荻上チキ 検察官の定年延長法案審議入りを語る

荻上チキ 検察官の定年延長法案審議入りを語る 荻上チキSession22

荻上チキさんが2020年5月8日放送のTBSラジオ『Session-22』の中で検察官の定年延長を含む国家公務員法改正案が衆議院内閣委員会で審議入りした件について話していました。

(南部広美)検察官の定年延長を含む国家公務員法改正案が審議入り。森法務大臣の出席はなく、野党は反発。国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法改正案の審議が今日、衆議院内閣委員会で始まりました。この改正案には検察官の定年を延長する検察庁法の改正部分を含んでいることから立憲民主党、国民民主党などの野党会派は黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題をただすため、森法務大臣の出席を要求。

しかし自民党は応じず、反発した野党会派と共産党は審議を欠席しました。一方、弁護士有志で作る団体は改正案に反対するよう求める要望書を各政党に送付。要望書では「政権によって検察幹部の人事がコントロールされ、検察官の政治的中立性と独立性を脅かし、三権分立をも揺るがしかねない」と警告しています。

(荻上チキ)これね、検察庁の定年延長など、様々な問題が属人的な……「黒川さんという方の出世というものを確約するために定年延長を行なったのではないか?」という疑惑付きのもので。そうしたものを事後的にOKということにするような関連法案というものをセットで行う。これは「関連法案」なので法律の束になっていて。ひとつの法律だけなく、複数の法律が重なり合っていたりする。複数の法律を重ねて改正手続きに入ること、そのものが問題だ、イレギュラーだということではないんだけれども、しかしながらこれだけ多くの注目を集めてかつ、疑惑もあって。なおかつ、今後の権力のあり方というものを変える。

要は「定年延長」というのは「権力の緩和」になるんですよね。「この人たちにもうちょっと長く権力の座に就いてもらっていていいですよ」っていうことにOKサインを出すことになる。私たち、労働者としての権利が広がるというものではなくて、権力の側に対する縛りを緩めるというタイプの改正ということになるわけですよ。

権力の緩和、権力側の縛りを緩めることになる

そうすることであれば、やはり権力側には自重と、それからしっかりした議論の手続きということが重要になってくると思うんですけれども。そうしたことを抜きにして、法律が変えていかれるのであれば、それはやっぱり立法府としての国会はやってはならないこと。

あるいは権力を預かっている内閣、行政の方も自らの「権力の濫用」というものを疑われるようなことをやってはいけない。安倍さんは、たとえば森友学園問題とか加計学園問題の時、「李下に冠を正さず」という風に言って。「もう疑われることはしません」みたいな、そうしたことを口にしていたわけですけれども。

「李下に冠を正さず」

でも、そんな言葉が本当に実行されてるかと言うと、そうではなさそうですよね。たぶん、やる気もないと思うんですけども。「民主主義に誠実あること」っていうことに関してはあまりやる気がなさそうに見えるので、ここはやっぱりしっかりとどんな論点があるの?っていうことを取り上げ続けなくてはいけない。

今、たとえばね、「火事場泥棒」とかいろいろキツい言葉でこうしたような動きを批判するような向きあるわけですよ。僕もやっぱりね、今の動きというのは「どさくさ改正」とか「どさくさ改憲」とか、そうしたような言葉が似合う状況になってしまっているという風に残念ながら思います。そうしたような状況というものがまねかれてしまっていることに対して与党のさまざまな議員もしっかりと自覚した方がいいですよね。

こうしたコロナ禍の時に政府の一員だったとしても内部から「それは違うんじゃないか?」という声を上げる。その声を上げることによってようやく、「ああ、議員としてしっかり仕事をしてるんだな」っていう顔が見えてくるというか、役割を果たそうととしているという動きが一応見えてくるのではないか? 自民党だろうが公明党だろうが。

そうしたようなものに対して、今回はどうなのか? 今回、その声をあげないということは、やっぱり「与党だから声をあげない」云々ではなくて、その議員は「これはOKだ」という風に見てるっていうことになる。そうでしょう?っていう。そうした声ににちゃんと耳を傾けてほしいなと思います。

こうしたどさくさ案件などに関してはね、また後日メインセッションでまとめていろんな論点を取り上げたいと思いますけれど、こうした未解決の問題を放置していくと、もっとさまざまな問題というものを含んでしまう。育ててしまう。そうした観点から継続的な観察が必要だと思います。

<書き起こしおわり>

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