星野源と松重豊 ロサンゼルスと東京の空気感の違いを語る

星野源と松重豊 ロサンゼルスと東京の空気感の違いを語る 星野源のオールナイトニッポン

松重豊さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』に出演。星野源さんとロサンゼルスと東京の空気感の違いと生み出す音楽への影響について話していました。

(星野源)じゃあついでに年末の話……年末でしたっけ? スペシャルがやるの。『孤独のグルメ』。

(松重豊)『孤独のグルメ』年末スペシャル。

(星野源)何日でしたっけ?

(松重豊)31日。もう今年はね、生放送ができなくなっちゃって。そうなんですよ。だから生放送ができないからね。星野くんは、また紅白?

(星野源)紅白です。

(松重豊)ほら、なんかコラボしたかったんだよね。

(星野源)そうですね。それ、前から言ってましたもんね。

(松重豊)なんかね、本当にそれだったらね……ただ、紅白は何時に出てくるかわからないから。そこの紅白で使う小道具をどこかから井之頭五郎が発注を受けてそれを届けるっていうか、そういうのをやりたかったんだよ。

(星野源)そうそう。そういうの、やりたいっすよね!

(松重豊)よし、ぜひ来年はそういう企画をやりましょう。

(星野源)それ、いいですね!

(松重豊)今回ね、年末も面白いことを考えてますから。ぜひご視聴ください。

(星野源)ぜひぜひ。

(松重豊)紅白とスイッチして。2画面でね。

(星野源)フフフ、いいですねー。じゃあ1曲、かけましょうかね。僕のリクエスト曲というか、かける曲ですね。ええっ、どうする? じゃあ、スタッフっていうバンドの。昔の。松重さんがいまの曲をかけてくれるので、僕はじゃあちょっと前の曲をかけようかなって。

(松重豊)スタッフってあの中途半端なバンドだよね? いわゆるさ……。

(星野源)なにが中途半端なんですか?(笑)。

(松重豊)いわゆるさ、フュージョンでもないしさ、なんかイージーリスニングでもないし。ものすごく宙ぶらりんな……それで「なんでスタッフなの?」っていう感じでさ。でも、好き。

(星野源)あのスタッフのスタッフじゃないんだと思うんですよね。

(松重豊)なんかつづりが1個、違うんだよね。

(星野源)そう。そのライブ盤がありまして。モントルーのフェスティバルの中だったと思うんですけども。それの1曲。で、僕は『Hello Song』という曲がありまして。その曲はアレンジも含めて、この曲のオマージュが入っているという。なんで、これをぜひ聴いてください。スタッフで『Stuff’s Stuff(Live)』です。

Stuff『Stuff’s Stuff(Live)』

(星野源)お送りしたのは……。

(松重豊)激しい!

(星野源)素晴らしいですね。

(松重豊)素晴らしいですね。

(星野源)スタッフで『Stuff’s Stuff(Live)』でした。このリチャード・ティーのピアノソロが大好きでですね。そうなんです。

(松重豊)こういうのがいま、響きますか?

(星野源)もう大好きっすね。僕がちっちゃい頃、両親のジャズ好きだったんで、ジャズフェスティバルの映像とかビデオとかがいっぱいあったんですよ。で、よく流れていたので。なんかこういう、フュージョンも含めていろいろ……まあいろんな音楽がスタッフは混ざっていると思うんですけど。

(松重豊)なんだろう? 昔さ、フュージョンとかさ、こういうのってバカにされてたじゃん。ジャズの人からもなんかさ。

(星野源)ああ、いわゆるモダンジャズじゃないみたいな。

(松重豊)ロックの人からも「フュージョンじゃん」みたいな。なんかさ、日の目を見ない人たちだなと思ったんだけど、いい曲いっぱいあるんだよね。フュージョンとかってね。

(星野源)いっぱいありますね。かっこいいし、技術すごいし、みたいな。そういうのをこう聞くのもまたいいなっていう感じですね。ありがとうございました。

(中略)

(松重豊)どんどん時間が過ぎちゃうから。どんどん行こう!

(星野源)じゃあ、松重さんがかけて僕がかけたんで、次は松重さんの曲をかけてみましょう。

(松重豊)じゃあね、次はこれだ。女子だね。やっぱり、またロサンゼルスだな。ロサンゼルスはどんどんいい子が出てくるね!

(星野源)面白い人が多いっすよね。

(松重豊)この人は白人なんですよね。白人のネオソウルシンガーという。割と若いんですけどね、素晴らしい。この曲、好きなんでぜひ聞いていただきたいと思います。ラケル・ロドリゲスさんで『Don’t Be Afraid』。

Raquel Rodriguez『Don’t Be Afraid』

(星野源)めちゃくちゃいいっすね。

(松重豊)いいですよね。

(星野源)素晴らしいですね。

(松重豊)いやいや、ラケル。

(星野源)ラケル・ロドリゲス『Don’t Be Afraid』。いやー、いい。というか、なんですかね? この余裕。

(松重豊)余裕。ねえ。でも流れ的にヒップホップからフュージョンに行って、これでネオソウルというね。いい流れですよね。深夜に。素晴らしいまったりとした時間がこう流れて。余裕。

(星野源)いいですね。なんかその、LAの空気感とかもあるんですかね? なんかこういう曲ってなかなか日本では生まれないじゃないですか。

(松重豊)行ったことないのよ! LAって。

(星野源)フハハハハハハハハッ!

(松重豊)もう何度もさ、「ロサンゼルスいい、いい!」って言ってるけど、行ったことないのよ。

(星野源)今度、行きましょうよ。

(松重豊)連れて行ってよ!

(星野源)フハハハハハハハハッ!

(松重豊)英語もしゃべれない、ただのファンですみたいな感じでさ。なんにも役に立たないけど。写真だけ撮るよ(笑)。

(星野源)ああ、いいですね。カメラマンとして一緒に。それ、いいですね。

(松重豊)やっぱりいいの? ロサンゼルスの空気感。

(星野源)僕も2回しかないですけども。

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Memories of L.A. 2

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(松重豊)2回行けば十分ですよ。LA。

(星野源)気持ちいいですね。

(松重豊)なにが気持ちいいの? やっぱりそういう音楽が育まれていく環境があるんですか?

ロサンゼルスの空気感

(星野源)なんか……すごい普通のことだと思うんですけど。道路が広い。土地が広い。それでなんかどこに行くにもすごい時間かかるんですよ。車に乗って「あそこに行こう」って言ったらちょっと遠かったりとか時間がかかったりとか。あと渋滞もあるし。結構時間がかかるんですよ。ビーチに行くにも時間がかかるし……みたいな。だからなんか、ギュッとなっていないというか。

(松重豊)ギュッとなっていないところに、そういう音楽をやるようなところが散りばめられているの?

(星野源)うん。どうなんですかね? その、いわゆる僕が行ったのはホテルとビーチと、あとちょっとしたご飯と……とかしかないので。スタジオとかは行けなかったんですよ。だからどういう風にこの音楽が生まれているのか、わかんないですけど。

(松重豊)ロスから次々出てこない? ロスかサウスロンドンかっていうぐらいなんかすごいよね。フライング・ロータス一派みたいな人とか。

(星野源)なんか暇なじゃないかな?っていうのは思いました。ニューヨークはやっぱりこう「夢をかなえなきゃ!」みたいな感じがやっぱり街にあるんですよ。こう、急いで歩かなきゃみたいな感じはすごいあるんですけど、LAの人はみんなのんびりしてるんですよ。ぼんやりしてるんですよね。

(松重豊)東京もそうなんないかな?

(星野源)そうなってほしいですよね。

(松重豊)なんかね、あくせくするのも嫌だしね。もうだらんと……。

(星野源)そう。ダラッとしたいですよね。

(松重豊)「東京ってなんかダラッとしていていいんすよ」って言われてみたいよね。全然ダラッとしないじゃん。日本人。

(星野源)なんか、もちろんそれの良さもあるとは思うんですけど。セコセコするっていうか、いろいろ忙しい楽しさみたいなのは全然あると思うんですけど。なんかね、もうちょっと夢がありたいですよね。その忙しさに対して夢があんまりないから。最近。東京だと。

(松重豊)結局、昔ロンドンに行った時もイギリス経済がもうボロボロになっていて。30年ぐらい前だけど。でもあの国、ボロボロになっているのにやっぱり「いい音楽作ってるぜ」とか「いい芝居をやっているぜ」っていうプライドがあって。「文化を自分たちの国のプライズにしてる国って強いな!」って思ったんですよ。経済ズタズタでもね。日本ってさ、もうそろそろアジアの中でもう三番手、四番手ぐらいになっててさ。そういう中でさ、なにをプライドとして持っていくかっていう時に、「どうする?」っていう。でも世界中がさ、「日本の音楽、すごいよ」とかさ「カタカナ、面白い」とかさ、興味を持ってくれているんだったら、それをなんか誇りにできるようなさ、文化をゆるく出せよ。ねえ(笑)。

(星野源)やっぱり日本ってその自分に自信を持てないように教育されてるじゃないですか。だからそれももちろんあるとは思うんですけど。なんその80年代の終わりごろにあったような、いわゆるメインカルチャーとそうじゃない……いまはもう言葉自体がなくなりましたけど、サブカルチャーっていうものの、そのサブカルチャーの方が割と世界につながっていて。で、それのプライドがみんな、あったじゃないですか。そのあたりの。そういうのもいま、ないし。

(松重豊)いま、サブカルチャーって言葉もなくなったの?

(星野源)いまはもう、ないですよね。

(松重豊)そうなんだ。もはや松尾スズキさんがコクーンの芸術監督になった時点で、サブカルチャーっていうものは本当になくなったのかもしれないなと思うよね。

言葉自体がなくなりつつある「サブカルチャー」

(星野源)そうですね。でも、唯一たぶん残ってるのは山下達郎さんが言う「サブカルチャー」っていう言葉は本当の意味のサブカルチャーなので。いわゆる、ちょっと10年ぐらい前とかに蔓延したような「サブカル」みたいな軽い、意味のない言葉じゃなくて「サブカルチャー」っていう……その歴史の中のプライドを感じるサブカルチャーっていう言葉はたまに山下達郎さんがラジオの中とかでおっしゃるんですけど。そこの中には残ってるんですけどね。それもやっぱり昔の音楽の話をする時になんですけど。どちらかというと。いまではなくて。いまだと、どうしてもインターネットがちゃんと普及して、個人の時代だと思うの。「メイン・サブ」じゃなくて「個人が好きかどうか」っていう。そういう時代だと思うので。

(松重豊)そういう人たちが世界中にアンテナを張り巡らしてさ、発信してるし聞こうとしているっていうさ、そういう土壌はすごく出来上がっているからね。さあ、これからっていう感じなのかな? 東京も。

(星野源)これはやっぱり僕もそのワールドツアーを初めてやって、まだ途中ですけど。やっぱり「届いてる感じ」っていうのがすごくあるんですよ。どこに行っても。それはやっぱりいわゆるそのサブスクリプションというものができる前はなかったんだろうなって。

(松重豊)結局さ、だってAppleMusicにしろ、Spotifyとかにしても、そうやって発信し始めたのって今年でしょう? 2019年からでしょう?

(星野源)僕はそうです。

(松重豊)2019年からでもやっぱりそれだけブワーッていう勢いでさ、ワールドツアーを成功させるまでになるわけじゃない。それがやっぱり、後に続けというか。そういう流れを日本の若い人たちも……まあ、やっている人はもちろんいっぱいいるとは思うけども。

(星野源)もちろんやっている人はいっぱいやっていると思うんですけども。

(松重豊)ますますね、そういう流れを加速させていただきたいものですね。私、一音楽ファンとしてね。そうやってその、日米合作とか日英合作のバンドですとかさ、そういう流れがいっぱい出てくると面白い。

(星野源)ボーダーラインというか、そういうものがないのが楽しいですよね。

(松重豊)それで「会ったことないけど同じグループなんです」みたいな人たちもあり得るわけじゃん。いまなんか。

(星野源)ありそうですね。実際にあるわけですか?

(松重豊)なんかね、この間来た女の子なんだけど。「バンドというか、一緒に楽曲を作ってるんだけど、会ったことないんですよ」っていう。

(星野源)ああ、いいですね!

(松重豊)だからこういう、データのやり取りでのやるっていう。俺も意味がわからないんだけど、そういうことでやっぱりやり始めてるんだよね。だからそれがもう、ちょこっと英語がしゃべれれば外国のミュージシャンともできるわけだから。「ああ、これは音楽ファンとしてはすごい楽しみだな」っていう。

(星野源)そうですね。広がりますね。面白い。

<書き起こしおわり>

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