朝井リョウ DJ松永と『ミッドサマー』を見に行った話

町山智浩『ミッドサマー』を語る 高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと

(朝井リョウ)それで、見に行ったのよ。で、まあ始め、祝祭の街にさ、外部の人間が行って。それでどんどんと始まるじゃないですか。で、中盤ぐらいからどんどん惨劇が続くんだけど。で、その一発目の惨劇が割とその全体の映画の中でもエグめのやつが一発目の惨劇で来たわけ。で、その瞬間に……結構だったから。「あっ、申し訳ないな」って。しかも147分あるからさ(笑)。「あっ、申し訳ないな」と思って。DJ松永、左隣に座ってたんだけど。「ごめん……」って小さい声でね。周りの人の迷惑にならないように「ごめん……」って言ったら、本当に私、久しぶりに見ましたけどね。ホラー映画、見てる時にそういう状態になっている人を。手で目を隠しているんですよ(笑)。

(高橋みなみ)かわいいーっ! なに、その一面!?

(朝井リョウ)それで「ごめん!」って思って。貴重な休みの日にさ……(笑)。

(高橋みなみ)あんまり最近、見ないよ? こうやって両目を隠す人って。

両手で目を覆うDJ松永

(朝井リョウ)顔をさ、手で隠していてさ(笑)。なんかそれがめっちゃ面白くてさ。「ええっ、ごめん! これからまだ100分ぐらいあるよー?」って(笑)。

(高橋みなみ)意外性だなー。ダメなんだ。

(朝井リョウ)フフフ、それが個人的にちょっと……でも結局、見終わった頃には「すごいものを見た」という感想は抱いていたので。まあ一緒に見てよかったんですけども。私はこの監督のね、やっぱりこういうすごいものを作った人の制作秘話みたいなのがすごい気になっちゃうの。それで監督のインタビューがまたすごくて。なんていうの? メッセージとかないわけ。ホラー映画って、何か伝えたいことがあるわけじゃないじゃないですか。その監督が何かのインタビューで言ってたのが「ただただ不安になってほしいんだ」って。で、それがやっぱりすごい震えたんだよね。

(高橋みなみ)ちょっと今、鳥肌が立ちました。

(朝井リョウ)メッセージとかじゃなくてさ、「ただただ不安になってもらいたいんだ」って。すごいニコニコしゃべっていて。でもさ、「もともとそうだったな」と思ったんですよ。なんか読んで、「社会がよくなればいいな」みたいな風に小説って書いていなくて。「元々は『ワクワクしてもらいたい』とか『不安になってもらいたい』とか、そういう気持ちで書いてたな」っていうのをすごいこの監督に思い出させてもらったっていうので、『ミッドサマー』はとてもおすすめというお話でございます。

(高橋みなみ)見たくなりました。私は。

(朝井リョウ)ちょっとDJ松永レベルで苦手な人は目を手で覆うという行動に走る可能性があるので気をつけていただければ。

(高橋みなみ)これ、まだしばらくやっているのかな?

(朝井リョウ)この放送の時には公開されて1ヶ月以上たってるから、少なくなってるかもしれませんが。映像的に派手じゃないかもしれないけど精神的にどんどん追い詰められて。「もうやめて!」って気持ちになるような作品が好きな人は、絶対好き。

(高橋みなみ)私は結構好きだね。

(朝井リョウ)あらっ! やっぱり八王子で生き抜いてるからね。

(高橋みなみ)おかしい! 違うんだよ!

(朝井リョウ)ずっと変な祝祭をさ……。

(高橋みなみ)私、映画は『セブン』とかが好きだから。

(朝井リョウ)ああ、意外な一面!

(高橋みなみ)あと、ビョークのやつとか好きだから。

高橋みなみの映画の好み

(朝井リョウ)『ダンサー・イン・ザ・ダーク』? ああ、意外な一面じゃないですか?

(高橋みなみ)本当ですか? 『ミスト』とかもそのまま見たくなっちゃうような。

(朝井リョウ)じゃあ、お好きな可能性がありますね。

(高橋みなみ)たぶんだから好きだと思うけど、うちの旦那はどうかな?って。

(朝井リョウ)ああ、手で隠しちゃうかもね?

(高橋みなみ)ヤバい! かわいい。それ、見たいからいいや。

(朝井リョウ)パートナーの方の手足を拘束して見に行ってください。

(高橋みなみ)フフフ(笑)。見に行こう。

(朝井リョウ)ねっ!

(高橋みなみ)「ねっ!」って(笑)。

(朝井リョウ)もうやっと見れて! すごい念願だったからね! すごく楽しかったです。

<書き起こしおわり>

宇多丸・R-指定・DJ松永『ミッドサマー』を語る
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