星野源『MIU404』第5話と外国人留学生・労働者問題を語る

星野源『MIU404』第5話『MIU404』第5話と外国人留学生・労働者問題を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2020年7月28日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で自身が主演するドラマ『MIU404』第5話についてトーク。この回のテーマだった外国人留学生・労働者の問題などについて話していました。

(星野源)先週金曜日、TBS金曜ドラマ『MIU404』第5話、『夢の島』が放送されました。見てくださった皆さん、ありがとうございます。いやいやいや、すごい反響で。あと、視聴率とかも出まして。すごいたくさんの方が見ていただいたようで、本当に嬉しいです。たくさん感想をメールが届いております。読みたいと思います。東京都の方。「『MIU404』、すっかりどハマリしております。前回も子供の寝かしつけは主人におまかせして、リアタイで見ました。第5話は私自身が以前、外国人留学生が多数いる教育機関に勤めていたので、胸に迫るものがあり、放送後はしばらく涙が止まりませんでした。

日本が好きで日本に憧れて海を渡ってきてくれる留学生。日本の学生が海外留学するのとはかなり状況が違います。まさに『見てしまったら、世界がわずかにズレる』です。でもこの第5話を見て、考え方、見え方が変わった人がたくさんいらっしゃったということが『#MIU404』というタグでわかり、本当に嬉しかったです。見えてなかったものに光を当ててくれる『MIU404』チーム、最高です。ありがとうございます」という。ありがとうございます。嬉しいですね。嬉しい反応。

続いて千葉県19歳の方。「『MIU404』第5話、『夢の島』リアルタイムで拝見しましたこれまでの話も刑事ドラマとしての事件解決のすっきりさだけではなく、見終わった後にはいろいろ考えさせられる物語でしたが、今回は特に私の胸に強く刺さる物語でした。私の父はフィリピンで単身赴任をしています。それもあり、父からフィリピン人の生活背景を聞いたり、それがきっかけでフィリピン人の生活が描かれたドキュメンタリーなどを見ることも増えて、出稼ぎに来ている人たちについて少し知ってると思っていました。

でも今回ドラマで見た話は想像していたよりももっとひどいものでした。今の世の中、コンビニの店員さんなど身近にも外国人労働者が多いですが、ダブルワーク、トリプルワークなどをして必死に生きているということ。そして私たちに見えないところではもっと過酷な労働環境で働いてる人がいるということ。日本に憧れを持って『夢の島』のようにキラキラしたイメージを持ってきたのに。

『ほしいのは働くロボット。日本、嫌いになりたくなかった』とのマイちゃんが泣きながら言ってるのを聞いて、すごく心が締め付けられる思いをしました。きっとこんな思いをしている人がたくさん日本にいるんだろうなと思ったし。でも、そんなことを全然知らなかった自分もいて、胸が苦しくなりました」という。ありがとうございます。

そうですね。自分もですね、この台本をいただいたのは結構前ですけれども。いただくまで、やっぱり知らなかったことですし。で、知らなかったことはやっぱり……もちろん知ってた方がよかったと僕も思うし、「何で知らなかったんだろう?」って落ち込んだんですけども。それを、このドラマを見てやっぱり知ってもらえたっていうのはそれだけですごくやった意義があったなと思うし。そこから何か気になったら、ぜひ調べていただければなと思っております。

作中の中で「見てしまったら、世界がズレる。その『ズレ』に気付いて逃げるか、また見えないふりをするか?」みたいなセリフもありましたけれども。それは僕のセリフでしたけど、僕の演じる志摩の過去にも、もしかしたらそういうことがあったんじゃないの? みたいな。志摩は自分の過去を見ないようにしてるんじゃないの? みたいな、そういう部分もありまして。なんかすごく自分の中でもそれは印象的なセリフで。

「見てしまったら、世界がズレる」

で、それは自分が今、この世の中を生きていく上で本当にたくさん感じることで。自分が見ている世の中っていうものが、自分が思っていたものとか……たとえば夢見ていたところとか、夢見ていたものとか、想像していたものとかと随分違うぞ?っていう風に思うことがあまりにも多くて。「何でこんなことになっちゃってるんだろう?」っていう。で、その「何でこんなことになっちゃってるんだろう?」と感じる上で、それと同時に感じるのは自分の無力さみたいな。この事実を目の前にして、自分に何ができるんだろう?ってことでさらにまた落ち込むっていうような、そういうことがもうずっとあるような。そんな日々で。

さらにこのコロナ禍になって、さらにさらにさらにもっと大きなものが表面化しているというか。元々あったものなんだけど。いい風に言えば、知る機会が増えたようなところもあると思うし。それでも、まだまだ問題はあまりにも多くて……というような。それに、目の前に大きな壁が何個も何個もあって。それで立ち尽くしてしまうような日々ではあるんですけども。でも、そのズレというものを感じて、そこから何かを知って、自分にできることから何かしていくっていうことを……まず、そのズレを見るっていうことはすごいいいことだと思うんですよね。

だからそこに……僕もどうしても、それに対して落ち込んじゃったりはするんですけど。それに対して落ち込まなくていいと思うんですよね。だから知って、気になったら調べればいいと思うし。それだけで何か、自分の今後の人生で人への接し方とかもそうですけど。どんどん変わらざるを得ないはずなんですよね。なので、そこで落ち込まなくてもいいと思います。今、それを取り返すように、やっぱりいろんなことを調べればいいと思うし。

今はね、もちろんいろんな情報があるので、ちゃんとそれが本当のことなのか? ソースはどこにあるのか? とかをちゃんと見ながら、自分で……まあネットもね、いろんな意見がありますから。それがどれが自分が本当だと思うのか? そういうのもですね、ちゃんと自分で判断してどんどん調べていくと、その知っていくことって自分の足元みたいなものをですね、少しずつ強くしていくような感覚が自分はあるので。

やっぱり知らないことを感覚や感情で「いい」とか「悪い」とかって判断しようとすると、足元がどんどんふわふわふわふわしていって苦しいばっかりだったりすると思うので。知るっていうのはとても大事なことなんじゃないかなと最近、特に思います。

千葉県28歳の方。「日本在住の外国人です。『MIU404』が放送された以来、リアルタイムの他に志摩と伊吹のやり取りを見るために録画をお代わりするが、5話はとても自身に関わる内容なので途中から胸が締め付けられて、衝撃が大きすぎて録画を見ることができませんでした。自分も子供の頃から日本が大好きで、母国の大学を卒業後、日本語学校を経て現在、日本の会社で働いています。

ドラマのように3つのバイトの掛け持ちをせずに生活できるような給料がもらえる自分が運のいい方だと思うが、知り合いに最低賃金より低い時給で働かされて、職場内で1人の外国人としていじめられてしまった人もいます。また、お店での買い物から口座の申し込みや家の賃貸まで、日本人にとってごく普通な日常かもしれないが、外国人という身分で不平等な扱いになるのも聞いたことがあるので、国籍を問わず普通に接してくれる人に会うと大変嬉しく感じます。

今年は来日5年目になり、異国で1人で送った日々。理不尽なことで心が折れた時もあるが、ありがたいことに手を差し伸べてくれた方がほとんどでした。その方々のおかげで頑張り続けられ、今も日本が素敵な国だと思っています。今まで助けてくれた方々に改めてありがとうございますとお伝えできたらいいなと思いましてメールしました。長文で失礼しました」ということで。ありがとうございます。

去年、ワールドツアーとかを行なうことができて、自分の母国語じゃない場所で働いたりとか、何かをするっていうのは想像するだに大変だなと思って。で、そういうのもあって、やっぱり自分が国外に一旦出てから、その日本の中の風景ってのもちょっと変わったんですよね。自分の中でも。なので今回、そういう話題がドラマの中で描かれていましたけど。だって、漢字ってすごい大変じゃん?

何て言えばいいのかな? 僕らはさ、日本語を勉強する上で漢字って普通に勉強してきたけど。ひらがながあって、カタカナがあって、漢字があって。その漢字にも音読みと訓読みがあって、みたいな。わけわかんないよね?(笑)。だから本当に勉強して、働いている方々ってすげえな!って思います。僕も英語を勉強してるけど、もう全然できなくて。もうそれだけで本当に疲弊しちゃうのに。

しかもそれで働いて……たとえばさ、コンビニの店員さんも公共料金の支払いとかさ、やるわけじゃん? ハンコを押したりとかさ。それとかもさ、今は支払い方法も山ほどあってさ、みたいな。「いや、これはすげえな」っていう。自分だったらできる自信が全くないっていう。だからそんな中で、いろんな見え方みたいなものが知ることだったり触れることで変わっていくというのは思いますね。

その中で、この台本を読んで「すごく勉強をしたい」と思って、いろいろ本を読んだりとか、サイトを見たりとか、ラジオを聞いたりとか。いろいろした時に、友達の荻上チキさんとお話をしてた時に「今度、こういう内容のドラマなんです」っていう話をしたら、1冊の本をお勧めしてくれて。それが『ブエノス・ディアス、ニッポン: 外国人が生きる「もうひとつのニッポン」』っていう本だったんですけども。

荻上チキさんから勧められた本

「すごくいい本なんで、おすすめです」っていうことで。それで「いろんな人におすすめしてて、あげてるですよ。好きで」って言っていて。「ああ、そうなだ」と思って。それでAmazonのページのスクショを送ってくれたんですよ。「こういう本ですよ」って。で、購入履歴っていうか、1回買ったものって上に出るじゃない? 購入回数とか出るんですよ。で、その購入回数がすごい回数で(笑)。「これは本当にいろんな人にあげたんだな」っていう。

で、それを読んで、本当にすごくいい本だなと改めて思いました。これは、ちょっと前の本でもではあるんですけども。弁護士の方が日本にいる外国人の人と仕事で接する時に、いろんな経験をしたというそのお話。本当の話がいっぱい書かれているんですけど。そこで知ることがものすごく多くて。「何でそういうことが起きてしまうのか? その起きる原因が感情とか境遇うだけではなく、どういうシステムの中でそれがこうなってしまっているのか? これがどうして起きるのか?」ってことも全部書かれているので。

「なんでこんなことが起きちゃんだろう?」みたいなことって想像だけだと分からないけど、「こういう仕組みがあって、こうするしかなかった」とか「どうしてもこうなってしまった」とか、そういうのも書かれてるんで。「なるほど」って。それを知ることによって、いろんなものが考えやすくなるっていう。そういう本だったりもするので。僕が……本当にみんな、ありがとうね。インスタのストーリーズでこの本をあげたんですよ。

そしたら、すごく注文が増えたみたいで。ありがとうございます。で、僕自身も自分で買ってね、本が送られてきてわかったんだけど、この出版社が直接本を送っていたの。だからたぶん大変なんだと思うんだけど。在庫もちょっと調べたら復活する時もありますって書いてあったので。気になった方はぜひ、調べていていただければなと思っております。

続いて長崎屋の方。「先週『MIU404』を見ていて、今までの自分がいかに何も見えてなかったか、そして見えているのに気付かないふりをしてきたかを思い知りました。『見てしまったら、世界がわずかにズレる』という言葉が胸にずっと残っています。今、現実に起こっていることを深く考えるきっかけをいただく貴重なドラマだと思いました。これから自分にできることを少しずつ探していこうと思います」という。ありがとうございます。

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