Creepy Nuts SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2020受賞を語る

Creepy Nuts SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2020受賞を語る Creepy Nutsのオールナイトニッポン0

(R-指定)それで俺ら、1回ね、奥田民生さんとお仕事をご一緒させていただいていて。

(DJ松永)そう。実は対バンしているのよ。

(R-指定)それで何回かフェスのバックヤードとかでもごあいさつをさせてもらったりしていて。それで結構久しぶりに会うから「あっ! お久しぶりです!」って言ったら、もうなんか民生さんの全脱力しているのにかっこいい感じ。そのフワッとした……。

(DJ松永)あの人はそうだよね。

(R-指定)めちゃめちゃ気の抜けた感じでフラッと入ってきて「おお、久しぶり」みたいな感じやねんけど、かっこいいっていう。で、その後輩アーティストに言う一発目のあいさつ、それが「奥田民生やな!」って思ったんだけど。「どうよ? 順調に仕事なくなっていってんの?」っていう。

(DJ松永)ああ、いいねえ!

「どうよ? 順調に仕事なくなっていってんの?」(奥田民生)

(R-指定)その、今の状況をね。今の状況を悲観的に「大変やな」って言う感じじゃなくて、ヘラヘラと笑いながら「どうよ? 順調にほら、仕事がなくなっていってるんでしょ?」って。

(DJ松永)逆に勇気出るな。

(R-指定)そう。「こんなことあるからさ、頑張っていこうぜ」みたいな感じの。「かっけー!」っていう。

(DJ松永)かっけーな! そんなこと、フラッと言えないもん。「ヤバッ! どうしよう、どうしよう? ヤバい、どうしよう?」ってなっちゃうもん(笑)。

(R-指定)そう。みんなが焦っている時にフラッと「いや、もうこんなことあるからさ」って。もうかっけー!って思って。で、そんなかっこいい人たちが……横並びで見てもあの日のアワードはすごかったわけやん? だからやっぱり気合も入って。頑張ろうって。それで受賞してライブで1曲、『よふかしのうた』を歌うけども。で、言うたら無観客やけども配信という形で。人前で歌うのも俺ら、久しぶりやったやん?

(DJ松永)久しぶりだったね、本当に。

(R-指定)だから気合が入って。それでリハの時にスタッフさんに「本番でトロフィー、これを渡しますんで」って。トロフィーを渡されて。それで「もらって、その流れで歌ってください」っていう感じだったから。それでトロフィーを手に持って、俺はどうしよかな?って考えていて。「これ、もらったやつを下に置いたりしてもいいんですか?」ってスタッフの人に聞いていたのよ。ほんなら(マネージャーの)森さんがバーッと来て「置くの、ダサくない? 持ったまんまやる方がヒップホップ的じゃない?」みたいなことを言われて。「ああ、たしかにそうかも……」って。

「なんかフラッと来た街のあんちゃんがその賞をぶっきらぼうにもらってそのままラップする感じの方がヒップホップって感じするけどね」って森さんに言われて。「それ、ヒップホップっぽい!」って。ラッパー本人からじゃなくてマネージャーからヒップホップっぽさを教えてもらって。「それそれ! 俺、言おうとしてたの、それ!」っていう(笑)。

(DJ松永)フハハハハハハハハッ! なんだ、こいつ?(笑)。

(R-指定)ほんで、そのトロフィーを持ったまま歌うことにしたのよ。で、右手にマイクを持っていてさ、左手にトロフィーを持って歌うんやけど。俺、左手でいつものジェスチャーしながらラップを歌うんですよ。で、「手の動きっていうのはその言葉にプラスしてよりラップを伝える動作だから」っていうことをいろんなラッパーの人が言っていて。だからジェスチャーとか手の動きってめっちゃ大事なんですよ。

それで『よふかしのうた』は結構激しめにジェスチャーするんですけど、それと同じ感じでやろうと思って、トロフィーを持ったまま同じくらいの分量で俺は手を動かしながらリハで『よふかしのうた』を歌ってたんですよ。そしたら、なんというか縦横無尽にトロフィーを動かすわけですよ。なんか剣のように振り回したりとか、上に上げたり下げたり、なんか回転させたりとかしながらブワーッと歌っていて。ほんなら、曲の終盤で「ポンッ」って音が鳴って、そのトロフィーの上の丸っこい金色のスペースシャワーの「S」って書いた玉の部分が「ボトン……」って下に落ちたんですよ。「ボトン……ダンッ!」って。もう首なしトロフィー。

トロフィーの玉が落ちるアクシデント

それで俺、パッとトロフィーを見て「やってもうた! えらいことを……受賞するはずの賞のトロフィーの頭の部分を落としてもうた!」って。それで横を見たら松永さんもニヤニヤ笑っているし。俺もテンパりすぎて歌詞も出てけえへんようになって。なんかヘラヘラ笑って。「よふかしのうた」って歌うことになって。「どうしよう?」って思いながら曲が終わったらスタッフさんがブワーッと走ってきて。俺ももうトロフィーを破壊してしまったから「すいませんっしたッッ!」みたいなことを言ったらそのスタッフさんが「大丈夫です。これ、ダミーなんで」みたいな。

で、パッと見たら「2019」って書いてあって。「去年のやつ……ダミーでよかったー!」って思って。で、そこからあれよ。俺はもうビビり倒して。本番はトロフィーを持ちながら歌ったけど、左半身はほぼ動いてないから。もうが~まるちょばのパントマイムぐらい左に重心をしっかり止めた状態で右側だけ動かして。で、俺は曲の途中で何回か、そのトロフィーに向かって語りかけてるように歌っているシーンがあったんですけども。

(DJ松永)ああ、そんなシーンがあったの?

(R-指定)あれ、トロフィーに向かって語りかけている感じじゃなくて、トロフィーの玉が取れてないかどうか確認しながら歌っていたのよ(笑)。

(DJ松永)フハハハハハハハハッ!

(R-指定)「大丈夫やねんな、お前な。大丈夫やろ?」ってトロフィーに語りかけて。「もうちょっと持ちこたえろよ。あと1バース、持ちこたえてくれよ。玉な」って思いながらやっていましたけどね。

(DJ松永)いや、よう頑張ったわ。

(R-指定)あの日、俺はが~まるちょばになって。そのそばでワンオクは塗りつぶして。もう俺はトロフィーを壊した上に、もう壊してもうたから大切にせなアカンから。もう一切、その傷つけることもなく。もちろん、マジックでそんなこともできません。丁寧に丁寧に持ったまんま、その日は終わりましたね。ホンマに怖かった……。

めちゃめちゃ丁寧にライブする

(DJ松永)いや、怖かったね。でもRさん……俺はRさんがリハでボトンって落とした後にさ、俺はRの耳元でさ、「めちゃめちゃいいじゃん。お前、本番でもやっちゃいなよ……本番でもやっちゃいなよ……」ってRにずっと言っていたのよ。ずっと言っていて本番でもやるかな?って思っていたら、Rがめちゃめちゃ丁寧に持ってライブしていたから。「うわー、R-指定っぽい」って思って(笑)。「これぞ、こいつ!」って思いながら(笑)。

(R-指定)あれか? 本番でバンッ!って頭が取れてもうたらもうトロフィー自体をぶん投げて。「こんなん、元からいらねえんだよ」って言いながら帰っていくぐらいがヒップホップやったかもな?

(DJ松永)本当にな。Rさん、もう赤モヒカンにしよう!

(R-指定)それ、が~まるちょばやん! ホンマの。

(DJ松永)俺は青モヒカンにする! それで脱退したという……(笑)。

<書き起こしおわり>

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