ブル中野と吉田豪 全日本女子プロレスの異常性を語る

ブル中野と吉田豪 全日本女子プロレスの異常性を語る SHOWROOM

ブル中野さんが『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』に出演。吉田豪さんと全日本女子プロレスの異常性や特殊性について話していました。

(ブル中野)いい体験を……ダンプさんに悪役に誘ってもらったんで。いい思いというか……(笑)。

(吉田豪)フフフ、大変な思いだったはずなんですよ。

(ブル中野)でもね、ベビーフェイスでいたら適当にそのへんにいるようなレスラーと同じで辞めていたかもしれないですね。だから悪役になって、しごいてもらってよかったんですよ。

(吉田豪)全女が恐ろしいのはその時、ダンプさんはクレーン・ユウさんっていう方と組んでいたんですよ。まあ、さっき言っていたすごいいい人のクレーンさん。クレーンさんと仲が悪くなったわけですよね?

(ブル中野)「仲が悪くなった」っていうか、もともと同期なんで。長与さん、飛鳥さん。ダンプさんとクレーンさん。大森さんもみんな同期だから。同期って、普通に仲がいい人、いないですよね?

(吉田豪)そうなんですか? 同期の絆みたいなの、よく聞きますけども、そういうんじゃないんだ。

(ブル中野)ああ、それはもうちょっと上の方になってから出るかもしれないし、引退したら出るかもしれないけども。やっぱりみんな同期だったら引きずり下ろして自分が……っていう。

(吉田豪)フフフ、そうか。「この代のトップに私はなりたい」っていう。

(ブル中野)ですよね。だからもともと仲が悪かったんじゃないですかね。でも、やっぱりクレーンさんとか大森さんとかホワッとした感じの方でしたから。うん。どうだったんですかね? でもダンプさんはクレーンさんと組んでやっていくよりも、私の方が扱いやすかっただろうし。それにダンプさんはこれに賭けて、極悪同盟に賭けて最後のチャンスって思っていたんだと思うんですけども。クレーンさんはそこまで気持ちが一緒じゃなかったっていう部分があったんだと思いますね。

(吉田豪)ダンプさんがクレーンさんを潰した試合があったみたいな噂を聞いたことがあるんですけども。

(ブル中野)ああ、そうですね。大宮スケートセンターで年に1回、総当たり戦のシングルの時にダンプさんとクレーンさんが当たったんですけども。その時に控室でダンプさんに「お前は俺のセコンドにつけよ」って言われていて。絶対、どっちにしても私はダンプさんだろうなって思ってダンプさんの側についたんですけども。他の新人はクレーンさんの方についていて。そこで、もうダンプさんがクレーンさんを血だらけにして。それで、クレーンさんは負けてしまったですけども、そのまま引退になってしまっちゃったんですよね。いきなり。引退式もなにもしないで。

(吉田豪)本当に全女の恐ろしいところってそういうところなんですよね。世代交代とかいろんなことがプロレス的な物語じゃない感じで突然行われるっていうか(笑)。

(ブル中野)そうですね。本当にリアルアングルみたいな……。

(吉田豪)怖い話ばっかりなんですよ。全女が異常団体だっていうのが調べれば調べるほどわかるのはそういうところで。

(ブル中野)でもそういうの、好きなんでしょう?(笑)。

(吉田豪)大好きですよ! 夢があるじゃないですか。

(ブル中野)夢?(笑)。

(吉田豪)夢がありますよ。「プロレスってこういうものだろうな」みたいな。ある程度、仕事とかしていて納得していたものを超えてくるのが全女なんですよ(笑)。だってまず、僕が最初に仕事をしていて全女で衝撃を受けたのが、運営をしていた松永ファミリーがその選手の試合でお金を賭けていたっていう話を聞いた時で。まずプロレスって、そもそもお金が賭けられないジャンルじゃないですか。ましてや運営が賭けるなんて、あり得ない。でもそれが成立している……なに、その団体?っていう(笑)。

(ブル中野)フフフ(笑)。

運営内での賭けが成立しているプロレス団体

(吉田豪)世界でも、まずあり得ないんですよ。内部の人がお金を賭けることが成立するプロレス団体。どっちが勝つかがわからないっていう。

(ブル中野)ねえ。本当ですよね。それもあったし、なんかちょっと競馬的な風にもしていきたいなっていう動きもあったんですよ。

(吉田豪)「競馬的な風にもしたい」? 賭け事に?(笑)。すごい!

(ブル中野)お客さんがお金を賭けるっていうシステムにしていこうみたいな動きもあったんですけど、たぶんダメだったんだと思うんですけども……。

(吉田豪)あの、プロレスでそんなの、あり得ないですからね(笑)。

(ブル中野)でも全女の場合は本当に真剣勝負のピストルだったんで。

(吉田豪)いま「ピストル」ってサラッと言いましたけども。本当に、新日本だとか何だとかが道場でまあ、いわゆる「ガチンコ」とかを習うっていうのはよく言われていますけども。全女は特殊なんですよね。新人が普通にそういう試合をするのが当たり前。で、「抑え込み」っていう女子プロレスの特殊なルールがあって。普通にプロレスをやっていたのが突然、アマレス的な抑え込みの試合になって。そこは何も決まってない。実力がある方が勝つっていう。そんなプロレス、なんですか?っていう(笑)。で、それを普通にビッグマッチのメインとかでもやっていて。で、ビューティ・ペアの敗者引退マッチとかで普通に抑え込みでやっていたとか……頭、おかしいじゃないですか!

(ブル中野)フフフ(笑)。

(吉田豪)大スターで、辞めさせちゃいけないような試合で。

「抑え込み」で試合が決まる

(ブル中野)本当ですよね。ジャッキー佐藤さんと本当にまだ中堅だったジャガー横田さんがシングルマッチでWWWAの赤いベルトのタイトルマッチをやったんですけども。まさかの、ジャッキーさんが負けてしまってジャガーさんが勝って。「ここから先、どうなるんだろう?」って。その時、私は入門をしていなかったんですけども。その時のジャガーさんの気持ちもすごいわかるし、ジャッキーさんもどう思ったんだろう?って。本当に考えたら怖いです。回りが余計にもっとピリピリしていただろうなって思って。

(吉田豪)本当に、実力で世代交代が行われちゃうんですよね。

(ブル中野)そうですよね。昔はそうでしたよね。そのお金を賭けるっていうのもあったんですけども。他にもお金を賭けているところがあって。入門した新人全員で誰がいちばん先に辞めるのか?っていうのもお金を賭けていたんですよ。会社が。スタッフたちで。

(吉田豪)フフフ、はいはい(笑)。

(ブル中野)で、私は一番人気だったみたいで。「いちばん最初に辞めそうだ」って(笑)。

(吉田豪)そういう賭け、たしかに聞いたことありますよ(笑)。

(ブル中野)まあ、でもそういう風に思われていたんですね。

(吉田豪)本当に賭け事が好きな団体っていうか。

(ブル中野)そうですね。「賭け事が好きな団体」(笑)。

(吉田豪)賭けることと、なんだろうな? あと、戦いが好きっていうか。松永ファミリーがそういうのが好きだったんですよね。

(ブル中野)そうですね。本当に商いじゃないけども、本当に1個1個の会場で100円、200円の儲けが大好きなんですよ。焼きそばを焼いたり、安いスーパーで50円ぐらいのジュースを買ってきて。

(吉田豪)見たこともないジュースを(笑)。

(ブル中野)それを150円で売るとか(笑)。そんなことをしている時間があったら、もっと大きな稼ぎとかをした方がいいのに……って。それを本当に社長とか会長とかがやっているから、それも面白かったんですけどね(笑)。

(吉田豪)あれ、お祭り感があってすごいいいんですよね。それでいて、いざ自分がやる商売はね、本当に当たるわけもないような……羅漢果ラーメンとか(笑)。

(ブル中野)そうですね。どんぶり勘定みたいなことをして人に任せちゃったりとか。一瞬で終わっちゃいましたね。うん。

(吉田豪)とんでもなく稼いだお金が……。

(ブル中野)株かな? うん。

(吉田豪)まあ、でも本当にクラッシュ時代から2年目で入って、本当に女子プロレスのいい時代っていうのを見てきたのがブルさんなんですよね?

クラッシュギャルズ以前の長与千種

(ブル中野)そうですね。本当に入門した時はまだクラッシュギャルズさんができていなかったんで。そこで一緒に合宿とかもやらせてもらって。まさかこの人たちがあんな風になるなんてって思ってもいなかったですね。もちろん飛鳥さんは絶対的に……「ジャッキー佐藤二世」とか言われていて。「ああ、絶対にスターになるだろうな」って思っていたけども、長与さんっていうのはいつも一試合目とか二試合目で私たち新人の相手をするような選手だったんで。

まさかあの長与さんがあんなに変わるなんて!っていう。本当に大化けするのを目の当たりにしたんで。びっくりしました。スターってこういう風に作られるんだって。でも会社がどんなに持ち上げたとしても、その選手が本当にやる気になって、もう全然いままでとは違うことを考えたり……それがもしかしたら、いつ来ても大丈夫なように全部この人は用意していたんだなっていうのは後からちょっと思いましたね。

(吉田豪)うんうん。

(ブル中野)全部なんでもできていたし。なんかのきっかけが来た時、そのワンチャンスに絶対に全部を出す!っていう風にこの人は思っていたんだろうな。そうじゃなきゃこんなに一瞬で変われるわけがないって思って。それは後になってから思いましたね。

(吉田豪)長与さんは僕がまだ23、4の時に取材をして。人たらしっぷりに本当に一発でやられましたね。

(ブル中野)なんかそれ、聞いたことがある。

(吉田豪)「あなただから言いますけど……」みたいなことを結構ね、目をジーッと見ながら……ズルいんですよ。「ああ、これはみんな、やられるのがわかるわ」って(笑)。

(ブル中野)でもあの目であの雰囲気でやられたら、好きになっちゃいますよね。男も女も関係なしに。

(吉田豪)魔性ですよ。うん。「これ、言っちゃおうかな?」みたいな(笑)。気を許している感が上手いんですよ。

(ブル中野)なんか、本当に男でも女でもないような魅力があるんで。「もう全部任しちゃいます!」みたいな感じになっちゃいますよね?

(吉田豪)なっちゃいますよ。すごいわかる(笑)。

(ブル中野)長与さんは本当に。飛鳥さんもずっとかっこいいし。でも先輩が本当にいまでもかっこよくいてくれるっていうのはすごく嬉しいですね。

(吉田豪)でもクラッシュがね、ああやってギクシャクしていくわけじゃないですか。ああいうのは対戦をしていてもわかるわけですよね?

(ブル中野)はい。わかるんですけど、でも試合の時はもう本当にプロなんで。全然関係ないし。仕事との時は……っていう感じですよね。

(吉田豪)クラッシュ時代、クラッシュが終わった瞬間の女子プロの落ち込み方もすごかったわけじゃないですか。

(ブル中野)お客さんがガガッといなくなって。どんどんどんどんスター選手、先輩が辞めていっちゃって。なんか私だけがトップでいて……っていう。

(吉田豪)放送が深夜になって。

(ブル中野)大変でした(笑)。

(吉田豪)フフフ(笑)。

(ブル中野)いろんなことをやってみて。メイクを変えたり、いろんな技も変えたり、いろんなことをやったりしてみたんだけども。結局は、やっぱり最後は全女らしい真剣勝負だったですね。アジャとの。やっぱりアジャっていう最高の……。

「全女らしい真剣勝負」

(吉田豪)「全女らしい真剣勝負」って言っているところがいいですよね(笑)。普通にプロレスを超えたギリギリの戦いをするっていうことですよね。

ブル中野と吉田豪 アジャ・コングとの金網デスマッチを語る
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(ブル中野)そうですね(笑)。そうだな。だから、私は本当に運が良かったし。クラッシュギャルズの時も、いまから思えばいい思いをさせてもらって。その後に、やっぱりアジャ・コングっていう最高のライバルに会えたっていうのが本当に幸せなことなんで。だからどんなに私が強くて上手くてかっこよくても……(笑)。自分で言っちゃった(笑)。

(吉田豪)フフフ、かっこよかったですよ!

(ブル中野)だったとしても、それを本当に引き立ててくれるっていうか……。

(吉田豪)それを受け止めてくれるだけの。

(ブル中野)そう。そういうライバルがいなかったら、そこで終わっちゃっていたと思うんで。そこでアジャだったり北斗晶だったり神取忍だったり井上京子っていうのが出てきてくれたというか。それがよかったですね。

<書き起こしおわり>

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