JUNK宮嵜守史P ハライチ岩井にラジオの可能性を感じた瞬間を語る

JUNK宮嵜守史P ハライチ岩井にラジオの可能性を感じた瞬間を語る アシタノカレッジ

JUNK統括プロデューサーの宮嵜守史さんが2023年3月24日放送のTBSラジオ『アシタノカレッジ』に出演。ハライチ岩井さんにラジオパーソナリティーとしての可能性を感じた瞬間について、話していました。

(宮嵜守史)でも芸人さんのラジオ番組は、やっぱり多いなって思います。僕も。多いと思います。

(武田砂鉄)多いけど、その多さを作ってる張本人という……。

(宮嵜守史)多さを……(笑)。

(武田砂鉄)まあ、でもそれはもちろん、僕も芸人さんとこういう場じゃなくて、いろんなイベントとかでお会いしても、芸人さんたちのその機転の利く感じいいましょうかね。それは、こういう風に話していて、次に繋げる話の選択肢が三つある時に、その最適のひとつを選び続ける感じっていうのは自分のような同業者とか、評論家、ジャーナリストとは全然違う能力があるから。それはやっぱり、当然だけどラジオに向いてる人が多いんだろうなというのは、思うことはありますけどね。

(宮嵜守史)思います。その能力プラス、「お笑い芸人」っていうその肩書きのハードルの具合とか。そういったところも人になじみやすいっていうんですかね? 聞く人があんまり身構えずにというか、聞けるっていうところはあるのかもしれないですね。

(武田砂鉄)でも、芸人さんって本当たくさん出てきて。たくさんいろんな人がブレークをして。その方たちの多くがラジオ番組をやるか、やりたいかっていう意思を見せると思うんですけど。宮嵜さん、それを判断する側でもあるわけじゃないですか。「この芸人さんでラジオをやりたい」って思う芸人さんの特徴というのか、傾向みたいなものっていうのは、これまで20年ぐらい見てきて、なにか気付くところって、ありますか?

「この人と一緒にラジオやりたい」

(宮嵜守史)そうですね。僕が結局、「この人と一緒にラジオやりたい」って思って成立できたのって、ハライチだけなんですよ。あとはもう既存の番組だったりとか、局が決めたりとか、その当時のプロデューサーが決めたっていう番組をやっているっていうだけなので。もう最初から、ラジオもやってない状態で、その人に惚れ込んで、「いつかラジオをやろう」って本人たちに言っていって。で、番組を持っててっていう。そのゼロからその最初の1まで行けたのは、ハライチだけなんですよね。経歴から言うと。

(武田砂鉄)なんでそのゼロの時に、それを1に持っていこうっていうことを考えたのは……そのゼロの時点で何を、あのお二人に思ったんですか?

(宮嵜守史)まず、ネタライブでネタを見て、面白かったんですね。それで「こういうネタを考えられるって、すごいな」って思って。それでその後、本人たちと話すようになって。それで話した時に、岩井くんとアニメの話をしたんですね。その時に、僕が見ていないアニメに関しての岩井くんの説明が、とってもフィットしたというか。なんて言うんでしょうね? 説明しながら、こちらがそのアニメを見たくなる話し方っていうか、伝え方だったので。「ああ、彼はラジオをやったら、すごく面白いんじゃないかな」って思って。そこからもうずっと、「いつかラジオをやろうね」って言って、お付き合いを……。

(武田砂鉄)まあ、僕も『TBSラジオ公式読本』であのお二人にインタビューしましたけど。むしろ澤部さんの方がすごくラジオが好きで。で、岩井さんはあんまりラジオは聞いてこなかったっていう。でもたぶん今、実際に『ハライチのターン!』を聞いてると、ともすれば岩井さんの方が非常にラジオ玄人というか、そういう感覚を受けますけど。それが逆というのもまた、おもしろいですね。

(宮嵜守史)そうですね。面白いです。しかも、岩井くんがラジオをあまり聞いてなかったっていうのがむしろ、よかったのかなとも思いますし。先ほど、武田さんがおっしゃった『公式読本』で、その「初めて聞いた人でもわかるように」っていうのは、僕がずっと岩井くんにラジオを始めるにあたって「新宿駅の駅前で、誰も知らない人が行き交う中で話をするという感じにしてほしい」って言っていて。

トークライブに来たお客さんは、ハライチのことも知ってるし、ハライチがそれぞれどういうキャラクターかも知っていて、そこにハライチ目当てで来てるお客さんだから、そこでどんな話をしても興味を持ってくれるし、面白く感じてくれる。だけどラジオっていうのは不特定多数に電波を通して話を届けるものだから、トークライブとは違う。

新宿駅でも、どこの駅でもいいんですけど。駅じゃなくてもいいんですけど。街中で行き交う人たちに、その中の1人でもいいから足を止めてもらって、「何を話してるんだろう?」って興味を持って聞いてもらう。それが、僕の中ではラジオの最初のやるべきことというか。考え方の第1歩目っていうか。そういう感じがあったので。で、その参考にしてほしいなと思って。「伊集院さんの番組とか、安住さんの番組を聞いてみて」って言ったら、岩井くんはそこから毎週、『深夜の馬鹿力』は聞いてくれていて。

参考にする番組は『深夜の馬鹿力』と『日曜天国』

(宮嵜守史)で、あれって伊集院さんはかならず「今、俺の前で笑ってくれている構成のワタナベくんが……」とか「ガラスの向こうにいるミキサーのオカベさんが……」とか。そういうのをちゃんと言っていて。だから、その回から聞いた人も、一応わかるというか。ちゃんと過不足ない説明を加えて話をするので。僕はやっぱりそれだよなって、ずっと個人的には思っているので。

(武田砂鉄)そうですよね。そう思って、伊集院さんのラジオを聞いてみると、本当にもちろん頭の雑談から入るんだけれど。どこかに、その見える光景の設計とか、行った場所とか、やったことの前提みたいなものを、きちっとたぶん時間を設けて、一度構築してから話しいてるっていうところはありますよね。

(宮嵜守史)なので、たぶんリスナーそれぞれが思い描いてる映像は違うかもしれないんですけれども。まずその映像を頭の中に描いてもらうっていう作業が1回、必要っていうか。そうしないと、いきなり固有名詞を言って、そのまま続けるっていうのは、リスナーの人によってはもう、その人がすごい好きで、面白いから聞き続けていて。なんとなく、その情報を自分でたどっててはいピースを繋げて。

「ああ、この人っていうのは、この番組では放送作家っていう仕事をしていて、こういうドジなところがある人なんだ」っていうのを毎回聞き続けて、その人に対しての情報をちょっとずつちょっとずつ繋いでいって。「ああ、この人はこういう人なんだ」っていうのがわかった時に、そこに喜びを感じるっていうリスナーもいるとは思うんですね。

むしろ昔って、そういうスタイルだったりする番組も多くあったと思うんです。僕がリスナーとして聞いてた時には。そこの、毎週聞いてもらう、聞いて繋げていくっていう、なんていうんでしょう? そういう作業を厭わないというか。そこまでの魅力がたぶん、そのしゃべり手の人にあったから。だからそこまでやってでも、聞いていたいって思わせる人だったりするかもしれないですけど。

<書き起こしおわり>

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