注目している会見。そして、この国民との橋渡しをするべく記者の方たちからの問いが続いてるのをシャットアウトして、「次の日程が……」と言って出ていって。それで結果、毎回同じメンツで20分前後の打ち合わせをしているだけ。

今回のこの緊急事態宣言、町に出ている人が前回よりも減ってないというデータを前にして「もっと減らしてほしい」とか「ランチを自粛して」なんていうメッセージが政治家から出てきますけれども。なぜ、こんなに人々が言うことを聞かない状態が続きているかと言えば、いろんな理由がありますけれども。そのひとつに「いや、あなたたちはどうなの?」っていう、そういう事象が続いているからで。

最新の会見、13日の会見で話題になりましたけれども。最後に質問したジャーナリストの神保哲生さんが質問に入る前にこういう風に仰ってるんですね。「国民にいろいろ協力を求めるというお話をずっとされてきましたが、もうひとつ我々がぜひ知りたいのは、その間、一体政府は何をやってきたのか。国民に協力を求めるのはもちろん必要なのでしょうけれども、では政府は何をやっていたのか?」という風に話したですよね。

「国民に協力を求める前に、政府は何をやってきたのか?」


(武田砂鉄)先週末、テレビ朝日のニュース番組に菅さんがお出になって。アナウンサーが「総理も休み返上でコロナ対応に当たられてましたね。おせちなどを食べる時間はあったのでしょうか? 本当にお忙しい中、お越しいただきまして……」とおべんちゃらに励んでいて僕は本当にびっくりしたんですけれども。この「お忙しいでしょう?」って聞くのは別にメディアの仕事ではなくて、それは本当に喫茶店で忙しぶりたい人にその相手がすることでして。

今、これだけこちらに多くの協力を要請してくる人たちが一体どういうことをしてきたのか? しているのか? しようとしてるのか?っていうのをこちらこそを監視する必要があると思うんですが。繰り返すけれども、本当に「次の日程」というものがなかったわけですからね。今日は1月15日ということで。1年前の今日、ちょうどこの日本で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された日にあたるのですが。まだまだしんどい日々が続きそうですけれども。

このアベノマスク、プレミアムフライデーの定点観測に加えて、この会見で放たれる「次の日程があるので」の日程は本当にあるのか? これを確認するルーティンが今年は加わりましたので。この3本柱で今年も本当に忙しくなりそうだなという風に思っております。

武田砂鉄 アベノマスクと二度目の緊急事態宣言を語る
武田砂鉄さんが2021年1月15日放送のTBSラジオ『アシタノカレッジ』の中で新型コロナウイルス感染拡大により二度目の緊急事態宣言が発令される中でアベノマスクについて話していました。

(中略)

(武田砂鉄)メールです。「菅さんの『次の予定がある』の件について、『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけが自分の左腕でペンで書いている腕時計をちらっと見て『いやー、オラ、忙しいから』と言っているおかしさをつい思い出してしまいます」。

やっぱり野原しんのすけっていうのは非常に批評性のある人ですね。たしかにでも、あれはほぼそれと同じことやってるじゃないかなと思いますよ。だって「次の日程があります」って言って翌朝、新聞に載る首相動静を見たら特に何もしてないわけですからね。だからまあ菅さんも野原しんのすけにならって、左上にペンで腕時計を書いてみるっていうのもなかなか粋なもんかもしれませんけれどもね。

<書き起こしおわり>

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