R-指定さんが2020年10月6日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の中でCHICO CARLITO『Ryukyu Style』を紹介していました。
(DJ松永)曲紹介、行きましょうか。
(R-指定)今回、紹介したいのは……。
(DJ松永)フフフ、大丈夫? 女性シンガー流れでカイリーとか紹介しなくていいの?
(R-指定)いいの? 逆に?
(DJ松永)ダメ!
(R-指定)ああ、あっち? エンドリ? ENDLICHERIで行く?
(DJ松永)ダメです!
(R-指定)ダメ(笑)。ええと、じゃあチコカリです(笑)。
(DJ松永)ああ、CHICO CARLITOね(笑)。
(R-指定)おなじみCHICO CARLITO。沖縄のラッパーで俺も仲良くしている、『フリースタイルダンジョン』でも一緒やった93年生まれの沖縄のラッパーですよ。もう誰が聞いても一聴して上手いっていうことがわかるし、特徴的な声と気持ちいいリズム感と……っていうことで。チコは間違いなく、いろんな曲を紹介したいんですけども。一番最近、MVが上がった曲がすこぶるかっこよかったんで。まあ、まずは1回、聞いてほしいなと思います。CHICO CARLITOで『Ryukyu Style』。
CHICO CARLITO『Ryukyu Style』
(R-指定)かっこいいね。これ、チコとしては3年ぶりのソロのMV。それまでね、客演とかでいろんなMVに出ていたんですけども。
(DJ松永)そんなに空くんだ?
(R-指定)意外と、そんなに空いたんよ。で、ビートがHOKUTOっていうね。これも同世代のトラックメイカー。この作られた曲『Ryukyu Style』。チコは前のアルバムから地元沖縄のことを言っていたんやけども。この曲で結構がっつりと沖縄をシーンとして、真正面から受け止めて背負って曲にしている感じがして。しかも、チコの立ち位置としてもめっちゃいいなっていう感じがして。それは周りにいっぱい、唾奇とかさ、MuKuRoとか、OZworldとか、沖縄のヤバいラッパーがいっぱいおるわけですよ。
(DJ松永)いや、沖縄は本当に粒ぞろいだよな。
(R-指定)Awichさんとかな。正直、沖縄のヒップホップシーンってエグいんですよ。で、このMVにはその沖縄の顔役たちがたくさん出てくるし。RITTOさんとかも出てくるし。そこを、その沖縄の凄腕ラッパーたちを背にチコがそのど真ん中に立ってこうやって映っている画とかも超かっこいいし。やっぱりさすが、チコのラップは基本的に音楽的にすごい優れていて。最初のフロウとかも「他より濃い血の土地柄 みんなが持っているフロウ土地柄」っていう。このフロウで始まって。
で、ここでこの沖縄の自分の身の回りのことを言っていくんですよね。で、この「みんなが持っているフロウ」っていうのもやっぱりその沖縄のラッパーたちに通じる独特のリズム感みたいなものを思い浮かべさせるし。「金ない男の子は土地柄」っていうこのゲットー感とか。「シンママ女の子も土地柄」っていう。これはシングルマザーのことやと思うんやけども。そういうのもあったりとか。
「国道508号 空に消えるF35」っていうこの戦闘機、沖縄の基地問題のこととかも入っていたりして。で、その後に「あのシージャー フォースの使い手」っていう。これ、シージャーっていうのは「先輩」っていうことなんですけども。チコは先輩へのリスペクトとかもあって。で、「あのシージャー フォースの使い手 琉球・スカイウォーカー(ヤーヤーヤーヤー)」っていう。「ルーク・スカイウォーカー」とかけている。それでその「スカイウォーカー」がそのままライムしていくんですよ。「スピリット胸に刻んでいる ウチナンチュがフィーバー(イーヤーサーサー)」っていう感じで。合いの手も沖縄のやつしかできないガヤ。こういうのが入っていたりして。
(DJ松永)これはたしかに沖縄のやつじゃないとね(笑)。
(R-指定)沖縄のやつじゃないとね(笑)。
(DJ松永)「ヤーヤーヤーヤー」と「イーヤーサーサー」でガヤで踏むっていうね。
(R-指定)で、この「スカイウォーカー」っていうのが最後に「この島から全国まで鳴り止まない愛の歌」っていう。「スカイウォーカー」と「愛の歌」、これはかなりテクい韻ですね。で、その上の「タイムオーバー」っていうのもかかっていたりして。その後、2バース目とかも言ったら沖縄の仲間たちに「気合い入れろこっから 俺らは生まれながらにナンバーワン」っていう。ここでね、結構同世代のやつには響くんじゃないかな?って。「お前のライフはコールセンターのバイトで終わるわけじゃねえから Hola」ってなってその次のバースに行くんですけども。
で、チコは長いライムもやけど、音と合わせて2文字ぐらいのライムとか区切りとか、音を大きい枠で捉えてフロウにしていくっていうのがホンマに上手で。ガヤとかも韻にしてしまうっていうか。「バイトで終わるわけじゃねえから Hola 47エリア 風に揺られているてぃんさぐぬ花」みたいな。「Hola」っていうガヤと「花」とかで踏んでいったりしていくんですよね。で、「落ちてたあの日の自分にさよ、なら」みたいな。音をね、分けることによってまたリズムを出して。
それで「首里城が燃えた朝」っていう、最近あった沖縄でも悲しいことも入れていったりして。最後に「見ていた側から受け取る側 受け取る側から与える側」っていう。頭での「他より濃い血の土地柄」っていうフロウに戻ってくるんですよ。フロウが1周して元のフロウに戻ってくるっていう。基本的にそのリズムの1本の軸の上でやり続けるっていう。ここがまたね、ラッパーとして優れているなって。チコ、やっぱり上手いなって。あと、かっけー。この曲、ホンマに。内容もMVも。なんかチコの代表曲が出来たような感じがしましたね。
(DJ松永)たしかに。ちょっとアンセムっぽいよね。
(R-指定)ねえ。CHICO CARLITOで『Ryukyu Style』でした。
(放送終了後のミクチャ配信限定アフタートークで……)
(DJ松永)CHICO CARLITO、今日流しましたけども。Rさん、チコと仲いいよね?
(R-指定)仲いいっすね(笑)。
(DJ松永)チコがさ、東京に出てきたら結構な確率でRさんの家に泊まって。
(R-指定)めちゃくちゃ俺の家に泊まっていて。で、チコ、よう遊ぶようになってから気づいてんけど。あいつ、やっぱりすごくて。ラップを聞き始めたのが2010年とか2011年で。
(DJ松永)そうか。あいつ、前にバンドやってたんだよね?
(R-指定)そうそうそうそう。だからラップ……ヒップホップに触れたのが実は結構最近というか。まあ「最近」っつっても始める前にもあるんやけども。でも、それが2018年。2年前ぐらいに沖縄に遊びに行った時、もうその時点でチコは普通にダンジョンとかで有名になっていて。それでファーストアルバムも出していて、それもすごい評判高くてっていう状態の時のチコが、俺が泊まってるホテルの部屋に俺を迎えに来て。「一緒に飯に行こう」「ああ、ちょっと待っといて」って。
で、その部屋に来た時にチコが「いやー、最近マジで引いたわ」って言っていて。「友達のラッパーとか先輩のラッパーとかに歌詞の作り方、最近聞いたんよ。そんなにみんな、めちゃめちゃ考えて。起承転結とかやって、オチのライムとかを考えたりして作ってるんだね。そりゃあみんな、かっけーわ」みたいなことを急に言いだして。
「えっ、じゃあお前、そうやって作っていないの?」「うん。頭からブワーッと書いて作っちゃう。感覚で。俺、歌詞の書き方とかわかんなかったもん」「えっ、それであのアルバム出したの、お前!?」みたいな。すごいで、マジで。
(DJ松永)アルバムを作り上げた後にそう言っていたの?
(R-指定)あのファーストを出して。あれが普通にヒットしたりしている後で、「俺、最近リリックの書き方がわかった」とか言い出して。「マジでこいつ、すげえ! 感覚でやっていたんや!」ってなって。だからロジックでやってなかったんよ。ホンマに、言うたらフィーリングで曲を作っていたっていう。「こいつ、すげえな!」って。
(DJ松永)すげえな。
ファーストアルバムの歌詞はフィーリングで書いていた
(R-指定)それで、その「リリックのロジックの組み立て方がわかったわ」って言った後、そこから俺は客演のチコとかしか聞いてなかったから。どんなのを出すんやろうな?って思っていたら、あの『Ryukyu Style』ですよ。こんなにアンセムになっていて、ちゃんとまとまっているやつを出してくるんやって。
(DJ松永)すごいね。やっぱり才能があるやつが努力するって、ちょっと厄介だね?
(R-指定)厄介! 恐ろしい。
(DJ松永)ほどほどにしてほしいよね。まあ、ウタさんの言葉を借りるとね、「キモいよ」(笑)。
(R-指定)フフフ、才能があって努力するの、キモいよ?(笑)。
(DJ松永)キモいです(笑)。
<書き起こしおわり>