DJ松永 格闘技に救われている話

DJ松永 格闘技に救われている話 Creepy Nutsのオールナイトニッポン0

DJ松永さんが2022年3月1日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の中で自身の趣味である格闘技観戦についてトーク。自分を救ってくれるエンターテイメントであると話していました。

(DJ松永)次のメール、行きます(笑)。「僕レベルになると、推理小説の真ん中300ページくらい、いりません。状況、キャラだけ見ればあとは答え合わせして終わりです」。楽しめてねえだろ、それ(笑)。お前、ちゃんと本を読めって(笑)。いや、その途中のストーリーを読んで「誰だろう?」って考えながら、それで……そのただの謎解きゲームだったら小説にする必要ねえから。ドラマがあって、ストーリーがあって、その機微があって楽しいんだから……お前は勉強だけやってろ! クイズだけやってろって。そういうのじゃないんだから。

やっぱり、あれかな? ファスト映画とかTikTokとかの世代かな? 1分の間で全部見たいとか、ファスト映画でグーッと要約だけ見たりとかね。ニュースも倍速ニュースがあるんですよ。Abemaとかで倍速ニュースが普通にね、放送されたりするレベルですからね。倍速再生、普通の人って最近、多いですよね。ゆっくり見ないんだよ。すごい、ラジオもそういう人、多いと思いますよ。マジで。そうそう。あと、YouTubeに違法アップロードされているやつとかもたぶん2倍速とか……せめて1.5倍速とかだとそこまで声も変わらずに聞けるからね。

でも俺、小説ね、あんまり読めないですよね。なんか集中力が欠けちゃうの。なんか本を読みながら……その1行でまた別のことを考えだしちゃって。本の途中でなんか考え事をし始めちゃうの。「うーん……」ってなってもう1回、読み進めるんだけど、途中でまた気になること、変なことを思い出して。本をポンと置いて「うーん……」ってなって。本を読むのにマジで2ヶ月ぐらいかかるから。本、1ページ開くのにむちゃくちゃ体力使うのね。ああ、もう忘れている、忘れている。本なんか全部覚えてないんだから。

本や映画などのエンタメは覚えていられない

(DJ松永)本当に俺、本と映画とか、そのエンタメが全部覚えてないのよ。たぶん俺、先天的になんか欠落してると思うんだけど。全部……俺、唯一本読み切ったのが『ハリー・ポッター』だけなの。『ハリー・ポッター』シリーズって、『賢者の石』から最後まで全部で7巻ぐらいあるじゃないですか。あれを俺、最新巻が出るたびに『賢者の石』から読み直して。全部覚えてないから。

だからもう最終巻が出る時、大変! 最終巻を買ってから、あれは7巻ぐらいあるでしょう? で、途中の『炎のゴブレット』とか上下巻あるからさ。もう大変。タイムリープして。最終巻が出た時は「はあ……また『賢者の石』からか……」とかって。もう全部、覚えてないから。登場人物の名前も誰も覚えてないから。ハリーぐらいしか覚えてないから(笑)。賢者の石から読み直して。

で、読み直して全部読んでいって、で、やっと最後に到達するんですけど。もう買ってから半年ぐらいかかったの。半年ぐらいかかって最後の本、読み始めるんだけど、最後の本を読み始める時にはもう『賢者の石』のことは全部忘れてるから(笑)。「俺、今なにを読んでるの?」って、もう本当にわからないの。マジで記憶力ないのよ。もう無限『ハリー・ポッター』。

俺、記憶力なすぎて。あと、テレビ番組とかで打ち合わせとかするじゃないですか。台本とか、覚えられないんですよ。だからスタッフさんとかに先に言うんですよね。「ここはこういう段取りがあるんで、松永さん、ここでこの人を挟んでください」とか、そういう段取りがある番組もあるんですよ。そういう時は伝えるんですよ。「俺、本当に記憶力がなくて。マジで覚えてないですよ。だから、俺のスタンスだけ教えてください。俺のスタンスだけ教えてくれれば、ちゃんと仕事をするんで……」みたいな感じで結構毎回、言うことが多くて。本当に、結構緻密な記憶みたいなのがマジでできないんですよね。

だから、まあ1回ドラマの台本を一切覚えずに撮影に行ったっていうやつ、あったじゃないですか。その後、その演技を見て、なんかまあ変わった人だなって思うんですけど。その俺の台本を覚えないでやった演技を見て、「映画に出てくれ」って言われて。この前、映画の撮影をしてきたんですけど。その時は「ちゃんと覚えよう」と思って、前日とかに読んでいるんですけど、マジで入んないの。もう病気なんだろうなと思うぐらい、なんにも入んないんですよ。

何度読んでも入ってこなくて。で、結局当日、真っ白で行って。楽屋で読んで、もうギリで本番で言うみたいな。なんかね、本当に前準備というか、そういう記憶みたいなものが本当にできないんですよね。なんか、物事の練習、鍛錬……これ、格闘技見てて。柔術を教えてる人がYouTubeで言ってたことなんですけど。「ちゃんと頭で構造を理解して、それを何度も反復練習して体に覚えさせるんだよ」っていうことを言ってたんですよ。

で、それってたぶん練習の成果を出す一番の近道だと思うんですよ。たぶん構造を理解して、それを反復練習して、体に覚えさせて。1回1回、頭を使わずに瞬時にそれが動く。出るようにするっていう。たぶんDJもそうだと思うんですけど。俺ね、DJも頭を使わなかったんですよね。脳みそゼロで無心で反復練習しまくったの。本当に。だからなんか、本当に結構遠回りしたと思っているんですよね。

でも今、格闘技は全部頭に入ってるってことだから。たぶん俺、今パウンド・フォー・パウンドで1位かもしれないですね。俺、無敵かもしんない。俺、今人一倍格闘技のYouTube見てるもん。格闘技の予想動画を(笑)。でも、格闘技ってあんまりなんないな。好きだからかかな? 『ハリー・ポッター』? いや、好きだよ! 好きだけど、『ハリー・ポッター』は覚えてないんだよ。あと、映画とかも覚えてないの。面白かったのに。格闘技は覚えてるんだよな。

えっ、なんだろう? どういう違いなんだろうな? わかんない。「好き」のラインと「好きすぎる」のラインかな? なんなんでしょうね? 格闘技、結構覚えてるんだよな。なんなんだろうな? たしかにオードリーのオールナイトニッポンも結構覚えてるんだよな。なんなんだろう? 俺、映画とか好きじゃねえのかな。やっぱり。あと思うのが、映画の説明がうまい人っているじゃないですか。Rとかそうだと思う。いつも俺の目の前に座ってるあの髪の長い人、いるじゃないですか。あの人、映画の要約うまいじゃないですか。

で、あの人ってエピソードトークが上手じゃないですか。俺、映画の感想を上手にしゃべれる人ってエピソードトークが上手い人だと思うんですよ。映画って、ひとつのエピソードだと思うんですよね。ギュッとした。で、その自分の見たエピソードを第三者視点で語り部で解説できるっていう。要は、ひとつのエピソードを体感して、映画というものを摂取して、それを要約してしゃべるってことは自分の身に起こった出来事とか、人を観察して見つけた出来事を起承転結をつけて人に紹介するエピソードトークと一緒だなとか思って。だからあいつって1人しゃべりが上手いんだなとか思ったんですよね。

だから俺は、なんなんだろうな? K-1のストーリーとかベラベラしゃべれるんだけどな。総合とか……なんでなんですかね? おかしいな。でも俺、格闘技の仕事は絶対したくないんですよ。やっぱり俺、絶対嫌で。ゲスト解説なんか絶対嫌なんですよ。あんな聖域に……平子さんね、K-1とかやってらっしゃいますよね。そう言えばこの間のK-1の解説も平子さん、やってらっしゃいましたね。もう俺、見てるから。全部見てるから「ああ、平子さん、やっているんだ」とか。

でも、俺はできないんだよなー。あと鬼越の坂井さんとかも超詳しくて。めちゃくちゃ詳しくて、格闘技のコラムを書いたりとかしてて、めちゃくちゃ面白いですけれども。たまに読むんですけど。もう俺、格闘技の仕事だけはマジでしたくなくって。なぜかと言うと俺、学生時代しんどい時ってヒップホップが現実逃避先だったし。ラジオも現実逃避先だったからつらい日常を乗り越えられてきたんですけど。

でも今、ヒップホップとラジオが現実世界になったから、ヒップホップで傷つくし、ラジオで傷つくし。まあ、ヒップホップでミスるし、ラジオでミスるし、落ち込むし、不安になるから。だから俺の現実逃避先がなくなっちゃったんですよね。で、俺は趣味を見つけるのがすごい下手で。ひとつのことにブアーッと没頭するタイプだから、多趣味なタイプじゃないんですよ。いろんなことに興味が持てるタイプじゃないから。

自分を救ってくれるエンターテイメント

(DJ松永)で、俺が本当に見つけた、「これは自分を救ってくれるエンターテイメントだな」と思えるのが格闘技なんですよね。だから、距離を置きたいんですよね。やっぱり、仕事にしちゃいたくないんですよ。で、本当に尊敬してるから。格闘技を。だってあれ、俺はあらゆる競技とかスポーツとかエンターテイメントの中で一番体を張ってるのが格闘技だと思うんですよね。だって、もう肉体的に強いかどうかを観衆の目の前、真ん中のリングでやる。それで物理的にどっちが強いか。勝ちか負けかを決めるっていう、一番ある種、残酷なことをやっている。

しかも、それまでにもうとんでもない追い込みのトレーニングしたり、減量したり。あと、やっぱりトラッシュトークをやって悪役を買って出たり……トラッシュトークしてヒールキャラを全うすることによって、人に罵詈雑言を浴びせられながら注目を集めて。明らかに自分より強いやつにはあえて噛みついて、メッタメタに、いろんな誹謗中傷を浴びせられながら試合に出て、負けたりするわけですよ。もう、なんでそんなことをするんだろう?ってぐらい命と精神と体力を削っている。

なんか1試合、たぶんそれで勝った直後の解放感とか喜びとかって、普通の人じゃもうあり得ないと思うんですよね。もう、しゃがんってジャンプのこの飛距離が一番尋常じゃないのが格闘技かなと思っていて。追い詰められてからの解放への、そこの飛距離が。で、負けたら本当に地獄だし。ある種、本当に一番身を削っている。心身共に身を削っている。しかも、選手寿命も決まっている。引き際も自分で決めないといけないし。まあ部活みたいに「3年間やって、はい、終わり」じゃないわけですよ。本当にボロボロになりながら負けても続ける人もいるし、勝ち続けてスパッと辞める人もいるし。

で、結構格闘技を引退して、またカムバックしてくる人が多いんですけど。なんかその人が……本当に俺が見聞きした話ですけど。その人たちが言うのは、やっぱり格闘技以上に心が揺さぶれるものがこの世にはないって言うんですよね。でも俺、格闘技を普通にファンとして見てる人間からすれば、「そりゃそうだろうな」と思うんですよ。これ以上、刺激的なものは世の中に、ないよ。最高峰だもん。こんなの。

これ以上、刺激的なものは世の中にない

(DJ松永)それで勝った時の喜びなんて……すごいと思う。もう、たぶん普通の人は人生で90年間、100年間ぐらいかけて味わう心境の緩急みたいなものをたぶんね、格闘技の人は1、2年でギュッとやったりしてるんですよね。あれは寿命が縮まりますよ。めちゃくちゃ負担のかかることですよ。だから、すごい尊敬してるんですよね。だから、本当に格闘家の中でもしゃべり下手な人もいるし、しゃべりがうまい人もいるんですけど。だから本当に追い込まれながら、心身ともに削りながらやっていて追い込まれてる瞬間だからこそ、言葉のうまくない人でもポロッと出る……本当の真理をつく言葉みたいなのがポロッとたまに出るんですよ。それに俺は心をすごい動かされるんですよね。

「あれ? こんな重みのある言葉、俺は人生であと何回、聞けるだろうか?」っていうような格闘家の言葉みたいなのが俺の中でいくつかあって。だから、やめらんないっすね。格闘技を見ることだけに関しては。だから、やっぱりそれぐらい心に響くもんだから、覚えてるんでしょうね。うーん、だから本当に格闘技を見つけられてよかったわ。『ハリー・ポッター』じゃないんだね。ごめんね。J・K・ローリング、悪い。本当に。悪いわ。J・K・ローリング……あの、俺は格闘技です。あ、ヤバい(笑)。フリートークを用意していたのに……まあ、いいか(笑)。

<書き起こしおわり>

DJ松永 扇久保博正・おぎちゃんねる。に鼓舞されている話
DJ松永さんが2022年3月1日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の中で扇久保博正さんがYouTubeチャンネルでRIZIN.33バンタム級JAPANグランプリ優勝を振り返る動画を何度も見て、そのたびに鼓舞されていると話していました。
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