吉田豪 須藤元気『幸福論』を語る

吉田豪 須藤元気『幸福論』を語る TBSラジオ

(小西克哉)カウンターってあれですよね? カチャカチャやる? あれをずっと持って?

(吉田豪)それで「僕は『ありがとう』を何回言うことができるのか?」って。それを実験するわけですよ。で、四国を巡礼することによって、最終的には21万90回を記録という(笑)。

(小西克哉)すごいね! あれって最高でどこまで数字が出るんだろうね?

(吉田豪)何回転するのかわかんないですけど。

(松本ともこ)使ったことないからわからない(笑)。

(吉田豪)しかも、これもだからカウントしてない時、カウンターを持っていない時も言っているわけですよ。カウントをした分が21万90回っていう。

(小西克哉)すごいね。握力……指の運動にはなるけどね。

(吉田豪)鍛えられそうな感じはするんですけども。「ありがとう」が現実化するという。これもだからかつて、窪塚洋介さん。前も紹介したんですけども。『地球維新』という本とか番組で言っていたのが水の結晶の実験。水に「バカヤロー」と言うと水の結晶がぐちゃぐちゃになり、「ありがとうございます」という感謝の波動を入れるときれいな結晶ができるという。

「ありがとう」と連呼して現実化

(小西克哉)紹介していただきましたね。

(吉田豪)人体の70パーセントが水でできてるから、人に対しても感謝の気持ちを示すべきという。それとシンクロしてくるわけなんですけど。でも、冷静に考えてみたらありがとうっていうことがそんなにプラスになるだったら、坂田利夫さんとか相当……「ありがとさーん」っていうことで……(笑)。

(小西克哉)いや、プラスになっているんじゃないのかね?(笑)。

(吉田豪)なにかが物質化するんじゃないか、ぐらいに言っているわけで。謎が多いんですけども。

(小西克哉)じゃあ、須藤元気さんと窪塚さんは当然……?

(吉田豪)映画で共演したことですごい仲良くなって。1回僕、ラジオ番組で須藤さんと共演したことがあって。その時に聞いたんですよ。「窪塚さんと仲がいいみたいですけど、普段はどんな遊びをしてるんですか?」「ええ、仲いいですよ。主にね、一緒に瞑想したり、世界平和について話し合ったりとかして」って。「それ、遊びなのかな?」っていう(笑)。

(小西克哉)それは遊びなのかな? ああ、そう。

(吉田豪)そういう活動してる方なんですけど。

(小西克哉)この2人の間の会話、1回聞いてみたいね。

(吉田豪)本当に。対談を組みたいっていうぐらいの。

(小西克哉)それこそどこかのクアトロとかでイベントをやれば……。

(吉田豪)800ぐらいすぐ入りますよ。僕も行くし(笑)。

(小西克哉)延々と「ありがとう」って言われるなら「金返せ!」って話になるけど(笑)。

(吉田豪)で、そのシンクロって言えば、つい先日紹介した宮崎ますみさんとも相通じるものがあって。宮崎さん、「宝の地図を書く」という話をされているんですけども。
自分の理想像、なりたい像を宝の地図として書いて。「現実に私はこうなります」「自分らしくい生き生きしていられるボーイフレンドに巡り合いました」と言いたら、「独身で」と書くのを忘れたせいで不倫してしまったというね、そういうエピソードも……。

(小西克哉)まあ、書き方は致命的だから。大事ですよね。

(吉田豪)それを須藤元気さんもやっているんですよ。

(小西克哉)同じことをですか?

(吉田豪)宝の地図を自分の部屋に作っているっていう。「成功」という文字とか温泉の写真とか、自分のなりたい姿で好きなものをイメージする言葉などを雑誌から切り取って部屋のコルクボードに貼る。そして自分の写真は真ん中に置いて、自分の望むのをその周りに配置。それをイメージすることでそれが常に視覚に入り、潜在意識に訴えかけ、なりたい自分の思いやエネルギーを現実に変える。物質化するという。これもやっぱりエネルギーを物質化するための……さっきのアインシュタインのあれですよ。「E=mc2」なんですよ。

(小西克哉)「E=mc2」にそういう深い思想的エンジンがあったとは、知らなかったな。

(吉田豪)ただ、結構冷静な人なんですよね。須藤さんの場合は。要は、そういうようなコルクボードを作っていたら、部屋に友達とかが来たらちょっとびっくりしちゃうんじゃないかっていうことで。「知人が家に来る時には必ずこのボードを裏にして隠す。大抵の人はこのボードを見てリアクション困るからである」っていうね。

(松本ともこ)まあ具体的にどういうものが貼ってあるのか、非常に見たくなりますけど。

(吉田豪)何を貼っているのか、見たいですよね。

(松本ともこ)いきなり温泉とか……(笑)。

(吉田豪)温泉がわかんないんですよね(笑)。温泉を物質化されても困るっていうか(笑)。まあリラックスなのかな?

(小西克哉)ああ、行かなくてもそうなるんだ。でもこれ、ボードを置いておいて友達が来たら「これさ……」って説明し始めたら怖いよね。

(吉田豪)まあ、その説明が長くなるので。説明が面倒くさいので裏返しちゃうっていう。

(松本ともこ)じゃあ、見た人はあまりいないのね。

(吉田豪)で、温泉と言えばこの大浴場。四国の88ヶ所巡礼の時も大浴場で誰もいなかった。貸し切り状態だったから、お風呂で泳いだりとか、「ありがとう」って言いながらシャドーボクシングとかしていたらしいんですよ。

(小西克哉)「ありがとう、ありがとう、ありがとう!」って?

(吉田豪)そしたら「ガラッ」と開いて、お坊さんが入ってきた。「素っ裸でマッチョにタトゥー。しかも『ありがとう』と叫びながらシャドーボクシングをしている青年の姿を思い浮かべてほしい。その瞬間、僕とお坊さんの間が武田鉄矢とトラックという緊迫した空気になった。『僕は死にません』」っていう(笑)。ギャグを織り交ぜるセンスがあるんですよ。

(小西克哉)上手いよね。面白いよ!

(吉田豪)文才あるんですよ。飽きないですよ。

(小西克哉)ずっとストレートにそういう世界を開陳されるとちょっと滅入るけどね。

(吉田豪)バランスがいいんですよ。

(小西克哉)全く理解しない人にもわかるように、飽きないようになっている。

ギャグを織り交ぜながら読ませる文才

(吉田豪)たとえば、その温泉話で言うと、「映画『千と千尋の神隠し』のモデルになった温泉の本館でも入浴した。スタジオジブリ信者の僕は千尋を思い浮かべて燃えた」とか(笑)。ロリコンギャグを入れるっていう(笑)。

(小西克哉)面白いよね(笑)。何歳ぐらいなの? ああ、27なんだ。若いよね。

(吉田豪)若いです。で、巻末の方の他のライターの方が書いている部分でも、友人とかから検証してるんですよ。須藤元気はどういう人か?っていう。「一緒に飲みに行っても、元気はしばらくするとノートとペンを取り出してずっと『ありがとう』って書き続けているんですよ。ウーロン茶を飲みながら」っていう(笑)。酒飲んでない上に「ありがとう」をまた物質化しようとしている。

(小西克哉)酒は飲まないんだなー。

(吉田豪)で、最近出た格闘技通信の増刊で『中量級大図鑑』っていう本がありまして。これのアンケートもやっぱりさすが須藤元気で。「試合前のジンクス」が「ありがとうを連呼する」。「あなたの癖」が「毎日ありがとうを紙に書く」っていう(笑)。

(小西克哉)これさ、格闘家としてはどう考えたらいいの? 俺なんかはイメージとしてやっぱりアドレナリンがグワーッとなって。「倒すぞ!」みたいなさ。なんでもそうじゃない? アメフトなんかでもさ。

(吉田豪)基本的にはメッセージを伝えるために格闘技をやってる人ですから。試合のコスチュームもよく見たらチェ・ゲバラだったり。試合が終わると国連旗を掲げたりとか。国連だけじゃダメだっていうことで最近はもう全ての国を入れて。「We are all one」っていう。

(小西克哉)「We are all one」ってこれ、なんか人類皆兄弟みたいなね。そういう話ですか?

(吉田豪)まあ、笹川良一じゃないですけどね(笑)。まあ、そういうメッセージを伝えているっていう。

(小西克哉)格闘家とのそのギャップがちょっとね、結び付かないんだけどね。

(吉田豪)さらにこのね、「あなたの秘密をひとつ教えてください」というので「宇宙人の友人がいる」と一言(笑)。

「宇宙人の友人がいる」

吉田豪 須藤元気著『バシャール スドウゲンキ』を語る
吉田豪さんが2020年3月4日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で自身の著書『書評の星座 吉田豪の格闘技本メッタ斬り2005-2019』についてトーク。その中で須藤元気さんの2007年の著書『バシャール スドウゲンキ』につい...

(松本ともこ)おもしろーい! これ、格闘技の本ですよね?

(吉田豪)格通の増刊なんですけども。まあ、明らかに他の人たちと世界が違う。

(小西克哉)宇宙人の友人というと、なんか本当に窪塚洋介さん思い出しちゃいますけどね。

(吉田豪)そういう世界の……そういう意味で、この年末の山本KIDとの対戦というのは面白いんですよ。格闘技の神の子 VS 宇宙人の友人がいる男の子ですよ!

(小西克哉)フハハハハハハハハッ! そうなんだ(笑)。

(吉田豪)そしてストリートファイトで鳴らした山本KIDとストリートで刺された須藤元気っていう。渋谷で刺されたことがあったんですよね。通り魔に。そういう時にも無抵抗っていうか、非暴力の人なので。

(小西克哉)だからなのかな? 「We are all one」なのかな?

(吉田豪)これはもう非常に対照的な戦い。

(小西克哉)すごいですね。そういう意味で見逃せない?

(吉田豪)見逃せないですね。

(小西克哉)すごいことになるんですかね(笑)。

<書き起こしおわり>

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