高田文夫 見習い時代の志村けんを語る

高田文夫 見習い時代の志村けんを語る ラジオビバリー昼ズ

(高田文夫)「なんだ、これ? 大丈夫なのか? 荒井注の代わりは」って。みんな思っていたろ? それで稽古場でも……俺はその時にはもう『全員集合』は逃げ出してさ。三波伸介さんの方に行ってさ。俺は寝返るのが早いからさ(笑)。三波伸介の番組でずーっと台本を書いていたんだけども。それで「ああ、志村がメンバーになったんだな」って思ったんだけども。それで昔からいかりやさんが志村をバカにしていたわけだよ。いかりやさんってほら、だって業平橋だからね。ちゃきちゃきの江戸っ子なんだよ。今のスカイツリーのところ。わかる?

(松本明子)ああ、はい。

(高田文夫)あそこ。業平橋。昔は志ん生の「なめくじ長屋」があったところだよ。舞台。あの志ん生が住んでいたところだよ。あそこの近くに住んでいたのがいかりやさんなんだよ。だからちゃきちゃきの江戸っ子だから。下町の。だから田舎っぺが大嫌いなんだよ。だから「志村、お前なんか田舎っぺじゃねえかよ」なんて。いつも追い詰められていたの。そうすると志村がさ、「ひがしむらやーまー♪」なんて。「なんだ、その田舎臭え歌は?」っつって(笑)。「えっ、知らないんですか? これ、三橋美智也が歌っているんですよ?」なんて。

(松本明子)へー!

(高田文夫)それで三橋美智也がご当地の歌をいっぱい歌っているじゃん? それで『東村山音頭』っていうのを歌っているんだよ。それがちっちゃい時から志村けんっていうのは身体の中に入っていたんだろうな。だから稽古場でも「ひがしむらやーまー♪」って歌っていて。で、「それ、面白いな」なんて。それでだから……一番が「ひがしむらやーまー♪」だよ。それで二番はいかりやさんがアドリブで作ってさ。「一度はおいでよ三丁目♪」って。あそこ、作詞作曲はいかりや長介なんだよ。二番は(笑)。

(松本明子)アハハハハハハハハッ!

(高田文夫)それで三番がパッと脱いで白鳥とか出てくるだろ? それで「ヒガシ、ムラヤマ、一丁目! ワーオッ!」って。あそこは志村さんのオリジナルだから。もうソウルだから。あそこだけ。ガーンと。もう一丁目になるとソウルになるから。あの人、元々ミュージシャンだからね。だからソウルの血が。ロックンロールだから。あの人は。それで「一丁目、一丁目、ワーオ!」って。それでバーンと日本中に広がるんだよ。

(松本明子)もう大ブレイクですよね!

『東村山音頭』

(高田文夫)それで志村けんっていう名前が一気に知れ渡るんだよ。だからあれがなかったら大変だったよな。いろんなことがあるなと思って。いろいろと思い出したよ。「カラスの勝手でしょ」っていうのはあれ、演出の久世さんが研修でたまたま『全員集合』に来た時にいかりやさんに歌って聞かせたことがあるんだよね。「近所でこういうのが流行っている」って。それをいかりやさんと志村が面白がって「それじゃあやろう」ってやって広がったんだよ。いろんなことがあるんだよ。

(松本明子)へー! 久世さんから?(笑)。

(高田文夫)久世さんんもいい加減な人だからさ。いかりやさんも本に書いているんだよ。「久世なんていい加減なやつだからさ。ちょっと『寺内貫太郎一家』を当てたもんだからいい気になっているんだよ。あいつはタチが悪いよ」とか書いているんだよ(笑)。「でも唯一、『カラスの勝手でしょ』を拾ってきてくれたから偉い!」って(笑)。

(松本明子)あれもでも、大ブレイクですからね。子供たちがもう。

(高田文夫)いろんなことがあって面白いよね。昔のこと、いろいろと思い出しちゃったよ。というわけで、まあコロナに負けずに頑張って行きましょう。「一丁目、一丁目」って。

(松本明子)明るく行きたいと思います。

(高田文夫)高田文夫と……

(松本明子)松本明子の……

(高田・松本)ラジオビバリー昼ズ!

「芸人」ではなくて「コメディアン」

(高田文夫)だから志村っていうのは本当のコメディアンなんだよね。ミュージシャンでコメディアンでさ。ギャグマシーンっていうかさ。だから「芸人」っていう言葉とはちょっと違うんだよ。よく間違えているんだよ。雑誌とかにも「芸人一筋」って書いてあるけどさ。違うんだよ。「芸人」っていうのは寄席の演芸とかさ、そういうのをやってきているのが芸人さん。あの人は音楽家だからね。だから「コメディアン」って呼ぶんだよ。志村さんのことは。

(松本明子)そうですね。コメディアン。

(高田文夫)だからリズム感が違うんだよ。志村さんは。

(松本明子)本当ですね。最高でしたね。

<書き起こしおわり>

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