吉田豪 須藤元気著『バシャール スドウゲンキ』を語る

吉田豪 須藤元気著『バシャール スドウゲンキ』を語る アフター6ジャンクション

吉田豪さんが2020年3月4日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で自身の著書『書評の星座 吉田豪の格闘技本メッタ斬り2005-2019』についてトーク。その中で須藤元気さんの2007年の著書『バシャール スドウゲンキ』について触れていました。

(吉田豪)あと、本人本で言うとたとえば須藤元気さん。基本は……。

(宇多丸)知的な方でしょう?

(吉田豪)知的だし、知識も豊富だし、ギャグの入れ方とかもすごいうまいんですけども。須藤元気さんが明らかにヤバいところまで行ったという本が1冊あって。『バシャール スドウゲンキ』っていう本があるんですよ。

(宇多丸)『バシャール スドウゲンキ』?

(吉田豪)ええ。須藤元気とダリル・アンカというチャネラーの対談集で。要するに「バシャール」という宇宙存在というか……。

(宇多丸)ああ、ちょっとスピリチュアル的な。

(吉田豪)そのバシャールとの対談集を普通に突っ込みもなく出しているんですよ。バシャールとは巻末プロフィールによると地球の時間で3000年後の惑星エササニの多次元的存在という、これしか書いていないんですよ(笑)。

(宇多丸)説明になっていない(笑)。

(吉田豪)バシャールとはオリオン星のそばにある三次元からは決して見ることのできない惑星エササニに住む宇宙船の操縦士であり、バシャールからテレパシーでキャッチしたパワーとメッセージを世間に伝えるのがチャネラーのダリル・アンカという。

(宇多丸)いやいや、もうかなり全面展開ですね!

(吉田豪)全面展開です。で、そういう本を読み漁っていた須藤元気さんは友人に心配されて。「とうとう格闘技で頭にダメージを負ってしまったんだね」みたいなことを言われるらしいんですが。この本、本当になんの前書きとか、そういうのもなにもなくて。「この本は須藤元気とダリル・アンカを媒体とする宇宙生命バシャールが東京で行った対話を書き起こしたものです」みたいな感じで。その後、専門用語の説明もなにもなく。「無尽蔵のゼロ・ポイント・フィールド(量子ゼロ場)からのエネルギーとその構造」について延々と説明したりとか……。

(宇多丸)これ、1冊まるごと「わかるまい」っていうやつですね。紙ペンゲームで紹介していただいた。ええーっ! 須藤さん、こういう感じの時、あったんだ。

(吉田豪)「ニビル星」とかみんな、説明なしでも理解できると思ったら大間違いだよ!っていう感じなんですけども。ところが最終的にはバシャールに「異星人と地球全体として公式な形でコンタクトが始まるのは2035年以降」と言われて。それを聞いた須藤元気は「僕は将来的に政治に関わろうかと思っているんですが、ぜひそのコンタクトを取る代表になりたいですね」って。ここで伏線が張られていたんですよ。

(宇多丸)ああ、そうか。政界進出への。

(吉田豪)そう。政界進出。

須藤元気・政界進出への伏線

(宇多丸)ということは着々とこの「2033年から2037年の間に地球は変わっていき、宇宙連合の一員になっているでしょう」というのに向けて須藤さんは照準を向けているということなんですか。

(吉田豪)だから、そう。この本(吉田豪『書評の星座』)を読んだ時に「須藤元気のこの伏線、ようやく今、気づいた!」みたいな人、多かったですね。

(宇多丸)今もこの感じなんですか?

(吉田豪)基本、でもスピリチュアルな人ですね。

(宇多丸)イベントとかでご一緒したこともあるんですけども。ものすごいちゃんとした方ですけどね。

(吉田豪)で、こういうことを話したら人からどう思われるかとかも全部わかった上でやっている人ではあるんで。他の本では延々とナンパ事情とかについてずっと書いていたりして。

(日比麻音子)ナンパ事情!?

(吉田豪)はい。かなりオープンな人で面白いですね。

(宇多丸)でも、とにかくこの『バシャール スドウゲンキ』はあれですね。説明もない全面展開ぶり。いきなりフルスロットルすぎるよ!っていう。

(吉田豪)「狂っている! でも、そこがいい!」っていう。で、僕、それを須藤元気さん本人に絶賛をしたら「これを褒めてくれるの、吉田さんぐらいですよ」って言われました(笑)。

「これを褒めてくれるの、吉田さんぐらいですよ」(須藤元気)

(宇多丸)だからまたこれもさ、書評とセットで完成するやつだろう?っていう(笑)。

(吉田豪)そうですね。これ単体だと意味がわからないと思います。

(宇多丸)すごいなー。そういう意味で、親切なんだろうな。

<書き起こしおわり>

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