宮藤官九郎と幸坂理加『池袋ウエストゲートパーク』を語る

宮藤官九郎と幸坂理加『池袋ウエストゲートパーク』を語る ACTION

宮藤官九郎さん、幸坂理加さん、伊勢志摩さんが2020年5月25日放送のTBSラジオ『ACTION』TBSラジオ『ACTION』の中でドラマ『池袋ウエストゲートパーク』について話していました。

(宮藤官九郎)この間、エンディングで「じゃあ来週、『池袋ウエストゲートパーク』の話を渋滞コーナーでしようかって言っていたら、よくよく考えたらプロジェクトのコーナー、今週は本の話をしなきゃいけなくて、できないので。オープニングでやりましょうかということで。僕、『池袋ウエストゲートパーク』をほぼ……(BGMが流れる)。あ、ちょっとこれ、ヤバい……(笑)。

(幸坂理加)デレレレレレレレッ♪

(宮藤官九郎)あ、また自粛警察が張っているぞ?(笑)。デレレレレレレレッ♪

(宮藤官九郎)もう、この20年の間で何度聞いたか(笑)。そうそう。あおり運転の時もかかるからね、これ。

(伊勢志摩)そうそう! 本当、言われてみればよく聞くよね!

(宮藤官九郎)もう名盤ですよ。

(幸坂理加)曲のチョイスもいいですよね。この物語は(笑)。

(宮藤官九郎)もうアンセムですよ。もはやこうなると。そんな『池袋ウエストゲートパーク』、またの名を『池袋物語』。こちら、幸坂さんが見ていただいたということで。

(幸坂理加)はい!

(宮藤官九郎)私はほぼ20年ぶりぐらいに1話だけ、第1回だけ見させていただきました。いつも僕が熱く渋滞させながら語りますけど、今回はやっぱり幸坂さんが見たということで、幸坂さんのおすすめドラマだから、幸坂さんの「どこが素晴らしいのか?」を聞いてもいいですか?

(幸坂理加)1個だけですか?

(宮藤官九郎)いや、いっぱい言ってください(笑)。

(幸坂理加)いいんですか? 時間、足りるかな? 一番私がすごいなと思ったのが、サスペンスの中にコメディが「ようこそ!」って迎えてくれるんですよ。

(宮藤官九郎)ああ、サスペンスの中でコメディが迎えてくれる? なるほど。ウェルカムドリンクみたいな感じで。ウェルカムボードみたいな?

(幸坂理加)そう! セリフ回しが最高なんですよ!

(伊勢志摩)あの差し込んで来る感じが素晴らしいですよね。

(幸坂理加)そうそうそう! 不意に来るから……。

(伊勢志摩)でもサスペンスの地盤を崩さずに笑いがシャッシャッシャッて入ってくるんだよね。すごい。

(幸坂理加)その差し込み方が絶妙なんですよ!

サスペンスとコメディの絶妙な按配

(宮藤官九郎)すいません。たぶんね、僕も見返して思ったんですけども。あれを書いていたのはギリギリで20代だったからだと思うんだけど……(BGMを聞いて)なんかすげー煽られているんだけど、大丈夫?(笑)。もう「ブクロ最高!」って言っちゃいそうなんですけども(笑)。でもね、やっぱりまだ20代だったっていうこともあって、「ここで俺が書いたぞっていうハンコを押さないと気が済まない」的な。それが1話を見る限り、阿部サダヲさんと森下愛子さんにものすごい負荷がかかっていたね。

(伊勢志摩)負担がかかっていた。そうか。

(宮藤官九郎)「バカ野郎、この野郎! 今日の焼きそばだったらぶっ殺すぞ!」なんて原作には一切ないですからね。

(幸坂理加)フフフ、そうなんですね!

(宮藤官九郎)お母さん、原作には出てこないんですよ。原作はマコトのプライベートな私生活がほとんど出てこないんですよ。

(幸坂理加)へー! じゃあ「川崎麻世が好き」っていうのも?

(宮藤官九郎)ああ、もう全然(笑)。あれも完全に原作にもなければ、もうなんか打ち合わせでもたぶん軽くスルーされいてたぐらいのネタだったのが……でも、ちゃんとあれで1話で「川崎麻世のファンだ」っていうことが最終話までちゃんと引っ張ってますからね。

(幸坂理加)はい。カイヤさんと電話しますからね(笑)。

(宮藤官九郎)そうそう。途中でね(笑)。幸坂さん、さすがにこれは見たね!

(幸坂理加)見ましたよ! すっごい面白い。「かっこいい歯医者なんてさ、そんなうまい話……松田聖子じゃないんだから」っていうね(笑)。

(宮藤官九郎)ああ、歯医者のね。タイムリーな時事ネタ。やめて、恥ずかしくなってきた(笑)。オープニングからやられると、やっぱり恥ずかしいね。でも、元々これね、石田衣良さんの原作を渡されて、「これをドラマにしたいんだけど」って言われて読んだんですけど……というかね、これは実は原作は短編なんですよ。1個1個。短編で、1冊の中に5個、話が入っていて。それぞれミステリーなんですよ。犯人は誰だ?っていう話なんですよ。

原作小説からの改変

で、1話の犯人が1話でネタばらしをしちゃうと、その後、その登場人物は最終話までは出てこれないんですよ。犯人だから。だけど、それだと……まあこれ、犯人が誰だか言っちゃうことになるんであれなんですけど、それだとその役者さんを抑えたのに2話で終わりですみたいになっちゃうじゃないですか。それはマズいっていうことで最後までいて、最後には犯人がわかるっていうにするっていう工夫とか。そういうの、やっぱり思い出した。いろいろ見ていて。

(幸坂理加)へー!

(伊勢志摩)意外と忘れているんですね。

(宮藤官九郎)見返さないですからね。まず、何がびっくりしたってまだ長瀬くんも加藤あいちゃんも出てくる前に、うちの皆川猿時さんが出てたでしょう?

(伊勢志摩)そうなの!

(幸坂理加)それ、どこにいました?

(宮藤官九郎)最初にぼったくられる……。

(伊勢志摩)ぼったくりバーみたいなところで2人のサラリーマンが最後、パンツ一丁みたいにさせられて。「行け!」とか言われるじゃない? あのパンイチの人ですよね?

(宮藤官九郎)そう。「池袋で遊ぶなら気をつけなきゃね」って言われる。

(幸坂理加)私、4回見たのに見つけられなくて……。

(宮藤官九郎)なにしろね、体重が半分ですから(笑)。痩せてるんですよ。でね、やっぱり痩せていると魅力がないね。あの人は(笑)。

(伊勢志摩)そんな、失礼な……(笑)。

(宮藤官九郎)で、「そうか。そういえばこの人、出てたわ」って思ったんだけども。あの『池袋ウエストゲートパーク』って最終話までやった後に3年後ぐらいに『スープの回』っていうスペシャルをやるんですよ。急に。それでクレイジーケンバンドさんとかが出てるんですけど。その『スープの回』に皆川さん、別人の役で出てるんですよ。おまわりさんの役で。でも、体重は増えてるから誰が見てもわかんないんです(笑)。

(伊勢志摩)あと、おまわりさんに転職したみたいなことでね(笑)。

(宮藤官九郎)それでもありだしね(笑)。いやー、でもね、加藤あいさんのキラキラ加減と、あとは酒井若菜さんのちょうどよさね。かわいいね!

(幸坂理加)いいんだなー! かわいいんだよなー!

(伊勢志摩)あとね、長瀬さんもね、若かったしね、すごいし。

(幸坂理加)キングもね、窪塚さんも……。

(伊勢志摩)窪塚さんも若かった。まあ、20年前だから当たり前なんですけどね(笑)。

(宮藤官九郎)フフフ、ファミレスでしゃべってるみたいですね(笑)。これ、渋滞どころかまだ店から出てないですよ、この人たち(笑)。

(幸坂理加)あと、聞きたかったのが「イチゴの回」「ニンジンの回」「みかんの回」「しいたけの回」って行くじゃないですか。で、なんでいきなり「洋七の回」とかになるんですか?

エピソード名の決め方

(宮藤官九郎)全部一応数字ですよ。だから1、2、3って……これは監督の堤さんの案で。「1がイチゴの回、2がニンジンの回、3はみかんの回にしよう」とまでは教えてもらったんだけど、それ以降、忙しくなってきたのか何も言わなくなってきちゃって。「じゃあ自分で考えなきゃ」って。それで「4はしいたけ、5はゴリラ……」とか考えていって。それでもう最終的に面倒くさくなってきて。「7と8、どうします?」ってなって。

それで昔、漫才ブームの頃にB&Bっていうお笑いコンビがいて。そのB&Bというのは島田洋七・洋八なんですよ。それで「もういい。洋七と洋八、これで2個!」っつって。で、その代わり、洋七さんと洋八さん、両方出ているんですよ。しかも洋七さんは本人役でファミレスで話しかけてくるだけだからまだいいんだけど、洋八さんは結構ちゃんとした役なんですよね(笑)。申し訳ないことしたなと思って。洋八だったばっかりにね。やっぱり……筆が暴れてますね。この頃はね。

(伊勢志摩)「筆が走る」っていうのはそういうこと?

(宮藤官九郎)うん。「暴れているな!」って思って。そして、昔のドラマを久しぶりに見るのは悪くないね。

(伊勢志摩)私もちょっと、全部見直そうと思って。私も1、2を見直したんだけど、今後ちょっとね、見たい、見たい。

(幸坂理加)もう止まらなくなっちゃう。

(宮藤官九郎)窪塚くんの彼女役のジェシーの池津祥子さんがさ、途中で携帯電話でずっと相手にロシア語をしゃべるシーン、あるじゃない?

(伊勢志摩)そう! あれ、すごいよねー!

(宮藤官九郎)あれ、今は絶対に怖くてできない! いろんな意味で(笑)。

(伊勢志摩)あれ、ドラマを見て久々に声を出して爆笑したな。あのロシア語のところ。

(幸坂理加)あ、もう時間ですか?

(宮藤官九郎)ああ、自分の好きな作品の時も自分で切るんですね(笑)。

(幸坂理加)そうなんです(笑)。

<書き起こしおわり>

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