渡辺志保 Lyrical LemonadeとCole Bennettを語る

渡辺志保 Lyrical LemonadeとCole Bennettを語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でコール・ベネットが主催するヒップホップのプラットフォーム、リリカル・レモネードについて紹介していました。

(渡辺志保)今日はですね、ヒップホップ界を牛耳っている巨大プラットフォーム、リリカル・レモネード(Lyrical Lemonade)についてちょこっと簡単にお知らせしたいと思います。で、リリカル・レモネードって何だ?っていう感じなんですけど、ヒップホップ・ブログとしてスタートしたメディアなんですね。しかもスタートしたのは当時17歳で高校3年生だったコール・ベネット少年なんですけれども。コール・ベネット少年、いまはまだ22歳なんですよ。めちゃめちゃ若くて。

で、彼が高校生の時に自分が好きなアーティストの情報を集めてブログをスタートしました。それに飽き足りず、彼はミュージックビデオを撮り始めるんですね。それが地元の若いラッパーたちのミュージックビデオだったんですけれども、ちょうどその時、いわゆるサウンドクラウド・ラップというカテゴリーが非常にシーンの中で台頭していた時でして、メジャーのオーバーグラウンドのシーン。そしてこうしたサウンドクラウドやネットを媒介とするようなアンダーグラウンドのシーンがちょうど入れ替わるような時期でして。

そういったサウンドクラウド・ラッパーたちに注目が集まるとともに、そのコール・ベネットが監督したミュージックビデオにも注目が集まるようになっていった。で、どんなアーティストを撮っていたかといいますと、たとえばジュース・ワールド、リル・パンプ、リル・スキーズとかスキーマスク・ザ・スランプゴッドとかね、本当にXXXテンタシオン以降の若いラッパーたちっていう感じがしますけれども。そういった若手ラッパーの曲をどんどん撮っていったんです。

で、彼が偉いというか賢いなと思ったのは、自分が撮ったミュージックビデオには全て「#LyricalLemonade」っていうハッシュタグをつけて。かつ、牛乳パックみたいなマークがあるんですけど、そのロゴをかならずYouTubeのサムネイル画像にくっつけるようにしたんですよ。

ハッシュタグとロゴをかならず動画に入れる

で、そのアーティストのチャンネルから発信するのではなくて、自分で作ったリリカル・レモネードチャンネルから発信するようになった。そうするとラッパーたちに注目が集まると、さっきも言ったようにそのミュージックビデオにみんなお客さんがやってくる。となると、みんながその刷り込みのようにこのレモネードのパックの画像を目に焼き付けることになるんですよね。

それがサブリミナル効果のような働きをしまして、だんだんだんだんそれが大きくなっていった。で、いまやこのコール・ベネットが主催するリリカル・レモネードなんですけれども、フォーブス・マガジンとかローリングストーン・マガジンとか、そういったところにも取材を受けるぐらい大きくなっていったんですね。というわけで、1人のミュージックビデオの監督。しかもティーンでしたから。今日、この番組のティーンのゲストをお迎えしますけれども、ティーンエージャーのミュージックビデオの監督がインフルエンサーになってヒップホップのシーンをひとつ作り出したというのがこのリリカル・レモネードということになります。

で、なぜ今日、私がこの話をしようかと思ったのかっていう理由なんだけど、このコール・ベネットかついこの間、TEDトークに登壇していて。約30分間の演説、TEDトークを披露していて、それがすごくねインスピレーショナル。めちゃめちゃ力強いトークだったんですね。

Cole Bennett・TED TALK

彼はちょっと緊張してるのかなっていう趣もあったんですけれども、話してるのはすごく、「このメディアがありふれているような時代にどうやってヒップホップシーンを作っていくか? どうやって自分をマインドセットしていくか?」っていうことを語っていて、非常にインスピレーショナルだったので今日はちょっとこのコール・ベネットの話をしたいなと思った次第です。というわけでここで1曲、彼の名前をさらに有名にした代表的なミュージックビデオ。そしてこの曲をお届けしたいと思います。ジュース・ワールドで『Lucid Dreams』。

Juice WRLD『Lucid Dreams』

いま聞いていただいておりますのジュース・ワールドで『Lucid Dreams』。去年の大ヒットチューンでした。ちなみにですね、コール・ベネットさんは6月29日、30日と2日連続でカレンの拠点であるシカゴでですね、リリカル・レモネードのフェスを行う。去年も開催しているんですけども、今年は2デイズということで。プレイボーイ・カーティ、リル・ヨッティ、そしていま聞いていただいたジュース・ワールド。あとはア・ブギー・ウィット・ダ・フーディーとか、本当にそうそうたるメンツのフェスが開催されるんですけれども。その場で、なんと満を持してリリカル・レモネードという名前のレモネードドリンクを販売するらしいんですよね。

で、自分でレモネードを作って売りますみたいなことは前からちょっとこう匂わせの発言とかもしてたんですけど。たぶん飲料ビジネスってめちゃめちゃ儲かるじゃないですか、みたいな(笑)。たぶんこのフェスでさ、しかもみんな喉が渇くでしょう? 絶対レモネードを買うじゃん。缶のデザインとかもすごくかわいいからさ、お土産とかにもできるなとか思っちゃって。パフ・ダディとか、みんな歴代の……それこそジェイ・Zとかもそうですけども。歴代の億万長者ラッパーはみなさん、アルコールもしくは飲料ビジネスに手を出して、この巨額の富を築いてますから。

コール・ベネットもまた、億万長者に近づくじゃないかなとか思っております。はい。で、コール・ベネットみたいにね、個人がインフルエンサーとなってヒップホップシーンを作っていくって結構アメリカではどんどん普通になってるとは言わないですけども。前例ができ始めているんですよね。で、超人気ポッドキャストの「No Jumper」というのがあるんですけども、そのNo Jumperを主催しているアダム22という人物がいますが。彼なんかもちょっと前にね、No Jumperというレーベルを作ってそれが話題になったりもしました。

ちなみにリリカル・レモネードはレーベルにするつもりは全くなくて、彼としては自分がいいなと思う若手アーティストをどんどんのピックアップしてビデオを撮りたい。それが自分のやりたいことだから、レーベルにすることは考えていないという風に言ってました。なのでここでですね、じゃあその最近リリカル・レモネード、どんなアーティストをピックアップしてるのか?っていうのでお伝えするためにもう1曲、ここでかけたいと思うんですが。

リル・テッカという私も全然名前を知らなかったんだけども。リル・テッカというニューヨーク、クイーンズ出身の16歳のラッパーがおります。彼は5月22日に自分のビデオ『Ransom』というのをこのコール・ベネットがリリカル・レモネード上で発表したら、それがすごい勢いでストリーミングの数字を稼いでですね、いまはわずか3週間ぐらいですけれども、再生回数1600万回を記録。そしてこのリル・テッカ初のビルボードトップ100入りのヒット曲になることがもう確定してる。リル・テッカくん、まだ16歳なのに……ということで。もう本当にすごいスピードで、すごい規模で動いているのがアメリカのヒップホップなんだなっていうことを毎日、感じてますけれども。またさらにすげえな!って思った出来事ですので、ここでお届けしましょう。リル・テッカで『Ransom』。

Lil Tecca『Ransom』

<書き起こしおわり>

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