渡辺志保とDJ YANATAKE Black Lives Matterと2020年のプロテストソングを語る

渡辺志保とDJ YANATAKE Black Lives Matterと2020年のプロテストソングを語る INSIDE OUT

(渡辺志保)その通りです。そして私のInstagramの方にもいくつか質問などなどいただいていて。「カニちゃんの動き、ニュースで見た限り、単純に素晴らしいと思いました。何か裏とかあるんですかね?」。

(DJ YANATAKE)じゃあちょっとカニエさんの報告、いいですか? 近況報告。

(渡辺志保)「カニちゃん」っていうのはこのDMで書いてくださっていたことで。カニエ・ウェストさんのことですね。

(DJ YANATAKE)アルバム『God’s Country』は出なかったということですけども。

渡辺志保 カニエ・ウェスト新作アルバム『God’s Country』の噂を語る
渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でカニエ・ウェストの新作アルバムとして噂されている『God's Country』について話していました。 (DJ YANATAKE)ちょっとさ、志保さんに聞きたいことがあるんですよ。...

(渡辺志保)まあ、確率は最初から50:50だったからね(笑)。可能性として。で、カニちゃん、今回のその5月25日、ミネアポリスで事件が起こってから、しばらくずっと沈黙を貫いていたんですよね。カニエってやっぱりSNSとの相性が全くよくないから、それは賢明な判断ではないか、みたいなことを私もカニエファンのTwitterとかで、いろんなファンの方が言ってるのを見て。ここでまたね、すごい世論を引っかき回すようなトンデモ発言をされたらちょっと心がついていかないわと私は思っていたから。まあいいことかもなとは思っていたんですけれども。

先週、地元シカゴ……だからLAのデモじゃなくて、シカゴのデモに参加したという。ご自身の地元でシカゴのデモに参加して。かつ、カニエの周りにお付きの人みたいな方はいらっしゃったけど、そんな厳重な警備とかはなくて。本当に一市民としてマーチに参加してたっていうような印象を私は受けました。

カニエ・ウェスト、シカゴのマーチに参加

(渡辺志保)で、30分ほど行進の列にカニエさんが参加して。かつ、それと同時に約2億円を寄付するという。で、内容が……ごめんなさい。今、私の記憶をたどりながらしゃべってるだけで、もしミスがあったら申し訳ないですけれども。この事件の被害者でジョージ・フロイドさんの娘さんのジアナさんの大学進学の費用に当てる。その他にも、そういった保護団体の人たちへの寄付も含めて2億円強(200万ドル)を寄付っていうね。

(DJ YANATAKE)なんかね、いろんな有名な人がデモに実際に参加したり。寄付をすごい額、したりしているよね。

(渡辺志保)そうなの。だからこの質問でも「なんか裏があるんですかね?」ってあったけど。裏があったらちょっと嫌だと思いながらメッセージ拝見しましたけども。

(DJ YANATAKE)ボクサーのフロイド・メイウェザーがね、お葬式代を出したりとかね。マイケル・ジョーダンは110億円?

(渡辺志保)すごい。それをだからなんていうか、ジャスティス……だからこのシステムを改革するために巨額の寄付を行うっていうことですよね。ピンポイントに誰かに寄付するとかではなくてね。その社会全体に寄付するっていうのを発表してらっしゃって。すごいことだなと思いましたけども。

(DJ YANATAKE)まあ金額じゃないし、あれなんだろうけど。マイケル・ジョーダンに関しては今までね、政治的発言を割と避けてきたような立場……いろんなね、影響力がある人だからあれなんだろうけども。でも今回はそんな人でさえ、この事件に対しては発言して動いて寄付して……っていうことを見せてるような事件だということですよね。

(渡辺志保)そうですね。マイケル・ジョーダンは今、Netflixで『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』っていう彼のドキュメンタリーもすごい話題になっているから。本当にいいタイミングだったのかもしれないですけどね。そんな動きがあるということです。他のラジオでもちょっとヤナタケさんにもお伝えしたけど。MIYACHIくんとかもすごい活動してて。

彼もやっぱり自分のマーチャンダイズを今、準備中っていうことで。ただその売り上げもですね、彼も寄付をするということで、Instagramでお知らせしたりとかですね。なかなかやっぱりこの動きは目を見張るものがあるなという風に思っております。(質問を読む)「歴史的な場面に立ち会っている中、リアルな友人たちとこういう話ができないのが少し悲しくもあります。ごめんなさい。ただの愚痴です」という風にTwitterでつぶやいてくださってますけど。

でも、たしかに私もリアルな友達と会って話す機会自体が今はね、あんまりなかったりしますけど。たしかにでも、そういうところはあるかもしれないし。「こういうことを言ったら引かれちゃうかも」とかね、そういう風に思っていらっしゃる方ももしかしたらたくさんいるかもしれないけど。でも逆に言うと、こうしたSNSだとか、こうした番組とかね、どんどんプラットフォーム的に使ってほしいなとも思いますし。我々も微力ながら、何か発信できれば……と。それでみんなで共有する場になればなという風にも思います。

(DJ YANATAKE)あと、そうだ。最新カニエ情報。今日(6月8日)、お誕生日です。おめでとうございます!

(渡辺志保)ああ、そうだ! カニちゃん、お誕生日おめでとうございます!(笑)。

(DJ YANATAKE)というわけで、カニエ・ウェストの曲じゃないんですが、1曲ちょっと挟んでいきましょうか。何にします? プロテストソング特集ということで。

(渡辺志保)ラン・ザ・ジュエルズの後はテラス・マーティンにしますかね。彼は本当にケンドリック・ラマーとも一緒にやっていたりする偉大なミュージシャンですけども。『PIG FEET』っていう曲をリリースしました。フィーチャリングでデンゼル・カリー。そしてドラマーのカマシ・ワシントン。そしてG・ペリーコ、そしてデイリットという、全部で5名で作った曲ですね。で、G・ペリーコはちょっとあんまりそのラップとして参加っていうわけではなくて。全体的にフィーチャーされてるのはデンゼル・カリーとデイリットのバースになるんですけれども。

で、『PIG FEET』って何のこちだ?ってことなんですけども、「PIG」は「警察」のことなんですよね。で、まあ日本ではなかなか警察官のことを「このブタめ」って言うことはないような気もするけど。たとえばですね、エモリー・ダグラスっていうデザイナー兼イラストレーターの方がいらっしゃいまして。彼は何で有名になったのか?っていうと、ブラックパンサーの機関誌にイラストを書いてた方なんですよね。エモリー・ダグラス。彼の画集なんかを見ると、ことごとく警察が豚として描かれてるんですよね。

(渡辺志保)だからそのマイノリティー……特にアフリカンアメリカンの人たちにおいては警察イコール豚のような存在だっていうことで。うん。まあ、もちろん褒められたことではないですけれども。まあそういう隠語的な形で使われてきたと。

(DJ YANATAKE)まあ、そうね。ちょっとバカにするような言い方なんだけどね。

(渡辺志保)なので本当にこれもすごい早い段階にリリースされていた曲だと思うんですけれども。そう。「PIG」っていうのは警察のことを揶揄した言葉ということで、ちょっと聞いていただきたいなという風に思います。テラス・マーティン『PIG FEET feat. Denzel Curry, Daylyt, Kamasi Washington, & G Perico』です。

Terrace Martin『PIG FEET feat. Denzel Curry, Daylyt, Kamasi Washington, & G Perico』

(渡辺志保)はい。今、お届けしたのはテラス・マーティン『PIG FEET feat. Denzel Curry, Daylyt, Kamasi Washington, & G Perico』でした。テラス・マーティンはサックス奏者ですので。後ろで演奏されているサックスがテラス・マーティンのものということです。

(DJ YANATAKE)なんかテラス・マーティンの曲ってやっぱりさ、結構ムーディーだったりとかさ。そういう印象が強いんだけど、やっぱりこの曲でこのトーンで訴えてくるところになんかね、それだけでも感じるよね。

(渡辺志保)そしてそのカマシ・ワシントンの超絶ドラムのビートがね、すごい疾走感というか、焦燥感というか。そういったものを煽るなっていう風に感じで感じました。そんな感じでお届けしてますけれども。先週もね、アトランタのAKI IKEJIRIさんをお招きして、こういった話を展開していったわけですけれども。何となく、私の目から見ての意見ですけど。先週まではすごい「強奪が起こってます」とか「炎が上がってます」とか。

日本のテレビを見ていても、めっちゃなんか荒れてる部分をすごい切り取って。「黒人が暴動をしてます」みたいな、そういった報道がすごく目についたし。Twitterとかを見ていても、めちゃめちゃ凄惨な、もう焼け野原みたいになっているお店とかね。そういったところばかりが目についたんですけども。ここ数日はやっぱり世界的に平和なデモが、しかも何千人、何万人というね、それぐらいの規模で起こってますよっていう報道が目立つなという風に感じました。

(DJ YANATAKE)そうだね。特にこの週末のデモがまさにそういう感じだったみたいだね。で、過去最大、いままでに類を見ないぐらいの規模のデモがかなり行なわれたみたいな感じで。俺、COMPLEXマガジンのInstagramを見たんだけども。今さ、昔と違ってドローンとかがあるから、空から撮った映像っていうのがCOMPLEXのインスタに載ってたんだけど。もうとんでもない人数……これはもう数え切れないぐらいの。

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(渡辺志保)人の波みたいな感じでね、何キロも進んでるような。

(DJ YANATAKE)そこにまあマイケル・B・ジョーダンがさ、こうコメントしてたりとか。

(渡辺志保)実際にケンドリックもね、マーチに参加してらっしゃいましたもんね。

(DJ YANATAKE)あとはティナーシェとかもね、「やってやったぜ!」みたいな。なんか参加しただろうなっていうね。有名人からのコメントもそこにあったりとかして。本当にアーティストもね、みんな参加してる感じだったよね。

(渡辺志保)そうですよね。フィリーとかもすごい人の波のうねりがマーチになってましたし。あとアメリカのTwitterがまとめてたニュースでも、「パリ、ロンドン、ジャパンでも非常に大規模なデモが開かれてます」ということが報じられていて。やっぱりその前週、前々週までのその過激な暴動とかよりはその報道される論調もちょっとずつ変わってきてるのかなと思うし。

あと、今日の昼間は私、『ワイド!スクランブル』。昼間のワイドショー的なニュース番組を見てたんですけど。池上彰さんが出ていて。1時間ぐらい丸々使ってアメリカの建国の歴史から奴隷制からキング牧師のワシントン大行進からオバマ大統領の誕生までをかなり時間とあと、本当に貴重な資料を使って。歴史の教科書なんかによく載ってますけれども。黒人奴隷が背中を鞭打たれて傷を負っている写真とか、それからKKKのメンバーが行進をして十字架を燃やして……みたいな映像なんかも挟みながら、かなり深く報じていて。

何となく日本のニュースもね、繰り返すけど派手なところだけ。「燃えている」とか「黒人が……」みたいなところだけ報道するのはやめてほしいなと私もちょっと思っていたので。『ワイド!スクランブル』すごいなと思ったっすね。

(DJ YANATAKE)あと、そういう報道をしようっていう姿勢が日本でも高まってきたっていうのはすごいいいことですね。

(渡辺志保)で、私も……そうだ。先週、SIMI LABのMARIAとInstagramのライブをやってて。そこでもちょっと触れたんですけど。言われてみればその「アフリカン・アメリカン」と称されるアメリカの黒人の人たちの歴史って、もしかして今、そんなに深く教科書では習わないかもしれないし。あと、こうした人権問題そのものについても、あんまりめちゃめちゃ時間を割いて小学校、中学校、高校で学ぶようなものでもないのかもねっていう風に私も思っていて。

だからたとえば「Nワードを言っちゃダメなんだよ」って言ったとしても、「なぜ、それを言ってはダメなのか?」とか……普通にこうやってラップばっかり聞いているとそれはクールなスラングにしか聞こえないっていうこともあると思うので。「なぜ、それがいけないのか? それは奴隷時代に本当にむごい仕打ちを受けて。家畜と同じような扱いをされてる時に白人のご主人さまが黒人たちを総称するワードとしてNワードを使っていた。だからダメなんだ」とか。

そういったことを学ぶ機会そものものがあんまりないかもな……という風にふと思ったので。まあ説教くさく「教科書を読め」とか、そういうのじゃないけど。でも本当にこういったことをきっかけにですね、そういうこと……歴史とか背景っていうものがちょっとずつ伝わればいいのかなっていう風にも思いましたね。

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