星野源と松重豊 Whitney『Before I Know It』を語る

星野源と松重豊 Whitney『Before I Know It』を語る 星野源のオールナイトニッポン

松重豊さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』に出演。星野源さんの2019年のベスト・アルバムWhitneyの『Forever Turned Around』から『Before I Know It』について話していました。

(星野源)じゃあ、ちょっと僕の選曲を。

(松重豊)古いやつですか?

(星野源)これは今年です。僕、この間ロッキンオンという雑誌。ジャパンじゃない、洋楽の方のロッキンオンで、単独での取材は初めてだったんですけど。いわゆる海外のあれだから、普通ね、日本のアーティストの取材ってないんですけど。今年のベストを選ぶみたいな。それで洋楽の中でベストを選ぶみたいなのをちょっとやったんですけど。その中で、僕は普段あんまりそういうのは言わないんですけど。オファーをいただいたんで面白そうだなと思って、ちょっとしゃべった中での1枚なんですけど。ホイットニーというバンドがいまして。

(松重豊)ヒューストンじゃないんだ。

(星野源)ホイットニー・ヒューストンじゃないんです。「エンダー♪」じゃないんです。ホイットニーというバンドで、アメリカのバンドなんですけど。で、そのホイットニーのこの曲を聞いてみましょう。僕はもう本当に大好きなアルバムで今年第1位というか、ぶっちぎりという感じで。こんなアルバムにいま、会えるとは……っていう感じでした。本当に感動したし、こんなに……なんか大事なものっていうか。だから、本当は人に言いたくないっていうか。

(松重豊)こんな公共的な放送で言っちゃっていいの?

(星野源)曲もかけたくないし(笑)。誰にも言いたくないんですけども。でも、ちょっとあまりにも知ってる人がいないので。なんかちょっと共有っていうか。こういう素晴らしい音楽があるよというのを聞いてほしくて。

(松重豊)共有させてください。

(星野源)それではホイットニーで『Before I Know It』。

Whitney『Before I Know It』

(星野源)お送りしたのはホイットニーで『Before I Know It』でした。

(松重豊)どういう人たち?

(星野源)素晴らしいでしょう?

(松重豊)どういう人たちなの?

(星野源)フフフ、シカゴの出身の人みたいですね。2人組のデュオ……でも、調べたらバンドって書いてありました。ドラムを叩きながら歌ってるんですよ。でもライブだともうちょっとアグレッシブっていうか。だからこの感じはライブだとまたちょっと違うんですけど。

(松重豊)少数派な匂いがするよね。なんかね。すごい少数派の匂いがするし。なんか、本当に他にたとえようがない曲の感じとか。これ、星野くんと一緒にユニットでなんかやってもいい感じでコラボレーションできそうな感じがするんだよな。

(星野源)なんか僕は高校生の時に細野さんの音楽と出会って。で、最初は細野さんのソロからだったんですけど、その後にはっぴいえんどを知って。その後にYMOを知ったりとかだったんですけども。なんか、はっぴいえんどが日本でやろうとしたことみたいなものの延長線上にこれがある気がするんですよね。で、その中で……だから、いわゆるはっぴいえんどの人たちがやろうとしたことって対アメリカ。アメリカに対して日本の情緒っていうものを入れつつ、でもアメリカっていうものをこう、最終的には去っていくっていうストーリーじゃないですか。『さよならアメリカ、さよならニッポン』っていう。

(星野源)その距離感が独特の距離感があって。でもその中にノスタルジーもあるんだけど、ちょっとクレバーな視点みたいのもあって。その感じがこのホイットニーのアルバムにはある気がするっていうか。

Whitney『Forever Turned Around』

(松重豊)これ、でもさ、その日本的なノスタルジーっていうのを感じるだけど。

(星野源)そうなんですよ。それが……だからはっぴいえんどを好きなんじゃないかなって感じがするんですよ。

(松重豊)そうなの?

(星野源)わかんないです。それがわからないんですけど、日本人の音楽っていうのをもしかしたら知ってるかもしれないなって思ったんですよ。それが本当かどうかはわからないけど。でも、なんて言えばいいんだろうな? ジム・オルークさんとか……そのジムさんとも何回かお会いして話したことがあるんですけど。ジムさんも日本が大好きで、ずっといま日本人にいるんですけど。そのジムさんがやってた音楽にもやっぱりこうつながりがある気がするし。だからなんかその感じが日本のなにかにつながるみたいなのがあって。このホイットニーが今度、ツアーするんですけども。そのオープニングアクトがCHAIなんですよ。日本のバンド、僕の友達のバンドなんですけども。それも含めて超楽しみっていうか。だからCHAIとホイットニーのツアーとか超よさそう!って思って。

(松重豊)はー!

(星野源)そういうのも含めて、なにかがつながっている感覚みたいなのに感動したんですよね。

(松重豊)そのオリジンっていうか、いまの聞いた感じだと、聞いたことある感がどうしてもやっぱりあるから。なんだろう? 日本のそのはっぴいえんどかどうかはわからないけど、そういう日本のロックとかそういうものって、いまいろんな人が聞き始めてる感じもどこかにあるのかな。

(星野源)そうですね。達郎さんとかまりあさんもそうですしね。その感じもあって、だから感動したんですよ。このアルバムを聞いた時に。「これがいま、聞けるんだ!」っていう。

(松重豊)これ、2019年っていうこと?

(星野源)今年です。今年のアルバムですね。

(松重豊)ホイットニー。これ、もしかすると今日を境にすごいことになるやもしれず。ならないかもしれず。マニアックに……どうしてもマニアックすぎてね、聞いてる人を置いて行かないようにしなきゃいけないなと思いながらも。

(星野源)いや、もう置いていきましょう。

(松重豊)置いていくか(笑)。

(星野源)いいんですよ。

(松重豊)じゃあねー!

(星野源)フフフ、「じゃあねー!」って。好きな音楽を好きなように語るっていうのは、みんな逆にたぶん置いてかれないんですよ。

(松重豊)そうか。

(星野源)だからなんか、人が楽しそうにしゃべってるのって見ていたくなるじゃないですか。

(松重豊)うん、そうだ。見ていたくなるんだ。聞き続けたくなるんだ。そうそうそう。うん、そういうことだよ。

(星野源)そうですね。

<書き起こしおわり>

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