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DJ松永 DJプレイと「不便性」を語る

DJ松永 DJプレイと「不便性」を語る ACTION
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DJ松永さんがTBSラジオ『ACTION』の中でDOMMUNE『不便が切り拓く、世界への道』に出演した際の模様をトーク。「不便性」という言葉からDJプレイについて考えたことを話していました。

(DJ松永)私は一昨日、トークイベントに出てきまして。どんなイベントだったかっていうと、ポルシェが全自動の電気のスポーツカーを発表したんですよ。なんかそれに紐付いたイベントを10日間ぐらいかな? 結構長めに開催して。毎日いろんな方をゲストに招いてお話するというイベントがあって、私も一昨日呼ばれまして。その日はDJが3人呼ばれたんですけども。テーマが『不便が切り拓く、世界への道』というテーマで。それでDJを3人、呼んでいただきまして。

どういう話かっていうと、たとえばデジタルカメラに対してのフィルムのカメラとか。いま、ストリーミングで音楽が聞けるじゃないですか。月々定額いくらとか払って音楽が聞き放題のサービスにおいてのは、カセットテープだったりレコードみたいな。そういうなんか不便なもの。それならではの愛おしさとか尊さがあるみたいな話から、そのDJがアナログレコードでDJする方。それと俺はデジタルの機能も使ってDJをするので。そういった2方向のDJたちを招いて、そのデジタルとアナログみたいな観点から話をするっていう企画で。

まあ、たしかにアナログレコードでDJをする人もいま、ちゃんと一定数いて。俺はデータを使ったりとか、まあCDを使う人っていうのもいますけども。デジタルの機能を使ってDJする人もいて。俺はその「不便性」っていう言葉がすごく腑に落ちた部分があって。俺はDJの大会に出て、優勝したじゃないですか。そのDJはターンテーブル上の音源を使って、それで演奏するわけです。その演奏の技術を競うんですけども。これ、要は何を競っているんだろうな?っていうのをなんか、あんまり俺は言葉にできてなかったんですよ。

(幸坂理加)ふーん。うん?

(DJ松永)ターンテーブル上の演奏ってどれが優れていてどれが優れてないのかっていうのを人に聞かれて……「えっ、つまりどういうことだろう?」って。それは感覚的に捉えてきたものだったから、「えっ、見たらわかりませんか?」しか言えなくて。「これってどういうことなんだろうな?」って考えていたんですよ。でも、このイベントに当日出て、「不便性」というものを聞かされた時に「ああ、不便性かもな!」と思ったんですよ。一体どういうことかというと、たとえばゴールに向かう……その完成形の音源があるとするじゃないですか。言ってしまえば、いちばんの便利性。便利な方向で行ったら、もうその完成した音源を流せばいいんですよ。でも、それって評価されないじゃないですか。「それって、自分はなにもやってなくない?」っていうことじゃないですか。

(幸坂理加)そうですね。すでに完成されたものだから。

(DJ松永)そうそう。だったら、その音源を再現するのに難易度の高い方法を用いて表現した方が素晴らしいじゃないですか。

(幸坂理加)ああ、そうですね。

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いかに遠回りをするのか?

(DJ松永)だから、そういうことなんだなって思って。いかに遠回りをする距離の長さとか、「ああ、そんな道を行くんだ」っていうその斬新さ。「それ、すごい面白い」っていう遠回りをする美しさみたいなものが評価基準なんだなと思って。そのアナログのレコードを……DJの大会もずっとね、アナログのレコードしか使っちゃいけないという時代も長かったんですけども。近年、デジタル機能も使っていいっていうルールにDJの大会もなったんですよ。

(幸坂理加)うんうん。

(DJ松永)最初ね、デジタルの機能が台頭してきた時には「それはズルじゃないか?」って言われて。評価されなかった瞬間もあって。たぶんいまもそう思ってる人もいると思うんですけれども。でも実際にやっている身からすると、それは全然違くて。たとえば、そのDJの演奏の中のいち部分で「同じフレーズをループさせる」っていう技をするとするじゃないですか。デジタルだったらそのループさせたいポイントにマーキングっていうのをして。ボタンにマーキングをするんすよ。印を付ける。そしたらそのボタン押せば、その鳴らしたい音をループさせるような機能とかもあるわけですよ。

(幸坂理加)ああ、勝手に再生されるんですね。

(DJ松永)そう。ボタンをポンと押すとそれが流れて。もう1回、ポンと押したらそれが流れるみたいな。ボタンひとつでループさせることができる。けれども、アナログレコードは同じことをさせたいと思ったら2枚の同じレコードを使って、片方の音を出してる間にもう片方を戻して。で、その元の音をもう1回出して……っていう。レコード2枚を使って手動ですごくやるわけですよ。でも、やってることは一緒。どっちが評価されるかって言ったら、絶対にアナログレコードの方じゃないですか? 苦労をしているじゃないですか。

(幸坂理加)そうですね。

(DJ松永)その苦労をいかに、どういう苦労をするかみたいなことが評価されるわけですよ。

(幸坂理加)ああ、技術点みたいな感じなんですか?

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機能が増えると、やるべきことが増える

(DJ松永)そう。だから新しい機能が増えたからといって、その便利な機能に甘えては評価されない。いかに……単純に俺からしたらもう、やらなきゃいけない技術の引き出しが増えたという話になるので、逆に俺的には難易度が上がっているんですよ。その便利な機能をいかに不便に使うか。そうしないと、評価をされないんですよ。だからもう「そんなことをやってる相手にそのボタンを押すの?」とか「そのボタン押して本当に簡単に機能を呼び出せるのに、めちゃくちゃ不便な使い方しているね」っていうのが評価基準、評価対象になるわけですよ。

(幸坂理加)ああ、そうなんですね。

(DJ松永)だから、デジタルが台頭してきたからといって、別に甘くなった世界というわけでは全くなくて。なんなら、いろいろとやらなくてはいけないこととか、新しく発明しなければいけないことが増えていったりとかして。

(幸坂理加)そのパターンが増えてしまうんですね。

(DJ松永)そうなんですよ。だからその「不便性」っていうテーマを聞かされた時にそれがすごい腑に落ちて。そのトークイベントでもそれをお客さんの前で話したんですけども。「ああ、なるほどな。これを人前で話すことができたのがすごい貴重だったな」と思って。で、それはDOMMUNEっていう配信サイトがあるんですけども。DOMMUNEって音楽の結構ニッチな話をしてもいい媒体なんですよ。ラジオとかテレビとかって結構、知らないお客さんに知ってもらうためにわかりやすく説明するじゃないですか。でも、それをし始めてしまうと結構話が進まなくて。あんまり込み入った話ができないんですよ。

でも、このトークイベントはたしかにお客さんはDJに詳しい人はそんなにいなかったんですけれども。「音楽のニッチな話をしてもいいよ」っていう媒体で配信になっていたから、もういいやと思って。いろいろとすっ飛ばして結構込み入った話ができたんですけども。それがすごい楽しかったですね。貴重だった。でも俺も、小説とか本とかって普段、全然読まないんですけども。昔、小説家のラジオを聞いていて、自分の全然知らない世界の話だけども。全然自分の知らない単語だけども、それが飛び交うラジオってめっちゃ楽しかったのを覚えているんですよ。

(幸坂理加)うんうん。

(DJ松永)なんか知らない話……知らない単語が出てきた方がね、引っ掛かりになるんですよ。で、別にそれが解説されずに進んでいっても、それは楽しいんですよ。そっちの方がね、なんか注意を引くんですよ。知っている言葉だけ並べていくと、流れるんですよ、なんか。あんまり注意を向けないんですよ。知らない単語で、説明されずに1時間半とか終わってもね、それって楽しいんですよ。それをすごい思い出して。しかも知らない話の世界の人ってなんかね、めっちゃ熱量があってしゃべっていて。その熱量を聞いているだけでも面白かったりするんで。それをすごい思いだして。こういう話をする機会とか、また設けてほしいってすごい思ったんですよ。

(幸坂理加)へー!

(DJ松永)しかもアナログレコードでDJする人ならではの不便さとか苦労とかっていうのも、俺もアナログレコードだけでDJしてた時期もあるんで。「ああ、それあるよね。あるある!」みたいな感じで話せるのが結構楽しくって。いまね、俺はDJと触れ合う機会が全くないですよ。

(幸坂理加)えっ、そうなんですか?

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普段、全くDJと触れ合う機会がない

(DJ松永)なぜなら、自分たちの曲で全部回ってしまうから。自分たちのワンマンとかツアーで回ると、DJはただ俺1人だけ。で、演者はR-指定だけ。ラッパーでも触れ合うラッパーはR-指定だけ。で、DJも周りに1人もいない。フェスとかに出ても、DJはほとんどいないんですよ。バンドだらけだし。対バンとかするアーティストもバンドだから、DJと触れ合う機会も本当に極端に減っていて。すっごい楽しかったです。定期的にDJと触れ合わないと、なんかDJならではの言語とか言葉が失われるなってすごい思いました。

(幸坂理加)ああ、そうなんだ。

(DJ松永)そう。全然、すごい話したかった話題とかが掘り起こされた感じがして、めちゃくちゃ楽しかったんですよ。俺、DJの友達が1人もいなくて……。

(幸坂理加)フフフ、そこに行き着くんですか?

(DJ松永)本当に。作るべきっていうか本当に遊ぶべきだなってすっごい思った。情報交換とかするべきだなって本当に思いましたね。

(幸坂理加)自分の頭の中もしゃべることで整理されたりもしますからね。

(DJ松永)めちゃくちゃするんですよ。だからそれをされたんですよ。一昨日。

(幸坂理加)よかったですね。

(DJ松永)よかった! いや、そうした方がいいですよ。本当に。

(幸坂理加)そうだ。触れ合う機会、作ってくださいよ。

(DJ松永)ねえ。本当に……誰か、作って。たのむから!(笑)。

(幸坂理加)ええっ? そこ? 人頼みなんですか?(笑)。

<書き起こしおわり>

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