石山蓮華とでか美ちゃん『人間の境界』を語る

町山智浩『人間の境界』を語る こねくと

石山蓮華さんとでか美ちゃんさんが2024年4月30日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『人間の境界』について話していました。

(でか美ちゃん)映画の話の前に、町山さんからの結婚祝いを受け取りまして。本当にありがとうございます。

(町山智浩)ああ、すいません!

(石山蓮華)町山さんが画面の向こうで頭を抱えてらっしゃる(笑)。

(でか美ちゃん)お菓子とか、鶏さんの形をしたワインオープナーとか、カップもいただいて。本当にありがとうございます!

(町山智浩)そんな子供の誕生祝いみたいなものを(笑)。

(石山蓮華)すごい素敵なペアカップですね。

(町山智浩)本当はね、ビーフジャーキーセットを買って送ろうとしたんですけど。今、日本ってアメリカの牛肉を輸入できないらしいんですよ。

(でか美ちゃん)ああ、そうなんですね。そうそう。「じゃあ、なにかリクエストして」って言っていただいたんで。私から「すいません。恐縮ですけど町山さんが普段、食べてるようなおつまみとか、食べてみたいです」っていうのを言ったら……でも、そのビーフジャーキーがダメだったってことで、ポップコーンのかわいいのとかを。

(町山智浩)そう。自分が好きなビーフジャーキーを送ろうとしたら、断られたんで。すいません。それね、送るのにね、中身より送料の方がかかってますよ(笑)。今度、ちゃんとおごったりして埋め合わせをしますね(笑)。

(でか美ちゃん)いや、本当に嬉しいです。たくさんいただきました。ありがとうございます。

(石山蓮華)映画セットもぴったりですね。

(でか美ちゃん)家で見るのにね。

(石山蓮華)じゃあご夫妻でぜひ、楽しんでください。ということで先週は町山さんにポーランドとベラルーシの国境で人間の兵器として扱われる難民家族の過酷な運命を描いた『人間の境界』という映画をご紹介いただきました。でか美ちゃんも私、石山も見てきまして。

(でか美ちゃん)公開はね、5月3日(金)なんですけど、ちょっと一足先に試写で拝見しまして。

(石山蓮華)つらかったですね。

(でか美ちゃん)いや、すごいつらい映画で。なんか試写っていう環境で見てると正直、自分のタイミングで止められるは止められるから。「ああ、ちょっとしんどすぎるな」って思った場面が私はすごいあったんですけど。「いや、見なきゃ」と思ってもちろん、最後まで見て。ただなんか、映画っていう作品として見た時に、難民の人を兵器として送り込むっていう、ものすごい非道なやり方を……。

(町山智浩)これ、本当にやってるんですよね。

難民を兵器として送り込むベラルーシ

(でか美ちゃん)難民の視点と……その視点ごとに四つ、場面が切り替わって。活動家と、国境警備隊の隊員さんとっていうので。なんか、その見やすさみたいなのをすごい意識してきっと作られたんだろうなって思ったんで。なんかそこの構成のわかりやすさとかからも、どれだけ監督が「このことを絶対に伝えなくちゃいけない」って思ってるのかとか、すごい伝わってきて。なんか、大ヒット映画ってなるタイプではないかもしれないけど。日本では。でも、必ず見てほしいなと思いましたね。

(町山智浩)そうですね。それぞれの立場があるんだっていうことをちゃんと描いていて。難民の人だけに寄り添ったりとか、それを排除する人だけにっていうんじゃなくて。全員の立場をそれぞれ……「仕方なく、あるんだ」というのもちゃんと見せていますんで。クルド系の人とアフガンの人とシリアの難民の人たちが来るんですけれども。足とか、ボロボロになっちゃうのね。

(でか美ちゃん)そうなんですよ。

(町山智浩)国境のところ、ポーランドとベラルーシの国境を行ったり来たりさせて。でも最初、ベラルーシは飛行機までチャーターして。すごくいいことがありますよっていうので。みんな、「助かるんだ」と思ってベラルーシに行くと……。

(石山蓮華)ねえ。本当にうやうやしく扱ってもらって。その人たちをこんな目に?っていうことが本当に起こってるんだって。劇映画ですけど、これが本当に起っているんだっていうので。

(町山智浩)あれは本当に起こったことですよ。難民をいろんなところから連れてきて。隣国のポーランドに嫌がらせでベラルーシが送ったんですよ。「そんなこと、する?」っていうね。

(でか美ちゃん)なんか『オッペンハイマー』の時にもすごい感じたんですけど。やっぱり戦争っていうものとか、国同士の外交的な部分でいろんなことが悪い方へ悪い方へって始まっちゃった時に、「そこに加担したくない」とか思っていても、本当にその上層部というか、本当にごく一部の人たちの「戦争して得をしたい」っていう人たちのものに巻き込まれてしまうんだっていう。あの国境警備隊の人も、心を痛めながら、でも仕事をするしかなくてしてるという人の視点とか一番、正直感情移入しやすかったんですけど。自分は。

苦悩する国境警備隊員

(町山智浩)そうなんですよ。彼がね、すごくつらくて。自分がやってることが。難民を送り返すっていうことがね。で、もうギリギリのところで彼が「何かできるだろうか?」って悩むところがね。この映画は一番、彼に寄り添ってるんじゃないかなって。そういう人がいっぱいいると思うんですよ。でも、やれることはあるよっていうね。

(石山蓮華)そうなんですよね。やっぱり、この作品の中でリベラルとして、その市民のメッセージ……署名をするとかっていう活動はするけれど、実際に動き出せないみたいなキャラクターが1人いて。そこに対する「本当にそれだけでいいんですか?」っていうことのメッセージもすごく感じましたし。じゃあ、何ができるのか?っていうことを考えるために、まずこの『人間の境界』は見た方がいいなと本当に痛感しましたね。

(町山智浩)難民を武器として使うっていうね。難民を敵国にぶつけていくっていう。でも、それを武器にしない方法というのがあって。それは、難民の人たちを人間として扱うことなんですよね。人間だと思ってないから「嫌だ、嫌だ。こっちに来るな!」ってやっているから、武器になっちゃうわけで。「いや、人間として扱えばいいんじゃないの?」っていうことをちゃんと示してる映画なんで。これ、日本語タイトルはいいなと思いますね。

(石山蓮華)『人間の境界』は今週5月3日(金)公開です。ぜひご覧ください。

<書き起こしおわり>

町山智浩『人間の境界』を語る
町山智浩さんが2024年4月23日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『人間の境界』について話していました。
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