町山智浩 ハーヴェイ・ワインスタイン セクハラ問題を語る

宇多丸 ハーヴェイ・ワインスタイン セクハラ問題を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインによる女優たちへのセクハラ問題についてトーク。その影響などについて話していました。

(海保知里)なんか町山さん、アメリカで大変なことが起きているみたいですね。

(町山智浩)アメリカでアカデミー賞を支配していたと言われている、ノミネート数がこれまでに300本という大映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインという人物が、30年近くに渡って30人以上の女優さんたちに性的な行為を強要していたことが女優さんたちの告発でわかりまして。大変なことになっていますね。

(海保知里)信じられないですね。こんなことをするなんて。

(町山智浩)っていうか、大女優さんなんですよ。それが新人の頃にやられていたんですけど。グウィネス・パルトロウとかアンジェリーナ・ジョリーとか。もう、みんなが知っている大女優。で、しかも強要をされただけじゃなくて、実際にレイプされちゃった人も実際に4人以上いるんですね。

(海保知里)ひどい。本当にひどい……。

(町山智浩)で、ほとんどは新人の頃に仕事と交換で。「俺の映画に出たいんだったら、やらせろ」の世界ですけど、実際にそれでアカデミー賞をグウィネス・パルトロウには与えていますよね。『恋におちたシェイクスピア』という映画はものすごいお金をつぎ込んで、アカデミー賞のキャンペーンをして、グウィネス・パルトロウには主演女優賞をとらせているんで。まあ、それだけの力がある男だったんですね。

(海保知里)いやー。でも、結構時間がかかったんですね。ここまで来るのに。

(町山智浩)やはり、それだけアカデミー賞に君臨しているから、みんな手が出せなかったんですね。

みんな手が出せなかった

(山里亮太)そうか。逆らったら映画界にもういれなくなっちゃうとかになったら、それは言えませんもんね。

(町山智浩)そうなんですよ。で、アンジェリーナ・ジョリーだけは「もう絶対に仕事をしない!」って言って、実際にしていないんですね。1回、襲われそうになってから。でも、他の人たちはやっぱり賞がほしいとか……まあ、彼の映画に出ればアカデミー賞はとれると言われていて。まあ、ノミネートの回数が300ですからね。だから、彼の映画に出ることが大スターになる道だったんで、ほとんど逆らえなかったということでね。ただ、今回これはすごい大変な問題なんですけども、もうヨーロッパとかロシアにまでこれは波及しているんですよ。

(海保知里)ええっ?

(町山智浩)同じようなことがヨーロッパでもロシアでも行われていることがだんだんわかってきて。彼1人の問題じゃないということで、全世界的な問題にいま、発展しつつあるんですね。

(山里亮太)そういうパワーを使ってやっていた人たちが、どんどんいま名前が出ちゃっているんだ。

(町山智浩)どんどん出てきていますね。昔から、ボリショイ・バレエ団とかは結構そういうので有名だったですけど。

(海保知里)ええっ!

(町山智浩)あそこはだから、主役の座を巡って傷害事件とか殺人未遂みたいなことまで起きているようなところなんでね。だからまあ、世界中でそういうことがあるんで。日本もありますが。特に、いちばん問題なのは、レイプに関しては彼、ハーヴェイ・ワインスタインの部屋に女優たちが行っていたんで、なかなかこれは有罪にはなりにくいですね。

(海保知里)ああ、そうか。その人の部屋に行ってしまったということですね。

(町山智浩)部屋に行っちゃっていたり、まあいわゆるデートレイプと言われる食事を1回しちゃったりしていると、食事の流れだったりすると、なかなか日本でもアメリカでも有罪にはしにくいんですよ。

(海保知里)はー……。

(町山智浩)ビル・コスビーっていう俳優さんがいまして、この人は50人ですよ。で、その全部がデートレイプで、食事をした時に睡眠薬を飲ませて部屋に連れ込んでいるんですけど。全く証拠がそういう状態だと残らないので、この間裁判をやったんですけども、結局判決に至らなくて、有罪にできなかったんですね。

(山里亮太)結構横行しているんだ。そういうことが。

(町山智浩)すごいことになっています。全世界的な問題なんですね。

(海保知里)これからたくさん膿を出してもらって、全部なくしてほしい。

(町山智浩)いや、でもこれ、刑事事件の方で有罪にできるか?っていう問題になってくるんですよ。まあ、一応もみ消したみたいですけど、ニューヨークの検察がまた動いて、起訴をしようとしているみたいですけども。まあ、デートレイプっていうのは難しいんですよ。有罪にしにくい。日本だけの問題じゃないですね。

(海保知里)うーん……。

(山里亮太)一応、でももう映画に関わることはできないんですか?

(町山智浩)ハーヴェイ・ワインスタインはつい今日、アメリカの映画プロデューサー協会を完全に除名になったんで、アメリカではもう映画を作れません。

(山里亮太)なるほど。じゃあ、そうなったらもう、そいつに力がないってなった瞬間に、もっといろいろな告発がこの後も出てくるかもしれないですね。

(町山智浩)いや、彼が最近、映画が当たっていなかったんで、出てきたんですよ。

(海保知里)ええっ! 嫌だなあ。

(町山智浩)力が弱ってたから、出てきたんです。

(海保知里)そうなんだ。

(町山智浩)はい。やっぱり力があるうちは、なかなかどこの国も芸能界、難しいですよね。結構ね。

(海保知里)ねえ。

(町山智浩)でも、これ以上はこの話をするなと言われてますからね(笑)。今回、告知をしてあるんで、『ブレードランナー2049』について話をしろと言われていますんで。このへんで終わりにします。

(海保知里)スカッとする映画をお願いします。

<書き起こしおわり>


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