渡辺志保さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でアメリカのヒップホップ業界内で増えつつある、ミドルクラス(中流階級)アーティストについて話していました。
(渡辺志保)ここではまず、私が最近読んで面白かった記事をみなさんにお知らせしたいなと思います。で、何かと申しますと、前もこのコーナーでTEDトークでリリカル・レモネードというプラットフォームを設立したコール・ベネットくんの訓の話が面白かったよっていう風にお伝えしたんですけれども。
今日、みなさんにお話ししたいのはヒップホップのニュースサイト、メディアでDJブース(DJBooth)というメディアがありまして。私はこのDJブースがすごい好きで、ちょこちょこ読んでるんですけど。どんなメディアかといいますと、たとえばXXLとかHotNewHipHopとか、いろんなヒップホップメディアがアメリカにもあるんですけど。このDJブースが面白いのはコラムがすごい充実してるんですよ。で、ただヒット曲を出したアーティストについて書くだけではなくて、DJブースのいろんなライターさん、彼らが本当にいろんな視点でいまのヒップホップの流行りを分析するような、そんなコラムが非常に多くて。それをいつも読むのを楽しみにしているという感じです。
で、そのDJブースの最新コラムシリーズ、いまカルチャープレイブック(The Colture Playbook)っていう名前のコラムシリーズを彼らが運営してましてて。そこで「Making the Middle-Class Artist(ミドルクラスアーティストを作る)」と題された記事がこれは11月の上旬だったかな? アップされていて。それが非常に面白かったんですよ。
「Making the Middle-Class Artist」
Making the Middle-Class Artist: The Colture PlaybookIn entry three, Ty Baisden explains why artists must view themselves as their own business and how he’s helping to creat...— みやーんZZ (@miyearnzz) November 29, 2019
で、ミドルクラスアーティストっていうくくりなんですけれども、ミドルクラスっていわゆる中流階級ってことですよね。で、いまその中流階級アーティストが増えている。それこそがアーティストにとって最も心地のいいあり方、存在なのではないかという内容になってました。で、この「Making the Middle-Class Artist」という記事なんですけども、主に語っているのはタイ・バイズデンさんという業界の方。彼はアトランタに生まれ育ったそうなんですけれども、自分でマネージャー業とかA&R、本当に裏方のお仕事ですよね。それを生業にしているという。
で、1人、タイ・バイズデンさんが抱えているアーティストでブレント・フェイヤーズというアーティストがいるんですけども。彼はカリフォルニアを拠点としているR&Bシンガーなんですね。で、私もこのブレント・フェイヤーズのことは最初にSpotifyのR&Bのなんかのプレイリストのカバーになっていて。それで「ああ、こういうアーティスト、シンガーがいるんだ」っていうことで知ったんですけども。そのブレント・フェイヤーズを手掛けているマネージャー、タイ・バイズデンさんという方の話ということです。
で、今回、そのミドルクラスアーティストとしてタイ・バイズデンさんが挙げているアーティストがフロリダ出身のウィンタータイム。「まんま! 冬!」みたいなね。しかもフロリダだからあまりその冬っぽい冬は来ないと思うんだけど、でもフロリダでウインタータイムという名前で楽曲を作っている若いアーティストのことなんですよね。
で、このウィンタータイムくんなんですけれども、リル・ヨッティ、あとは『Tuesday』という曲がヒットしましたけどもアイラブマコーネンというアトランタのアーティストがいまして。このアイラブマコーネンも一時期はドレイクと一緒に曲を作ったりしてましたけれども。このウィンタータイムさんはリル・ヨッティとかアイラブマコーネンとかの作品、あとは彼らと一緒に活動していたことで知られる存在だそうです。
で、元々はいまの若者のラッパーによくあることですけれども。SoundCloudでね、その人気にじわじわと火がつき始めたというそういったアーティストなんですって。で、このウィンタータイムに関しては、そのリル・ヨッティとかのネームバリューもありつつ、なんとあのビヨンセの妹のソランジュがオッド・フューチャーのメンバーでもあったアール・スウェットシャツ……タイラー・ザ・クリエーターの親友と言ってもいいような存在ですけども。そのアール・スウェットシャツのラジオ番組でこのウィンタータイムの曲を紹介したことがあるんですって。
あとは驚いたんだけど、エリカ・バドゥがこのウィンタータイムの『Thru it all』という曲をリミックスしたという経緯もあるようで。そのリル・ヨッティとか若手のラッパーからも支持を得ているし、ソランジュとかエリカ・バドゥとかそういったお姉さまたちですよね。特にエリカ・バドゥは90年代前半にデビューをしている大御所アーティストですけども。そういった方からも支持を得ている若手のアーティストということです。
ちなみにソランジュはこのウィンタータイムのことを自分の息子のジュエルズくんに教えてもらったということで、すごい素敵な親子だなっていう風に思いました。で、ちょっと面白いのがウィンタータイムくんなんですけども、現在Spotifyで31万人のフォロワーがいる。結構リアルな数字だよね。31万人のフォロワー。ちなみに、またこういうのを調べちゃったんですけども。星野源さんはSpotify上で現状、77万人のフォロワー。だから星野源さんの半分ぐらいのフォロワーがいるっていうことだよね。まあ、アメリカのこういうヒップホップのシーン、しかもストリーミングのシーンっていうのは非常に日本に比べて母数がめちゃめちゃデカいので一概にどうだと言えないですけども、まあひとつ参考になればという感じです。
Wintertime Spotifyhttps://t.co/bDkO4nd58u pic.twitter.com/EOKEUHWvaZ
— みやーんZZ (@miyearnzz) November 29, 2019
ちなみにBAD HOPがSpotify上のフォロワーが12万人ということでございました。で、この31万人フォロワーがいま、ウィンタータイムくんにはいる。それで、音楽だけで暮らせるんだって。で、このタイ・バイズデンさんが言うことには、2017年以来何もリリースをしていない。びっくりじゃない? なんか本当に1年に何枚もアルバムを出すアーティストがいたり、本当に毎週のようにシングルをリリースするラッパーがいる中で、このウィンタータイムくんは2017年以来、何もリリースをしていない。
それと、あとはいま、SpotifyでもAppleMusicでも他のサブスクリプションサービスでも、とにかくプレイリストに自分の曲を入れることが成功への近道という風にされていまして。プレイリストもユーザーが自由に作るプレイリストよりも、いわゆる公式プレイリストっていうか。Spotifyさんが公式に作ったプレイリスト、AppleMusicさんが公式に作ったプレイリストというような、そこにいかに食い込むかっていうのが特に若手のアーティストの登竜門的なところだと思うんですけれども。
このウィンタータイムに至っては、これまでに公式プレイリストのフィーチャーはゼロなんですって。で、ただ他のいろんなプレイリストに彼の曲は入ってるんだけども、それはすべてオーガニックな形でウィンタータイムの曲を聞いて「いいな!」と思った一般のリスナーがどんどんと自分が作った手作りプレイリストにウインタータイムの曲を入れてるという。で、そんなウィンタータイムさんなんですけども、なんと1年間で「6 figures」の収入があるっていう風にタイ・バイズデンさんがおっしゃっていました。