渡辺志保さんが2025年2月3日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で2025年のグラミー賞を振り返り。Doechii『Alligator Bites Never Heal』がグラミー最優秀楽曲賞・最優秀レコード賞受賞を受賞したことについて話していました。
※この記事は許可をいただいて書き起こししております。
(渡辺志保)日本時間で本日2月3日、月曜日の朝から午後にかけて行われました今年のグラミー賞授賞式がございましたけれども。ご覧になった方、いらっしゃいますでしょうか? リアルタイムで最初から最後まで見たという方は少ないかもしれないけど、今日はね、朝からSNSを開くと結構、グラミー絡みのニュース、ポストが皆様の目にも留まったのではないかという風に思います。で、ちょっと『INSIDE OUT』のなのでもうみんな、いろいろと前提は知ってるというテイでお届けしたいなという風に思うんですけれども。
ヒップホップ的にはやっぱりケンドリック・ラマーが総なめ状態で。ケンドリック・ラマーが各部門を受賞。そしてドーチーがですね、ベストラップアルバム賞を受賞したということが2大トピックとして挙げられるかなと思います。まずドーチーなんですけれども。彼女は今年、グラミー賞に初めてノミネートされたアーティストなんですけれども。全部で3部門、ノミネートされたんですね。ベストニューアーティスト部門、ベストラップパフォーマンス部門、そしてベストラップアルバム部門の3つなんですね。で、ベストラップアルバム部門で『Alligator Bites Never Heal』が受賞したということで、それが感動的でした。
史上3人目の女性のベストラップアルバム賞受賞者に
Congrats Best Rap Album winner – 'Alligator Bites Never Heal' @officialdoechii. #GRAMMYs pic.twitter.com/25VE1WRaVU
— Recording Academy / GRAMMYs (@RecordingAcad) February 3, 2025
(渡辺志保)彼女がスピーチで「1989年にグラミー賞にこのカテゴリーができてからトロフィーを受賞した女性ラッパーはたった2人。それはローリン・ヒルとカーディ・Bだけだ。私がローリン・ヒル、カーディ・Bに次ぐ3人目の女性のMCになった」という風に受賞のスピーチをしていて。ちなみに登壇する時ね、名前が呼ばれてステージに上がる時はドーチーのお母さんも一緒に登壇していて。かつ、「ベストラップアルバム部門の受賞者は、ドーチーです!」っていう風に発表するプレゼンターにはカーディ・Bが選ばれていたっていうわけで。そのカーディ・Bからドーチーにトロフィーが渡されるという、その絵もめちゃめちゃ、なんだろう? ちょっとファンとして、ヒップホップリスナーとしてグッと来るものがありましたね。
で、本当に小さなことなんだけど正確に言うと、ベストラップアルバム部門がグラミー賞にできたのは1996年なんですよね。それまでは「ベストラップパフォーマンス部門」でした。で、そのヒップホップのベストラップパフォーマンス部門ができたのが1989年ということでグラミーヒストリー的には「1989年に初めてヒップホップのアーティストのための賞、カテゴリーができた」という風に言われているんですよね。で、ヒップホップのカテゴリーっていってもさ、もちろんそれまでに名だたるラッパーたちがバーっといるわけなんですけれども。そのヒップホップのカテゴリー全体でもこれまでトロフィーをもらった女性はローリン・ヒルとカーディ・Bしかいないっていうことで。
かつ、ラップアルバム部門ということで言うとローリン・ヒルは、その時はザ・フージーズ……あの彼女とワイクリフとプラーズの3人組のフージーズが『The Score』というアルバムを出した時の受賞ってことになると思いますので。ローリン・ヒルもソロアーティストではなくて、ラップアルバムとしてはグループとしての受賞だったんだよね。なんで、ソロの女性ラッパーでグラミーのベストラップアルバム部門を受賞したのはカーディ・Bとドーチーだけということになるという話です。
で、ドーチーもその「ありがとう」というスピーチの後にですね、「今、これを見てる黒人の女の子のみんな!」って、自分と同じバックグラウンドを持つ女性たちに呼びかけて。「これから、あなたのことをたとえば『肌の色が黒すぎる、暗すぎる』とか、『感情的すぎる』とか、そういうステレオタイプに当てはめて、あなたのことが正当に評価されないことがあるかもしれないけど、やればできるから頑張れ!」みたいなことをスピーチでおっしゃっていて。そこで拍手喝采みたいな。ちょっとそこでもうね、私も涙を抑えきれず……みたいな。めっちゃエモーショナルな気持ちになりました。ドーチー、本当に本当に本当におめでとうございます。
Doechii・グラミー賞受賞スピーチ
Doechii’s #Grammys acceptance speech for winning Best Rap Album 🤎 pic.twitter.com/N1Hy9Dhx1y
— Complex Music (@ComplexMusic) February 3, 2025
(渡辺志保)で、彼女は今日、パフォーマンスも行ったんですよね。それも、これまでにも彼女もいろんなテレビ番組とかライブ、フェスとかでパフォーマンス、いくつもやってこられましたけれども。それと同じようにっていうか、めちゃめちゃハイレベルな話ですけれども。ドーチーらしいというかね。本当に彼女の身体、体そのものを使って自分のアーティスト性であるとか、自分のバックグラウンド。ブラックガールとしてのナラティブといいますかね、プライドといいますか。そうしたことまでをも背負ったパフォーマンスになっていたなという風にも思えますし。いや、胸がいっぱいでしたね。
(中略)
(渡辺志保)というわけでもう流石って感じなんですけど。ベストラップアルバム部門を受賞したドーチーがグラミー賞が終わったと同時に、新曲『Nosebleeds』を発表しました。準備してたんだろうね。シングルのアートワークもあの蓄音機のトロフィーのイメージになっていて。『Nosebleeds』っていうタイトル、そのまま訳すと「鼻血」ってことになるんですけども。鼻血ものの受賞ということだったのでしょうか。
リリックの中も「ドーチー、グラミーを逃すんじゃないかって言ってんだろう? 受賞してやったからな。私のクラウン(王冠)は絶対にもう落ちることはない」みたいなリリックがあったりとか、あとは受賞を受けての喜びのスピーチ。「TDEのみんなもありがとう、SZAもありがとう。みんなみんな、ありがとう。お母さん、ありがとう」みたいなところもあるので本当に生きた、生々しい新曲になっております。では、ここでお届けしましょう。ドーチー『Nosebleeds』。
Doechii『Nosebleeds』
<書き起こしおわり>