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町山智浩 2020年アメリカ大統領選挙・敗色濃厚のトランプ氏の戦略を語る

町山智浩 2020年アメリカ大統領選挙・敗色濃厚のトランプ氏の戦略を語る ABCラジオ
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町山智浩さんが2020年11月5日放送のABC『おはようパーソナリティ道上洋三です。』に出演。投票が終了し、開票が進む2020年のアメリカ大統領選挙の情勢について話し、ジョー・バイデン氏が僅差で勝利しそうなこと、敗色濃厚のドナルド・トランプ氏が今後取るであろう戦略を紹介していました。(※日本時間2020年11月5日朝の時点での情報です)

(道上洋三)さあ、アメリカ大統領選挙の投票が終わりました。結果についてアメリカ在住のコラムニスト町山智浩さんに伺います。町山さん、おはようございます。

(町山智浩)おはようございます。

(道上洋三)そちらは夜遅くですね?

(町山智浩)今、6時ぐらいです。僕は今、ワシントンDCというところにいまして。首都なんですが。ホワイトハウスのすぐ横のホテルに泊まっていますんで。時間的にはこちらは夜の6時です。

(道上洋三)ワシントンの様子はどうです?

(町山智浩)まあだいたい今回、トランプ大統領の敗戦が決まったということで、ホワイトハウスの前の通りはBlack Lives Matter通りという名前になったんですけれども。そこには若者たちが集まって今、お祭りをしているという状態です。

(道上洋三)「トランプさんが負けた」っていう街の雰囲気ですか?

(町山智浩)そうですね。先ほど、ミシガン州におけるそのジョー・バイデンさんの勝利が決まったので。まだ決まっていない州が4つ、あるんですけれども。勝敗が決まっていない州。それがネバダ、ペンシルバニア、ノースカロライナ、ジョージアの4つなんですが。このうちのどれかひとつを取ればバイデンさんの勝利が決まるということで。(野球の優勝の)マジックナンバーが出た形になっています。

(道上洋三)そうなんですか。

(町山智浩)それで今、ジョー・バイデンさんが取ったポイント数……これは「選挙人数」というんですが。それが「264」なんですね。それで「270」を取れば勝ちですので。だからあと「6」取ればいいんですよ。で、最も少ないネバダ州が6なので。それでネバダ州……ラスベガスがある州ですが、そこで今、優勢なんですね。そこを取ったら270ポイントでバイデンさんの勝利が決定するんです。非常に僅差です。

(道上洋三)なるほど。これ、1908年以来の高い投票率になっている今回の選挙ですが、今も仰ったようにバイデンさんリード。「もう勝つな」っていう風になったようですけど、実は今朝早く、私が受け取ったニュースは「トランプ大統領が勝利宣言をした」というニュースも入ってるんですが?

(町山智浩)トランプ大統領はこちらの時間の昨日の夜に勝利宣言をしました。ところが、その後に各州の都市部……大都市周辺の票の集計が始まったところ、いくつかの州で逆転が起こりまして。それで現在のようなジョー・バイデンさんの勝利が決まりかけているという形になっています。

(道上洋三)これ、今もちょっと大統領選挙のシステムを不勉強ながらやってみたんですけど。なかなかよくわからないのと、今回は郵便投票が随分多い。期日前投票と郵便投票が1億票ぐらいあると言われているんですが。「不正があるではないか?」という危惧もあるということなんですが、選挙人に選ばれた人で、トランプに入れなくてはいけない人がトランプに入れないとか。あるいは逆にバイデンに入れなくてはいけない人がバイデンに入れないかもしれないという、そういう疑惑もあるそうなんですが。そんなことはあるんですか?

(町山智浩)いや、実際の選挙人の投票というのはこのだいぶ後に行われることですから。それは現在の段階では関係がないです。で、その選挙人というのは基本的に各州の投票で多数決で勝った方の大統領候補に投票するというのが決まりです。そしてその選挙人の名前は全て明らかになっているので、誰がその決まりと異なる投票をしたのか?っていうのはすぐにわかってしまうんですね。

(道上洋三)じゃあ、今の段階でバイデン氏が大きくリードしてもう勝ちそうだということなんですけれど。トランプさんは何かコメントを発表してますか?

(町山智浩)問題はバイデンさんが「大きくリードしていない」ということなんですよ。バイデンさんは「270」という最低限のポイントで勝ちそうなんです。つまり、270以上を取れば勝ちなんですが、270ぴったりなんですよ。270を取れば勝つんですが、その最低ポイントで勝つという形になりそうなんです。270で勝ちなんですが、270しかバイデンさんは取れない可能性が高いんです。

(道上洋三)ネバダ以外の州はダメなんですか?

(町山智浩)よその州はたぶん負けます。(※日本時間11月5日朝の状況です)。だから、270で勝ちは勝ちなんですが、それは最低限のポイントなんです。

(道上洋三)すると、どうなりますか?

(町山智浩)それでまた各州の票差がすごく小さいです。たとえば今、問題になってるそのネバダ州でなかなか数字が出てこないというのは、ネバダ州でバイデンさんが現在のところ取っている票数が58万8000票なんですよ。それに対してトランプさんが取っているのは58万票なんですよ。わずか8000票の差です。で、他の州もこのぐらいなんですよ。だからパーセンテージにするとその差は1パーセント以下だったりするんですよ。

たとえばミシガン州だとバイデンさんが取っているのは49.9パーセントで、トランプさんが48.6パーセントですから、ほとんど差がないですよね。1.3パーセントぐらいかな? それがほとんど、かなりの州でそのような状況で。ウィスコンシン州とか他の州でもそういう1パーセント前後の差なんです。それは票数にすると3票以下の差になりつつあるんですね。ミシガン州は1.3パーセントの差だし、ウィスコンシン州も票差がバイデンさんが163万票でトランプさんが161万票。差は2万票なんです。

だからトランプ大統領はその差が少ないウィスコンシン州とミシガン州に対して、「ここで何らかの不正があったとするならば自分に勝てるチャンスがある」と考えて訴訟をしてしまっています。すでに。提訴をしました。「何らかの不正があった」ということで、とりあえず提訴だけして、後から証拠固めをするという方針のようです。そして、票の数え直しを要求する。ミシガンに対してはこれ以上の票の集計をストップするように言っているんですね。

(道上洋三)これ、郵便投票とか期日前投票の分も全部、票は開いたんですか?

(町山智浩)どこも99パーセント、開いています。で、郵便投票した人たちというのは、ずっとトランプ大統領が「郵便投票はインチキだ、インチキだ」と言っていたので、共和党支持の人はあまり郵便投票をしていません。民主党支持の人たちが郵便投票をしていて。それで郵便投票に関しては集計が遅れたので、その結果、バイデンさんの票が後半で伸びたんですね。

あと、もうひとつは大都会……人口の多い大都会は数が多い分、集計が大変なので。そのために後から結果が出てきたんですが。アメリカが基本的に大都市はほとんど民主党支持なんですよ。それは南部の州だろうが、カリフォルニア州だろうがニューヨーク州だろうが、大都市は民主党支持。そしてアメリカ中のどこに行っても田舎は共和党支持なんですよ。共和党支持の方が人口が少ないところなので先に票の集計の結果が出る。だから序盤は共和党がリードしているように見えて、それを民主党が後から追い上げるという形になったんですね。今回は。

序盤でトランプがリードした理由

(町山智浩)それでトランプ大統領は先にその共和党支持の田舎の方の票が出た段階で勝利宣言をして。その後にバイデン票が追い上げて。しかも僅差なので、提訴をすることで最高裁に判断を仰ごうという風に言っています。それで最高裁に上がると、最高裁判事は現在、共和党が任命した判事が全体の9人の中で6人なんですよ。それでトランプさん自身がその中の判事を3人、指名していますので。最高裁はトランプさんの味方だろうという。だから「最高裁に持っていけば勝てる」と見込んでいるのだろうという状態ですね。

(道上洋三)これ、選挙の直前に女性の最高裁判事を選んで。トランプ寄りではないか?っていう人を選んだという一幕もありましたね。「『裁判に持ち込んで勝ちにしたい』という見込みであの判事を指名したんじゃないか?」と言われていたんですが。その通りになりそうですか?

(町山智浩)エイミー・コニー・バレットさんという最高裁判事は「トランプ大統領に選ばれたから、あなたは選挙の後にトランプ大統領に有利な裁定をするんじゃないですか?」と上院議会の司法委員会で質問されたんですけれども、彼女はそれに対してはっきりとは答えなかったです。「ノー」とは言わなかったですね。「私は法律に従うだけです」と言って、それ以上のことは言わなかったんですが、非常にその可能性は高い。

それでこれには前例があります。2000年の選挙でブッシュ大統領とゴア副大統領がフロリダですごい僅差になったんですね。300票差ぐらいでブッシュさんの勝ちになったんですね。それに対してゴアさんが票の数え直しを要求したですが、それに対して「数え直しは不当である」としてブッシュさん側が最高裁に持っていきまして。その時、共和党側の最高裁判事の方が人数が多かったので。多数決で「数え直しはしない」ということになってブッシュ大統領の勝利が決まるということがありました。

今回もですね、全体の得票数はバイデンさんの方が300万票ぐらい多いですね。全体では。前回の大統領選挙でもヒラリー・クリントンさんの方がドナルド・トランプさんよりも300万票、多かったんですよ。今回も全く同じで、民主党の方が300万票……票数としては多いですね。

(道上洋三)でも、逆転の可能性もあるっていうのはそれは三権分立できっちりやるというか、アメリカでは「小さい州でも票になるように」っていう形でこういう選挙制度にしたんですけれども。それを裁判をひっくり返してということになると、権力者のやりたい放題じゃないか?っていう風に見られかねませんが。うちのアシスタントのあみが「トランプとバイデン以外に選べないの?」という風な疑問を持っていたんですが。たとえばカニエ・ウェストっていうラッパーが立候補していたり。そういうのはもうないんですか?

(町山智浩)いや、選べますよ。いっぱい候補者の名前は投票用紙に載っていますよ。

(道上洋三)そうなんですか。それは要するに、あまり報じられてないから「2人だけ」みたいに言われてるんですね?

(町山智浩)まあもともと、アメリカの二大政党制ってのはいろんな考えを持ったバラバラの人たちがそれぞれの政党にいるんですよ。だから本当はどんな考えを持っていても、どっちかに入ればいいんですよ。だから民主党の中には民主党じゃない人もいるんです。たとえばバーニー・サンダースさんという人は民主党員ではないんです。でも、民主党から立候補して大統領選に出ましたよね? 予備選に出ていましたよね? あの人は民主党員ではないんですよ。

民主党の大統領予備選に出るために、一時的に民主党員になっただけで、あの人は完全にインディペンデント、無党派の社会主義者なんです。そういうことが可能なんですね。だから別に民主党と共和党のどっちにも入らなくてもいいから、本当に大統領になりたいと思ったら民主党や共和党の予備選に参加すればいいんですよ。トランプさんもそうでした。トランプさんも共和党員ではありませんでしたから。

(道上洋三)ああ、そう仰っていましたよね。なるほど。

(町山智浩)だから他にもいっぱいいろんな考えを持った人がいるんだけど、本当に選挙に勝ちたかったら民主党か共和党のどちらかから立候補するという形なんですよ。日本だってそうじゃないですか。本当に勝ちたい人は政党から公認をもらうじゃないですか。それと同じことですね。

(道上洋三)なるほど。それで今回、アメリカ大統領選挙でアメリカ社会の分断っていうのが浮き彫りになったっていう風に見えるんですけど。日本でもQアノンとかディープステートっていう言葉が報じられてますが。アメリカ社会ではこれは本当にちょっと……特に黒人の人なんかかなり強烈になってるし。スパニッシュも黙ってられないしっていうようなことになっているんじゃないですか?

(町山智浩)トランプ大統領を支持する黒人の人とかヒスパニック……メキシコ系の人も多いことは多いんですよ。だから人種的にきっちり分かれるというよりは、非常に考え方の分裂も大きいですね。だからものすごい極右暴力集団と言われているプラウドボーイズという人たちがいて。Black Lives Matterの人たちに殴り込みをして、棍棒で殴ったりしている人たちのところに昨日の夜に取材に行って。それで飲んだんですけど。

(町山智浩)で、話すと、「ちょっとした暴力ぐらいはいいよね」みたいな人なんですね。それで彼らは「リベラルな社会……助け合いとか福祉よりも、強いものが強く勝てる社会がいい」という考え方なんですよ。「貧しい者を救ったりとか、そういうことをやっているからダメになるんだ」という考え方で。だからそのプラウドボーイズのリーダーの彼は黒人でしたよ。キューバ系の人でした。それで共産主義によってキューバは共産主義化したのでアメリカに逃げてきた人がお父さんなんですよ。

だから「共産主義、社会主義を憎んでいるからトランプ大統領を支持する」という黒人の人でしたけどね。ただ、分断が進んでいるなと思うのは、その彼はBlack Lives Matterの人に殴られたか刺されたかしているので。やっぱりそういう、アメリカ人同士が殴ったり刺したり殺し合ったりする状態になっちゃって。それはトランプ大統領以前にはなかったことなんで。すごく分断を煽ったんだなと思いますね。

(道上洋三)そうですか。で、いよいよこれ、結果なんですけど。ということはトランプさん、勝つか負けるか分かりませんが。とりあえずこれ、負けたとして……。

(町山智浩)だから数字的にはジョー・バイデンさんの勝ちなんですよ。ただ、トランプさんはそれに対して負けを認めないんですね。で、大統領選挙というのはいつも、どっちか負けた方が負けを認めて終わるということになっているんですよ。それは大統領選挙の伝統なんです。で、それをしなかった人っていうのはゴアさんがそうだったですね。ブッシュさんと戦った時にね。それに続いて2人目ぐらいになるのかな? 滅多にないことなんですね。

(道上洋三)それで結局、この間仰ったようにやっぱり裁判になって。その裁判の決着で大統領が決まるっていうことになりそうなんですね?

法廷闘争とタイムリミット

(町山智浩)そうですね。ただ裁判では各州ごとの問題なので。ミシガン州とウィスコンシン州の票を数え直すか、投票をやり直すかみたいな事態になっていくんですけれども。ただ、大統領選挙にはタイムリミットがありますので。そんなことを悠長にやっている暇はないので、最終的には1月20日には絶対に決着することになっています。

(道上洋三)そうですか。ということは、流れから行って裁判になっても間に合わないっていうことで。票差はそんなにあるけど、その結果としては前と同じで「トランプさんの勝利」っていうことになりそうなんですか?

(町山智浩)そうはならないと思います。ウィスコンシン州とミシガン州の部分で「不正だ」と言われても、なにが不正だかはわからない。証拠がないから。それでアメリカの選挙のシステムでは不正はほとんど起らないです。というのは、投票をする時に名前を書くんですよ。で、それはレジスターと言って有権者登録をした時にした名前のサインと同じサインでないといけないんですよ。そのサインが一致するのかどうか、1票1票、全部筆跡を調べるんですよ。だから、すごいこれは時間がかかっているんです。

(道上洋三)なるほど。

(町山智浩)しかも、自分が投票したらその投票したものが集計されてカウントされたということが、今はネット上で確認できるようになっています。だから自分の投票した票がどこかに行ってしまったということはほとんどないんですよ。

(道上洋三)ということは、このままで結果が出ると、裁判になったとしても、バイデンさんが次の大統領になる可能性が高い?

(町山智浩)その可能性の方が高いですね。これで最高裁が「トランプさんの勝ち」っていう風にしてしまった場合は、大変なことになると思います。憲政上、要するには証拠が明確にない投票に関して、それを不正という風に最高裁が判断したということになってしまうので。それも大問題で。だからすごくアメリカは大変な事態になってきているんですよ。でも、とにかくタイムリミットがあるので。それをグズグズやっていると1月20日には自動的に下院議員の民主党のナンシー・ペロシさんが大統領代行となります。

(道上洋三)そうなんですか。

(町山智浩)そうすると、今度は下院で投票することになります。今、下院では今回の選挙で民主党が優勢なので、その段階で下院で投票して大統領を決める。これは憲法によって決められていることなんですね。そうすると、今度は民主党の誰かが大統領になるんですよ。という、非常に複雑でややこしい、前代未聞な状況なので。過去に例がないので、なかなか難しい状態になっています。

(道上洋三)そうですか。そうなりましたらまた、解説をお願いします。

(町山智浩)そうですね、はい(笑)。でも誰も知らない世界に突入してますので。

(道上洋三)ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どうもありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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