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町山智浩『マ・レイニーのブラックボトム』『あの夜、マイアミで』『Judas and the Black Messiah』を語る

町山智浩『マ・レイニーのブラックボトム』『あの夜、マイアミで』『Judas and the Black Messiah』を語る たまむすび
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町山智浩さんが2021年3月23日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でアカデミー賞にノミネートされている3本の映画『マ・レイニーのブラックボトム』『あの夜、マイアミで』『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』を紹介していました。

(町山智浩)もうね、アメリカでは今、ワクチンが毎日250万以上接種が進んでいます。

(赤江珠緒)なんかどんどん加速してますね。

(町山智浩)はい。どんどん加速しています。だからアカデミー賞もですね、僕はすごく心配だったんですけど、ちゃんと会場でやることになりました。ただ、人数を50パーセントにしなきゃなんないので、2つの会場を書いて同時にやるっていう感じになりましたね。で、ちゃんとレッドカーペットでドレス着てっていうのもやるそうです。

(赤江珠緒)へー! ああ、そうですか。

(山里亮太)エンタメが徐々に復活してくる感じが。

(町山智浩)そうなんですよ。でね、アカデミー賞のノミネート作品が先週、発表されたんですが。この『たまむすび』で紹介した映画がかなり入いっています。『ノマドランド』『ミナリ』『シカゴ7裁判』。そういった作品がずらっと並んでるですけれども。

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(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)今日はですね、このアカデミー賞にノミネートさされた作品の中から3本、アメリカの黒人……アフリカ系アメリカ人の歴史的な実話を描いた3本の映画をちょっとまとめて紹介したいんですよ。というのはね、これ3本、実際にあった話なんですけども。それをある順番で見ていくと、現在に繋がっていく映画になってるんですね。ばらばらに作られているんですけど、ひとつの歴史的文脈があるので。それにしたがってちょっと話をしたいんですね。

『マ・レイニーのブラックボトム』

(町山智浩)で、まず最初は1920年代を舞台にした映画で『マ・レイニーのブラックボトム』という映画です。これはですね、1927年が舞台なんですけども。この頃、まだ黒人の音楽を白人が聞いてなかった時代の話ですね。マ・レイニーという人は実在の人物なんです。「ブルースの母」と言われている人なんですね。で、この頃のブルースというのは黒人しか聞いてなくて。南部の方の……今、曲がかかっているのかな?

(赤江珠緒)はい。かかっています。

(町山智浩)はい。これね、「ブラックボトム」っていうのはどういう意味かっていうと、2つ意味があるんですが。ある、シカゴの地域の名前で。そこで始まったダンスの形でもあるんですけど、もうひとつは「黒いおしり」っていう意味なんですね。で、黒人の女性のシンガーとダンサーがおしりをプリプリさせながら踊るんですけど。で、この頃はまだ、その南部の貧しい黒人たちが住んでるところをテントで回って、それを見せるという形でしかブルースというのは聞かれていなかった時代なんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、このレコーディングをするってことで……レコードがね、だんだん売れてきたんで。この頃、レイス・レコードと言って黒人相手だけに売るレコードを白人が作っていたんですよ。

(赤江珠緒)そうだったんだ。

(町山智浩)金を稼ごうとして。で、そのレコーディングをした1日の話なんですね。このマ・レイニーさんが。で、これはアカデミー賞ではヴィオラ・デイヴィスが主演女優賞候補となっております。このヴィオラ・デイヴィスさんはこれまでにアカデミー賞を2つ、取っているんで。『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』で主演女優賞。『フェンス』で助演女優賞を取っているもう大ベテランなんですけども。彼女はがこのマ・レイニーというブルースの母をですね、巨体の人なんで、特殊メイクで体重を増やして演じています。

ただ、この映画はですね、マ・レイニーという人がタイトルになっているので、その人が主役なのかと思っちゃうんですけども。実は本当の主役は違うんですよ。このレコーディングに参加するバンドのメンバーのトランペッターが主役なんですね。実際は。で、そのトランペットを演じるのはチャドウィック・ボーズマンという俳優さんで。この人はあのマーベルヒーローの『ブラックパンサー』の王子様を演じていた人です。

(赤江珠緒)ああ、あの、亡くなった方ですよね?

(町山智浩)この間、ガンで亡くなった方です。で、このチャドウィック・ボーズマンの遺作になるんですね。この『マ・レイニーのブラックボトム』は。で、彼もアカデミー主演男優賞候補に挙がっています。で、たぶん取ると言われてます。大本命です。というのはね、ものすごい演技なんですよ。その彼が。っていうのは今、聞いてもらってわかったと思うんですけども。すごく「ブルース」と言いながらも、ゆっくりじゃないですか。

(赤江珠緒)ちょっと牧歌的な感じがしましたね。

(町山智浩)牧歌的ですよね。それに対してこのトランペッターは「もっとガンガン、リズムを入れていこうよ」っていう人なんですよ。で、「ブルース」に「リズム」を入れていくとなにになるか?っていうと、「リズム&ブルース(R&B)」っていう風になるんですよ。で、チャドウィック・ボーズマンはそのことを言い出した男として出てくるんですね。実在の人物ではないんですけども。

で、「どうしてそういうことをするんだ?」って聞くと、「そうやってノリノリになれば、白人にも売れるじゃないか」って言うんですね。「つまり、黒人っていうのは人口は12パーセントしかいないので。だから白人に売れたら、ものすごいセールスになるだろう」って言うんですよ。そう言うとマ・レイニーさんに「私の歌、ブルースっていうのは黒人の悲しみとか、つらさとか、そういったことから出てきてるから。それは白人向けのノリノリの音楽にはしたくないよ」って言われちゃうんですよ。

(赤江珠緒)音楽的方向性が違うと。

(町山智浩)違うんですよ。で、そうやって「黒人の魂は売れない」って言われると、そのトランペッターが「いや、そんなことはわかっている。俺は母親を白人にレイプされて、父親を白人に殺されて。自分も白人にリンチされたんだ。俺が白人に音楽を売るっていうのは、復讐のためなんだ。それで売れて大成功したいんだ」って言うんですけども。その2人の対立を描いているのがこのマ『マ・レイニーのブラックボトム』なんですね。で、これがその次に紹介する映画に実は繋がってくるんですよ。で、この『マ・レイニーのブラックボトム』という映画はすでにNetflixで配信中で、日本でも見れます。

(赤江珠緒)そうですか。はい。

『あの夜、マイアミで』

(町山智浩)で、その次の映画というのはですね、『あの夜、マイアミで』という映画なんですね。これも、Amazon Primeで日本でも見れます。これは、その『マ・レイニーのブラックボトム』から37年後の1964年2月25日の1日を描いた映画なんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そんなピンポイントなんですね。

(町山智浩)この日、一体何があったかというと、後にモハメド・アリという名前になるボクサーのカシアス・クレイが世界チャンピオンになった日なんですよ。で、その時にマイアミで試合があって。世界チャンピオンになった後、みんなで打ち上げをした時の話なんですね。

(赤江珠緒)へー! うんうん。

(町山智浩)で、これは実話なんですけども。そこに後にモハメド・アリに改名することになるカシアス・クレイの友達が3人、来ていたんですね。で、その3人っていうのは、1人はマルコムXという人です。

(赤江珠緒)ああ、黒人解放運動の。

(町山智浩)そうです。黒人解放運動家のマルコムXが来ていて。で、彼はブラックムスリムという黒人解放を主張するイスラム系の団体の精神的なリーダーで、アジテーターで。それで、カシアス・クレイをモハメド・アリという名前に変えさせようとしているんですね。この時に。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)で、その他に集まったのはサム・クックという歌手なんです。今、後ろでかかっていますね。

(町山智浩)はい。これはサム・クックという人の『Wonderful World』という歌なんですけども。サム・クックは「ミスター・ソウル」って言われていたんですよ。さっき、ブルースの話をした時に「黒人のソウルは売れない」って言ってたんですけど、彼はそれを売って大成功してるんですよ。で、白人にも売れて。というか、もう全世界で売れて。人種を超えて、その黒人の音楽を大ヒットさせてる人なんですね。ここで繋がってくるんですよ。前の映画から。

(赤江珠緒)そうか。37年後には。

(町山智浩)ただ彼は……今、聞いた曲『Wonderful World』では「この世界は素晴らしい」っていう、非常にポジティブな歌を歌っていて。ブルースの悲しみとか、黒人の差別されてきた歴史とかはその中にあんまり出していなかったんですね。で、もう1人大物が出てくるんですけど。その人はジム・ブラウンという人です。この人はNFLのスーパースターなんですよ。フットボールの。で、次々と記録を破ってですね、やはりその白人にとってのスターにもなったんですね。当時。で、この人種を超えたスーパースターが1ヶ所に集まって、何をしたかは実は謎なんですよ。わからないんですよ。ホテルの部屋にいたので。それを想像して物語にしたのが『あの夜、マイアミで』というこの映画なんですね。

で、そこでの会話が、こういう会話なんですよ。マルコムXがこう言うんですよ。「君たちはスーパースターで、白人どころが世界中の人がみんな、君たちのファンだ。だったらその力を黒人の平等のために使ってくれないか?」って言うんですよ。で、「このカシアス・クレイくんはイスラム教に入って。これから私のためにいろいろやってくれるんだ。彼みたいなスーパースターが『差別はいけない』とか言ったら、それはみんなに響くだろう。世界中に届くだろう。君たちもやってくれないかね?」って言うんですよ。

(赤江珠緒)ほうほう。

(町山智浩)で、そのサム・クックに対してそういうことを言うと、サム・クックは「いや、俺はそういうことをすることで聞き手が限られちゃうから。今、俺はこれだけ売れてるんだから……だから、いいじゃないか」みたいなことを言うんですよ。このへんは想像の会話なんですけれども。それに対してマルコムXは「今はそういう時代じゃないんだ。これからは政治的なことを歌うことが大ヒットに繋がってくるんだよ」っていう風に言うんですよ。で、それはたしかにその通りで、もうビートルズが出てきている時代ですから。ボブ・ディランも出てきて。みんな、ガンガン政治的なことを歌い出す頃なんですね。「だからそれを歌っても全然、大ヒットに繋がるから」っていう風なことを言って説得する。

それで今度はジム・ブラウンに対して「君も、フットボールを一生懸命頑張っても、結局オーナーみんな白人じゃないか」って。その頃、NFLのチームのオーナーは白人ばかりなんですよ。「だから白人のために働かされる奴隷と同じだね」みたいな話をするんですけど。「だから、白人と戦えないか?」って言うとジム・ブラウンは「いや、俺、女だったら白人でもいいからな」とか言うんですよ(笑)。このジム・ブラウンっていう人は女好きでめちゃくちゃ有名な人なんですね(笑)。

(赤江珠緒)ああ、実際に。うんうん(笑)。

(町山智浩)で、いろんなトラブルも起こしている人なんですけど。だからあんまりノリが良くないんですよ。それで、マルコムXが焦っていくっていう話なんですけど。これは、この背景が1964年という時代なんですが。この頃、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が南部における人種差別、人種隔離と、南部における黒人の選挙権が剥奪されている状態を改善しようとして戦っていた真っ最中の、まさにその時の年なんですよ。1964年っていうのは。それで前に『たまむすび』でも紹介したかもしれないんですけれども。このマイアミの夜の後、キング牧師は行進をして。血だらけになりながら、選挙権を勝ち取るんですけどね。

町山智浩 キング牧師を描く映画『グローリー/明日への行進』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でマーティン・ルーサー・キング牧師の誹謗力闘争と血の日曜日事件を描いた映画『グローリー/明日への行進(原題:Selma)』を紹介していました。 ※映画紹介時には邦題が決まっていたかったので、原題...

(町山智浩)で、ところがマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師やもう殴られても蹴られても絶対、無抵抗を貫いたですね。彼は無抵抗と非暴力だったんですけれども、マルコムXはね、この人は短気だったっていうか……「もう我慢できない! これだけ殴られたり蹴られたりしてて、なんで耐えなきゃいけないんだ? だから平等を達成するためだったら、どんな手段でも取ろうじゃないか!」って言い始めて。

(赤江珠緒)おお、過激になってきた。

(町山智浩)はい。「いざとなったら、もう武器を持つしかないんじゃないか」っていう風に言い始めている頃なんですね。「ただ、君たちにはスポーツという武器があるだろう? 音楽という武器があるだろう? それを黒人のために使ってくれよ!」っていう一夜の話なんですよ。

(赤江珠緒)へー! でもこれ、これだけの人が集まってすごく重要な日だったっていうのはわかるんですけども。映画としては、この一夜だけで映画にしていくというはこれ、難しくないですか?

(町山智浩)一夜だけなんで……これ、元々は舞台劇なんですよ。で、さっきの『マ・レイニー』も実は舞台劇で。レコーディングした日だけを描いた映画なんですね。だからまあ、それはお芝居になっているんで見れるんですけども。ただやっぱりね、そういった背景がわからないと、「マルコムXはなんでこんなに焦っているんだ?」っていうことがわからないんですよ。で、そのマルコムXが焦っている理由っていうのは、実はその彼が入っていたブラックムスリムという団体のリーダーが少女たちを妊娠させていることを知ってしまって。

だから、まあ一夫多妻みたいなことやってたんですね。それで「こいつらと一緒にやれない」っていうことで、そのブラックムスリムの中で内部批判をやって。それから、あとFBIからも狙われていて。常に彼を狙う謎の刺客がウロウロしているっていう状態になっていたんですよ。で、マルコムXは自分の死が近づいていることを知っていたから、一刻も早く平等を達成しなきゃいけないんだってことで、めちゃくちゃ焦ってサム・クックとかを押しまくるという映画になっているんです。

(赤江珠緒)じゃあ、やっぱりその背景を知っていないと……?

(町山智浩)そう。サスペンスがわからないんですよ。

(赤江珠緒)それがちょっとわからないままだとね。

(町山智浩)そう。「この後、実はこの人たちは殺されてしまうんだ」ってことを知らないと、「なんでこの人、こんなに焦っているの?」っていう感じになっちゃうんですよ。でね、非常にこの映画は感動的な、ひとつのハッピーエンドで終わるんですけど。このハッピーエンドの後にも実は怖いことがあって。サム・クックも殺されてしまうんです。

(赤江珠緒)ええっ? サム・クックも?

(町山智浩)で、マルコムXも殺されてしまうんですよ。だから、映画ってすごく……前に『この世界の片隅に』の話をした際に、「『広島に原爆が落ちる』っていうことを知らないと、何のサスペンスもわかないよ」っていう話をしたんですけども。やっぱり、その歴史的背景というものを知らないと。前に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』っていう映画の話をした時も「この後、シャロン・テートという人が殺されることを知らないと、何の映画だかわからない」っていう話をしたんですが。それがあるんですよね。
https://miyearnzzlabo.com/archives/58797

(赤江珠緒)うんうん。そうですね。

(町山智浩)で、マルコムXも殺されてしまって。その後、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師も殺されてしまんですよ。暗殺をされて。で、そこで繋がってくるのが3本目の映画なんですね。それで、さっきの『あの夜、マイアミで』はサム・クック役の人がアカデミー助演男優賞候補の本命です。

『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』

(町山智浩)で、3本目の映画が『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』という映画なんですが。これ、日本語タイトルがまだついてないんで、こんなタイトルですが。これ、「ジューダス(Judas)」っていうのはキリストを売った男、ユダのことです。で、「ブラック・メサイア(Black Messiah)」っちえうのは「黒い救世主」という意味で。これはですね、アカデミー賞の助演男優賞候補にこの両方の2人の人が……ジューダス役の人とブラック・メサイア役の人がノミネートされていますけども。

これは、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が殺された後、黒人たちがもう怒り狂って。「これは白人たちには暴力で対抗するしかないんだ!」っていうことで、ブラックパンサーという過激派組織がどんどん台頭していった時代を描いてます。1969年です。で、もう既にその黒人過激派と警察やFBIが絶えず銃撃戦をしているという状態になっています。だから、繋がっているんですよ。この3本は。

(赤江珠緒)さっきが1964年ですもんね。

(町山智浩)そうなんです。で、さっきは「無抵抗で歌やスポーツで戦おう」って言っていたのが、もうこの段階だと銃を持って撃ち合いをしてるんですよ。で、この主人公はですね、フレッド・ハンプトンというブラックパンサーのシカゴ支部の、21歳の若きリーダーなんです。で、彼は天才的な演説の能力を持っていて。それをFBIが恐れて、なんとかして彼を殺そうとするっていう話なんですよ。

(赤江珠緒)21歳で天才的な演説を?

(町山智浩)はい。これがすごいのは、その貧しい黒人たちが警察に弾圧されて苦しんでいたり、仕事がなかったりする。そういった問題を解決しなきゃいけないんだということで、その彼はすごく対立している貧しい白人たちというのがいるんですね。その、ヒルビリーって言われてる南部から来た白人たちが労働者としてシカゴで働いているんですが。彼らと手を結ぼうとするんですよ。あと、ヒスパニック。メキシコ系の人たちとも手を結んで、人種を超えて貧しい若者たちの抵抗組織を結成するんですね。

で、それを「虹色同盟(The Rainbow Coalition)」っていうんですが。それがどんどん、組織を拡大していくんですよ。そうすると、FBIは「これは危険だ! こいつの能力はすごすぎる!」っていうことになるんですね。で、そのフレッド・ハンプトンがすごいのかっていうと、この中にセリフで出てくるんですけども。「フレッド・ハンプトン、あいつはナメクジに塩だって売れるぜ!」って言うんですよ。

(赤江珠緒)うわっ、すごい! だってナメクジって、塩は絶対に嫌なものなのに……。

(山里亮太)それぐらいすごいっていう。

(町山智浩)それで、FBIはオニールというチンピラを捕まえて。車泥棒だったんですけど。で、「フレッド・ハンプトンの部下になれば罪を消してあげるから、スパイとしてブラックパンサーに潜入しろ」って言うんですよ。だから彼が「ユダ」なんですよ。

(山里亮太)なるほど!

(町山智浩)で、フレッド・ハンプトンの暗殺に近づいていくという話なんですね。で、最初そのチンピラのオニールはただ罪を軽くしてもらって。しかもお金ももらえるからっていうことでブラックパンサーに入るんですけども。そのフレッド・ハンプトンの人柄にどんどん惚れていっちゃうんですよ。で、彼の言っている「黒人のために戦わなきゃ!」ということにも非常に共感しまして。一生懸命ブラックパンサーの中で働くうちにですね、ナンバー2になってしまっていくんですよ(笑)。

(赤江珠緒)すごい出世している!

(町山智浩)出世して、ブラックパンサーを警察から守るための保安隊の隊長になっちゃうんですよ。本当は警察に襲撃をさせるためのスパイなのに。で、その彼の葛藤を描いているのがこの『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』なんですね。

(赤江珠緒)うわーっ!

(町山智浩)というね、この3本はすごい映画で。それでこの『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』の方はアカデミー作品賞候補にもなっています。で、なぜこれが今、作られたのか?っていうと、やっぱり現在に繋がってくるんですよ。今、そのBlack Lives Matterの運動で警官による黒人の殺害が問題になって。去年は暴動にまで発展しましたけども。それはこの頃から繋がってくるんだっていう映画なんですね。それでちょうど、あのミネソタで黒人男性、ジョージ・フロイドさんに乗っかって窒息死させた警察官の裁判が今、始まるんですよね。で、アカデミー賞の頃に判決が出そうなんですよ。もう、これは運命が導いてるとしか思えないですね。それで今はね、アジア系に対するね暴力事件がアメリカで頻発してるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)差別と……もう殺人事件もアトランタで起こりました。何人も殺されて。「コロナは中国ウイルスだ」とか「武漢ウイルスだ」とかトランプ前大統領が言ったせいで「コロナでこんなに苦しいのはアジア人のせいだ!」ってことで、中国人だろうと韓国人だろうと日本人だろうと、片っ端から襲っているんですね。で、大問題になっていて。それでみんな今、戦っていて。黒人の人たち、Black Lives Matterの人たちも共闘するっていう形になっているんですよ。だから本当に今、ものすごくタイムリーなのがこの3本なので。ぜひご覧になっていただきたいんですが。『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』は日本公開がまだ未定です。

(赤江珠緒)『マ・レイニーのブラックボトム』はNetflixで配信中。『あの夜、マイアミで』はAmazon Primeビデオで見られます。最後のも見たいですね。

(山里亮太)続きで見たいね。

(町山智浩)ぜひ公開してほしいです。

(赤江珠緒)わかりました。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

<書き起こしおわり>

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