R-指定『疾風伝説 特攻の拓』を語る

R-指定『疾風伝説 特攻の拓』を語る ACTION

R-指定さんが2020年8月5日放送のTBSラジオ『ACTION』の中でヤンキー漫画について特集。『疾風伝説 特攻の拓』について、ヤンキー漫画に詳しい批評家・ライターの森田真功さんと話していました。

(幸坂理加)じゃあ、続いて行きましょう。こちらです。『疾風伝説 特攻の拓』に見るルビの美学!

(R-指定)フフフ、これね! 暴走族とかヤンキー文化のこの「当て字」。ある意味、伝統じゃないですか。漢字に……。

(幸坂理加)「夜露死苦(よろしく)」とか。

(R-指定)「愛羅武勇(アイラブユー)」とか。だから『特攻の拓』っていうのはその当て字が独特というか。

(森田真功)だから元々、たとえばさっき言っていた「夜露死苦」とか「仏恥義理(ぶっちぎり)」とか。漢字に当て字……近年もキラキラネーム的なものがありますけども。それが特にポエムとして生き生きとしているのが『特攻の拓』なのかなって。

(R-指定)よりポエム的に昇華していったというか。

(森田真功)そのルビの入ったセリフまわしなんかがある種のグルーヴを生んでいるというか。有名なものだと「不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまった」っていうやつですね。

(R-指定)フフフ、これね(笑)。

(幸坂理加)えっ?

(R-指定)「事故るやつは不運と踊っちまったんだよ…」って書いて「事故るやつは不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ…」って読ませるんですよ(笑)。

(幸坂理加)「ダンスっちまった」!? 初めて聞きますよ!

(R-指定)最高!

「不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ…」

(森田真功)これ、今私が言葉で言うと変ですけども。その、漫画っていうのは目で見るものじゃないですか。そうすると、これがある種の美しさとエモーショナルな感じになってくるんですよね。

(R-指定)たぶんヤンキー漫画とかって言うたら口に出したらヤベえんですけども。やっぱり見るとゾクゾクするし、使いたくなる。それこそ『サムライソルジャー』とかでもないですか? バイクでバーン!って。人のバイクを借りて、そいつを乗せたまま敵に突っ込んでいく。その突っ込んでいく瞬間に「お前の頭の中で今、音が鳴っただろう? それがロックだ」みたいなことを言って(笑)。めっちゃいいんですよ!

(森田真功)ありますよね。『湘南爆走族』なんかだと「爆走」と書いて「ロックンロール」って読んだりとか。

(R-指定)フハハハハハハハハッ!

(幸坂理加)ええっ? そんな読み方、普通はしないですよね?(笑)。

(R-指定)いや、いいなー。他にも『特攻の拓』の名言ってあるんですか?

(森田真功)いっぱいありますけども。その『特攻の拓』、佐木飛朗斗さんという原作者がいるんですけども。その人の言語センスが独特なんで。他の作品……たとえば『R-16』とか。

(R-指定)僕、『R-16』大好きなんですよ!

(森田真功)マジっすか!

(R-指定)『R-16』……僕なんか、正直最弱なんで。だから最強にあこがれて。俺は寿みたいになりたかった。寿は中学生やのに中学の女の先生と付き合ってます!

(幸坂理加)ええっ? ませてるー!

(R-指定)寿はヤバいっす。ごっついっす!

(森田真功)そういうのがありますね。だから『R-16』とかもセリフ回しが……。

(R-指定)たしかに。おもろかったっすね!

(幸坂理加)盛り上がっているところですが、一旦CMです。

(中略)

(R-指定)ちなみにこのヤンキー漫画ってどんな存在なんでしょうかね?

(森田真功)ひとつには、さっきも言ったんですけど青春というか、モラトリウムを描くにあたって特に優れたジャンルなんじゃないかなという気がします。若者って常にどの時代にもいますし。居場所がない、ドロップアウトしてしまう人間というのはいつの時代にもいるので。

(R-指定)あと、僕が思うのは、『クローズ』の時とかよりも、それこそ『OUT』とかを見てると、漫画の中のヤンキーたちが、今のヤンキーっていうのが世の中の風潮的にちょっと時代遅れというか、「DQN」って言われて見下されたり侮蔑されたしている状況というのを、それを自覚的に分かっていて。

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それでお互いに言いあったりするみたいな。それも時代の流れなのかな?って思いますね。でも、僕はやっぱり見ていて、もう出てくるキャラクターたちって自分よりも若いじゃないですか。その自分より若いやつに人生訓もらったり、なんか勇気づけられたするのもなんかいいんですよね。「俺も頑張らな……九里虎がこんだけ体張っているんやから、俺も諦めたらアカン!」って。

ヤンキー漫画の年下キャラクターたちに勇気づけられる

(森田真功)ゼットンは先生になるんですよ?(笑)。

(R-指定)あんなやんちゃやったゼットンが! 先生を殴って「ゼットン」っていうあだ名がついていたやつが先生になるんですよ! どんなところからでも人生は、変えることができるんですよ!

(幸坂理加)それは何の漫画を見たらわかるんですか?

(R-指定)とりあえず……どうしますか?

(森田真功)ええと、月刊少年チャンピオンですね(笑)。

(R-指定)フハハハハハハハハッ!

(幸坂理加)わかりました(笑)。皆さん、ご覧ください(笑)。

<書き起こしおわり>

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