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R-指定とDJ松永 人に憧れられるように振る舞う覚悟をした話

R-指定とDJ松永 人に憧れられるように振る舞う覚悟をした話 サウンドクリエイターズ・ファイル
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R-指定さんとDJ松永さんが2020年9月27日放送のNHK FM『サウンドクリエイターズ・ファイル』の中でAK-69さんなど先輩ラッパーたちから学び、人に憧れられるように振る舞う覚悟をした話をしていました。

(DJ松永)ここからどういう話をしていくのか?っていうぐらい、若干シリアス話でしたけども。

(R-指定)シリアスでしたね。でも、そんぐらいがっつり……「クリエイターズ・ファイル」ですから松永さんの芯の部分みたいなのを話せたのはよかったんじゃないですか。

(DJ松永)そうですね。

(R-指定)でも逆に松永さんの松永さんのそのシリアス方面を聞いたんですけど。松永さん、趣味とか、もうちょっとライトなところ。私生活の部分はどんな感じなの?

(DJ松永)これね、これもまたあれなんですが……元々、ヒップホップとラジオっていうのが趣味だし。学生時代のなかなかうまくいかなかった、うだつのあがらない俺を救ってくれたのが、現実逃避をさせてくれたのがラジオとヒップホップだったんですよね。だから、救われたからその憧れの世界に行きたくて私、頑張ったんですよ。

(R-指定)それで今、それが仕事になっている。

(DJ松永)そう。ありがたいことに仕事になって。

(R-指定)じゃあ、趣味は?

(DJ松永)趣味が、やっぱり……本当にマジでなくなったんですよ。趣味っていうのは辛い日常から現実逃避をさせてくれるんですよ。どんなに会社だったり、学校でしんどくても家に帰ったらラジオがある。ヒップホップを聞けばリセットできるわけですよ。あの世界に飛べるんだってなるんですけど。でも、それがありがたいことに……じゃあ、その世界に行っちゃおう。あの最高の世界に俺は行くんだって飛び込んで。それでありがたいことに頑張ったら仕事になったんですよね。でも、そうしたら、現実世界というのがヒップホップとラジオになったんですよ。現実世界っていうのは、救われもするし、傷も付くんですよ。だからヒップホップで傷つくし、ラジオで傷つくんですよ、俺はね。

(R-指定)救われもするし、傷つきもする。

(DJ松永)傷つくんですよ。そうなっていくと、俺は本当にいろんなものに興味が向くタイプの人間じゃないから、現実逃避できるものがやっぱりヒップホップとラジオが仕事になって以降、なくなっちゃったんだよね。

(R-指定)でも、やっぱりいろんなね、ポップの先輩とか見てると、当然やっぱりつらい状況から抜け出すためのヒップホップやったけども、それでつらい状況から抜け出して成功を掴んだりとか、ちょっと贅沢できるようになったら、やっぱり思う存分それを謳歌してるんですよね。先輩は。それ俺は……俺と松永さんはたぶんヒップホップを聞いて「かっけー!」って思ったとこやと思うから。

(DJ松永)そうそう。いや、本当にそう。かっこいいし、自分もやらなきゃいけないけど、やっぱり「似合わない」ってどこかでずっと思っていた。

(R-指定)俺もそうやねん。だからどこか、俺らはそういうラグジュアリーなところとか、やんちゃなところから来てないから。「音楽でいい思いなんてしちゃいけない」じゃないけど。「苦しいとこから抜け出すための音楽やったから、その音楽でどんだけうまいこと行っても苦しみ続けてなきゃいけない」みたいな変な呪いをまだ自分らにかけてしまってんねんな。

(DJ松永)そうそう。それで仮にお金を稼いだとしても絶対にひけらかさないし、それ分の贅沢もしちゃいけないし、あんまり遊びもしちゃいけない。で、そういうことをした時に、めちゃくちゃ謎の罪悪感があるんですよ。持病で。

(R-指定)なんかな。なんでやろうな?

(DJ松永)あれはやっぱりでも、このタイミングでそれこそいろんな成功してる先輩とか、ラジオにゲストに来てもらって話を聞いていくと、「ああ、これじゃいかんな」っていう風に最近、思い始めきて。

(R-指定)あと、なんかやっぱりこれが結局、俺ら同世代やつら全員に救う現代病やと思うんやけども。やっぱり成功してる人とか、うまく行ってる人を見て、「かっけー!」って思って追いつこうとして、背中を追いかけて走るんじゃなく、成功してる人、うまく行ってる人、いい思いをしてる人の足を掴んで、自分と同じ低さまで引きずり下ろすみたいなことで溜飲を下げるやん? 頑張ればいいのに。

(DJ松永)みんなどこかに持ってるんだよね、そこを。俺はそういう人間、最低だと思ってるけど、自分にもどこかにあるから。全員あるから。

(R-指定)あるねん。あるから、引きずり下ろされないために「ひけらかさんでおこう」みたいになっちゃうんやね。

(DJ松永)引きずり下ろされないために本当に派手な遊びをしない。何もひけらかさないっていう方向に俺ら、ずっとたぶんお互いだと思うんですけど。そうなっちゃっていて。

(R-指定)でも、俺たちはヒップホップを聞いた時にひけらかしてる人を見て「かっけー!」って思えたし、「楽しい!」って思えたんですよ。

(DJ松永)で、それに憧れてたんだよね。やっぱり。

(R-指定)たぶん、みんなどっかに……両方あると思うんですよね。ひけらかしているやつを「かっけー! ああいう成功したい!」って思ってしまったら、頑張らなアカンから。

(DJ松永)ああ、そうね。それはそれでかなり、茨の道だから。

(R-指定)それはそれでしんどい。ただ、どっちかというと、うまいこと行ってるやつを「あいつだけ、そんなのズルい!」とか「あいつだけ得してズルい!」とかって引きずり下ろして文句言う方が楽といえば楽。まあ、それはそれで心は苦しいんやけど。楽やねん。

(DJ松永)そうそう。本当に。一過性だけどね。かなり一過性だけども、楽なんだよ。

(R-指定)だからホンマに俺たちが頑張って、さらに自分らに負荷をかけるんやとしたら、ちゃんと贅沢した方がいいし、ちゃんとイキっていった方がいいのよ。もうたぶん、「イキるのかっこ悪い、イキるのダサい」っていうのももう、たぶん違うし。

(DJ松永)逆にそっちの方がリアルじゃないっていうことにもなり得るんだよね。で、やっぱりさ、俺らがプレイヤー側になってある程度ステップを上がっていく。このタイミングでもやっぱり、そろそろ憧れられる側にならないと。ちゃんとそっちに両足をバンと踏み入れないとなって。

(R-指定)これは昔、ZEEBRAさんについて日本のラッパーの後輩たちが語っている番組があって。そこでDABOさんというね、またこれもめっちゃかっこいいラッパーの方がいて。そのDABOさんが「なんでこのヒップホップの不良性とかヒップホップのボースティング、成り上がりというものがあんまり日本の人に認められないのか? それは日本の人はブリバリに着飾ったり、ゴージャスにしたり、オレオレ!ってやったりするみたいなのを『下品だ』と思うところがある。でも、本当はそういうのを楽しめる素養も当然、日本の人も持っているから。だから俺らでヒップホップ、そういう風に広めていきたいよね」っていう風には言っていたんですよね。

(DJ松永)うんうん。

(R-指定)だからなんか、うん。俺らもそういうところには向き合って行かなっていうか。全然、そこを楽しめた方が楽しいし。別に楽しさの幅がね、増えるだけですからね。

(DJ松永)いや、本当にそう。やっぱりその、自分が中学2年生の時、ヒップホップを初めて聞いた時に憧れた側に立ちたいじゃないですか。やっぱりあの時に一番輝いて見えた存在っていうのがたぶん一番自分がなりたい姿かなっていうのを思うんですよね。だからやっぱりいつまでもウジウジしてらんねえなって。そろそろ、やっぱり人に憧れてもらう側でちゃんとかっこよく振り切ることも重要だなっていうのは思い始めたね。でも、それはやっぱり最近、タイムリーですけど。AK-69さんとしゃべって、より最近思ったんだよな。

AK-69の覚悟を学ぶ

(R-指定)そうね。まあ名古屋を代表するレジェンドラッパー、AK-69さん。めちゃめちゃ稼いではるし。当然のように。めっちゃ売れてるし。やることなすことのスケールが全部デカいんですよ。配信ライブとかでも名古屋城を後ろに背負って超豪華なステージで。火も焚いて、照明もブワーッとつけてやるゴージャスなライブ配信もするし。ラップでね、自社ビル建てちゃったりするような人ですから。

(DJ松永)そうそう。

(R-指定)そういうのを見て。あの人はそれを言うことによって、自分に負荷をかけて、めっちゃストイックに頑張ってるんですよ。やっぱり頑張る……自分を追い詰めてるんですよね。だから贅沢して謳歌しているように見えて実は、それは茨の道を選んでるんですよね。

(DJ松永)そうそう。めちゃめちゃギリギリのところで踏ん張ってるし。

(R-指定)だから俺らみたいな立ち位置で「いやー、俺らなんて全然……」って言う方がもしかした楽な道なのかもっていうのは最近、思う。

(DJ松永)ああ、そうそう。めちゃめちゃ思う。めちゃめちゃ保険をかけてるもん。足を引っ張られないようにしてるもんね。

(R-指定)だから俺らは全然、「浮かれて」というか、どんどん夢を見させていいし。足を引っ張られた時に、引っ張られなきゃいいんやからっていう。そこで踏ん張れる足腰をちゃんとつければ、蹴散らせるんやからっていう。

(DJ松永)それは本当に俺らのシンプルな実力がものを言ってくるところだよね。

(R-指定)だから、足を引っ張られることに……やっぱり今、どうしても世間の流れとか空気的に足を引っ張られるのが番怖いやん? どこからでも足を引っ張られるし、どっからでも刺されるやん。でも、足を引っ張られていいし、刺されてもいいから、それでも倒れなきゃいいんよっていう強さをAK-69さんを見て思うんよな。

(DJ松永)いや、本当にそう。それは本当にある意味、自分の腕、実力に自信がついたから……それこそでも、さっき言ったみたいにDMCで勝てたからこそ、たぶんこういうマインドになれたんだと思う。やっぱり2位、3位で終わっていたら、贅沢しようなんて絶対に思わない。

(R-指定)逆にあと俺も超反省しているんやけど。たぶんそれは「一番」を取ったやつの義務やねん。調子をこくのって。俺、どうしてもやっぱり保険をかける人生で。人に勝ったことがない人生やったから。MCバトルでどんだけ優勝しても、どんだけ『フリースタイルダンジョン』とかで活躍しても、「いや、俺なんて」とか「どうせダメですよ」って言う癖が染み付いていたんですけども。やっぱり、ちゃんとてっぺん取ったんやったら、ちゃんと俺たちに負けた人がいて。その人たちに対する責任っていうか。調子をこかなアカンのよ。

(DJ松永)まさしくそれ。本当にそう。本当に、負けた人に憎まれ口を叩かれなきゃいけないんだよね。

(R-指定)嫌われないと。俺ら、嫌われるのをめっちゃ怖がっていたやん?

(DJ松永)羨ましがられて、嫉妬されて、嫌われるっていうのが義務なんだよね。

(R-指定)勝者の義務なんよ。だからちゃんとその勝ち取ったやつの……死ぬ気で戦って勝ち取ったんやから。

(DJ松永)それで優勝して「俺なんて……」は失礼なんだよね。負けた人に。まず、失礼なの。

(R-指定)ホンマに反省してる。

(DJ松永)これから挑戦しようと思ってる人たちにも失礼だし、今まで勝ってきた歴代チャンピオンにも失礼なんだよね。きっと。

(R-指定)やっぱり夢見せなアカンよ。

(DJ松永)俺もDMCって、やっぱりさっきも言ったみたいに特殊技能の世界になっちゃってるから。やっぱりその「音楽業界での成功」とはまた別なっちゃうんですよね。もう「異次元にDJがうまい人」って認定されたところで、そこで終わっちゃってるんですよね。ゴールというか。だから、そこで音楽的評価とは別の世界で成功をつかんで……っていうロールモデルが実はほとんどいない。特に日本にはいなくて。

でも、ここでやっぱりCreepy Nutsという俺の母体もあるし、自分の城があるから。ちゃんとその「DMCチャンピオン」というのを引っさげて、ちゃんとCreepy Nutsとして、ミュージシャンとして成功することは絶対、この過去の歴代のチャンピオンにも、これからDMCに挑戦しようって人たちにも絶対いい影響があるから。その自分のためにも、周りのためにも、ちゃんと自分が成功して自分がいい気持ちになるっていうのは、たぶんきっと正しいことなんだろうな。

(R-指定)俺も思う。ホンマに俺も、たぶん全然何の取り柄もなかったし……っていうような人間がラップ1本でどこまで行けるのか?っていうのを見せなアカンと思うし。あと、やっぱりいかに調子をこかないか、いかに揚げ足取られないかっていう世の中になってるけど。あえて揚げ足を取らせるぐらいの余裕というかね。それを持たないと。

(DJ松永)取らせても「全然、大丈夫だよ?」っていう。で、そろそろたぶんそういう風になれているから。たぶん、取られても大丈夫なようにそろそろなってきているから。

(R-指定)それで今、みんなやっぱりなんとなくオブラートに包むし。そういう部分は隠すけども。でも、ミュージシャンをやってのるなんか、調子こきたいからに決まってるんですよ。もう全員。そこになんとなく目を背けたり、違う言い方をしているけどその根源の根源は当然、やっぱりラップをしているのは楽しいけど。でも、「その楽しいことで調子をこけたり。楽しいことでチヤホヤされたら最高やんけ!」っていう、すごいシンプルな欲求なんですよ。

(DJ松永)すごい下品で傲慢でスケベなやつじゃないと、やっぱり人前に立ってやるなんて……。

(R-指定)だから今、そのミュージシャンとか俳優とかタレント、お笑い芸人さんにすごい聖人君子であることを求めるじゃないですか。世の中は。すごい清貧思想も求めるし、清廉潔白であることを求めるじゃないですか。でも、こんな仕事してるやつにマトモな人なんておらんって!

(DJ松永)そんなやつなんて、この世界で頑張れるわけないじゃん。

(R-指定)自分の好きなことで……好きなことだけして金を稼ごうとしている時点で、超スケベやから。俺ら全員。めっちゃいやらしい人間ですから。

(DJ松永)だって、本当に社会に出て面倒くさいことを全部、免除してもらおうと思っているんだから。

(R-指定)そうそう。自分の好きなこと……遊んで暮らそうと思ってるから。

(DJ松永)ヒップホップという自分の趣味だったもので暮らそうとしてるっていうことだから。もうズルしようとしているんだよ。その時点で。

(R-指定)そうそう。だからそんなやつにマトモなことを求めるような世の中やから、俺らもたぶんそれに合わせて、そういう人ら、そういう警察たちに嫌われないようにしていたけども。でも、いいやん。別に嫌われても。ハナから褒められたような人間じゃないから、好き放題欲望を解放しようぜっていう。

(DJ松永)結局そう。特にヒップホップなんてとりわけ、そういうジャンルだし。ヒップホップっていうのはどんなに不良でも、どんなになんか思想というか、倫理観とかがゆがんでいる人でも。どんな人にも……貧乏でも、金持ちでも、人種も関係なく、どんな人でも全員に光を当てる、全員にスポットを当てる音楽なんですよ。全員に武器を与えるみたいな。本当に、後ろめたいこともラップに昇華したらそれがとんでもないエンターテイメントになるわけですからね。だから俺らは本来、やっぱりそうでなければならないんですよね、きっと。

(R-指定)じゃあ、そんなお手本みたいな曲、聞いてもらいましょうか。

(DJ松永)AK-69『You Mine feat. t-Ace』。

AK-69『You Mine feat. t-Ace』

(DJ松永)AK-69『You Mine feat. t-Ace』でした。

<書き起こしおわり>

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