星野源さんと松重豊さんが2020年11月3日のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』でNHKからニッポン放送に向かう社内からラジオを生放送。渋谷の街を車で通りながら再開発で変化していく渋谷やその思い出などを話していました。
今夜の #星野源ANN と #おげんさん のスペシャルコラボ放送では、ゲストに松重さん、高畑さん、三浦さんが登場!
そして、なんとNHKからニッポン放送への移動の様子も中継車からお届けしました!今夜だからこその特別な放送をぜひ、タイムフリーでもお楽しみくださいね。https://t.co/xA4odWK5AI pic.twitter.com/ooaZsOL3Vu
— 星野源 Gen Hoshino (@gen_senden) November 3, 2020
(星野源)『星野源のオールナイトニッポン』、今夜は松重豊さんとお送りしています。ここからはNHKを離れ、渋谷から有楽町のニッポン放送に移動します。現在、私たちはニッポン放送の中継車に乗っています。
(松重豊)ええーっ? 俺、星野くんと知り合ってからいろんなことが起きすぎていてさ。ついていけてないんだけども。これ今、車の中でラジオをやっているなんて……。
(星野源)すごいっすね。車の中でラジオ、できるんですね。
(松重豊)もうなんかすごい一流芸能人みたいな……。
(星野源)すごいですね。昔、よく見た……レコード大賞から紅白へ、みたいな。
(松重豊)レコード大賞、有楽町から渋谷のNHKホールに向かう。「あの歌手は間に合うのかしら?」って思っていたのの逆走。しかも時間は全然遅いっていう。公園通りですよ。
(星野源)そうですね。渋谷……これ、もしかして渋谷のスクランブル交差点とか行きますね。
(松重豊)エッグマンとかですね。パルコ劇場。
(星野源)ああー、懐かしいですね。ここはもう、私は意味なく歩いてましたよ。
(松重豊)何で歩いていたんですか?
(星野源)「何か面白いことないかな」って思って歩いてましたね。
(松重豊)こんなところに何か面白いこと、転がってました?
(星野源)なかったです。
(松重豊)転がったら坂の下の方に下りていきますもんね。
(星野源)なかったですね。本当にもうただただ寂しい思いをしてね。寂しい思いをして、適当に何かを買って帰っていましたね。20代前半の私は。
(松重豊)このへんね、劇場がいっぱいあったんですよね。パルコは今もありますけどね。新しくなってね。ジァン・ジァンとかね。
(星野源)ジァン・ジァン! ジァン・ジァンは俺、ギリギリ行けたんです。
渋谷の劇場
(松重豊)行けました? あそこ、いい劇場だったんですよ。今は喫茶店になっちゃいましたね。あとはパルコスペースパート3。
(星野源)それって、どこですか?
(松重豊)あのね、パート3ってあったんですよ。今ね、つながっちゃったから一緒になっちゃったんだけども。あそこの8階だったかな? 劇場があったんだよ。映画館もあったし。シードホールっていうのもあそこにあったしね。
(星野源)そうですか。あ、今、パルコの前を通っています。パルコ、変わりましたね。建て替わって。すごいですね。アップルストアがあって、丸井があって。人、全然いませんね。
(松重豊)聞いている人はここに集まってきちゃうよね。もう間に合わないけどね。
(星野源)もう間に合わないからやめてくださいね(笑)。
(松重豊)丸井のところに来ちゃったよ。すごいな。なんでこれ、渋谷の街……東京の夜の街の実況放送? すごいね(笑)。
(星野源)フフフ、新鮮ですね(笑)。
(松重豊)今もラーメン屋はやっていますね。もうハロウィンも終わったし、渋谷の夜も人がほとんど歩いていないですね。
(星野源)そうですね。外も……意外と窓を開ければ。
(松重豊)誰かいますか? いい風が吹くし。
(星野源)なんか女の子2人が歩いています。風を切って。「ヘーイ!」(笑)。
(松重豊)「ヘーイ!」って……向こうもびっくりするから(笑)。生星野源が……。
(星野源)「どうもー。松重豊でーす」。
(松重豊)生放送中にナンパするって……。
(星野源)あ、言っちゃいました。声はなかなか届かないですね。
(松重豊)気づかなかった?
(星野源)いやー、これは……でもすっげえ楽しいです、今。これ、楽しいっすね(笑)。
(松重豊)というか、気持ちいいね。気温もなんか今日はナイトクルージングするにはもってこいじゃないですか?
(星野源)ちょうどいいですね。なんか寒いみたいな話も聞いたけど、そうでもない。
(松重豊)俺らも生で火照っていたし(笑)。
(星野源)そうですね。本当にすごい生本番のね、ちょっと異様な熱気で火照って……来ました。スクランブル交差点。いやー。
(松重豊)やっぱりここは人が多いと思ったら全然、タクシーしかいない。あ、よくそこの写真に星野くんがデカく出ているね。
(星野源)ああ、TSUTAYAのね。宣伝のやつで。今日は嵐。うん。僕もよく載せてもらっていました。いつもお世話になっております。TSUTAYAさん、お世話になっております。夜はやっぱりあれなんですね。当たり前なんですけども。最近、全然渋谷には来ていなかったんであれなんですけども。電光掲示板というか……スクリーン? ビジョンか。夜は全然映っていないんですね。暗いですね。
(松重豊)ああ、電気をオフってあるんだ。まあ、終電が終わるとね。
(星野源)結構もっとザワザワしているかと思ったけど、全然人がいないですね。
(松重豊)今日は祝日の夜だから……。
(星野源)ああ、そうか。文化の日。
(松重豊)ちょっと遊んでる人もいない曜日ですかね。
(星野源)そうですね。
(松重豊)井の頭線のガードを……。
(星野源)くぐっております!
(松重豊)銀座線も今、どっかに行っちゃったからね。
(星野源)ちょっと違うんですか? 今。もう本当に来ていない……今、渋谷ってこんなんなってんの! あら、そう!
(松重豊)そうですよ。あそこは「東急プラザ」と言ってたものが、何だっけ? フクラスだっけ? 意味がわかんないんですが。
(星野源)フクラス。東急プラザ、よく来たのに。
(松重豊)ヒカリエとかフクラスとか意味がわかんないんだけど。
(星野源)東急プラザの中の鰻屋さんによく行ってました。
(松重豊)鰻、食べてたんですか。東急プラザで。
(星野源)鰻、食べてました。あらー。
(松重豊)こっちに行くと、ラ・ママとかがあったり。
(星野源)ラ・ママ。今、ないんですか?
(松重豊)ラ・ママはまだありますね。
(星野源)なんだっけ? ラ・ママ新人コント大会。
(松重豊)新人コントもありましたね。ナゴムの根城でしたね。
(星野源)ああ、ラ・ママってそうなんですか?
(松重豊)ラ・ママでやっていましたね。ナゴムフェスみたいなのも。
(星野源)そうですか。ケラさんたちが。
(松重豊)ケラさんたちが。今はもうね、大劇作家になっちゃいましたけども。
(星野源)そうですね。なんか、その頃の小劇場の時って松重さんって、僕が覚えているのは演劇ぶっくで第三舞台に出ていた写真を見たのは覚えているんです。その時って第三舞台の劇団員だったんですか?
(松重豊)僕は全然……もう客演の。客演でなんとかなるっていうことをやり始めた時代だったんで。劇団に所属せずにフラフラと出ていましたよ。だから僕とか渡辺いっけいちゃんとかは……いっけいちゃんは劇団☆新感線にいたんですけども。もう辞めてフリーでいろんなところに出ていたんで。
(星野源)じゃあ、そもそも劇団には所属していないんですか?
(松重豊)その頃はしていないんです。だからフリーっていう言い方もなんですけどもね。呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンっていう感じで出ていましたよ。
(星野源)そうだったんですね。
(松重豊)でもね、その頃……同年代でもう大人計画で松尾スズキさんとか、ケラさんとかとは一緒にやっていなかったんですね。
(星野源)そうですよね。あんまり交わっているのはそんなに見なかったですよね。あれ? でも東京サンシャインボーイズだったんでしたっけ?
(松重豊)それはね、俺が学生の頃なんですよ。俺は学生の頃、三谷幸喜さんも学生だったんで。で、僕は「この人には才能がない」と思ったんで。早々に、東京サンシャインボーイズ……「ああ、この人についていくと僕はたぶん人生がダメになるな」って思って。
(星野源)フハハハハハハハハッ! マジ?(笑)。
「三谷幸喜についていくと、たぶん人生がダメになるな」
(松重豊)本当にね、僕は見る目がないんですよ(笑)。「いや、こんなところにいたらダメだな」って思ったんで。それでとっとと逃げ出したんですよね。「逃げ出した」っていうか、学生の頃だから。うん。
(星野源)学生ですからね。それはしょうがない。でもその判断で今の松重さんがいるんですからね。でも、また違った未来だったかもしれないですね。
(松重豊)違った未来かも。わからないよね。星野さんだって大人計画に入って……っていうのもね、どういう人生か。そうじゃなければ、どういう選択肢があったかわかりませんけれども。
(星野源)うん。僕、だから高校2年生の時に『マシーン日記』っていう松尾さんのプロデュース公演があったんですけれど。片桐はいりさんが主演の。それ見なかったら……それで人生が変わりましたもん。
(松重豊)人生が変わるぐらいの衝撃を受けた?
(星野源)衝撃をめちゃめちゃ受けました。
(松重豊)それで「ここに行く!」って……でも、歌ってさ、どういう感じだったの?
(星野源)歌は元々ずっと好きで。それこそ、演劇も歌も中1からやってはいたんですけども。なんか、『ブルース・ブラザーズ』とかちっちゃい頃に見て燃え上がったりとか。「レイ・チャールズ、かっけー!」ってなったりとかしていたんですけど。まあ中学ぐらいから自分で曲を作るようになり、その中で松尾さんのワークショップに高2の時に行くんですよ。松尾さんの芝居を見てカルチャーショックを受けて。それまでなんかいい話とかを言う舞台しか見てなかったですよ。その中でもたとえばエログロ的な……もうむちゃくちゃな、だけど何か本当のことを言ってる気がするっていう。そういう……まあ当時はまだアングラでしたからね。大人計画って。
(松重豊)そうですね。
(星野源)何かむちゃくちゃだけれども、笑いがすごい絶えずあって。何か本当のことを正直に言ってる気がする、みたいなのですごいカルチャーショックを受けて。それでワークショップを受けたんですけど。そこで一緒に受けてた先輩……年上の先輩の役者さんに「お前、細野晴臣知ってるか?」って言われて。それで教えてくれたんですよ。それで細野さんを僕は知るんです。
(松重豊)えっ、そうなの? 大人計画経由、細野晴臣行きなの? 面白い縁だねえ!
(星野源)それで細野さんの『HOSONO HOUSE』を聞いて。「なんじゃ、こりゃ!」ってなって。そこからティン・パン・アレーとははっぴいえんどとか。だから細野さんのソロありきで。そこからYMOにも広がっていったんですよ。
(松重豊)なんかさ、やっぱりそういう人生の流れの縁というかさ。そういう文脈というかさ。そういうのって不思議なもんですね。
(星野源)不思議ですね。だから演劇をね、ずっとやっていて。でも松重さんは元々、音楽が好きだったわけじゃないですか。バンド、やりたかったでしょう?
(松重豊)やりたかったですね。大好きでしたね。
(星野源)でも、甲本ヒロトさんとかとバンドはやってないんでしたっけ?
(松重豊)やってないですね。
(星野源)同じ学校でしたっけ?
(松重豊)いや、同じバイト先だったんで。下北沢の珉亭っていうラーメン屋でね。
(星野源)うんうん。
甲本ヒロトと下北沢のラーメン屋で一緒に働く
(松重豊)でも、あの頃は本当にバンドマンと役者しかそこにもいなかったし。みんな、まだ何者でもなかったし。どうなるんだろうな?っていう感じでヒロトとかと一緒にね……僕もこれ、封印していたんだけども。この間、ヒロトがテレビでも言ってくれたんで。実は一緒に映画とかも撮っていたんでね。
(星野源)へー!
(松重豊)だからヒロト主演で映画とか撮ったりしていて。そういう……面白かったですね。
(星野源)そういうのもあるわけじゃないですか。かたやバンドマンでかたや役者で、みたいな。そんな人たちが一緒のところで働いてたけど今、こうなって。かつ、NHKの生放送で歌ってるわけですからね。
(松重豊)それはちょっとね、この文脈は俺も自分でもね、あまりにも突然すぎて。自分の中で処理しきれないまま今日を迎えてしまったんだよね。
(星野源)フフフ(笑)。
(松重豊)「深く考えるのはやめよう」と思って。
(星野源)そうです。それが一番いいです。
(松重豊)絶対これ、音楽のプロフェッショナルが集う番組だって……僕は一視聴者と思ったら見るけどさ。そこにさ、もういい歳をこいたおっさんがさ、歌も歌ったことないようなやつがさ、いきなり生で歌うなんてさ。もう冒険もいいところでしょう? よく許したな、NHK(笑)。
(星野源)松重さんって歌心があるんですよ。
(松重豊)やめてくださいよ(笑)。
(星野源)いや、本当に。だから、絶対にそれは伝わるだろうと思ったのでお願いしました。オファーをして。
(松重豊)本当にすいません。でも、こういうのって流れというか勢いなんで。断ったら嫌じゃないですか。気持ち悪いじゃないですか。
(星野源)フフフ、気持ち悪くないですよ。全然いいんですけども。でも、さっき言っていたみたいに「考えない」って大事ですよね。
(松重豊)大事だね。
(星野源)なんか、一発目の『おげんさん』ももう考えないっていうのを徹底したんですよ。もうとにかく「これやりたい」「これやりたい」っていうのだだけ、みたいな。でもその時はね、とりあえず……当たり前だけどもテレビの皆さんだったので。「もうちょっと安定したコーナーがほしい」ということでコーナーがあったけども。でも、そうじゃないやりたいことに関しては「いや、もう決めない! 台本とかもない! そこはもうフリーで僕たち、頑張ります!」みたいな。そういうところで。「もう考えない!」みたいにやったことで『おげんさん』のあの独特の空間が生まれなので。
(松重豊)どうですか? この4回、回を重ねていって。要するにもう、いわゆる今日のやつなんかは星野くん的には割とだんだんだんだん自分の納得する形に、完成形に近づいてきた?
(星野源)そうですね。今日はもう完璧でした。素晴らしかったです。
(松重豊)ねえ。本当に俺もちょっと感動したもんね。いろんな局面で……まあ、今年はいろんなことがあったし。リモートおげんさんもあったしね。だからそういうのを超えてね。
<書き起こしおわり>