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町山智浩 2020年アカデミー賞の見どころを語る

町山智浩 2020年アカデミー賞の見どころを語る たまむすび
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町山智浩さんが2020年2月4日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で2020年のアカデミー賞の見どころについて話していました。

(町山智浩)今回はですね、ちょっと風邪で倒れていて、ネタを仕入れられられなかったので、アカデミー賞の話をさせてください。

(赤江珠緒)いやいや、いいですよ。この時期だから。

(町山智浩)すいません。新作を見れなくて。で、今回の見どころみたいなところをちょっと話したいんですけど。まず作品賞でですね、『パラサイト』が入ってるんですよ。

(赤江珠緒)町山さんに紹介していただいた、あれ。

『パラサイト 半地下の家族』

町山智浩『パラサイト 半地下の家族』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』を紹介していました。

(町山智浩)はい。通常は外国映画ということになるんですけど、他の映画と同じで作品賞にノミネートされてますね。今までにも『グリーン・ディスティニー』が作品賞にノミネートされたことはあったんですが、これが作品賞を取ればアジア映画としては初めてです。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。

(町山智浩)これ、まだご覧になっていませんよね?

(山里亮太)見ました。

(町山智浩)どうでした?

(山里亮太)いや、めちゃくちゃ面白かったです!

(町山智浩)笑うでしょう?

(山里亮太)はい、笑った! あれ、すごいですね!

(町山智浩)ねえ。言えないけど、あのドリフのような展開で(笑)。それで笑うんですけど、でも最後は怖い話になっていってね。

(山里亮太)いやー、びっくりしましたね。

(町山智浩)すごいよくできていて。あれね、あの家を全部、あののために作ってるんですよ。あの半地下の家もそうですけども、お金持ちの家も全部作ってるんで。あれたぶんね、アカデミー美術賞は取るんじゃないかなと思いますね。美術賞っていうのは要するに舞台設定とかの賞なんで。で、これは監督賞も行きそうなんですよ。ポン・ジュノ監督が。で、脚本賞も行くだろうって言われていて。

(赤江珠緒)ええっ、そんなに?

(町山智浩)すごいことになると思います。『パラサイト』、今すごいブームで。あれね、ドラマ化するんですよ、今度。アメリカで。

(赤江珠緒)えっ、アメリカで?

(山里亮太)あのキャストのままでですか?

(町山智浩)いや、これキャストがどうなるかはわかんないけど一応、アメリカのテレビがあれをドラマ化するっていう契約を取ったんですよね。はい。まあすごいことになってますけど。『パラサイト』ブームなんで。アメリカが今。勢いがすごくあるんでね。これね、随分前にハリウッドでですね、『スラムドッグ$ミリオネア』というインド映画がアカデミー賞をバーッとかっさらったことがあるんですよ。監督はイギリス人で制作もそうなんですけども、ほとんどインド人のスタッフとキャストで固めた映画がアカデミー賞を取ったことがあるんですね。作品賞を。その時の勢いにすごく近いんですよ。『パラサイト』は。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)だから行けるかな?っていう感じで、ちょっとすごいことになってますけども。はい。でね、それに対抗しているのが、前も紹介した第一世界大戦の映画の『1917 命をかけた伝令』ですね。はい。

『1917 命をかけた伝令』

町山智浩『1917 命をかけた伝令』『彼らは生きていた』を語る
町山智浩さんが2020年1月14日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で第一次世界大戦の西部戦線の戦いを描いた映画『1917 命をかけた伝令』と『彼らは生きていた』を紹介していました。

(町山智浩)これは既にアカデミー賞の前に発表される全米プロデューサー組合賞っていうのを取ったんですけど。プロデューサー組合賞を取ると、ほとんどアカデミー賞を取るんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)これね、「プロデューサー」って俳優とかも入ってるんですよ。で、アカデミー賞に投票する人たちとかぶるところがすごく多いんで、このプロデューサー組合賞を取るとアカデミー賞を取ることが最近は多いんですね。もう90パーセントぐらいなんですよ。だからまあ、『1917』が取るのかなとも思うんですけども。ただね、ひとつ問題はこれ、前も言ったんですけども、カメラマンの映画で。俳優はほとんど後ろ姿なんですよ。それでずっと1人の伝令兵が「突撃を止めろ!」って言いに行くのずっとカメラが追いかけてるだけなんですよ。お芝居とはちょっと違う映画なんですよね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)でも、アカデミー賞って投票する人が全部で今、8000人いるんですけど。すごいんですよ。増えたんですよ。昔はね、2000人ぐらいだったんですけど、それを8000人に増やしたんですよ。だから日本人もいっぱい投票してますよ。

(赤江珠緒)それは、もうハリウッドで働く人たちっていうことですよね?

(町山智浩)前はそうだったんですよ。でも今は違うんですよ。

(赤江珠緒)あ、違うんだ?

(町山智浩)今まではハリウッドの内輪の組合の賞だったんですけど、そうするとね、「白人ばっかり」とかね、あとは終身会員なので「老人ばっかり」とか、あとは「女性が少ない」とか。いろんな問題があったんで、その女性を半分ぐらいにするとか、人種編成もなるべく散らばらすとかね、ダイバーシティとか。それで国籍も分けるっていうことで、投票者を世界中に散らばらせたんですよ。で、人数を急激に増やして今、8000人ぐらいになっているんですよ。

(赤江珠緒)はー! それはいいですね。

(町山智浩)だからね、『パラサイト』が取る可能性があるんですよ。

(山里亮太)ああ、なるほど!

(町山智浩)で、そういう風にしているんですけど、でもやっぱりね、俳優のパーセンテージが22パーセントなんですよ。投票者の中の。そうすると『1917』は俳優の演技の映画じゃなくて、あくまでもカメラマンと監督の映画なんで、撮影賞と監督賞と技術的な賞はいっぱい取るだろうと思うんですけども、その俳優の22パーセントの評が行かなくなる可能性があるんですよ。そうすると、じゃあ何が作品賞を取るかというと、『ジョーカー』っていう線があるんですね。

『ジョーカー』

町山智浩『ジョーカー』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で『バットマン』シリーズの最悪の敵、ジョーカーの誕生を描いた映画『ジョーカー』を紹介していました。

(赤江珠緒)そうか。『ジョーカー』。

(町山智浩)『ジョーカー』はご覧になりました?

(山里亮太)見ましたよ1

(町山智浩)ねえ。コメディアンの話ですよ。

(山里亮太)そうですよ。だからもうちょっと途中で辛い気持ちにもなってきましたよ。

(町山智浩)ねえ。ピンで滑るコメディアンの話ですよ(笑)。

(山里亮太)いや、本当に。ゾッとしますよ。あの滑り方。そしてあのいじられ方。

(町山智浩)そう。あのフリートークで滑りまくるっていうね。そんな時は司会者を殺せ!っていうすごい映画ですけども(笑)。

(山里亮太)いやー、あれはすごい映画でした。

(町山智浩)ねえ。あんまりいじられたら拳銃で撃ち殺せ!っていう映画になっていますけども。

(山里亮太)フフフ、それを真に受けた芸人さん、怖いですよ(笑)。

(町山智浩)怖いですよ。大変なことになるんですけども。で、あれがね、11部門でノミネートされてるんですよ。で、最多部門なんですよね。そうすると、いろんなハリウッドで働いてる人とか映画関係で働いてる人たちのいろんな仕事をしてる人たちに広く『ジョーカー』が支持されているということになるんで。そうすると作品賞も取りやすいんですけれども。でもさっき言ったように、あまりにも内容が反社会的なので、やっぱりちょっとアカデミー賞には向かないかなと。

(山里亮太)ああ、そういうのもあるんですね。

(町山智浩)だからすごく今回、アカデミー賞は読みにくいんですよ。今ね、アメリカで大統領候補を争う予備選が民主党の間で行われてるんですけど、全く誰が勝つかわからないんですけど。それに近いですよ、本当に。

(赤江珠緒)混戦ですね。

(町山智浩)混戦なんです。今、この秋の大統領選挙で民主党の誰がトランプ大統領に対して立ち向かうのか?っていう選挙というか、党員集会というのがアイオワ州で行われているんですね。でも全然わかんないんですよ。誰が勝つのか。もう全然わからない。それに近いんですよ、今回の作品賞は。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。

(町山智浩)わかんないんですよ。で、僕は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が取るんじゃないかな?って。クエンティン・タランティーノの映画ですけども。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

町山智浩『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でクエンティン・タランティーノ最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を紹介していました。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)あれはね、「ハリウッド万歳!」な話だから。

(赤江珠緒)ああ、そうかそうか!

(町山智浩)そうすると、やっぱり業界の人たちだし、映画万歳だから取りやすいかなとも思っていて。ちょっとわかんないんですよ、今回は全然。もう全然わからない。だから逆に面白いんですよ。で、日本でほとんどの作品が見れる状態でしょう? 今回の作品賞って。だから日本の人たちもね、ぜひ。今まではよくわからない映画が上がっていて、「何だか分からないな」っていうことが多かったんですけども。今回はかなりね、わかりやすいのでぜひ見てほしいなと思いますね。あとNetflixからね、今回は23部門かなんかがNetflixの作品で。これね、ディズニーやソニーピクチャーズを抜いて全ての映画会社の中でトップなんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(山里亮太)もう映画会社っていうカウントなんだ、Netflixって。

(町山智浩)そう。でもね、映画興行関係、劇場関係はNetflixを今も締め出してるんですよ。上映をさせないようにしているんですけども。でもNetflixはお金があるから、自分たちで「じゃあ、映画館を買っちゃおう」って買っているんですよ、今。

(山里亮太)うわー、すげえ!

(赤江珠緒)で、どこか映画館で上映したら、資格があるということですか?

(町山智浩)そうなんですよ。だから「上映させない」という形でブロックしようとしたので、「じゃあ俺が映画館を買うから」っていう形になったんですね。でもね、今ね、ハリウッドの映画の40パーセントぐらいがディズニーが作ってる状態なんですよ。20世紀フォックスを買収しちゃったんで。4割をディズニーが占めているんですけども、ディズニーよりもNetflixの方が会社自体の規模が3倍ぐらいあるんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ!

(町山智浩)はい。だからハリウッド会社を全部足してもNetflixと同じか、ちょっとNetflixの方が小さいぐらいなんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そういう状況なんですね?

勢力を拡大するNetflix

(町山智浩)はい。だから今、大変なことになっていて。今回、それも注目なんですよ。そのアメリカ映画が大きく変わる時に来てるんですよね。ただNetflixがね、そうやって金があるってことでじゃあ悪い作品を作ってるのかというと、そうじゃなくて。逆にそのハリウッドの方が派手な映画ばっかり作ってて、興行ばっかり考えたようなね。で、Netflixの方が『アイリッシュマン』とか『マリッジ・ストーリー』とか作品として非常に芸術的価値の高い映画を撮っているってことで。そのへんもねじれていて、すごく面白いですね。

(赤江珠緒)『マリッジ・ストーリー』も面白かったですよ。

(町山智浩)面白かったでしょう? 『マリッジ・ストーリー』はね、たぶんあの弁護士さん役のローラ・ダーンがアカデミー助演女優賞を取るだろうと思いますよ。

(赤江珠緒)ああ、あの敏腕のね。「どんどん攻めるのよ、あなた!」みたいな感じのね(笑)。

(町山智浩)そうそう。「離婚というのはね、相手と仲良く別れようなんて思ったら大間違いよ。勝つか負けるかよ!」って言っていたあの女弁護士さん。すごい派手な格好してる、胸のところが開いたね。あの人は実在するんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)あの人はローラ・ワッサーっていう実在の女弁護士なんですよ。

(赤江珠緒)モデルがいるんだ。へー!

(町山智浩)すごく有名な弁護士で。あの『マリッジ・ストーリー』っていう映画は監督のノア・バームバックが女優のジェニファー・ジェイソン・リーと離婚した時のことを映画にしてるんですけど。その離婚裁判の時にジェニファー・ジェイソン・リーの弁護士だったのがそのローラ・ワッサーなんですよ。

(赤江珠緒)はー、なるほど。じゃあ本当に自分の周りに起きたことを……だからリアルなんですね。

(町山智浩)そう。敵だったんだけど、あまりにもすごい弁護士だから、面白いからって『マリッジ・ストーリー』の顧問になってもらって。しかも、あの弁護士の事務所のシーンは全部本当にローラ・ワッサーの弁護士事務所で撮影してるんですよ。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(町山智浩)で、もっとすごいのは、あの相談に行くその奥さんの役をスカーレット・ヨハンソンがやっているでしょう? スカーレット・ヨハンソンの1回目の結婚相手はライアン・レイノルズっていう『デッドプール』の俳優なんですよ。その離婚の時にライアン・レイノルズの方がスカーレット・ヨハンソンよりもお金がなかったんですけども。そのライアン・レイノルズの側の弁護士をやったのがローラ・ワッサーだったんです。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、スカーレット・ヨハンソンはだから財産を分ける時に損をしてるんですよ。ライアン・レイノルズ、旦那の方が貧乏だったから。『デッドプール』よりも前だから。で、スカーレット・ヨハンソンは「やられた!」と思ったからその後、次の旦那さんと結婚して、また離婚したんですよ。その時の弁護士をローラ・ワッサーに依頼してるんですよ。

(赤江珠緒)弁護士さんの力で変わってくるんだ!

(町山智浩)すごくない、これ? だってしかもその現場にいるんだよ。このローラさん。だって彼女の事務所で撮影しているんだから。もうすごいなって思って。あとね、今回助演女優賞はそのローラ・ワッサーの役をやったローラ・ダーンなんですけども。ローラ・ダーンっていう人は昔、ビリー・ボブ・ソーントンという人と結婚をしていて、それをアンジェリーナ・ジョリーに略奪されたんですよね。で、そのアンジェリーナ・ジョリーの離婚弁護士もローラ・ワッサーなんですよ。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(町山智浩)それで、アンジェリーナ・ジョリーがブラッド・ピットと離婚した時の弁護士がローラ・ワッサーで、まあ途中で切ったんですけども。まあ、ローラ・ワッサーで、今回のアカデミー賞の助演男優賞がブラッド・ピットなんですよ。

(赤江珠緒)ああ、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で? はー!

(町山智浩)そう。もうみんなローラ・ワッサーの周りにいるんですよ、今回の人たちは(笑)。まあ、ブラッド・ピットは今回、取ると思いますよ。

(赤江珠緒)そうですか。

(町山智浩)あの人、すでにもう俳優協会賞で賞を取っているんですよ。さっき言ったみたいに俳優さんがアカデミー賞は投票するから。だから俳優協会賞を取った人は大抵、取るんですよ。で、俳優協会賞で賞を取った時、自分がアンジェリーナ・ジョリーに離婚をされたり、アル中になったりしたことを自虐的にギャグにしていましたけどね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)もうギャグにできるんだから、克服したのかなとも思いましたけど。本当にね、ハリウッドは狭い世界でね。「パーティーとかで会って、よく気まずくないな」って思うんですけども。山ちゃん、どうでしょう?

(山里亮太)めちゃくちゃ気まずいでしょう?(笑)。

(町山智浩)芸能界もいろいろと気まずいでしょう?(笑)。

(山里亮太)いろいろと気まずいよ、町山さん(笑)。「ここでこのタイミングでこの人とは会いたくない」とか、いっぱいありますよ(笑)。

(町山智浩)あるよね? 俺もハリウッドの人たちはもう雲の上の存在だけど、そういう話を聞くと「うわあ、なんか大学のサークルみたい」とか思うんですけどね(笑)。

(山里亮太)「一緒だな」って(笑)。

(町山智浩)そう。みんなとやってたりする人がいたりして。いろいろとおかしいなと思うんですけど。はい。あ、こんなだらだら話していたら、こんな時間になっちゃった(笑)。すいません。今回ね、ちょっと注目してほしいものがあって、短編映画なんですよ。

(赤江珠緒)短編映画。はい。

(町山智浩)短編映画ってね、ほとんど日本で見られなかったりするんで。今までは。だから短編映画のことについて、ほとんど興味がないと思うんですね。映画ファンでも。でもね、短編映画ってね、実はすごく全世界から……アメリカだけじゃなくて、一番その問題になっていることをえぐり出している映画がすごく多いんですよ。

(赤江珠緒)へー!

注目の短編映画

(町山智浩)で、なおかつね、現在短編映画の多くがYouTubeとかネットで簡単に見れるんですよ。だからね、見てもらった方がよくて。それで言葉もあんまり関係ないものが多いんですよね。短編だから。で、すごく良くて。今回の短編アニメ映画賞もすごく良くて。1本、『Memorable』っていうフランス映画の粘土アニメがノミネートされているんですけども。これがね、実際の話なんですよ。ドイツのね、ある画家がアルツハイマーになって。で、自分がアルツハイマーになって壊れていくのを記録しようとして、自分の自画像を描き続けたっていう実際の話があるんですよ。

で、どんどんどんどんと自分自身の形が崩れていくんですよ。ものすごく写実的な絵を書いていた人が、だんだんだんだんと自分というものがわからなくなっていくんですよ。で、顔とか全然崩壊していくんですけど、それを粘土アニメだといくらでも崩壊させることができるんですよ。そういう形で描いてるという『Memorable』というすごい映画で。これもYouTubeでちょっと触りだけ見れるんですけども。これもすごかったですね。

あとね、僕は短編映画も一応全部見てるんですよ。だからすごい数を見ているんですけど(笑)。あとね、『Hair Love』っていう映画がよくて。これね、黒人のお父さんが黒人の家族でね、黒人の女の子って髪の毛をすごくかわいく、いろいろと結ってあるんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。アレンジをしてね。うん。

(町山智浩)そう。あれね、お母さんがいないとお父さん、できないんですよ。

(赤江珠緒)ああー。たしかに細かく結っている感じ、しますもん。

(町山智浩)そうそう。すごい時間をかけてやるんですよ。もう丁寧に。で、父親と娘のすごくいい話で、「お母さんがいないから髪の毛を結えない」って言ってる女の子の話なんですけど。これね、元NFLのフットボール選手がクラウドファンディングでお金を集めて作った自分自身の話なんですよね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)この『Hair Love』はYouTubeで見れますね。こういう個人が作った映画とかまでアカデミー賞に出るのが短編映画のすごく面白いところなんですよ。

(赤江珠緒)うん。

『Hair Love』

(町山智浩)とね、すごかったのは、短編実写映画っていうのがあって。これはドラマなんですけど。これ、たとえばチュニジアの映画で『Brotherhood』っていうのがあって。チュニジアの農家から家出してイスラム国に入った息子が帰ってくるっていう話とかね。強烈なんですよ。

(町山智浩)あと、すごかったのはね、『SARIA』という映画で。それは2017年にグアテマラの公立孤児院で41名女の子たちが火事で亡くなった事件の映画化なんですけど。これね、そのことは知っていたんですけども、なにがあったのかを僕、知らなかったんですよ。で、この映画はそれを暴いているんですけど、これね、孤児院の女の子たちがレイプとか売春とかさせられていて。それで脱走を試みたんだけども捕まったんで監禁されて。で、鍵を開けてもらおうとしてマットに火をつけたら、鍵を開けられなかったんで中で全部、41人が焼死したっていう事件だったんですよ。

(赤江珠緒)ひどすぎるな……。

(町山智浩)ひどすぎるんですけど、まあこれがすごかったですね。だから映画で初めて知るっていう……やっぱり世界史のことってで全部知れないじゃないですか。

(赤江珠緒)たしかにね。ある意味、告発ですね。

(町山智浩)だから映画で初めて知るっていうこともあるんですよね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)あとね、ドキュメンタリー賞の短編ではね、韓国のセウォル号の転覆事件。299人の修学旅行に行く高校生が亡くなった事件。あれを事故発生からその現在までを追いかけていくという映画で。『不在の記憶』っていう映画があって。これもすごかった。これね、民間のダイバーの有志たちが、その政府が何もしないから、遺体を回収しようとしてどんどん入っていくんですよ。それで限界まで潜っていくんですけども。で、大量がその高校生たちの遺体を引き揚げてるうちに、精神がおかしくなって1人、自殺をしているんですよ。

(山里亮太)ええーっ!

(町山智浩)これもすさまじかったな。

(赤江珠緒)はー!

『不在の記憶』

(町山智浩)あと、そういうのばっかり話を聞いてると結構辛くなってくるんですけど。でもいい映画があってね。『Learning to Skateboard in a Warzone』っていう映画があって。これはタリバンによってその徹底した女性差別が続いたアフガニスタンで、オーストラリアの女の先生がですね、勉強とスケートボードを女の子に教えるという学校を開く話でしたね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)今まで「女は何もするな」って言われてて、完全にベールを頭からすっぽりかぶらされていて隠されていた女の子たちにスケボーを教えて勉強を教えると「私は宇宙飛行士にだってなれる! 弁護士にだってなれる! 科学者にだってなれる!」ってなっいくっていう話なんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)これがいい映画でしたね。はい。

(町山智浩)ということで、ちょうど時間まで咳もせずに話しきれたんで……。

(赤江珠緒)あっという間でした、町山さん。そうか。見たいのがまだまだありますね!

(町山智浩)ぜひ。YouTubeとかで見れるようになりますんで。はい。

(赤江珠緒)アカデミー賞の模様は日本時間の2月10日(月)、午前8時半からWOWOWプライムで生中継。町山さんも出られているということでございます。さあ、なにが選ばれるのか? 町山さん、ありがとうございました!

(町山智浩)どもでした。

<書き起こしおわり>

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