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町山智浩『パラサイト 半地下の家族』を語る

町山智浩『パラサイト 半地下の家族』を語る たまむすび
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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』を紹介していました。

(町山智浩)もう年末なんで、またアカデミー賞関係の作品を紹介します。今回紹介する映画はですね、すでにカンヌ映画祭でパルム・ドールというグランプリを受賞して。いま、アメリカで公開されて大ヒットしてる映画なんですけども、アカデミー賞の作品賞にもなりそうな韓国映画『パラサイト 半地下の家族』を紹介します。これ韓国語の映画で韓国が舞台なんですけども。韓国語映画というか、外国語映画の中で歴代トップぐらいのすごい大ヒットをアメリカでしているんですよ。

(赤江珠緒)すごいですね! ヒットしているっていうのがすごいな。

(町山智浩)だから外国語映画賞の枠じゃなくて、作品賞の枠でノミネートされるんじゃないかと言われてます。で、内容はですね、まあちょっと古い話なんですけども、ドリフターズのコメディのような映画です。

(山里亮太)えっ、ドリフターズ?

(町山智浩)ドリフターズのコメディってセットを作るじゃないですか。でっかいセットを。家とか。で、そのセットでギャグをやるじゃないですか。それでハラハラさせるじゃないですか。なんかミッションがあって。いかりや長介さんが「今日の作戦は◯◯だ!」とかって言って。

(赤江珠緒)うんうん。目の前に坂があったりしてね。

(町山智浩)そうそう。家が半分切れていて、中が見えるようになっていて。ああいう感じのコメディなんです。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、主演はですね、『タクシー運転手 約束は海を越えて』で世界の映画ファンを泣かせたあのソン・ガンホですね。本当に庶民という……渥美清さんのようなね、誰もが共感できるおじさんの役をやってる人ですけども。で、これ『パラサイト』というタイトルは「寄生虫」という意味です。「パラサイト・シングル」とか言いますよね?

(山里亮太)はい。

(町山智浩)で、これは『半地下の家族』ってなっているので「パラサイト」は家族んですよ。で、ソン・ガンホがお父さんの家族で、奥さんと息子とその妹がいるんですけども、全員がまあ仕事がろくに無い状態で、その日暮らしのワーキングプアなんですね。キム一家って言うんですけども。で、半地下に住んでるんです。1階じゃなくて、半分以下のところに住んいるんです。

(赤江珠緒)半地下に住んでいる?

(山里亮太)そういう構造の家があるんですか?

(町山智浩)あるんです。それはあとでまた詳しく説明しますけども。それはソウルの最底辺の人が住んでる家なんですね。家賃が安くて。ところが偶然、その長男の男の子、彼は勉強はできるんで。ただ、お金がなくて大学には行けなかったんですよ。で、高校の友達から「大金持ちの丘の上の豪邸のお嬢さんの家庭教師をやらないか?」って言われるんですね。で、実はその女の子はものすごくかわいいから、その友達は他のやつに紹介すると取られちゃうんじゃないかと思って、その信頼できる彼に家庭教師を頼んだんですね。

で、その家庭教師は始めると、今度はそこがすごい家なんですけど。ものすごい豪邸で丘の上にあって。それで、そこのお母さん、奥さんから「うちのいちばんちっちゃい、5歳ぐらいの男の子がどうもなんか落ち着きがなくて。ちょっとなんかおかしいみたいなの」って言われるんですね。「ああ、それはアートセラピーで治りますよ」とかっていう風にその家庭教師で入った息子が言うんですね。

(赤江珠緒)アートセラピー?

(町山智浩)その家庭教師の男の子は「自分は大学生だ」っていう風に嘘をついて入るんですけどね。

(赤江珠緒)ああ、経歴を偽っているんですね。

お金持ちの家に家庭教師として潜入

(町山智浩)だって「大学に行っていない」って言ったら大金持ちが家庭教師に雇うわけがないじゃないですか。で、その落ち着きのない息子さんに「私の知り合いはアートでそういう不安定な情緒を治すことができるので、その彼女を紹介します」って言って自分の無職の妹を潜り込ませるんですよ。

(赤江珠緒)ああ、なるほど!

(町山智浩)その妹もアーティストとしてはものすごく才能があるんですよ。ただ、お金がないから美大に行けてないんですね。そういう感じで1人1人……四人家族の1人1人を別の誰かになりすまさせて、その大金持ちの家……パク家って言うんですけども。その家に1人1人を潜入させていって、内部から寄生をしていって乗っ取っていくっていう話なんですよ。

(山里亮太)へー!

(赤江珠緒)だから『パラサイト』。

(町山智浩)で、その誰かになりすます過程がちょうどその『ミッション:インポッシブル』みたいでハラハラさせるんですけども。で、『ミッション:インポッシブル』って誰かに変装したり、身分証明書を偽造したりして内部に入るのもハラハラするんですけど、中に入ってからも上からぶら下がったりしてハラハラするじゃないですか。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)それもあるんです。

(赤江珠緒)えっ、その状況でぶら下がること、あります?

(町山智浩)そういう、「あっ、見つかる!」っていうようなハラハラドキドキというか、まあバカバカしくて笑っちゃうようなギャグもあるんですよ。

(赤江珠緒)へー! ああ、面白そう!

(山里亮太)コメディなんですね。

(町山智浩)コメディです。で、その大金持ちのパク家が一家全員で家族旅行に行くっていうんですね。で、その貧乏なキム家が中に入ってやりたい放題やるわけですよ。

(赤江珠緒)ああ、うんうん。もうみんな、勝手知ったる家になっているんだ。

(町山智浩)そう。それですげえ楽しい感じがするんですけども、だんだんと怖いことに少しずつなっていくなっていくんですよ。で、もう後半はホラーになっていくんです。

(赤江珠緒)後半はホラーに?

(町山智浩)これね、あんまり説明するとあれなんですけども、とにかくジャンルがコロコロ変わるし、展開もコロコロ変わって。もう全く5分後の予想がつかない映画になっています。だからストーリーはこれ以上は説明できないんです。

(赤江珠緒)なるほど。でもあの『グエムル-漢江の怪物-』の監督ですもんね。

(町山智浩)そうなんです。あれは怪物と戦うソン・ガンホ一家の話だったんですけども。

(赤江珠緒)あれも最初はコメディのようで、「あら? アクションが入ってきた……」みたいな感じで。いろいろとなっていきましたもんね。

(町山智浩)そうそう。実は同じ監督なんで。それがポン・ジュノ監督のタッチなんですよ。コメディなのかホラーなのか、非常に考えさせられる映画なのか、全部がありっていう映画になっているわけですね。だからお客さんはゲラゲラ笑ったり、ゾッとしたり、おお―っ!ってなったりするので、もうジェットコースターみたいに振り回される映画なんですけど。ただね、これはちょっとストーリーを説明できないので背景を説明させてください。

(赤江珠緒)はい。

『パラサイト 半地下の家族』の背景

(町山智浩)まず半地下っていうのはこれ、写真があるはずなんですけども。ちょっとご覧になっていただけますか?

(赤江珠緒)はいはい。おおーっ!

(山里亮太)ああ、こういうことなんですか。

(町山智浩)窓が天井のところにあって。要するに家の壁の真ん中から上の部分だけが地上に出ていて、真ん中から下が全部地下に入ってるんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。窓枠の下の部分がちょうど外で言うと歩道のところに面しているという。だから人の足元しか見えない窓みたいな感じですね?

(町山智浩)そうなんですよ。だから人が路上で水をまいたり、立ち小便をしたりするとそれが家の中に入ってきちゃうんですよ。

(赤江珠緒)うわっ!

(町山智浩)ひどいんですよ。

(赤江珠緒)そういう家はちょっと嫌だな……。

(町山智浩)あと、トイレがあるんですけども……。

(山里亮太)不思議なところにトイレがあるんですね。

(町山智浩)トイレが天井のところにあるんです。床よりも1メートル半ぐらい高いところにトイレが置いてあるんですよね。

(赤江珠緒)階段を2段ぐらい上がってトイレに。

(町山智浩)そうなんです。それはね、もともとは地下がなかった建物に半地下を作ったので、その下水管よりも床が1メートル半ぐらい低くなってしまっているんですよ。

(赤江珠緒)ああーっ!

(町山智浩)だからトイレが家の中でいちばん高いところにあるんで。そういう半地下の家のトイレのことを「王様トイレ」と言うらしいですね。

(赤江珠緒)トイレが王様……ええっ?

(町山智浩)で、こういう家は本当にいっぱい韓国にあるんですよ。

(赤江珠緒)こういう作りのお家が?

(町山智浩)もともとは、ソウルは北朝鮮から核攻撃を受ける可能性があったんで。そのビルの下に防空壕を作らせたんですね。ところが、そのソウルの地価がどんどん上がっていったので、その半地下を住居に改造して貸し出していったらしいんです。めちゃ安な値段で。ただね、もう湿気がすごくて、風通しが悪くて、日が当たらないから、もうカビ臭くて。服とかも全部カビ臭くなっちゃうらしいんですけども。

(赤江珠緒)住環境としては最悪ですね。

(町山智浩)最悪なんですよ。ただ、安いんです。「安い」って言ってもね、4万円ぐらいらしいんで。まあ、いかにソウルの家賃が高いのかっていうのがわかりますけども。

(赤江珠緒)これで4万円ってたしかに高いよ。

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