プチ鹿島 東京オリンピック開催中止・延期 新聞記事読み比べ

プチ鹿島 東京オリンピック開催中止・延期 新聞記事読み比べ YBSキックス

プチ鹿島さんが2020年3月17日放送のYBS『キックス』の中で新型コロナウィルス問題を受けて開催の中止・延期がささやかれる2020年東京オリンピックについて、新聞記事を読み比べながら話していました。

(プチ鹿島)まあ最近ね、「フェーズが変わった」なんていう……「なにが『フェーズが変わった』だよ? 『段階が上がった、ステージが上がった』でいいじゃないか?」って僕、散々言ってきたでしょう? でも僕、最近普通に使ってるんですけど(笑)。また先週末であることに関してフェーズが変わったことがあるんですね。オリンピック。

(海野紀恵)あっ!

(プチ鹿島)今日、いろいろと世論調査の結果とかが載っているんですけども。朝日新聞の一面だとオリンピックについて世論調査を実施していて。「東京オリンピック、どう考えますか?」みたいなので。「延期した方がいい」が63%。

(海野紀恵)結構多いですね。

(プチ鹿島)「予定通り」が23%。まあ、このうちの22%は小池百合子さんが入ってると思うんですけどね(笑)。「絶対やります!」って。それで森喜朗さんも「最後までマスクもつけずに頑張る!」って言ってね。だから理想としてあの2人、仲は悪いですけど。理想としては森喜朗先生と小池百合子先生がお互いの首を絞めながら最後、スタジアムに入ってくるっていうのが聖火リレーの理想的な形かなと。首絞めながら、みんなが拍手で迎えるみたいな。「ああ、いろいろあったけどようやくできたね!」みたいな(笑)。お互いに首絞めながら、「この野郎!」って言いながら入ってきて。みんながワーッ!って。

(海野紀恵)フフフ、象徴的な入場ですね(笑)。

(プチ鹿島)だって「やる」っていうことではお互いに一致しているわけだから。ただ、世論は「延期した方がいい」が63%ですって。

(海野紀恵)でも、このコロナウィルスに関わらず、熱さ対策とかその他のことも「本当に間に合うの?」って思いますから。

(プチ鹿島)ちなみにですが「中止する」という風に答えた人は9%だったんですって。だから延期っていうのが出てきましたよね。というのも、先週末の3月14日(金)ぐらいから、たとえばスポーツ新聞を例に挙げますと、オリンピックに関して。フェーズが変わったですよね。「東京五輪、通常開催厳しい」っていう風に。これは日刊スポーツですね。「IOC会長が強気から一転、及び腰になった。『WHOの助言に従う』と言い始めた」っていう。

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)それでスポーツ報知。一面に「記者の目」というのがあって。先週の金曜日。オリンピックに関して。「潮目が変わった」という。

「潮目が変わった」

今までは「まあ、何とかやろうよ」って言ったのがちょっとこうムードが変わってきたじゃないか?っていう。で、どうやら延期、中止、いろんな選択肢が出てきたという。今日の日刊スポーツなんかこれ、すごいですよ。「五輪大国、スポーツイベント8週間NG」っていう。これ、アメリカのことなんですって。

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)だからアメリカがそもそもそうなので、「東京へさらなる逆風」っていう。8週間NGっていう。今までアメリカは対岸の火事的な感じだったんだけど、一気りもう混乱になってきて。まあテレビもそうだし、そもそも予選も開けない。ねえ。もうだって、この番組でも散々言ってきましたけど、オリンピックってアメリカの放送局のためにやってるようなもので。お金を出してくれるからね。そこのためにあの暑い夏に開催する。アメリカは夏だと他にかぶるスポーツイベントが比較的あんまりないっていうので。

本当は秋とかにやればいいんだけど、秋はなんかいろいろとアメリカ的には見たいスポーツイベントがあるっていうことで。向こうの都合なんですよね。「見たいものがある」って何だよ?っていうね(笑)。で、実際に放映権料を出してるから。ただ、やっぱりテレビとかももちろんだけど、選手自体も予選競技とかが危なくなってきたっていう。これが今日ですよ。

で、日刊スポーツもこれはネットか何かでアンケートしたのかな? 「オリンピック、できる? できない?」って。いいですね。これ、スポーツ紙らしくてね。「できない」が69.9%。「できる」って答えた人が24.5%。そんな中、先ほど森喜郎さんと小池百合子さんのことを言いましたけど、今日の日経新聞の一面。ちょっと気になる見出しがありましてね。「東京五輪、完全な形で」っていう。安倍さんなんですよ。「首相、時期明言せず」っていう。

「東京五輪、完全な形で」

こう、どういうことかと言うと、オリンピックについて。「無観客や希望を縮小した形では実施しない考えを示唆」っていう。「完全な形」ってそういうことですよね。お客さんを入れて、規模も予定通り。ただ、これが面白いのが、時期に関しては答えてない。ということは、まあ安倍さん的に中止は論外なんでしょうね。それで、無観客もやりたくない。規模を縮小するのもなし。ということはやっぱり延期っていう……なんか先週末ぐらいからそういう論が出てきてるのかな?っていう。

それで安倍さんはこんなことをおっしゃっているんです。「人類が新型コロナウィルスに打ち勝つ証として完全な形で実現することで主要7ヶ国(G7)の支持を得た」っていう。もうオリンピックの意義がなんか変わってきましたよね?

(海野紀恵)そうですね。すごい……。

(プチ鹿島)それで、これはまあ「開催国の総理大臣だからそう言うでしょう?」と思う方もいると思うんですが、でもオリンピックって当たり前ですけどアスリートが第一ですよね? ところが、先週末ぐらいからいろいろ記事をチェックしてみると、やっぱり「政治とオリンピック」っていう、それに……もっと言うとですよ、もちろんのIOCの判断とかも大きな枠で言うと政治とオリンピックなんですが。もっと国内向けの政局記事にオリンピックを絡めた解説が出始めてきてるんですよ。

これ、先週金曜日の産経新聞なんですが。「新型コロナ、遠のく解散」っていう。「えっ、オリンピックと解散総選挙って関係があるの?」って思うじゃないですか。だけど、これはそういう風に普通に解説しているんです。「コロナウィルスの感染拡大を受け、衆院解散総選挙の時期は見通せない」という。まあ、だから本当の国難の場合は解散できないってことになるわけですよね。

「新型コロナ、遠のく解散」

で、産経はこう書いているんです。「早期に収束できず、国民生活に影響が広がれば、首相の手で解散を行えなくなる可能性もある」っていう。「行えなくなる可能性もある」というのは何を前提にしているかというと、記事の真ん中らへんにあるんですが。安倍さんの頭の中では東京オリンピック・パラリンピック直後の9月の解散が有力な選択肢なんですって。

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)それはなぜか? 首相が誘致に尽力した……まあ森さん、小池さんも頑張ってましたけど、安倍さんもやってましたよね? 「アンダーコントロールした」っていうね。「誘致を頑張ったオリンピックが成功に終われば、政府与党への支持が高まり、環境は整う」っていう。だからこう「絆」「感動をありがとう」みたいな。それで解散すれば、与党自民党にはちょっとポイントが高いんじゃないか?っていう。

(海野紀恵)まあ、イメージはいいですよね。

(プチ鹿島)ただ、この時期を逃せば与党にとって苦しい選挙になりかねない。安倍さんもね、任期の終わりが見えてますから。その中でどの時期にやるか?っていうことになると、オリンピック後が一番いいんじゃないか?っていうことは実際に去年の秋ぐらいから言われてたんですよ。それで自民党幹部のコメント、証言が載っているんですけども。「オリンピックが中止となれば、首相は内閣総辞職を選択しなければならないかもしれない」っていう。まあそれぐらい、五輪を成功させないと政治的なパワーも落ちるっていう。そういうので心配しちゃってる人がいるんですよ。

ねえ。これが産経新聞なんですが。同じ3月14日。今度は毎日新聞に似たような見出しがあります。「五輪延期阻止、政府躍起」っていう。「躍起」っていうのは「一生懸命やっている」ってことですよね。小見出しを見ると……「政治責任波及を懸念」という。

これ、どういうことか?っていうと、去年10月に実施した消費税の引き上げ。10%にしましたよね? あれを踏みきったのは翌年、つまり今年なんですが。「オリンピックで特需があるだろう。だから増税による景気落ち込みが最小限になるタイミングだと踏んだためだ」という。つまり、五輪を契機に政権浮揚を図る戦略を考えていたという。まあ、ある意味産経と同じことを書いていますよね。

だから五輪が延期とか中止に追い込まれれば、政権が見込んだシナリオは崩れかねないという。実際、アベノミクスの成果にかげりが見える中、延期とか中止でさらに景気が落ち込めば、政権自体の基盤が大きく揺らぐんだという。もう完全にこれ、オリンピックが政局になっている。そこの面で……だからそうなるとさっきの安倍さんの「完全な形でやるんだ」っていうのはある種、「そうじゃなきゃ困る」っていう行間も見えてきますよね?

(海野紀恵)そうですね。

(プチ鹿島)ただ僕、あえて言いますと、僕はもうオリンピックは始まってると思ってましてね。それは、「安倍リンピック」ですね。

(海野紀恵)安倍リンピック?

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