吉田豪さんがbayfm『with you』に出演。芸人さんたちが発表している曲の中から、知られざる名曲を4曲、紹介していました。
(松本ともこ)吉田豪さんの音楽特集、お願いします。今日は、何でしょうか?
(吉田豪)知られざる芸人名曲特集。
(松本ともこ)芸人さんも曲を出し、ヒットしている時代ですよね。『あったかいんだからー』とかね。
(吉田豪)名前が出た藤井隆さんを筆頭にね。
(松本ともこ)藤井隆さんももちろんそうですね。
(吉田豪)いい曲やっている人たちはいっぱいいるんですけど。まあいま、バックで流れているのが、西寺郷太さんが作詞作曲したスピードワゴンの曲なんですけどね。
(松本ともこ)スピードワゴンなんですか!
(吉田豪)これがまた、スピードワゴンの2004年リリースのDVDボックスの初回特典に入っているだけのCDっていう。初回特典に入っているCDが、2曲とも西寺郷太作なんですよ。
(松本ともこ)西寺郷太さんって幅広いですね。すごいですね。
(吉田豪)幅広いですね。だから、すごい知られざる・・・っていうか、僕も本当、なにも考えないで、普通に中古DVD屋のワゴンセールで買ったらCDがついていて、すごい良かったっていうだけの(笑)。
(松本ともこ)立派なボックスですね。
(吉田豪)2004年リリースのやつですね。『あたし認めない』っていう、ファンキーな、すごい西寺さんっぽいいい曲なんですけど。
(松本ともこ)貴重な1曲がBGMになった。
(吉田豪)こういうレベルのものが、ゴロゴロしてます。実は。
(松本ともこ)知らなかった。
(吉田豪)芸人さんの世界は。そして、まあ有名な芸人さんの曲もいっぱいありますけど。あんまり世間で語られてないようなやつばっかりやってみようかと。
(松本ともこ)お願いします。
(吉田豪)じゃあ、行ってみますかね。
(松本ともこ)いま、だってこれでびっくりしてますから。レベルの高さに。
(吉田豪)まあ、これきっかけなんですよ。この次の、1曲目に選んだのがザ・セセラギーズ(THE SESELAGEES)っていう。まあ、あんまり知名度はないでしょうけど。
(松本ともこ)横文字。アルファベット。THE SESELAGEES。
(吉田豪)ボーカルがフジタカルビ。ギターがニクグソタロウ。ベースがヘドビシャスとか。そういう名前の謎のOi!パンクバンドなんですけど。
(松本ともこ)Oi!パンクバンドってなんですか?
(吉田豪)ええとですね、80年代で言うとザ・コブラ(COBRA)というバンドがありまして。なんだろう?シンプルで力強く、男臭いパンクロックで『オイ!オイ!』言うようなやつなんですけども。そういうものを忠実に受け継いだバンドで。正体を明かすと、ボーカルがトータルテンボスの藤田さんで、ギターが野性爆弾の川島さん。と、2丁拳銃の小堀さん。2丁拳銃はね、甲本ヒロトさんとか真島昌利さんの楽曲提供でCDも多数リリースしてるんですけど。
(松本ともこ)はい。
(吉田豪)そんな吉本芸人さんたち中心にしたグループで。ひっそりと、今年の3月に音源を配信でリリースしてて。
(松本ともこ)へー!
(吉田豪)で、その後、盤にもなって。盤は通販で入手可能で。僕、普通にセセラギーズ通販でTシャツとかCDとか買ってるんですけど。
(松本ともこ)(笑)
(吉田豪)いや、デザインもすごいちゃんと。Oi!の基本に則っていて。で、楽曲も非常にOi!の基本に。ちゃんと英語詞の本格的な。
(松本ともこ)えっ、すごいですね。
(吉田豪)そのコブラっていうバンドが、インディー時代はすごいカッコ良かったんですけど、メジャーデビュー後、日本語になってすごいポップになって。正直、僕の中では『あれっ?』ってなっちゃったんですけど。あの、きちんとしています。これは。
(松本ともこ)あの、フジタカルビことトータルテンボス藤田さんは、やっぱ好きなんですね。
(吉田豪)そういうのが基本、好きな人たちなんですね。だからちゃんと、80年代のOi!パンクを完全再現。見事!じゃあ、聞いてみましょう。ザ・セセラギーズで『Oi THE NAIL』。
THE SESELAGEES『Oi THE NAIL』
(松本ともこ)これ、ちゃんと説明してもらわないで聞いたら、『あっ、誰だろう?』っていうね。
(吉田豪)全然芸人バンドの音じゃないですね(笑)。
(松本ともこ)すごいですね。これが、ザ・セセラギーズ。
(吉田豪)そうですね。まあでも、知名度がないのは当然っていうか。吉本の音楽担当の人とこの前、仕事した時に、『僕、そういえば通販でセセラギーズ買いましたよ』っつったら、『はっ?』って顔をされて。
(松本ともこ)(笑)
(吉田豪)『そんなグループが、弊社におりましたっけ?』ぐらいの感じで(笑)。
(松本ともこ)ひどい(笑)。
(吉田豪)本当に知られてないみたいですね。会社内でも(笑)。
(松本ともこ)社内での認知(笑)。でも、自分たちは本当に好きでやっている。
(吉田豪)まあ、会社でやっているわけじゃなくて、勝手にやっている感じですよね。
(松本ともこ)それがいいんでしょうね。本当、好きなことを制限なく、楽しくやっているっていうね。
(吉田豪)で、実は、この芸人がやるOi!パンクナンバーっていうのは、これが初じゃないんですよ。実は、キャイ~ンがやってるんですよ。
(松本ともこ)えっ、キャイ~ンが?
(吉田豪)キャイ~ンは、元電気グルーヴのCMJKさんのプロデュースで。丸々1枚プロデュースで96年にアルバムを出してるんですよ。『SHI~NE☆』っていう。これが、全体的に当然、そんな感じだからよくできているんですが。
(松本ともこ)『SHI~NE☆』?なんか、ちょっとあったな。
(吉田豪)そう。ヒップホップ、ハウス、テクノ、ジャングルなど、いろんな曲が入っているんですけど。ハードコアというか、これOi!ですね。完全に。『直球勝負!』という曲があるんで、聞いてもらいましょう。
(松本ともこ)はい。
(吉田豪)キャイ~ンで『直球勝負!』。
キャイ~ン『直球勝負!』
(松本ともこ)キャイ~ンの『直球勝負!』。
(吉田豪)かっけーですよね?
(松本ともこ)かっけー。私ね、この頃に、ウドちゃんとか番組とかでご一緒したことがあるから。たぶんこの『SHI~NE☆』はね・・・
(吉田豪)持ってますか?このお洒落なジャケ。ジャズ・ファンクっぽいやつ。
(松本ともこ)そう。で、もしこれ、手放して・・・これ、お洒落じゃないですか。手放してたとしたら、私は本当にダメなやつですね。本当(笑)。
(吉田豪)(笑)。はい、素晴らしい曲でした。
(松本ともこ)『直球勝負!』でした。
(吉田豪)はい。このままパンク路線行きましょうということで。
(松本ともこ)パンク路線がそんなにあったと。
(吉田豪)電撃ネットワークが、これまたCDを山ほど出してるんですが。1曲、なぜこの曲を?っていうのがあるんですよ。僕の大好きなザ・レジロス(THE REZILLOS)っていう超絶ポップな伝説のパンクバンドがいるんですよ。レジロスっていう。77年リリースのオリジナルアルバム1枚で分裂しちゃって。まあいろんなカヴァーとかもやっている、どポップな。この時代にこんな、どポップなことをやるUKパンクがいるのか?っていう感じだったんですけど。で、残ったメンバーがザ・レビロス(THE REVILLOS)を名乗って80年代にファーストアルバムを出しておりまして。
(松本ともこ)ふんふんふん。
(吉田豪)音楽的にはオールディーズ感が増して、突き抜けたポップさが減っちゃったんですけど。1曲だけ、この『Yeah Yeah』っていう曲がクラブヒットになって。ロンドンナイトとかですごい流れていたんですよ。
(松本ともこ)ふーん。
(吉田豪)で、ギュウゾウさん、よくロンドンナイトに行ってた人なんで。電撃ネットワークの。たぶんそれきっかけでカヴァーしたんだろうという。
(松本ともこ)ギュウゾウさんがキャッチしたんじゃないか?と。
(吉田豪)つまり、電撃ネットワークがレビロスのアルバムの1曲をカヴァーしてるっていう謎の(笑)。そんなことが普通あるか?っていう。で、電撃バージョンとロリータ18号さんのバージョンがあるんで。ちょっとロリータバージョンを聞いてみましょう。電撃ネットワークで『Yeah Yeah』。
電撃ネットワーク『Yeah Yeah (with ロリータ18号)』
試聴出来ます
Yeah Yeah(電撃ネットワーク with ロリータ18号)、SASORI(電撃ネットワーク with THE MAD CAPSULE MARKETS)https://t.co/wNHK3q6wM5— ギュウゾウ/電撃ネットワーク (@gyuzo_rock) 2016年6月28日
(松本ともこ)『今年、夏どこにも行けなかった』っていうメッセージがさっきあったんですけど。今日ちょっとフェスっぽくていいんじゃないですか?
(吉田豪)かなりね。さっきからOi!Oi!いうような曲ばかりが流れますけども。
(松本ともこ)わかりやすかったー!(笑)。
(吉田豪)こちらが2002年リリースのミニアルバム『SASORI』収録の曲でしたね。
(松本ともこ)いいですねー。
(吉田豪)ねえ。最近は本当ね、アイドル関係の厄介ヲタとして有名になっているギュウゾウさんですけど。ちゃんとしてるんですよ、本当は!
(松本ともこ)だってTwitterとか見てても、そういうギュウゾウさんしかいなくて。なんか・・・
(吉田豪)ただの厄介ヲタと思われますけど、本当は怖い人だし、本当はこういうちゃんとした音楽もやっている人です!っていうね。
(松本ともこ)ちょっとイメージが最近、違ってきたところで。ねえ。電撃ネットワーク『Yeah Yeah』。
(吉田豪)はい、そして最後はカンニングの。まだ二人組だった頃のカンニングが2004年にリリースしたシングルがあるんですけどね。カンニングの『ヘイ・ユウ・ブルース』っていう。これ、企画物みたいな感じでCDリリースを持ちかけられた竹山さんが、だったら好きなことをやってやろう!ってことで、自分の趣味を全開にさせた1枚なんですよ。
(松本ともこ)やっぱり人気がある時って、そういうの売れるから出しましょうって企画があるんですね。で、じゃあ俺、やりたいことをやるんだ!ッて言うこと?
(吉田豪)そうです。そうです。で、これは『ヘイ・ユウ・ブルース』のカヴァーっていう。『ヘイ・ユウ・ブルース』っていうのありまして。なにか?っていうと、左とん平さんの名曲なんですよ。ミッキー・カーチスのプロデュースで、深町純さんが編曲した『とん平のヘイ・ユウ・ブルース』っていうのが、まあ当時はそんなに売れてはないんですけど、後にスチャダラパーが再評価して大槻ケンヂさんがカヴァーしたりで。
(松本ともこ)ふーん。
(吉田豪)アナログで再発されたりとかで。僕もアナログ再発の時に買って、『うわっ、なにこれ?やべえ!』みたいになって。
(松本ともこ)アナログ再発で手に入れた(笑)。
(吉田豪)で、カンニングさんが奥さんも含めてオーケンさんのファンとかなんで。たぶん竹山さんもこの頃に知ったと思うんですよ。で、その曲をバンバンバザールの編曲でカヴァーするっていう無茶をした結果、『5000枚プレスで600枚しか売れなかった』ってよくネタにしてるんですね。本人が。
(松本ともこ)(笑)
(吉田豪)いや、でもやっぱり好きなことをやり切ってますよ。うん。
(松本ともこ)はー!これが、2004年。10年ぐらい前の話?
(吉田豪)そうです。
(松本ともこ)よく手に入れてますね。
(吉田豪)当時買ってましたね。
(松本ともこ)へー。今日かけるのは、CDを?
(吉田豪)CDです。はい。じゃあ、行ってみましょう。『カンニングのヘイ・ユウ・ブルース』。
カンニング『カンニングのヘイ・ユウ・ブルース』
(松本ともこ)いま、スタッフと聞きながら、笑いながら(笑)。どうでしょうかね?初めて聞きましたよ。
(吉田豪)やっぱりあれですね。竹山さんはこの頃、いまよりさらにギラギラしてますよね(笑)。
(松本ともこ)でもこの頃のイメージ、すごい残っているから。なんかひさびさに気持ちよかったなー(笑)。
(吉田豪)全面攻撃(笑)。全方位に噛み付く(笑)。
(松本ともこ)『カンニングのヘイ・ユウ・ブルース』。いや、でも芸人さんの音楽への愛って、またアーティストとは違って、すごく精神的に深いところにあったりして。面白いですよね。そこを掘ってみるとね。
(吉田豪)音楽が好きな人たちが自分の趣味を出すと面白いことになりますっていう。
(松本ともこ)本当のやってらっしゃることは芸だから。それとはまた違うんだけど、好きなことを本気でやると。またクオリティーが高かったですね。
(吉田豪)という感じで。
(松本ともこ)いやー、今日はこういうわけで、普段はなかなか聞けない知られざる芸人の名曲特集を。
(吉田豪)もう1回ぐらいできますけどね。この企画ね。
(松本ともこ)あ、まだいるよってことですね。ぜひお願いしたい。
<書き起こしおわり>